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バナナの世界史 の商品レビュー

3.9

14件のお客様レビュー

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2022/06/14

バナナは、世界の諸問題が凝縮された果実だ。 バナナは米よりも主食として普及しており、何億人もの生命を支えている。一方で、交配を伴わずに増殖してきたため、極めて耐病性が弱い。おまけに多国籍企業の暗躍により、生産国は貧困と戦乱に見舞われた。 読後、バナナの味がやや血腥く感じられるだろ...

バナナは、世界の諸問題が凝縮された果実だ。 バナナは米よりも主食として普及しており、何億人もの生命を支えている。一方で、交配を伴わずに増殖してきたため、極めて耐病性が弱い。おまけに多国籍企業の暗躍により、生産国は貧困と戦乱に見舞われた。 読後、バナナの味がやや血腥く感じられるだろう。

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2016/04/21

とても身近な果物バナナ。安価で1年中手に入り、簡単に皮がむけ食べやすい。だが、この親しみ深い果物には壮絶な歴史と複雑な生態がある。かつてバナナの利益をめぐり人々が争った過去がある。現在の美味しさは品種改良の苦労の末によるものである。そして現在、バナナをつくる労働者たちは過重労働に...

とても身近な果物バナナ。安価で1年中手に入り、簡単に皮がむけ食べやすい。だが、この親しみ深い果物には壮絶な歴史と複雑な生態がある。かつてバナナの利益をめぐり人々が争った過去がある。現在の美味しさは品種改良の苦労の末によるものである。そして現在、バナナをつくる労働者たちは過重労働に苦しめられている。「バナナ」に関する過去と未来を追った1冊。

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2015/12/14

スーパーに並んでいるバナナ、日本でもアメリカでも、それはキャベンディッシュと呼ばれる品種。 栄養価が高く、多くの人を飢餓から救っているこのバナナに対して警鐘を鳴らす本。 品種が一種類ということは、同一遺伝子ということであって、それはつまり、ある特定の病原菌に弱ければ、世界各国で地...

スーパーに並んでいるバナナ、日本でもアメリカでも、それはキャベンディッシュと呼ばれる品種。 栄養価が高く、多くの人を飢餓から救っているこのバナナに対して警鐘を鳴らす本。 品種が一種類ということは、同一遺伝子ということであって、それはつまり、ある特定の病原菌に弱ければ、世界各国で地理的に離れたところで作られていたとしても、全てに影響が起こるということ。 キャベンディシュの一つ前の品種グロスミッチェルはそうして滅んだ。 その病原菌から守るためには、農薬を使うとか、品種改良として交配を試みるとかいろいろあるけど、農薬の労働者への被害という話は切っても切れない。 そして、プランテーションがダメになったら、新しいプランテーションを開拓するといった進め方をしているので、土地が痩せていってしまうといった問題も切っては切り離せない。 また、遺伝子組換えについても、遺伝子組換えを行った交配を採用しなければ、自然交配には時間がかかり過ぎてしまい、病原菌の脅威のスピードには勝てず、飢饉に陥る可能性が高くなる。僕自身、遺伝子組換えが悪って思わないんだよなー。だって自然交配も種の掛け合わせも、遺伝子組換えじゃん。遺伝子汚染なんて昔から起こってるっちゅうの。 環境問題、健康問題そういったものがバナナにも大きく取り巻いていることが知れる。

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2014/11/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

