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シャンタラム(下) の商品レビュー

4.2

49件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2025/01/01

30代で初めて読んだときには、とにかく心をさらわれた。この年になると、そんなロマンティックな…と思う部分もあれど、やはり強く強く惹かれる。タフガイとか死語なんだろうけど、腕っぷしが強く、痛みに弱音を吐かず、惚れた女にどこまでも忠実で、自由であることに何より重きを置く、そんな「男ら...

30代で初めて読んだときには、とにかく心をさらわれた。この年になると、そんなロマンティックな…と思う部分もあれど、やはり強く強く惹かれる。タフガイとか死語なんだろうけど、腕っぷしが強く、痛みに弱音を吐かず、惚れた女にどこまでも忠実で、自由であることに何より重きを置く、そんな「男らしさ」を私は愛する。

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2022/06/09

リンババの長い小説は一応終わりを迎えた。 ただし、リンの冒険はまだまだ続く。 本当の友アブドラとナジールと向かう新たな人生。 そして真に愛した女カーラとの別れ。 インドの雑多な空気の中、すべての人物が生きるために必死でそれが生き生きとしていて良い小説だった。 最後、スラムの暖かい...

リンババの長い小説は一応終わりを迎えた。 ただし、リンの冒険はまだまだ続く。 本当の友アブドラとナジールと向かう新たな人生。 そして真に愛した女カーラとの別れ。 インドの雑多な空気の中、すべての人物が生きるために必死でそれが生き生きとしていて良い小説だった。 最後、スラムの暖かい笑顔に囲まれたシャンタラムのエンディングは嬉しくなって素晴らしかった。

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2022/06/01

故国の刑務所を脱獄してボンベイにたどり着いたオーストラリア人の冒険譚。 欧米諸国から流れ着いた生業不明な人物たち、そのなかでも特に心惹かれる謎の女性、師とも言うべき地元の大立者などと謎かけのような会話をし、何か大きな力に導かれるようにボンベイ社会に深入りして居場所を作り上げる。 ...

故国の刑務所を脱獄してボンベイにたどり着いたオーストラリア人の冒険譚。 欧米諸国から流れ着いた生業不明な人物たち、そのなかでも特に心惹かれる謎の女性、師とも言うべき地元の大立者などと謎かけのような会話をし、何か大きな力に導かれるようにボンベイ社会に深入りして居場所を作り上げる。 インドを舞台にした村上春樹みたいだな、と思った。もっとハードな「ハードボイルドワンダーランド」という感じ。 ただし、独白部分が多くてストーリー展開が早くない。上中下巻に分かれているが、上巻の半分ぐらいまでは冒険という感じはなく、ここで脱落する読者も多そうだ(私も読み続けるか迷った)。 それを乗り越えると、話が転がり始めるので面白くなる。さまざまな伏線の回収が始まるアフガニスタンの戦場は特にノリがよくなる。 一応、作者の自伝的小説ということで「自伝・伝記」に分類しているが、まあ海外小説と思っておけばよいだろう。

Posted byブクログ

2022/03/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

下巻はちょっと微妙。ただ全体通して言い回しというか、表現がすきな本だったな。 そして、愛が失われたことは何も言わなくてもわかるように、あるいは友人だと思っていた相手にほんとうは好かれていなかったことが不意に強い確信とともにわかるように、悟った。 彼は変わっていなかった。市も変わっていなかった。家に帰るというのはいいものだった。 私の眉間の皺の意味が読み取れるほど私のことをよく知ってくれている友人のもとに戻ってこられたことを内心喜びながら。 彼女の中に生まれた変化に気づかずにはいられなかった。身のこなしに表れる正直さのようなものに。目元をやさしくしているけだるそうな解放感に。それらは恋によって生まれた変化で、そのためにこそ美しかった。 「…ひどいもんだよ。赦せない相手を愛してしまうなんて」 「自分のものにならない人を愛してしまうよりはましよ」 愛情あふれる真心のこもった瞬間が訪れたら、必ず捕まえなくてはいけない。声に出して言わなければいけない。なぜなら、そのような瞬間は二度と訪れないからだ。声に出さず、なんの行動も起こさず、ただ心と心で分かち合うだけでその瞬間をやり過ごしてしまったなら、嘘偽りのない本物の感情も、思い出にひたる手の中でいずれは萎れ、砕けてしまうものだ。そうなってからではもう二度とつかむことはできない。 愛すべきではなかった相手とふたりきりになるなんて、大馬鹿者のすることだ。

Posted byブクログ

2020/07/25

シャンタラム 自伝的小説として読むと、自分より生命力の強い人間(マダムチョウ、カーラ、カーデル、サプナ)に自分の運命が 導かれる中で 自分の意志を見つけた物語となり インドを捉えた時代小説として読むと、非合法な人物や社会が 力となり時代を動かしていることに対して、間違...

