地雷を踏む勇気 の商品レビュー
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・君が代不起立問題 入学・卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱が学習指導要領で義務付けられている以上それに従わない職員が処分されるのは仕方ないか… 橋下さん曰く「これは君が代問題ではない。教員は職務命令を無視できるのか?の問題」 その観点からするとごもっとも。しかし教育現場ではやはりなじまないのではないか… 生徒の個性を尊重するには個性ある教師の存在が不可欠。多様な個性を守ることができるのは多様な個性だけ。 成長過程にある人間にのバラつきには寛大であらねばならない。と同時に教師の人間性にも寛大でなければならない。抑圧された人間は自由な人間を導くことが出来ない。 ”愛国心”や”儀礼”といった”心”の問題として考えると逆効果 形式ではなく感情が重要。 となると→「入学・卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱が学習指導要領で義務付けられている」ことがそもそも議論すべきところなのか… ・震災時の買い占め自粛要請は、言いがかり。でなくても一定量の責任転嫁を含んでいる。 要は物流が上手くいっていない。その不満を政府や業界に向かわせないために、それらの原因を「愚かで利己的な消費者」に押し付けようとしている。 さらに、その「隣人離反発言」に賛同する隣人が結構いたりするから話は余計やっかい。 ・ただちに健康に影響を及ぼさない…取り落としたワイングラスですら即座に粉々に砕ける訳ではなく、運動方程式に沿った長い落下の過程がある。 ・「てんでんこ」… ”たった一人でも生きていかなければならない”という決意 ”家族や周りの者を助けきれなかった者(自分も)を責めてはならない”という事後の心構え →団結も連帯も大事だがそれが集団の前提になってしまうと硬直化を招く。硬直化した組織には異論を許さない空気が生まれ、最終的には異端を排除するシステムが出来上がる。 ”安全という言葉が神話化していた組織では、安全に疑義を差し挟む意見自体が忌避される。と、異端を許さない鉄壁の安全神話において、リスクは黙殺される。危険を想定することそれ自体が組織の団結に対する反乱と受け止められる。” ・「風評」 根拠のない(科学的でない)恐怖に踊らされることが果たして愚かなのか。 やはり”評価は他人がするもの” それに対して一方的に批判するのは違う。 評価される側もする側も責任を持ち理性的な行動を取るしかない… ・スーパークールビズは定着しない。オヤジの歓心を買わないビジネスマナーが定着することはない。 職場の服装は地位を象徴している。 クールビズにはスタンダードがない。そもそもオッサンに似合うカジュアルなんてない。 →クールビズがダメなのは地位を表現していないから。むしろ無神経なカジュアルは地位を逆転させる。 スーパークールビズを成功させたければ序列を持ち込まなければならない。 男のエレガンス(視覚的?)はシェイプやカラーには宿らない。あくまで値段と肩書きが拠り所。 ・両親の庇護を離れた人間→大人として振舞わなければならない 大人とは、役割・契約・義務・責任 ・オリジナルとフェイク ①オリジナル…ほぼ100%欧米の高級品 ②フェイク品の生産者…ほぼ100%アジア諸国の業者 ③オリジナル・フェイク品ともに主たる市場が日本 フェイクは… ①「価値」と「価格」の差を埋めるべく発生する。 →法外な売値をつけられたブランド品には大量のパチモンが寄生。逆に適正価格の商品はフェイク業者にとって利幅が小さく、マガイモノを生まない。 ②製造が容易。 →高度な工業製品や製法上の秘密をもった独特な商品にはマガイモノが発生しない。模倣不能ゆえ。 ③市場の不備をつく。 →タバコ、酒、輸入品など高率な関税がかかっている商品には裏街道のニセモノ生じる。 ※テレビはブランドの味方ゆえ、これらの事について言及することはない。 ・恋愛のエネルギー…低め安定で推移(恋愛は田舎の娯楽になってしまった) 理由 ①田舎の孤独はキツイが都市の孤独はしのぎやすい ②都市には商品化された娯楽多い ③家事労働は家電で代行。食事とセックスはバラ売りの方がリスク少ない ④結婚は封建時代の遺制である側面大きく都市生活者にメリット少ない 人口減少(少子化)→経済規模縮小→それでも国民が快適に過ごせるのならいいじゃない
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● 実際、委員会の本当の役割は、「消臭」にあるのかもしれない。クサイモノには蓋。 ● と思えば、この程度の初歩的なヤラセさえ貫徹できない連中に、原発みたいな複雑なシステムを制御する大役がつとまる道理がないではないか。 ● 「○○離れ」と言われているものの正体は、要するに相対的...
