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恋する原発 の商品レビュー

3.4

49件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    18

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2015/09/16

☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB07870318

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2014/07/31

トンデモなくエログロいのに面白く、そしてなんとなく知的。エキセントリックでアヴァンギャルドな作風の高橋源一郎の真骨頂。あんなバカらしいエンディングにホロリとさせられてしまうのは、「あの日」を経たせいなのかしら?

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2014/04/14

AV監督である主人公が、東日本大震災のチャリティAVを作る話。 震災は物語のちょうど真ん中くらいで起こり、その後主人公はAV製作会社の社長にチャリティAVを作れと命じられる。震災の情景描写はほとんどない。ただ背後にほのめかされている。 冒頭にはこうある。「いうまでもないことだが...

AV監督である主人公が、東日本大震災のチャリティAVを作る話。 震災は物語のちょうど真ん中くらいで起こり、その後主人公はAV製作会社の社長にチャリティAVを作れと命じられる。震災の情景描写はほとんどない。ただ背後にほのめかされている。 冒頭にはこうある。「いうまでもないことだが、これは、完全なフィクションである。もし、一部分であれ、現実に似ているとしても、それは偶然にすぎない。そもそも、ここに書かれていることが、ほんの僅かでもら現実に起こりうると思ったとしたら、そりゃ、あんたの頭がおかしいからだ。」 これが結構ずしんと来た。

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2014/02/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

もしもAVカントクが福島支援のチャリティビデオを作ったら? という設定で書かれている小説。面白くて一気読み。なんだけど、これは物語ではなく、小説の体裁を(いちおう)取っている評論であるように思えた。日本の文学作品を評論させたら右に出る言論人はいないんじゃないかというレベルの高橋源一郎氏が、この作品で切っているのは2011年の日本という国そのものだ。しかも表層的な現象を切り取っていのではなく、できるだけ命の根源に降りていった基本のところ、人間がやってきて帰ってゆく闇まで降りていって、そこから日本人を見上げている。 その意味でAVカントクと人形(ダッチワイフ)の取り合わせは興味深い。自分としては一瞬、押井版攻殻機動隊のラストシーンを思ったのだが、命の始まり、つまりセックスに関わる仕事をしているAVカントクが「死」を象徴している人形にエロスを感じているという点がね、面白いのよ。 途中、箸休めのようにマトモを装った評論が入るのだけど、その中でナウシカ(コミック版)のラスト近くの名セリフが長々と引用されていて、それがまるで違和感なく、フクシマ後の世界に一致していることに驚いた。だって、あの一連の台詞は20年前に書かれているのに。恐るべし、ミヤザキハヤオ、と心底思った。苦海浄土の引用も、命の闇を示す例として、とても良かった。

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2013/11/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ちょっとバカっぽい内容・・ 嫌いじゃないわ~。こういうの。笑 楽しく読めた。 後半の「震災文学論」。なかなか読み応え有り。 P228 【おそらく震災はいたるところで起こっていたのだ。わたしたちは、そのことにずっと気づいていなかっただけなのである】同感です!! ちなみに著者は、 1951年広島県生まれ。 ◾︎内容(「BOOK」データベースより) 大震災チャリティーAVを作ろうと奮闘する 男たちの愛と冒険と魂の物語。 ← !!!

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2012/12/18

なんと形容していいのか分からない・・・ 小説パートはハチャメチャな展開と毒で笑えた。往時のテキストサイトを読んでいる気分。全編にわたり卑猥な単語がゴシック体太字で散りばめられているので電車の中では読めない。

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2012/12/13

3.11後の文学の形を果敢に探る高橋氏が選んだ題材は、「原発事故被災者のためにチャリティーAVを撮るAV監督」。なんと興味深いコンセプトだ。 しかしコンセプトだけで十分だったな。やはりこのひと、小説家よりも評論家なのだと思う。

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2012/11/18

キュートなタイトルに反して震災チャリティーを目的にしたAVという設定の破天荒な作品。低俗、猥雑、俗悪、非常識、そして不謹慎といった言葉でかたづけることもできるが、悲惨な事実をエンターテインメントに昇華させてしまっていることが何より凄い。文中に挿入された様々なAVタイトルについ声を...

