身の上話 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「自分の妻」という視点で語られる、ミチルの物語。懇意になった妻子持ちの男と駆け落ちのように上京するも、資金が底を尽きる寸前に、宝くじ1等に当選。金、恋愛、友情などがまぜこぜになった波乱の人生に巻き込まれていくミチルの様を、冷静な語り口で語る人物は誰なのか、何のために語るのか、最後までどうなるのかわからず、気づいたら読み進めてしまっていた。語りという形式を貫いたからこそのラストとも言えるが、場面展開という点では、少し単調さも感じてしまった。
Posted by
ミチル(旧姓古川)は、7月のある日、勤めていた書店の上司と同僚から預かったお金を持って、駅前でサマージャンボ宝くじを43枚購入し、そのまま不倫中の出版社の男豊増について飛行機で東京に飛ぶ。目的もなく東京に滞在していたが、宝くじの1枚が当選していることを知る。言付かった宝くじは42...
ミチル(旧姓古川)は、7月のある日、勤めていた書店の上司と同僚から預かったお金を持って、駅前でサマージャンボ宝くじを43枚購入し、そのまま不倫中の出版社の男豊増について飛行機で東京に飛ぶ。目的もなく東京に滞在していたが、宝くじの1枚が当選していることを知る。言付かった宝くじは42枚。秘密を誰にも知られるわけには行かない…。 面白いやんけ。期待していなかったし、本の最初の助走部分が割とダラダラと長く、ミチルなどから聞いた"身の上話"として、改行なく淡々と状況が語られていくため、退屈なやつかなと思っていると突然展開が始まる。あとは勢いがついて転がるように進んでいくため、終わりまでは一瞬だ。 ミチルと豊増と、中途半端に同郷の竹井と高倉という少ない人数で話が進み、作風上もミチルの見てきた部分以外がほとんど描かれない手探りな感じがとても良い。もうちょっと胡散臭い人が出てくるかとは思ったけれども。 語っている男が出てくるのは本当に終盤で、こいつ誰だ?と引っかかる部分もあるし、キャラクター付けも若干不満があるものの、ミチルの話として読むだけで面白い。 突然軽く「もう死んでいた」となったりする。コメディーなのかな?と思ってしまった。コメディーではなかった。 宝くじと殺人という2つの大きな出来事をうまく使っているところが、全体の面白さに繋がっているのだが、個人的にはそういう大きなものがなくても、失踪して誰にも知られず生きていくとか、手探りで生活を作り上げていくというたぐいのテーマは大好きだ。 竹井と語っている男との関係がよくわからないままだけど。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これが小説だ! 僕が待ち望んでた。 ドキドキするストーリーが楽しいのは勿論たけど、日常の合間の描写や心象が、肌にジワーっと馴染む。 夕焼けの色、ちょうど昨日自転車での帰り道に遭遇した。 だけど正直言うと、ミチルの記憶が曖昧になった(途切れた?)ところから凪いだ気がした。 語り部が出てきそうに感じたとこから、何故かフェードアウトしていくみたいな。 僕個人の感想です。 星5に限りなく近い星4(4.8くらい)で。
Posted by
こりゃやられた。超すっごい面白かったとかそういうのではなく(いや面白かったけど)とにかく巧みというのだろうか。構成、オチ、「そう来るんだ」と感嘆した。ミチルという宝くじに高額当選した女性の数奇な人生。はじめは何目線の文章なんだろうかとか、「一日」を「いちんち」と常に書く妙な違和感...
こりゃやられた。超すっごい面白かったとかそういうのではなく(いや面白かったけど)とにかく巧みというのだろうか。構成、オチ、「そう来るんだ」と感嘆した。ミチルという宝くじに高額当選した女性の数奇な人生。はじめは何目線の文章なんだろうかとか、「一日」を「いちんち」と常に書く妙な違和感があったが、次第に慣れていった。個人的にはミチルは高額当選したから人生転落したのではなく、元々のパーソナリティがやばい人と思っている。所謂不思議ちゃんというのだろうか、やっかいな女だ。登場人物誰も好きになれなかったが作品は秀作だ!
