中国化する日本 の商品レビュー
内容の整理がついていないのですが、今後の日本を考えるうえでこの視点は参考になるのではないでしょうか。 書評はこちらが参考になるかと。 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51756272.html 必読です。
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色々細かい所の解釈とか、特に勤勉革命への評価とか若干疑問に感じるが、これだけの長い時間を「中国化」という一本の線でぶった切ったのはすごい。 あと、歴史を「楽しければいいじゃないか」と思っている人たちに対して非常に激しい警鐘を鳴らしている点も面白い。鎌倉時代とか織田信長とか明治維新...
色々細かい所の解釈とか、特に勤勉革命への評価とか若干疑問に感じるが、これだけの長い時間を「中国化」という一本の線でぶった切ったのはすごい。 あと、歴史を「楽しければいいじゃないか」と思っている人たちに対して非常に激しい警鐘を鳴らしている点も面白い。鎌倉時代とか織田信長とか明治維新とかに憧れる人はこの本を書写して音読すると良いかもしれませんね。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今日のグローバル社会の原型は宋朝の中国大陸で誕生した。そしてそのグローバリズムの挑戦への対応が日本という国の足跡ではなかったのか。そう大胆に描写する本書の基本図式には何ら異論はない。 宋代に誕生したシステムとは、1)皇帝を支える官僚、2)貨幣経済の浸透と都市の形成。官僚は科挙によって選ばれ、貨幣経済の拡大は貴族による荘園経営の崩壊を招く。ともに地域や職能による紐帯を弱め、政治も経済も個人単位で動いていく。要するにグローバル社会の到来は今から千年前の中国にその嚆矢をみることができるという「歴史観」だ。 では、その対極にあるのはどういう社会か。著者によれば、江戸時代に完成した日本型社会がそれに当たる。農村を基本単位とする地位共同体の結束を基礎的モデルとして、何らかの集団に帰属し、強い束縛を受ける変わりに、衣食住を保障するというというのがその特色で、例えば新卒一括採用や終身雇用に代表される戦後の企業社会はその現代版ともいえよう。 そして中国化か江戸時代化かがつねに日本史における対立軸であったと著者は指摘する。一見大胆な仮説に「見える」が、安直な「ためにする」議論になっていないことには驚くばかり。実はプロの歴史学者が最新の研究にもとづく実証的研究となっていながら、読みやすくまとめていることに二度驚く。 ただし限界がないわけでもない。これは文明論に共通した落とし穴かもしれないが、人間の「営み」という息吹が伝わりにくいということだ。勿論文明論だから必要ないと言い切ることも可能だが、歴史とはとどのつまり「人間」の「足跡」に他ならないから、単なる類型化でまとめ上げてしまうこともできないからだ。勿論これは過剰な注文といわれてしませばそれまでだが、著者の新著にこの点は期待したいところである。 ただ本書が提示した図式は、あれか・これか……すなわち現状の破壊かそれとも復古かという従来のものの見方の陥穽を撃つと共にその両方を学ぶことでオルターナティブを立ち上げる必要があるのでは、とそっと肩を叩いてくれる。
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知的好奇心を最大限にくすぐってくれる本。歴史の見方はあるポイントを変えるだけでこうも面白くなるものなのだろうか。
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近年読んだ本の中でも一、二を争うものかもしれない。「役に立たない」と捨て置かれてきた歴史学という学問が今こそ見直されるときがきた。いや、それを率先しているのが本書で、著者の功績を心から称えたい。
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ミステリーやサスペンスを読む醍醐味の一つに「どんでん返し」というのがあります。いわば、読み手が「自明」だと思っていたことが実は「自明ではない」という種明かしによるある種のカタルシス・・・本書は歴史に対する僕達の「自明」が「ちっとも自明どころか、真逆が真実である」という叙述スタイル...
ミステリーやサスペンスを読む醍醐味の一つに「どんでん返し」というのがあります。いわば、読み手が「自明」だと思っていたことが実は「自明ではない」という種明かしによるある種のカタルシス・・・本書は歴史に対する僕達の「自明」が「ちっとも自明どころか、真逆が真実である」という叙述スタイル。 そして、何よりも歴史観というものこそが、この国の将来を左右しかねないツールだということを、痛感させてくれます。 マルクスが言ったように「歴史は繰り返す、一度目は偉大な悲劇として、二度目はみじめな喜劇として」が、今現実のものとなろうとしていることを是非体感してはいかがだろうか?? 右寄りの人も左よりの人も、是非本書で自分達がいかにスケールの小さいショボいネタで戯れていたかを実感してほしい。 僕は本当に勉強になりました。 本書の結論を絶望ではなく希望に変えることこそが、将来の「政治」が行うべき事なのじゃないかねぇ~~~
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少し前に友人の書評、そして朝日新聞の書評欄でも紹介されていた本だったが何となく喰わず嫌いでいたのだが、此の程ようやく入手して読了。もっと早く読めば良かったと反省。 お笑い歴史学と言うのか、あの千葉県生まれの謎の自称イタリア人(?)の社会学者パオロ・マッツァリーノに日本史を語らせ...