キュートなタイトルに反して震災チャリティーを目的にしたAVという設定の破天荒な作品。低俗、猥雑、俗悪、非常識、そして不謹慎といった言葉でかたづけることもできるが、悲惨な事実をエンターテインメントに昇華させてしまっていることが何より凄い。文中に挿入された様々なAVタイトルについ声を出して笑わされたのも事実。

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2012/11/13

個人的にはアリだったし、軽やかな文が含む痛烈な毒が心地よかった。 不謹慎の極みである。まったくだ。チャリティーAVなど!(褒めてます) ただ、震災後、一息に書かれたであろう本作は明確な意図の下に書かれているのではないか。書き散らしたというと印象が悪いが、情報は膨大だった。そこを目...

個人的にはアリだったし、軽やかな文が含む痛烈な毒が心地よかった。 不謹慎の極みである。まったくだ。チャリティーAVなど!(褒めてます) ただ、震災後、一息に書かれたであろう本作は明確な意図の下に書かれているのではないか。書き散らしたというと印象が悪いが、情報は膨大だった。そこを目がせいて仕方なかった。著者のいいたいことをもっともっとと。 途中の震災文学論も面白かった。引用されている作品はいずれ読んでみたい。とりあえず、ナウシカを引っ張り出さなければ。

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2012/11/01

東日本大震災のチャリティーAVを撮るよう命じられた男の苦悩と葛藤を描いた小説。 ちょっと前に著者が東浩紀のネット番組にゲストで出た際、主に原発に関して「それまで安全安心と盲信していたのに事が起きた途端に手のひらを返したように避難する。こんな馬鹿馬鹿しいことはない」というようなこ...

東日本大震災のチャリティーAVを撮るよう命じられた男の苦悩と葛藤を描いた小説。 ちょっと前に著者が東浩紀のネット番組にゲストで出た際、主に原発に関して「それまで安全安心と盲信していたのに事が起きた途端に手のひらを返したように避難する。こんな馬鹿馬鹿しいことはない」というようなことを言っていた。 チャリティーAVも相当馬鹿馬鹿しいが、現実の方が何倍も馬鹿馬鹿しいだろというわけだ。 深刻な現実を馬鹿馬鹿しく描き出した作品としては『ジョン・レノン対火星人』が挙げられるだろう。 僕はこの作品や『さようなら、ギャングたち』など著者の初期作品が好きで、前述のネット番組で東浩紀が「『恋する原発』は高橋さんの中でも好きな作品で、読んだとき『ジョン・レノン対火星人』や『さようなら、ギャングたち』のときの高橋さんが戻ってきたような印象を受けた」と言っていたので本作にはかなり期待していた。 結果的には僕の好きな2作品の奔放さが見られたのは3割くらいで、残りの7割はわりと普通の小説小説していた。 だから★ひとつ減らして4つ★とした。 ただ、その3割がとてつもなく面白い。 具体的にどこかというと、セリフだけで構成されているところ。 地の文が全くなく、それどころか「」すらついていない。 それでもそれが誰のセリフかわかるのだ。 以前ライトノベル好きの友人がこんなことを言っていた。 「ライトノベルはセリフ中心だから読者はセリフのリズムで文章を追っていくのだが、その際、どうしても地の文のところでそのリズムが狂ってしまう。今後の課題はリズムを狂わせない地の文をどう書くかで、その先にライトノベルの進化があるんじゃないか」と。 僕はその友人の言っていたライトノベルの新たな地平を前述の3割に見た気がした。 いや、ライトノベルに限らず、これは文学の新たな地平のひとつでもあるんじゃないか。 もちろんあの3割の記述方法だけで全体を構成しようとすると、イメージを広げやすい反面、広げた風呂敷たためない問題が出てくるのは否めない。 それでもそれだけの価値があの3割にはあるような気がする。 高橋源一郎はやっぱり面白い。

Posted byブクログ