バナナの歴史、それを取り巻く人々の数奇な人生。ガルシア=マルケスの『百年の孤独』にバナナ農家の労働者のデモが国によって鎮圧されるシーンがあるが、あれはユナイテッド・フルーツ社(現チキータ・ブランド)によるコロンビアで実際にあった事件でもあった。 アメリカへのバナナの安定供給のために農薬をばらまき、労働者の健康被害となった事実は痛ましい。 すべてのバナナはクローンのため病気が蔓延すれば絶滅する可能性が高い。確かにアメリカ人の昼食は「ランチボックスにバナナ」がスタンダードだが、年間100本のバナナを消費するのだそうだ。 アメリカ優位な状況を打破しようと尽力したグアテマラの元大統領アルベンスは失脚のち暗殺される。呪われた企業を立て直すべく尽力したユダヤ人経営者ブラックも念願果たせず有力者に賄賂を渡したことを悔いて命を断つ。病気に打ち勝つ次世代バナナを追求していた研究者も自殺する。 遠方から運ばれてくる、美味しい南国の食べ物が安く供給されているという状況は、何かの犠牲の上に成り立っているという事実を認識させてくれる。

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2016/09/08

日本でも珍しくない食べ物、バナナについての壮絶なる歴史が綴られています。 普段何気なく口にする美味しいバナナですが、バナナ自体だけでなく、プランテーション従業員、バナナ共和国と呼ばれる傀儡国家などは、様々な危機と常に隣り合わせの状態なのです。 難い内容なので、休憩を挟みつつ読了し...

日本でも珍しくない食べ物、バナナについての壮絶なる歴史が綴られています。 普段何気なく口にする美味しいバナナですが、バナナ自体だけでなく、プランテーション従業員、バナナ共和国と呼ばれる傀儡国家などは、様々な危機と常に隣り合わせの状態なのです。 難い内容なので、休憩を挟みつつ読了しました。 しかし、美味しいバナナについて知るには良い一冊です。

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2015/03/18

バナナから見る世界 バナナ。 日本人にもなじみ深いバナナ。 バナナダイエットにバナナリパブリック、バナナケースにバナナパンケーキ、吉本ばななにバナナマン。 算数の問題にも出てくるバナナはもはや高級品ではないし、よく食べる果物(あるいは主食)の一つとなっている。 そんなバナナの数奇...

バナナから見る世界 バナナ。 日本人にもなじみ深いバナナ。 バナナダイエットにバナナリパブリック、バナナケースにバナナパンケーキ、吉本ばななにバナナマン。 算数の問題にも出てくるバナナはもはや高級品ではないし、よく食べる果物(あるいは主食)の一つとなっている。 そんなバナナの数奇な歴史を辿るのが本書である。 大学時代、このバナナという不思議な植物について講義で扱われた。 バナナリパブリック(アパレルブランドにもあるが、なぜこんな名前を付けたのか......)や多国籍企業についてが主題の回だったが、もし当時本書を読んでいれば、もっと深く学べたのにと思う。 それはさておき、食物について必ずあげられるのがアメリカの多国籍企業である。 この一国の力にも匹敵する企業について考察するのであれば、バナナはさけては通れない。 それは搾取であったり、政治に翻弄されたりする人々の姿でもあろうし、あるいは消費者の欲望でもあるのだろう。 ここで扱われている姿は一面的なものであるかもしれない。 雇用を生み出し、生活レベルをあげた面もあるかもしれない。 ただ、本書で見えてくるのはたとえ一面的であろうとも、企業と労働者の、また生産者と消費者のアンバランスな姿なのである。 バナナの歌の存在、企業と戦った小国の話は興味深い。 バナナケチャップの存在は知っていたが、味の想像がつかない。 読みながら食べていたバナナとはきっと違う味なのだろうが...... 本書は図表が多く用いられているとは言い難い。 一章は短いがほぼ文字で埋め尽くされているのと、翻訳文独特のあの読みにくい感じがあり、タイトルが示すよりも難易度が高い。 言っていることは難しくはないが文字に圧倒されてしまうかもしれない。 背景を多少なりとも知っているのならば読了まで行けるが、何の予備知識もない段階では難しい。 万人に勧められるものではない。 少なくとも地図や生産量の推移があれば良いのだが。 巻末の年表はわかりやすい。 が、この数頁に本書の大方がまとめられていることに力が抜けた。

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2013/04/09

ホンジュラス、グアテマラ、パナマをまたぐ巨大企業、ユナイテッド・フルーツ社の暗黒史。中米がなぜ今のような自立性の無い小国になったのか?中南米をひとまとめにする国家が成立してもおかしくなかった。その謎を筆者はバナナに求める。 この作品の難点は実証性に薄いこと。 アメリカのフォード...

