オオカミの護符 の商品レビュー
神奈川県川崎市の土橋に生まれ育った著者が、物心ついたころから生家の扉に貼ってあった「オイヌさまの護符」の出所を探る話。 最初は休日を利用した趣味のようなものだったらしいけど、調査の範囲が広がり規模が大きくなるにつれ協力者も増え、最終的に映画まで作ったというからすごい。 著者は家...
神奈川県川崎市の土橋に生まれ育った著者が、物心ついたころから生家の扉に貼ってあった「オイヌさまの護符」の出所を探る話。 最初は休日を利用した趣味のようなものだったらしいけど、調査の範囲が広がり規模が大きくなるにつれ協力者も増え、最終的に映画まで作ったというからすごい。 著者は家業の農業を継がなかったこと、それに伴う年中行事などを知ろうとしなかったことを取材しながら後悔しているが、多分日本中に農業を継がずサラリーマンになった人はたくさんいて、それに伴いいまこの時にも伝統行事は少しずつ失われていっているんだろうなあと思うと物悲しい。 ムラ社会はよくも悪くも新規参入者をたやすくは受け入れないから、継承すべき世代が違う仕事に就いたので、そこで伝統が途絶えてしまうという現象が各地で起きているんだろうなあ。 「オイヌさま」の正体はニホンオオカミのことであることが判明するが、百姓の守り神となった経緯などが興味深い。 多摩とか秩父の山にも100年ちょっとまえにはニホンオオカミが普通にいたんだろうなあ。 同名タイトルの映画も是非見てみたい。
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川崎市宮前区土橋。昭和50年頃まで茅葺屋根の家が点在するだけだった農村は、いまや7000世帯に届こうかという住宅街に生まれ変わった。土橋に生まれ育った筆者は失われゆく《自分の足元》を見つめ直すため、街の姿を記録しはじめる。そして人々の紐帯として大きな役割を果たした「御嶽講」の存在...
川崎市宮前区土橋。昭和50年頃まで茅葺屋根の家が点在するだけだった農村は、いまや7000世帯に届こうかという住宅街に生まれ変わった。土橋に生まれ育った筆者は失われゆく《自分の足元》を見つめ直すため、街の姿を記録しはじめる。そして人々の紐帯として大きな役割を果たした「御嶽講」の存在を知り「オイヌさまのお札」を手掛かりに御岳山へ向かう。 故郷の「百姓の生活」を記録することからはじまった筆者の旅は、関東甲信一帯の山々にたどり着く。本書では土地の記憶を受け継ぎ、自然と向かい合って生活してきた人々への取材を通して、都市の生活とは異なる「山」の暮らしと信仰を紹介する。けれども、それは「伝統を大切に保存しよう」という主張ではなく、新しい生活と旧い暮らしの折り合いをどうつけていくかと問題意識から出発している。 今、「地域の絆」を考える上でささやかな手掛かりを示してくれる良書。
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関東に住んだことはないし,里山に住んだこともないので,イマイチピンと来ない点はあるが,学問的な信憑性はともかく,オオカミと昔の人の暮らしとの結びつきが,著者の足で徐々に明らかにされている様は,読んでいておもしろかった.里山というか山の中だからこそ,近代以前の痕跡が今も残っているの...
関東に住んだことはないし,里山に住んだこともないので,イマイチピンと来ない点はあるが,学問的な信憑性はともかく,オオカミと昔の人の暮らしとの結びつきが,著者の足で徐々に明らかにされている様は,読んでいておもしろかった.里山というか山の中だからこそ,近代以前の痕跡が今も残っているのだろう.あと20年,いや10年で失われる可能性が高い文化(生活文化)の話.久々に読んだノンフィクション.
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日本の 原風景を 辿っているような 気にさせてもらう すぐそばに ある 日常にあるもの にこそ 「日本の原風景」 が宿っている 私の 「オオカミの護符」 は 何だろう? と 思わせられる 一冊
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秩父の御岳信仰のオオカミの御札からはじまった探索の話なんだが、現在進行形の素朴な信仰のかたちがとてもいとおしかった。農業者、ではなくお百姓の時代の文化が今も生きているんだな。うちでも講に入っていて、今回ちょうど当番になった。、預かった資料を読んでみなくては。
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武蔵野国、オオカミ信仰を歩く、 山ノ神とオオカミと山犬、焼き畑の民、 「オオカミの護符」 害獣除け、盗難除け,火難除け、 モンゴルの「神なるオオカミ」を思い浮かべながら読んだ
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西日本にはオオカミ伝承は数少ないと思う。 本書は、関東のお話、、、。 能登にもオオカミにまつわる伝承は無いのでは、、、。
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テレビドラマのロケ地になることもしょっちゅうのこじゃれた新興住宅街の地に忘れられかけた江戸年間以来の信仰、風習がかすかに残っていて、その糸を手繰っていくと、御嶽、三峰といった武蔵国の信仰、風土にたどり着くというノンフィクション。 柳田國男や宮本常一、岡本太郎の沖縄紀行記にも似た読...
テレビドラマのロケ地になることもしょっちゅうのこじゃれた新興住宅街の地に忘れられかけた江戸年間以来の信仰、風習がかすかに残っていて、その糸を手繰っていくと、御嶽、三峰といった武蔵国の信仰、風土にたどり着くというノンフィクション。 柳田國男や宮本常一、岡本太郎の沖縄紀行記にも似た読後感をこんなに都心に近い街の話で味わおうとは!! 戦後の高度成長のなかで失ったもの、最近のエコブームの薄っぺらさに思いを致さずにはいられない。
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