● 実際、委員会の本当の役割は、「消臭」にあるのかもしれない。クサイモノには蓋。 ● と思えば、この程度の初歩的なヤラセさえ貫徹できない連中に、原発みたいな複雑なシステムを制御する大役がつとまる道理がないではないか。 ● 「○○離れ」と言われているものの正体は、要するに相対的な貧窮化のことで、煎じ詰めれば可処分所得を多く持たない若者が増えているということ以上でも以下でもないのだ。 ● 同じ競争でも「もっと豊かになるために、もっと頑張ろう」と思うタイプの前向きの競争と「うかうかしてるとホームレスになっちまうぞ」という恐怖に駆られた形の、追い立てられる競争は、全く別のものだ。気分の問題と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、私は、小泉改革以来、競争の基調低音が希望から、恐怖に切り替わったのだと思っている。 ● フェイクは、「価値」と「価格」の差額を埋めるべく発生する。それゆえ、法外な売値をつけられたブランド品には大量のパチモンが寄生する。逆に言えば、適正価格の商品は、フェイク業者にとって「利幅」が小さいため、マガイモノを生まない。 ● が、テレビの中の人たちは、偽ブランド品関連のニュースを扱うにあたって、フェイク発生の根本原因であるブランド品の価格設定の異様さについては、ほとんど言及しない。 ● それに、昨今の男子が恋愛に消極的なのが事実であるのだとして、その理由は、彼らが草食化したからだとは限らない。肉の方が腐っているからというふうに考えることだって可能なはずだ。
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おもろい。初出が日経ビジネスオンラインのコラムなので、日経の隙間を支える息抜き読み物として文体は読みやすい。書いてることもシャープで、そもそもこの人頭がいいんだと思う。同時期に出た『その「正義」があぶない』よりはこっちの方が装丁もいいしオススメ。
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熟練の鍵師のようにペン一本で秘密の花園の扉をこじ開け、緊密に埋められたワナを避けつつ、地雷を掘り出す熟練の技…なのに、思わず踏みたくなっちゃった、ドカン。 みたいな、これぞ正統派コラムニスト。私の希望的思い込みによれば、典型的・山椒的・文系早稲田風味にホレボレ
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久しぶりにオダジマさんのコラムを読みたくなったので購入。 こういう文章を書けるようになりたい。世相を卑近な例に矮小化してコキ下ろす、そういう文章を僕も書きたい。(誉めてるんです)
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人気コラムニストの放談。日経ビジネスONLINEの連載「ア・ピース・オブ・警句」の書籍化。いやあ,文章がものすごくうまくて引き込まれる。冒頭の原発マッチョ論は,ネット上でも読んだけど,再読も楽しかった。一読の価値はある。 ただ,要するにコラムニストは非専門家で,もっともらしい...
人気コラムニストの放談。日経ビジネスONLINEの連載「ア・ピース・オブ・警句」の書籍化。いやあ,文章がものすごくうまくて引き込まれる。冒頭の原発マッチョ論は,ネット上でも読んだけど,再読も楽しかった。一読の価値はある。 ただ,要するにコラムニストは非専門家で,もっともらしいことを分かりやすく言っているからあまり真に受けない方がよいのだろう。本人も,そのような趣旨のことを言っている。自虐的に。 p.41から引用 「『識者』というのは、『自分がはっきりわかっていない事象について』『さらにわかっていない無知な一般大衆を相手に』『わかった気にさせるコメントを提供することのできる』『…そこいらへんのおっさん』なのである。」 確かに。至言だ…。 数年前に内田樹にはまった時期があったが,彼もそんな感じ全開だ。最近は飽きたので,日経ビジネスONLINEで見かけた小田島隆をたまに読むようになったのだが,たぶんそのうち飽きるんだろう。その次は誰を読めばいいかな…?
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うちの国では、圧力が、暴力を伴った威圧として発動されるようなケースは滅多にない/圧力は、通常真綿で首を締めるような、絶妙な「面倒くささ」として立ちはだかる/特定の話題の周辺が地雷原になっているということは、その話題が「圧力」を獲得したことを意味している/そういう場合、誰かが地雷を...
うちの国では、圧力が、暴力を伴った威圧として発動されるようなケースは滅多にない/圧力は、通常真綿で首を締めるような、絶妙な「面倒くささ」として立ちはだかる/特定の話題の周辺が地雷原になっているということは、その話題が「圧力」を獲得したことを意味している/そういう場合、誰かが地雷を踏みに行かないと、議論が死ぬ。無理が通って道理が引っ込む/かくして、弾圧は成功する。(本文より)
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ホットな話題を巧みな文章で語る。面白い。原子力発電に傾倒するその本質をその「マチスモ」に見て取るところはなるほど、と納得します。非常に堅いテーマでも所々にユーモアを交え、適度なリズムとエッジがあり読むものを飽きさせないものがあります。こういう文章を書ける人をコラムニストと呼ぶのだなと思います。
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時々ツイッターからのリンクで日経のWEBページへ飛んで読んでいたのだが、まとめて読むのは初めて。 一読、その文章の軽妙さ、キレの良さに魅了された。 言ってることに全面的に同意できるわけではないけれども、なにより文章のリズムが心地良いし、やっぱり言ってることが的を得ているし、面白い...
時々ツイッターからのリンクで日経のWEBページへ飛んで読んでいたのだが、まとめて読むのは初めて。 一読、その文章の軽妙さ、キレの良さに魅了された。 言ってることに全面的に同意できるわけではないけれども、なにより文章のリズムが心地良いし、やっぱり言ってることが的を得ているし、面白い。 自分を突き放して相対化する、という作業はなかなか難しい。でもそうしないと、ベトベトの文章になってしまって読み続けられなくなる。 だから、こういうコラムを読むことができたのは大変大きな収穫だった。
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日経のウェッブでリアルタイムに読んだほうがよい。まとめて読むと違う。ウェッブのページをめくる読み方のほうがしっくりとする。でも小田嶋さんに印税が入って欲しいので買って読みました。
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