官邸から見た原発事故の真実 の商品レビュー
専門家でまさに当事者の話 原発は国民の信頼なくしては成り立たない もう解決に向かっていると考えるのは甘いと
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"大阪へ向かう新幹線で読む。本日は東日本大震災が起きてちょうど1年たつ3月11日。原発事故対策として内閣官房参与として活躍した著者。 事故の影響の大きさを改めて知る。そして、まだわからないことが一杯あることも知った。 日本は、原子力爆弾を2つも落とされ、核実験でも被害を...
"大阪へ向かう新幹線で読む。本日は東日本大震災が起きてちょうど1年たつ3月11日。原発事故対策として内閣官房参与として活躍した著者。 事故の影響の大きさを改めて知る。そして、まだわからないことが一杯あることも知った。 日本は、原子力爆弾を2つも落とされ、核実験でも被害を受け、今回の原発事故。これだけの(この言葉が適切かどうかわからないなが)災害、被害にあっている国として果たすべき役割があるのだと考える。 統計調査も長期的に行っていく必要もあるのだろう。先日、週刊誌にこんな調査が紹介されていた。がん検診を受け続けていた人と、受けていない人のがん発生率の調査を新潟大学医学部の教授が紹介していた。20年、30年という単位での調査は欧米では行っているが、日本ではあまり行われていないそうだ。 目に見えない放射能とわれわれは付き合っていかなければならない。 科学的な事実を理解して、適切な判断ができないといけないと痛感した。 この日は震災の起こった時刻に黙祷をささげた。"
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2012年刊。 内閣官房参与として福島原子力発電所事故の対策、政策転換に関与した。 一方、従前、某企業の原子力事業部で青森六ヶ所村核燃料サイクル施設安全審査PTに関与し、原発推進派に与していたと自認している。 一読して内容に特記すべきことはない。事故対処の内幕開示を期待したが、それも全くない。 唯一指摘すべきは、従前推進派だった者(過去形かは迷うが)ですら、核燃料処分の方法がないこと、処分費用を原発コストに勘定せず、原発安価を強調してきた事実を開陳したことくらい。 加え、核燃料処分コストには、社会的費用コストが加算される点。そもそも社会的費用コストとは、例えば風評被害の除去対策費などがあたる。 また、原発ではなく、処分地にも立地対策コストが必要なのは当然で、これも核燃料処分・サイクルコストに加算されることも了知しておくべき点か。 本筋とは違うし、感情的に述べるべきでないのだろうが、著者自身が原発の推進に関与しておきながら、掌返しの如く、余りに他人事のような叙述にはかなり呆れた。
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内側から原発事故と真摯に向き合ったということがとても良く伝わるインタビューであった。インタビュー形式なので、それが読みやすかったり、逆に読みづらかったりするところもあったけど、内容は大体わかりやすくおさえてられてたと思います。最後に書いてあった、我々は運が良かったというくだり。胸...
内側から原発事故と真摯に向き合ったということがとても良く伝わるインタビューであった。インタビュー形式なので、それが読みやすかったり、逆に読みづらかったりするところもあったけど、内容は大体わかりやすくおさえてられてたと思います。最後に書いてあった、我々は運が良かったというくだり。胸に刻まなければならないと思いました。
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今回の原発事故の原因は単なる技術的要因だけではない。組織的、文化的、人的な要因も多い。 政府が国民から信頼を失えば失うほど、社会心理的リスクは大きいものになってしまう。チェルノブイリ原発事故の最大の教訓の1つは、政府が国民から信頼を失ったときは最悪の状況になるということだった。
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ただ「運が良く」首都圏3000万人避難が起こらなかったのにも関わらず、経済優先で原発依存に戻ることを批判。さらに絶対問題としての最終処分。重要な提言と思う。
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「福島原発事故」についてはすでに多くの書が出版されているが、本書は2011年の事故後に内閣参与として事態収拾にあたった専門家が著者である。 専門家として「原発」への深い憂慮をわかりやすく展開しており、「高レベル放射性廃棄物の最終処分問題」「行き場のない使用済み燃料」や「国民の...
