脳を創る読書 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
言語脳科学・脳機能イメージングを専門とする著者が、電子書籍の席巻に警鐘を鳴らし、紙媒体の書籍の有用性を述べるエッセイ。著者が述べるように言語脳科学で判明する点は少なく、不足を書籍愛好家としての自身の思想・意見で埋めるとするので、厳密な意味での科学的知見ではない。表現は平易でサクサク読める。個人的には「なぜ画面上で見落とした誤字が紙の上では見つかるのか」の箇所が興味深かった。要は、両方の利点をうまく活かして、両立させるのが望ましいというのが本書の結論と思われる。また剽窃行為に関する著者の問題意識も頷ける。
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著者は、言語脳科学と脳機能イメージングを専門とする脳生理学者。読書をしている時の脳のメカニズムや、紙の本と電子書籍の比較を通して、紙の本がいかに言語能力や想像力を鍛えるか、またその結果、記憶力やコミュニケーション能力など諸能力が高まるか、そのプロセスを解説している。娯楽としての読...
著者は、言語脳科学と脳機能イメージングを専門とする脳生理学者。読書をしている時の脳のメカニズムや、紙の本と電子書籍の比較を通して、紙の本がいかに言語能力や想像力を鍛えるか、またその結果、記憶力やコミュニケーション能力など諸能力が高まるか、そのプロセスを解説している。娯楽としての読書もよいものだが、いかにして脳を鍛えてくれるのかを論理的に理解でき、すっきりした。
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☆☆☆☆☆脳を創るための作法から、そのために知っておくべき脳の仕組みを簡潔にまとめながら、“電子化”という人工物と人類がどのように共存して、未来を紡いででゆくかを展望させてくれる本。 “読書”だけでなく、“数学”・“音楽”・“写真”などの分野にも、それを生み出し蓄積してきた人...
☆☆☆☆☆脳を創るための作法から、そのために知っておくべき脳の仕組みを簡潔にまとめながら、“電子化”という人工物と人類がどのように共存して、未来を紡いででゆくかを展望させてくれる本。 “読書”だけでなく、“数学”・“音楽”・“写真”などの分野にも、それを生み出し蓄積してきた人類の英知を例示しながら人間らしさを築き上げてきたことを説いている。また、脳は『欠乏を補うために自らを鍛えようとする』システムをもっているのに、それを『効率の良さ』にすべて傾斜する方向に進むことで、そのシステムとともに、“人間らしさ”をも失おうとしている現状に対して警鐘を鳴らしている。 それと個人的に気に入った一節は 〜〜「再帰的能力」は生まれつき人間に等しく与えられている。にもかかわらず、数学が楽しめない人が多いその一つの原因は、想像力の個人差なのではないだろうか。 数学では、目で直接見えず、音も聞こえず、触ることも出来ない、感覚から遠く離れた対象について考えなくてはならない。そして無限であることを有限の時間で把握しなくてはいけないから〜〜 という部分 「ライプニッツの級数」という数式を見て「美しい!」という感覚に浸れる人の感性に共感を覚えてみたいという欲求がフツフツと湧き上がってきた。 2016/04/30
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紙の本が必要か? 私はとても、好きなので・・ ”ふだん読書をしているときから書き手に自分を重ね合わせながら読んでいる人は、それが音読のときでもそのまま自然にできるのだ。だから本をたくさん読めば読むほど、自然と音読もうまくなる。確かに、読書は脳を創るのである。” 納得です。
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卒論のため、購入。心理学や脳科学の観点から読書について分析している本。情報量が少ない方が想像力が働く、故に読書は脳を鍛えるという情報は参考になった。2015.12.19
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この本の内容で興味を持ったのは、自分で黙読した時と朗読を聞いた時の、脳内での言語処理の差だ。 「物語」を伝える手段は、活字=本・視覚よりも音声=口承・聴覚によるものが断然長い歴史を持つ。この事が、他人から伝えられた「物語」を自分のものとして咀嚼する時にどのような差を生むのか、言語...
