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3・11後の建築と社会デザイン の商品レビュー

3.6

18件のお客様レビュー

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2013/11/11

近代日本人の居住観の問い直し。 ・一家族=一住宅システム。国家が住宅に責任を負わない ・仮住まいの輪:使用貸借契約 ・戦前は地方自治体がエネルギー政策を積極に行っていた。今も大分県は25.2%自給している。 ・建築家が建築費の数%もらうと支払いシステムはおかしい。知恵代にすべき...

近代日本人の居住観の問い直し。 ・一家族=一住宅システム。国家が住宅に責任を負わない ・仮住まいの輪:使用貸借契約 ・戦前は地方自治体がエネルギー政策を積極に行っていた。今も大分県は25.2%自給している。 ・建築家が建築費の数%もらうと支払いシステムはおかしい。知恵代にすべき。 ・自殺者3万人と震災死2万人を比べるとマスコミの扱いに差がある。柵を作った大学の話しも示唆的。カウンセラー云々は過剰評価だと思うが。 ・アイデンティティは他者との関係性の中にある。 ・地方も自給ができなくなっている。郊外スーパー化。

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2012/11/02

東日本大震災後のパラダイムシフトについて、主に住宅という観点から有識者が語った本。シンポジウムの内容を書き起こしているために、対話形式となっており分かりやすい。 20世紀型の家族という最小単位を細分化していき消費を創造していった結果、単身世帯が最大多数という家族構成が主流となり...

東日本大震災後のパラダイムシフトについて、主に住宅という観点から有識者が語った本。シンポジウムの内容を書き起こしているために、対話形式となっており分かりやすい。 20世紀型の家族という最小単位を細分化していき消費を創造していった結果、単身世帯が最大多数という家族構成が主流となり、コミュニティは崩壊していった。そんな中で激甚災害が発生し、多くの日本人がコミュニティの在り方について疑問を持つようになっている。 従来のような地縁・血縁ではなく、ソーシャルメディアや趣味嗜好の合う仲間といったコミュニティが顕在化しているが、だからといってそれが災害時などの緊急事態に即応できる体制となっているかどうかは別問題である。 やはりその辺りはある程度公共が関与して、地域や職場といったクラスタでの仕組みづくりも必要であろう。一方で、日本の統治システムでは平常時には上に立つ人間ほど無能であるという意見ももっともであり、緊急時におけるリーダーシップの重要性が認識される体制づくりが急がれる。 とはいえ、消費ドリブンな都市生活者が多数派である今の時代において、大量生産大量消費社会からの脱却は被災地をはじめとした辺境から始まることは自明である。

Posted byブクログ

2012/07/19

これが発刊されたのは昨年の11月。震災から8ヶ月後。私が読み終えたのが、16ヶ月後。本の中では今後の展望が語られ、ひいては日本の行く末がおぼろげながらも明示された。そして今現在、原発は再稼働されつつある。このトンネルはいつ抜けるのだろうか。。。

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2012/06/24

3.11後に開催されたシンポジウムのまとめ。「1住宅=1家族」の脱構築、解決策としてのコミュニティづくり(生活者視点からの街づくり)をまとめた一冊。戦後の応急処置で展開され、経済政策の文脈で語られてきた「1住宅=1家族」というモデルは1世帯=2名以下、単身者、高齢者がマジョリティ...

3.11後に開催されたシンポジウムのまとめ。「1住宅=1家族」の脱構築、解決策としてのコミュニティづくり(生活者視点からの街づくり)をまとめた一冊。戦後の応急処置で展開され、経済政策の文脈で語られてきた「1住宅=1家族」というモデルは1世帯=2名以下、単身者、高齢者がマジョリティーの時代には既に論拠が無い。「助け合って住む」為の互助関係、リノベーションという知恵を通じて、所有から利用を促していくことが大事。換言すると、プロダクトからプロセス、ストーリーでケアしあえる関係を作る為の作り過ぎない、閉じない「アーキテクト」が必要。

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2012/04/27

3.11を経てはっきりとした形で目に見えてきた社会の歪み、矛盾、構造的な限界を整理し、そこに建築がなにができるのか、を話し合うシンポジウム。 総論は建築は街づくりであり、社会を作るものであり、といったところは共通認識で、各論まで行くといろんな意見が出てくる。ただシンポジウムを本に...

3.11を経てはっきりとした形で目に見えてきた社会の歪み、矛盾、構造的な限界を整理し、そこに建築がなにができるのか、を話し合うシンポジウム。 総論は建築は街づくりであり、社会を作るものであり、といったところは共通認識で、各論まで行くといろんな意見が出てくる。ただシンポジウムを本にした、ということで、個々の議論がそこまで深まりきらない印象があった。

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2012/04/12

まったく対抗するものでもないであろうが、東北大学で展示されていた「3.11東日本大震災の直後、建築家はどう対応したか」展よりも、よっぽど有益な本だと感じた。 問題は、これをどう実践していくかなのだが。 まあ、本書で共感できた部分で、自分にもやれることはありそうだ。

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2012/03/02

2012.02.29 わずか1冊の本の中に圧倒的な量の「知」が満載されていた。これだけの人が一つのテーマを議論した時に起きる「知」の連鎖に身震いした。 今、日本社会は大きな曲がり角に差し掛かっている。経済の成長局面で出来上がったインフラや社会制度や価値観などがすべて現状とのGA...