「福島原発事故」についてはすでに多くの書が出版されているが、本書は2011年の事故後に内閣参与として事態収拾にあたった専門家が著者である。 専門家として「原発」への深い憂慮をわかりやすく展開しており、「高レベル放射性廃棄物の最終処分問題」「行き場のない使用済み燃料」や「国民の七つの疑問」を読むと、問題の一層の深刻さがよくわかる。 すでにマスコミで「福島原発」を取り上げることも少なくなっているが、「福島原発事故」は、現在でも収束したわけでもなければ、解決したわけでもないのだということがよくわかった。 本書は、たんたんとインタビューに答える形で進行しているが、内容は深刻である。 政治の世界では、民主党は「脱原発依存」を掲げ、一方自民党は今回の総裁選でも5人の候補全てが原発に肯定的な主張だったように、「原発」は、まさに国民を二分する課題となっているが、事態を専門家の目から見た視点はそれなりの重さを持っていると思えた。 現在多くの「福島原発事故」についての書が発行されているが、そのほとんどが「反原発」「脱原発」の本だろう。これらの専門的知識を多くの人々が読み、自分のものとしていることは、今後の日本の政治に多くの影響を及ぼすことは間違いがないように思えた。 本書は、専門家の立場から「これから始まる真の危機」と原発事故の収拾策を指摘しているが、政治の世界でも「原発」は重要な選択肢となるだろうことを本書を読んで痛感した。 本書は、「原発事故」と「エネルギー政策」という専門的課題を誰もがわかりやすく紐解ける良書であると思うが、「政策」や「ピジョン」については抽象的で大雑把のように思え物足りなく思えた。
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・Fail Safe(人間が失敗しても安全が確保される)とSafety in Depth(ひとつ の安全装置が作動しなくても、他に幾重にも安全装置が施されている) ・「確率論的安全評価」の限界 ・NIMBY;Not in My Backyard Syndrome NOPE; Not on the Planet Earth
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チェック項目14箇所。原発事故の後の最大のリスクは「根拠の無い楽観的空気」。根拠の無い楽観的空気が広がったとき信頼の喪失が起こる、国民から政府への信頼が決定的に失われる。国民からの信頼を回復するには政府が原子力行政について国民から信頼を失ったことを深く自覚するべき。信頼回復には2つのことをする・・・「身を正すこと」、「先を読むこと」。高レベル放射性廃棄物は極めて長期にわたって(10万年以上)人間環境から隔離し安全を確保しなければならない。東海村の臨界事故は技術的要因ではなく作業員がマニュアルに無い想定外のことを行ったことによるもの。原発再稼動には地元の協力以上に国民の納得が必要、国民感情の理解が必要。ソ連政府は原発事故のとき36時間以内に住民4万5千人を避難させるためにバス3000台を緊急動員した。日本では未曾有で未経験の災害だったため、対策マニュアルも整備されていない、原子力災害において周辺住民を強制避難させる強権を発動できる法律的根拠が無い。リスクマネジメントで最も取ってはならない判断・・・この基準を遵守するとかなりコストがかかる、実際には大した健康コストではないから当面基準を緩めようという「経済優先主義」な判断。リスクマネジメントにおいては「空振りコストは覚悟する」。これから特に大きな社会問題になるのは「将来被爆しによって病気になるのではないかとの不安を抱えながら生きていく」という精神的な健康被害。強力なリーダー出現の願望と幻滅が繰り返されているが真の原因は我々の中に巣食っている「自分以外の誰かが、この国を変えてくれる」という「依存の病」であり、この病こそ克服しなければならない。英雄願望を克服し、自覚を高める、この国を変えるのは他の誰でもない、我々一人ひとりの国民なのだ!
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福島原発事故の問題を、技術的にも社会的にも的確に解説し、これからの社会に必要なことを示した、最良の書。それにしても、何冊も本を読んでいながら、田坂さんが原子力工学の出身とは知りませんでした。
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