ホンジュラス、グアテマラ、パナマをまたぐ巨大企業、ユナイテッド・フルーツ社の暗黒史。中米がなぜ今のような自立性の無い小国になったのか?中南米をひとまとめにする国家が成立してもおかしくなかった。その謎を筆者はバナナに求める。 この作品の難点は実証性に薄いこと。 アメリカのフォード主義に代表される労働のあり方や、朝飯も昼飯もバナナで工場内で楽にカロリーを取ることを強調してもよかったのでは? いずれにせよ今のうちにバナナ食っておかなければいけない。福岡伸一さんの言う動的平衡のない、歪んだ品種改良種であるバナナは20年後には無くなるらしい。

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2012/09/29

世界一、つつましい果物 第1部 バナナの系譜 第2部 伝播 第3部 コーンフレークとクーデター 第4部 どこまでも貧欲に 第5部 さようなら、ミッチェル 第6部 新しいバナナ 年表ーバナナの歩み

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2012/08/28

歴史的内容と科学的内容で『バナナ』を描きだした面白い内容の良書ですが、WEB翻訳的な文章が、ちょいと残念。 バナナにまつわる壮絶な歴史を鑑みると、今後安易な気持ちではバナナが食べれなくなっちゃったかも?

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2012/07/04

『ナショナル・ジオグラフィック』などにも記事を投稿する筆者が解き明かしたバナナという植物のたどった歴史と生態。数々の事実を組み合わせ、ありふれたものであるはずのバナナがまた違って見えます。 筆者の経歴を見てみると『ナショナル・ジオグラフィック』などの一流誌にも科学的な記事を寄稿...

『ナショナル・ジオグラフィック』などにも記事を投稿する筆者が解き明かしたバナナという植物のたどった歴史と生態。数々の事実を組み合わせ、ありふれたものであるはずのバナナがまた違って見えます。 筆者の経歴を見てみると『ナショナル・ジオグラフィック』などの一流誌にも科学的な記事を寄稿するサイエンティフィックライターなのだそうです。その彼が地球を旅して回って書いたバナナの歴史と生態に関する考察を記した一冊です。よくスーパーマーケットで安い価格で売られ、手ごろな栄養食品として知られるバナナが、まさかこんなにも血塗られた歴史を持っていたんだということを知って、正直な話、読み終えた後にしばらくほうけてしまいました。 アダムが最初に食したのはリンゴではなくて実はバナナだった!?という話から始まり、世界各国のバナナを栽培するプランテーションを訪問し、そこで行われている過酷な労働の実態や、グロスミッチェルという初期によく食べられていたバナナが「パナマ病」という病気で全滅常態になり、キャベンディッシュというバナナの種が現在では主流になっているということ。それに僕が最も驚いたのはバナナをめぐる欲にまみれた話で現在でもバナナのブランドとして有名な「チキータバナナ」と「ドール」この二つがフルーツを売る会社として覇権を競い合い、時には生産国を意のままに操り、国家の指導者までも放逐させてしまう「怪物」であったという箇所を読んだときには正直、そこまであの甘い果実のなかに壮絶な歴史があるということを知って、『こりゃこれから安易にバナナを食えんなぁ』などということすら考えてしまった自分がおりました。 いまやバナナは世界で最も食されている主食だそうですが、南北問題やグローバリズムを始め、さまざまな矛盾の上に店頭で売られていたり、皆様の食卓に届けられているのだということをこの本は教えてくれたような気がいたしました。

Posted byブクログ