少し前に友人の書評、そして朝日新聞の書評欄でも紹介されていた本だったが何となく喰わず嫌いでいたのだが、此の程ようやく入手して読了。もっと早く読めば良かったと反省。 お笑い歴史学と言うのか、あの千葉県生まれの謎の自称イタリア人(?)の社会学者パオロ・マッツァリーノに日本史を語らせるとまさにこうなるはずだろうと思わせる漫談調の語り口。(ひょっとして「パオロの正体はこいつでは?」とも思ったのだが色んなところで本書のインタビューで顔をさらしているので違うのだろう)名古屋の大学での普段の講義録をそのまま会話調で書き下ろしたのが本書だ。 と、書くと如何にも不謹慎な本だろうと誤解するとイケナイのだが極めて真面目に此れまで我々が教科書で習ってきた日本史の「かくあるべし」を悉く引っ繰り返すような新鮮な切り口で新たな意味付けをしてくれているので知的興味も十二分に満足させるものだ。 現代は西洋化とかグローバライゼーションと呼ばれるものが「善」としてあるが、それって本当は中国は宋朝の時代に経済・社会を徹底的に自由化したものが後進国の欧州を経てアメリカに伝わり「焼き直されたもの」じゃないのか、というのが著者の主張で、グローバライゼーションというのは突き詰めれば「中国化= 宋の時代の経済・社会のあり方」に他ならないというのが著者の問題提起。 一方で、日本においてはその中国で見られた徹底的な自由主義への対比として身分・地位の固定化と相互扶助を元にする社会(これを著者は「江戸時代化」と言う)が発展してきたわけだが、此の「中国化」と「江戸時代化」という二つの社会制度・文明のぶつかり合い、と云う目で改めて日本史を見直してみると何が見えるのか、というのが本書の目的だ。 全ての出来事を中国化と江戸社会化の問題に引っ張り込んでいる嫌いもなきにしも有らずで、多少は強引なところや鼻につくところもあるが、そこは「お笑い日本史」と割り切って読むべし。
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タイトルから想像された国家としての中国による覇権をあおる話ではなく、グローバリゼーションの本質を中国化というキーワードで文字通り日中の文明の衝突と言う観点で日本の歴史の流れを読み解くという本でした。タイトルに最初は違和感を感じましたが、読んでいくうちに違和感は消えていきました。評...
タイトルから想像された国家としての中国による覇権をあおる話ではなく、グローバリゼーションの本質を中国化というキーワードで文字通り日中の文明の衝突と言う観点で日本の歴史の流れを読み解くという本でした。タイトルに最初は違和感を感じましたが、読んでいくうちに違和感は消えていきました。評価をみてみるとトンデモ本としての評価も見受けられますが、私には新鮮な歴史観としてここういう見方もありかなと感じます。
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いわゆるグローバル化は、宋朝から始まったという史実を基に、日本史を「中国化」対「再江戸化」の視点から読み解いている。口語調の歴史講談という趣でこの部分と左右の歴史観に対するオチョクリは、十分に楽しめたし、納得できる。しかし、現在の日本の没落と中国、韓国の興隆を単純に「中国化」で説...
いわゆるグローバル化は、宋朝から始まったという史実を基に、日本史を「中国化」対「再江戸化」の視点から読み解いている。口語調の歴史講談という趣でこの部分と左右の歴史観に対するオチョクリは、十分に楽しめたし、納得できる。しかし、現在の日本の没落と中国、韓国の興隆を単純に「中国化」で説明するのは、少し無理が有るだろう。「中国化」と「西洋化」、資本主義、宗教、政治体制等との関係を次の著作であきらかにして欲しい。
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「中国化」というコンセプトによって、日本史を読み解くという内容。そのコンセプトの利用の仕方も巧みであるが、それが平易な文体かつ現代社会のなかに位置づけることを積極的に採用している叙述のあり方は、新しい「歴史の語り方」の可能性を提示している。
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