2012.02.29 わずか1冊の本の中に圧倒的な量の「知」が満載されていた。これだけの人が一つのテーマを議論した時に起きる「知」の連鎖に身震いした。 今、日本社会は大きな曲がり角に差し掛かっている。経済の成長局面で出来上がったインフラや社会制度や価値観などがすべて現状とのGAPで機能不全に陥っている。すべてに再定義が必要だと思う。そのうえで新たな社会づくりに向けた行動を起こしていくべきだろう。もちろん自分自身も実践していくつもりだ。

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2013/02/10

まず思ったのは、大月先生の「一番問題だと感じたのは、明らかに非常事態であるにもかわらず、非常事態宣言が出されなかったこと」って意見や、日本で上に立つ人間が無能なのは今も昔も変わらないというような大野先生の発言はもっともだし、民間に比べて行政側の対応の遅さが目立った、社会制度を大幅...

まず思ったのは、大月先生の「一番問題だと感じたのは、明らかに非常事態であるにもかわらず、非常事態宣言が出されなかったこと」って意見や、日本で上に立つ人間が無能なのは今も昔も変わらないというような大野先生の発言はもっともだし、民間に比べて行政側の対応の遅さが目立った、社会制度を大幅に変えていく必要があるという共通認識がシンポジウム全体であるのに、だったら何でそちら側の人間を呼ばなかったのかってこと。冒頭で「『3.11後の社会デザイン』を考える上でほぼベストメンバーにお集まりいただけた」とあるのにこれじゃ片手落ちだと思った。 空き家は日本中に何百万戸とあるんだからそこで被災者を受け入れればいいのに、と誰もが思うことは「仮り住まいの輪」が実行してた。 静岡では震災が起きた場合にどの公園にどんな仮設住宅をどのように並べるかというレベルまで予行演習してるらしく、そういった事前復興が今後全国で行われるべき。 被災地の人々の暮らしにとって大事なのは(来月、半年後、一年後、自分はどこで何をしているかという)「見通し」だという大月先生の意見に同意。 理顕さんは「一住宅=一家族」って言い過ぎ。何十回出てくるかわからない。自分が見つけたシステムだ、自分の手柄だと言わんばかりであんま印象よくない。「一住宅=一家族」を推奨してきた国家の罪は極めて重い、ってのも、選択の自由はあったはずだし、僕にはあまりピンとこなかった。 それから、コミュニティや『助け合って住む』ことが恥ずかしく聞こえるのはニーチェの影響だってのも全然ピンとこない(実際そう言ったのは槫沼範久という人らしいけど、その話を持ちだした理顕さんも同意見なんだろう)。コミュニティにあまりリアリティを感じないのはその良さを知らない、経験してないってのが大きい気がする。自分は3年間の一人暮らしの後、金欠でしぶしぶ寮に入ったけど、プライバシーは確保されてる上に、廊下に出れば話し相手がいて、本の貸し借りしたり課題手伝い合ったりできるし、掃除は全然苦じゃないし飯うまいし風呂でかいしで寮最高!ってなった。共同生活に対する偏見の多くはなくなった。プライバシーの問題とコミュニティは対立するものでもないし、とにかく経験させて理解してもらうのがいいかと。異世代間の交流となるとまた違ってくるのかもしれないけど、その場合は三浦さんのあとがきにあるように、「高齢者が自分の資産を活用して若者を支援する、たとえば空いた家や部屋を非常に安く貸すとか、自分の知識や経験や人脈を若い世代に提供していく」ことはしなきゃいけない。若者にもメリットがないと成り立たないだろうし、個人的に、役に立たないのに生きながらえていたくないし。 あとコミュニティについて研究したり、そういう設計をしてる建築家自身がそういう住まい方をしてないのも良くないと思う。いいと思うものなら自ら体現しないと。 大野先生はいつもの感じで鋭いしいろんなとこから話を引っぱってきてくれるしひねくれてるしで面白い。土地の所有権ではなく利用方法について金銭を払う仕組みは必要だと思ったし、震災犠牲者2万人に比べて毎年3万人の自殺者にかけられる国費と報道量の少なさを指摘するのも大野先生らしい。「空間の記号性を塗り替えること」(e.g.”荒れくれ物”、”宵越しの金を持たぬ”といった漁業、漁村に負わされた負の記号性を正の記号性に変える)は確かに建築家のできることの一つかもしれない。

Posted byブクログ

2012/02/11

今の社会のシステムから作り直さないとという問題提起は同意。その方法論を討議するのもいい。これからは実践してどうだったかが問われると確信。

Posted byブクログ

2012/01/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

震災によって顕在化した社会、建築の問題をデータ・事例をもとにまとめられている。特に住宅やそこに住まう家族の問題を大きくとりあげていて、住宅建築に携わる身として勉強になった。 また「一住宅=一家族」という供給システムを疑問視して、「助けあって住む」ことの可能性を見出そうとする動きは、近年の「シェア」と通底していて、震災によりシェアや共有という考え方は今後いっそう広まっていくと思え、これからの生活を考えるきっかけになった。 そのほかにもさまざまな問題提起があり、特に印象に残ったのはドットアーキテクツ・家成サンの住まい手が暮らしの中でその住宅について熟知していき、自らの手である程度の更新・改築をしていける仕組みの構築ということで、日々住宅をつくっている自分にとっても一つのテーマとなり、今後の住宅には大切なことになると思えた。

Posted byブクログ