シャンタラム 自伝的小説として読むと、自分より生命力の強い人間(マダムチョウ、カーラ、カーデル、サプナ)に自分の運命が 導かれる中で 自分の意志を見つけた物語となり インドを捉えた時代小説として読むと、非合法な人物や社会が 力となり時代を動かしていることに対して、間違った行為であるが、正しい理由を見出しているように読める 赦しと平和の象徴であるスラム と 暴力と死の象徴であるマフィアを舞台とした物語が行ったり来たりする面白さ 善悪によらない人間の描き方に好感が持てる *人間は 正しい理由から 間違ったことをしなければならないことがある *人間が人間であるのは、赦すことができるからである *人間は 愛する人々によって〜自分自身を定義する *人間の意志には 運命を変える力がある

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2020/01/26

これは全てを失ったオーストラリアの脱獄囚リン・シャンタラムがボンベイでひとりのタフな男になる物語だ。 タフといっても肉体的なものではない、精神的タフさだ。 精神的タフさとは赦しであり、自由であること。 想像を絶する不潔や暴力、裏切り… 心が通じ合った友や父との死別、愛する人と...

これは全てを失ったオーストラリアの脱獄囚リン・シャンタラムがボンベイでひとりのタフな男になる物語だ。 タフといっても肉体的なものではない、精神的タフさだ。 精神的タフさとは赦しであり、自由であること。 想像を絶する不潔や暴力、裏切り… 心が通じ合った友や父との死別、愛する人との別れを経て リンはボロボロになりながらタフな男になった。少なくとも自分はそう感じた。 そしてとてもカッコいいと思った。 リンはよくある物語の英雄ではないけど、その人生は生々しくてリアルで危険に満ちた冒険譚と言える。 それも読み応え抜群、男心をくすぐる最高の物語だ。 いいモノを読ませてもらった。

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2020/03/12

備忘録のためネタバレしていますのでご了承ください。 ついに最終巻。 主人公は波乱万丈で、過酷な目にも合いまくるのですが、それでも3巻通しての雰囲気は決して暗くもキツくもない。 それは、主人公が過酷であってもインドの人々の心に触れたり、一度信頼すると決めた相手は信頼し続けたり、相...

備忘録のためネタバレしていますのでご了承ください。 ついに最終巻。 主人公は波乱万丈で、過酷な目にも合いまくるのですが、それでも3巻通しての雰囲気は決して暗くもキツくもない。 それは、主人公が過酷であってもインドの人々の心に触れたり、一度信頼すると決めた相手は信頼し続けたり、相手に裏切られどんなに憎んでも同時に愛することをやめられないなど、決して絶望しないこの心向きが小説の土台になっています。 小説の終わり方としては、もう出てこないと思った人たちを出して問題を良い方向に解決したりと、その人なりに大団円を迎えさせます。 それもあり、波乱万丈とはいえ案外明るい話だなあと言う印象。 === リンはカーデル達とアフガニスタンに渡り、ゲリラ活動に従軍することになった。 アフガニスタンには、親しいものを殺されたことから戦闘じ加わるものもいれば、一攫千金を目論む戦争屋達もいた。 そんな最中にリンは、ボンベイで自分を嵌めて投獄させた人物を知り、またいままでカーデルやカーラが自分に対してもっていた真意を知る。 利用されていたのか、なぜ言ってくれなかったのか…。 リンはボンベイでの人間関係、自分にとっての父と兄弟と恋人とを失ったと混乱する。 しかし激しい憎しみを持つと同時に、彼らを愛することを辞めずにはいられない。 激しい戦闘によりリンは負傷し、ボンベイに戻る。 ボンベイではマフィアたちの新たな闘争が繰り広げられる。 カーデルが仕切っていたマフィアは麻薬と売春を禁止していたが、これからはそれらに手を染めていくしかないのだろう、そしてリンはそんなマフィアのメンバーではないが親しい友としてさらに深く犯罪に関わってゆく。 リンは自分がマフィア以外の友人とは感覚がずれてしまったことを感じる。 リンは信頼する友人よりスリランカでの戦闘の参加を請われる。 そして久しぶりのカーラとの再会。 久しぶりにスラムに戻ったリンは、人々の変わらぬ生活、親しみに満ちた歓迎に身を浸すのであった…。

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2019/12/31

終わっちゃったのが悲しくて1週間くらい新しい本読めなかった オーストラリア人の男の人がヘロイン中毒で武装強盗。服役、脱獄。インドのボンベイへ逃亡。これが、物語のスタート地点であり、作者本人の経歴でもある。超波乱万丈な作家さんの、実体験とフィクションの混じり混じった長編小説。ネ...

