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戦友の恋 の商品レビュー

3.7

26件のお客様レビュー

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2012/07/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 yomyomで連載していた「三人姉妹」がわりと好きだったのと、表紙の絵が良かったので購入。  “戦友”の玖美子が急逝し、“玖美子が死に続けている世界”で生きつづけなければならない佐紀の喪失と再生の物語。  冒頭に玖美子が亡くなる以外は事件らしい事件もなく、佐紀の日常は淡々と過ぎていくのだけれど、その静かさが却って佐紀の心の痛みを浮かび上がらせているような、大島さんらしい物語でした。海の描写が美しく希望を感じさせる最終章が印象的。

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2012/07/23

漫画家を志していたものの、致命的に絵が下手で漫画原作者となった主人公。 彼女に原作者としての道筋を示し、二人三脚でやってきた編集者が急死してしまう。 大切な戦友を失った主人公が喪失感を抱えながらも生きていくお話。 とても大島さん的な文章で、数十ページに渡って主人公の一人語りで...

漫画家を志していたものの、致命的に絵が下手で漫画原作者となった主人公。 彼女に原作者としての道筋を示し、二人三脚でやってきた編集者が急死してしまう。 大切な戦友を失った主人公が喪失感を抱えながらも生きていくお話。 とても大島さん的な文章で、数十ページに渡って主人公の一人語りで物語が進んでいったりする。 主人公を取り巻く人々のキャラクタや人生も陰影がくっきりしていて魅力的である。 戦友が死に続けている世界で生き続けている主人公。 がんばってる感なくでも精一杯生きている感じがして穏やかな気持ちになる話。 ただ、読む人とテンションを選ぶ作品だと感じるから、しばらく読んで合わないなと思ったら少し熟成させたほうがいい気がする。 派手さはないけど深みのある物語。

Posted byブクログ

2012/05/15

ともに青春時代を過ごした、戦友とも言うべき友人の編集者を亡くした漫画原作者の再生を描いた連作短編。 1話目の時点で友人は亡くなってしまって、以降、何か大きな出来事等が起こるわけでもないが、取り返せない喪失感を抱えた主人公が、淡々とした日々を過ごすなかで、少しずつ前向きな気持ち...

ともに青春時代を過ごした、戦友とも言うべき友人の編集者を亡くした漫画原作者の再生を描いた連作短編。 1話目の時点で友人は亡くなってしまって、以降、何か大きな出来事等が起こるわけでもないが、取り返せない喪失感を抱えた主人公が、淡々とした日々を過ごすなかで、少しずつ前向きな気持ちを取り戻していく過程がなかなか丁寧に描かれており、またそれを語る文章も、抑制が効いている分、余韻が残って印象的だった。

Posted byブクログ

2012/06/07

この方もブクログで知った作家さん。とてもよかった。角川文庫「女が女を読む」フェアの一冊。 どういうことがあれ、佐紀が生きているのがいい。ただ日々をやり過ごすだけじゃなくて、少しずつではあるけれども、変化を受け入れたり、新しいことをやってみようとしたり、他人のことを気にかけたり。...

この方もブクログで知った作家さん。とてもよかった。角川文庫「女が女を読む」フェアの一冊。 どういうことがあれ、佐紀が生きているのがいい。ただ日々をやり過ごすだけじゃなくて、少しずつではあるけれども、変化を受け入れたり、新しいことをやってみようとしたり、他人のことを気にかけたり。 人が人と関わることのすがすがしさが描かれているから好きなんだろうか。出会ってきた人との思い出が、すっと自分の行動に影を落とすその様子。そのことを大事と思っている著者の感性に惹かれるのかもしれない。 もう少し他の作品も読んでみようと思う。

Posted byブクログ

2012/03/18

女性編集者と、 漫画の原作を作る仕事をしている女性の物語です。 この後者の女性が 年齢を重ねて行く模様を追っていますが、 そのリアルな感じが何だかとても良かったです。 あの男性とはどうなるのかな。 ふわっとした未来を感じる結末でした。

Posted byブクログ

2012/02/02

2月2日読了。うん、よかった!派手さはないが、静かななかにも登場人物たちが確かに息づいていて、とてもいきいきした小説だと思う。あとになって、虹色天気雨の著者だったのだと気がついたが、私はこちらのほうがずっと好き(虹色天気雨も好きだけど)。しかも、別の作品のスピンアウトだということ...

2月2日読了。うん、よかった!派手さはないが、静かななかにも登場人物たちが確かに息づいていて、とてもいきいきした小説だと思う。あとになって、虹色天気雨の著者だったのだと気がついたが、私はこちらのほうがずっと好き(虹色天気雨も好きだけど)。しかも、別の作品のスピンアウトだということで、先に上梓されたそちらの作品(ほどけるとける)も是非読みたい。 ちなみに実際に親友を亡くした私だから(主人公もそう)共感した、というのはほとんどなかったが、親友のことには確かに想いを馳せた。でもそれも、彼が突然逝ってしまった時の悲しみより、彼がいてくれた日々を懐かしく温かく心から取り出すような感じで、それはこの作品が持つ光のようなもののおかげだったかも、しれない。

Posted byブクログ