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
裏表紙のあらすじのみを見て読みましたが、あれよあれよと変わり先の読めない展開に引き込まれ一気読みしてしまいました。 主人公が感情的に動く部分はあまり好きではありませんでしたが、それにより顕在化する身近な恐怖を通じ、自身の理解する他人は実は仮面を被っている姿かもしれない、そう感じる瞬間が多々ありました。この作者の作品は、作品中に結末につながりそうなピースが散りばめられているように感じます。記憶の濃いうちにもういちど読み返してみようかな。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
不穏な空気や漂う怪しさがリアルで、自分もこの人物たちと同じ部屋にいて会話を実際に聞いているかのような臨場感だった。 出てくる人たちみんなどこか気味悪かったなー。 ミチルの人間性やばいと思ってたけど、ミチルよりやばい人たちがどんどん出てきて、途中からミチルだけがまともで普通な人間に見えてくるのがおもしろい。 途中から夢中になって読み進めていたけれど、終盤、ミチルと夫が出会ってからの流れはちょっと物足りなかった。 というか、またこんな殺人犯と出会ってしまうなんていくらなんでも偶然が過ぎると思ってしまった。
Posted by
田舎のしがない書店員のミチル。23歳。 だが、ひょんなことから手にした宝くじがまさかの一等当選。 そこから始まる転落というよりも災厄と恐怖の日々。 そんなつまらないという一言で片付けられそうな、 23歳の女性の身の上話を我々は聞かされる。 だが、それは誰にでも身の覚えがある様な...
田舎のしがない書店員のミチル。23歳。 だが、ひょんなことから手にした宝くじがまさかの一等当選。 そこから始まる転落というよりも災厄と恐怖の日々。 そんなつまらないという一言で片付けられそうな、 23歳の女性の身の上話を我々は聞かされる。 だが、それは誰にでも身の覚えがある様な 危うい一面と諦めが含まれた恐怖体験だった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
身の上話 評判の高い恐い本、ということで手にとってみました。 主人公はどこにでもいそうな地方都市に住む本屋勤務のお嬢さん。地元に恋人もいますが、出張で月一回来る出版社の妻子持ちと良い仲になり、その彼を空港まで送っていった際に着の身着のままで東京までついていってしまうところから彼女の歯車は狂い出します。すぐ帰るつもりが、東京見物という欲が出て、その間にいろいろな人の怒りを買ってしまい、怒られるのがいやで滞在をずるずると先延ばしにしているうちに宝くじが。。。 偶然が必然のように繋がり、のっぴきならない事態に発展していく様がこの小説のもっとも恐いところです。 読者は自分はこんなことにはならないと彼女の運命の転換点での判断のまずさを指摘して安堵のため息をつくと思いますが、さて本当に自分はこんなのっぴきならないことにならずに済むか?という問いに対して自信を持って否といえないことに気づくのでは? 佐藤氏の文書は次に起こることの結末を暗示しつつも、その続きを読まずにはいられない独特のテンポをもっています。また、心の揺れや対人関係の空気をうまく言い表しているので、臨場感が伝わって来ますし、偶然に頼りながらも納得感が高いです。 惜しむらくは、後半のひねりが今ひとつ足りないところでしょうか。 あり得なさそうな状況を偶然に頼らず(実際は頼っているのですが、それを感じさせない)納得感の高い物語に仕上げている作者の力量はすばらしい。読書好きの方は是非ご一読を。 竹蔵も高額当選者のみに配布される冊子、読んでみたいような恐いような。。。 竹蔵
Posted by
周囲に振り回されまくる女性の話。 語り手と女性はどんな関係なのか。 一気に読めました。 おすすめします。
Posted by
突然始まる“古川ミチル”の身の上話。 語り手は“夫”。とにかく、淡々と語っているが…ん?これ何読んでんだっけ?て、一回タイトル確認…『身の上話』て、そのまんまよね^^; ゴールが見えずにとにかく語られているので、どういう展開になるのか? 途中、『あ、やばっ!こんな展開?』てな感...
突然始まる“古川ミチル”の身の上話。 語り手は“夫”。とにかく、淡々と語っているが…ん?これ何読んでんだっけ?て、一回タイトル確認…『身の上話』て、そのまんまよね^^; ゴールが見えずにとにかく語られているので、どういう展開になるのか? 途中、『あ、やばっ!こんな展開?』てな感じで、最後は『なるほど』と語っている理由も明らかになります。 新しい感覚だったので、面白かったです♪ 解説で池上冬樹さんが推しのも読んでみます^ ^
Posted by