終わっちゃったのが悲しくて1週間くらい新しい本読めなかった オーストラリア人の男の人がヘロイン中毒で武装強盗。服役、脱獄。インドのボンベイへ逃亡。これが、物語のスタート地点であり、作者本人の経歴でもある。超波乱万丈な作家さんの、実体験とフィクションの混じり混じった長編小説。ネタバレ厳禁。 ストーリーが面白いのは当たり前だけど、さらにその描写力がすさまじい。翻訳力もすごいのだろうけど、、まず色の描写がすっごくロマンチック。この人にかかれば、「赤」だって1000通りに区別ができるんじゃないかな。市を描けば、チャイも白檀もたばこもチャラスも香るし、血や糞尿の匂いまでしてきた。嗅げる小説と呼ばせて。そして細やかな表情の捉え方。日ごろ私は人の表情に対して怠惰すぎるって反省した。かと思えば、タランティーノ監督も怖気づくレベルの残虐な暴力、、、強くて痛くて血でねとねと。 登場人物もすごく多くてほぼみんなクセ。でも1800頁もあるながーいお話だから、それだけひとりひとりに入れ込んでしまうの。彼らの口からでる人生哲学の数々、、、これがかなり素敵!とくにヒロインが諧謔を弄しまくり。 表紙のダサさに騙されたらいけない!ほんとうにおもしろい。 ゴッドファーザーと、カラマーゾフの兄弟と、深夜特急と、きっとうまくいくととかを混ぜ混ぜにしたみたい。いい意味で。 ちなみに作者は結局オーストラリアで残りの刑期を務めてからこの本を出すんだけど、草稿を獄中で2回なくしたらしい。この長いのに。しんどすぎ。不屈かよ。

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2019/01/12

非常に長い物語だった 作者自身の体験がベースとのことだが、登場人物や事件など、どこまでリアルなのかが非常に気になる 読んでいてまるごとノンフィクションのように感じた

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2018/11/23

文庫本上・中・下巻、全部で1,870ページの疾走する大作を、疾走する勢いで読了。これはしびれた。 家庭の破綻からラリって武装強盗をはたらき、オーストラリアの刑務所に投獄。そこから白昼堂々脱走してインドのボンベイ(当時、原文のまま)に逃亡。そのスラム街に住みついて無資格で無料の診療...

文庫本上・中・下巻、全部で1,870ページの疾走する大作を、疾走する勢いで読了。これはしびれた。 家庭の破綻からラリって武装強盗をはたらき、オーストラリアの刑務所に投獄。そこから白昼堂々脱走してインドのボンベイ(当時、原文のまま)に逃亡。そのスラム街に住みついて無資格で無料の診療所を営業。その後、ボンベイのマフィアに入り、アフガニスタンに出陣。こう書くと、これがこの長編小説の主人公の略歴と思われるかもしれないが、実はこれは作者本人の略歴。そして、この大作はこの略歴を元にした一大スペクタクル小説なのだ。 客観的な自伝として書いても十分面白い内容にちがいないが、自分を主人公にして、思い切り主観的に、うぬぼれて、自己愛にあふれた小説に仕立てたことで、この大作の面白さが格段に増している。これだけの長さなので冗長なところもなくはないが、それはうぬぼれ男のご愛嬌と受け止めて読み進める。表現は時に文学的であり、時に哲学的であり。悩める友に、愛する人にそのまま使えそうな心に刺さるフレーズが随所に。そして、特に印象的なのは、登場人物の瞳、顔、表情の表現。わずかな鼓動も見逃さない優れた観察力と繊細な表現力を持ち合わせた者ならでは、と思わせる表現がなんとも美しい。 分厚い文庫が三冊並ぶと、読むのに勇気がいるかもしれないが、一旦始めてしまうともう止まらない。あふれる疾走感に、読んでいるこちらの疾走も止まらない。これはしびれた。

Posted byブクログ