この本の内容で興味を持ったのは、自分で黙読した時と朗読を聞いた時の、脳内での言語処理の差だ。 「物語」を伝える手段は、活字=本・視覚よりも音声=口承・聴覚によるものが断然長い歴史を持つ。この事が、他人から伝えられた「物語」を自分のものとして咀嚼する時にどのような差を生むのか、言語脳科学者からの示唆を待ちたい。 また、朗読CDのような、読み手の解釈が加えらえた「物語」の伝え方に一定の評価を与えていることも、ボランティアで絵本の読み聞かせをしている私にとっては心強かった。
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図書館で借りた。 読書により脳に何が起こっているかを説明し、紙の本と電子書籍の違いを述べる。 言語の木構造や再帰性、数学の美しさ、写真撮影など話題がかなり広い。すべてをつなぐキーワードは想像力であった。「想像力で補う」と文中に頻繁に出てきたが、普段使っている意味も含んで少し広...
図書館で借りた。 読書により脳に何が起こっているかを説明し、紙の本と電子書籍の違いを述べる。 言語の木構造や再帰性、数学の美しさ、写真撮影など話題がかなり広い。すべてをつなぐキーワードは想像力であった。「想像力で補う」と文中に頻繁に出てきたが、普段使っている意味も含んで少し広い意味であるように感じた。読書をしていれば意識しないで先の展開を読んでいるはず。それも「想像力で補う」に含まれていたと思う。 紙も電子も使い分けができれば問題ないが、学習に電子が入りすぎると子どもが主体的に考える時間がなくなり、結果として頭を使えない人を育ててしまうのではないか、を主張と受け取った。 読書インストラクターについて触れていた。『読書力』でも出てきた言葉だから、教育に興味があると出てきてしまう発想なのかもしれない。
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「何でも機械化し電子化できるという表面的な見方に対して、人間が大切で譲れないものは何かと考え、未来にどのように向かうべきか決断することが、あらゆる方面で問われている。 そういう過渡期を我々が賢く乗り切るためには、人間はどういう生き物であって、どこが愚かでどこがすばらしいのかという...
「何でも機械化し電子化できるという表面的な見方に対して、人間が大切で譲れないものは何かと考え、未来にどのように向かうべきか決断することが、あらゆる方面で問われている。 そういう過渡期を我々が賢く乗り切るためには、人間はどういう生き物であって、どこが愚かでどこがすばらしいのかということに我々自身が気づかなくてはならない。 そうすれば、人間は人工物に振り回されることなく、古きよきものを大切にしながら新しいものを創り続けることができるに違いない」 このフレーズに全てが集約されている本。 これを膨らまし膨らまし、同じ事をまわりくどく説明していく本だった。 本は言語の羅列ではない。 文字を読んでいるのではなく、「心」を読み、人の想像力を刺激する。ロボットが未だに音声会話が出来ないのは心がないから。 文節を読み、予測することで、脳が鍛えられ、言語能力も鍛えられる。自分ならこうするだろうや、こうした方が伝わりやすいと、 自分なりにダメだしをしながら、落とし込んでいく。 紙の本と、WEBの本の一番の違いは「質感」と「質量」である。 文字から「感」じる「重さ」が、WEBにはない。 それは頁を開く重さであり、それを思う大切さであり、心を開く扉のようなもの。
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なぜ紙の本が電子書籍に勝るのかを脳科学の観点から解説してくれているのかと思いましたが、その点については多少期待はずれでした。前半は読むことと脳の関係について、後半は紙の本と電子書籍について書かれているのですが、その二つのつながりがあまり説明されてなかったような。 ただチョムスキー...
なぜ紙の本が電子書籍に勝るのかを脳科学の観点から解説してくれているのかと思いましたが、その点については多少期待はずれでした。前半は読むことと脳の関係について、後半は紙の本と電子書籍について書かれているのですが、その二つのつながりがあまり説明されてなかったような。 ただチョムスキーの生成文法の話とか、数学や音楽にからめて話がすすめられたりなど、幅広い話題にふれられる点では面白かったです。
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紙の本はなくならない、私はそう思っている。ページをPadでぺらりとめくるのと、紙をぺらりとめくるのと何が違うかと言われると返答に窮するが・・・違うはず!この本は本質的に何がどう違うのか脳科学の立場から開設されている。なるほどと納得できる1冊です。
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