ボクには世界がこう見えていた の商品レビュー
著者は重篤な統合失調症を患い、入退院を十回以上も繰り返している。本書は、統合失調症の患者に世界がどう見えているかを詳細に記述した、稀有の記録である。 著者が最初に「発狂」するくだりは、読んでいるほうがおかしくなりそうなほどに恐ろしい。アニメーション制作に携わっていた著者は、新た...
著者は重篤な統合失調症を患い、入退院を十回以上も繰り返している。本書は、統合失調症の患者に世界がどう見えているかを詳細に記述した、稀有の記録である。 著者が最初に「発狂」するくだりは、読んでいるほうがおかしくなりそうなほどに恐ろしい。アニメーション制作に携わっていた著者は、新たな「おニャン子アニメ」の構想を練っていた。ある日の晩、「書いても書いても頭からとめどなく言葉があふれ出し、書き尽くせない」という精神昂揚状態を経験する。数日後、目にするもの、耳に聞こえるもの、周りのすべてのものが、「意味」をもって著者の前に立ち現れるようになる。「この世界は僕のためにある」というシグナルを絶えず送り続けてくるのだ。そしてついに、「僕がこの世界を作っている」という事実に気付いてしまう。次の瞬間、世界は音を立てて崩れ始める・・・。 驚くべきは、著者がその当日の様子を克明に記憶していることだ。映画「ビューティフル・マインド」では、幻覚妄想が現れる様子が見事に描かれていたが、まさにその世界である。ただし、著者の場合、統合失調症と躁鬱病の中間型のような症状であり、典型的なケースではないという。 救いなのは、著者は重篤な精神疾患を患いながらも、父親や職場の同僚がずっと味方でいてくれたし、精神病院での入院生活を楽しんでさえいるように見えることだ。そしてまた、精神疾患を取り巻く状況は、ここ10年ほどで劇的に改善されたようである。
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はじめの方の「僕は、甘いのでも弱いのでもなく、低能なのだ」という言葉が印象的 なぜ発狂したんだろう? 自分との違いは何だろう? 自分におきてもおかしくないと思われて、ちょっと怖い
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統合失調症の患者自身の手によりまとめられた自伝および症状の記録。 数年前に、ネットウォッチとかいって(悪趣味だが)見ていたゆきまさの「ナミダノイロハキット」というブログを思って手に取った。 ゆきまさも統合失調症だとかネタだろとか言われていたが、本書の著者が発症した時の言動がほぼ...
統合失調症の患者自身の手によりまとめられた自伝および症状の記録。 数年前に、ネットウォッチとかいって(悪趣味だが)見ていたゆきまさの「ナミダノイロハキット」というブログを思って手に取った。 ゆきまさも統合失調症だとかネタだろとか言われていたが、本書の著者が発症した時の言動がほぼ一緒で驚いた。 自分にとって良いことがあると、政府が、世界が自分の(スピリチュアルな)能力を歓迎しているとか、悪いことがあると組織やグループの奴らが俺の邪魔をしているなどと確信してしまう。(「妄想知覚」というらしい。外界からの刺激に対し、特別な意味づけを行い、確信してしまう。) ゆきまさと著者の違うところは、著者は自分の病気を認識して、それがどういったものかを調べ、思いをめぐらすところか。自分の妄想についても多くの難解な本を読み、言ってることはわかる解説をするため、なんとなくその世界に引きずり込まれそうになる。統失患者には思考障害という症状があり、なにを言っているのか分からないことが多いそうだが、そういった点でも著者の明晰な文章は、患者の内面を写す貴重な記録なんだとか。 正直ネタだろうと思いつつチェックしていたゆきまさの日記だが今思えばあれも統失患者の記録だったんだなあ。完全に笑いのネタにされているが。。 肉体的苦痛はない(?)とはいえ、悲惨な病気だ。
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アニメイターによる統合失調症の体験記。うつ病の体験記は沢山あるのだが、統合失調症患者の体験記は珍しく感じた。 ただどこから平常でどこから妄想なのかが分かりかねた。「平常と異常の境目」というのは近いところにあるかもしれない、と感じた。 巻末に精神科医の解説付きというのも良い。
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とても克明な記録となっている。 ここまで『患者本人』が書いているっていう本には今まで出会った事がない。 だいたいが『医師視点』だったり、『対談形式』、後は『看護師視点』ばかり。 統失(統合失調病)を患った本人が書かれているモノとしては私はこの本が初めて。 しかも極めて細かに書かれている。 著者が見たモノ、聞いたモノ、見えていたモノ、感じたモノ。 リアルです。 ここ数年で呼び方が変わったり、偏見が少なくなったりしたのも事実だけど。 十人十色の精神病。 むやみに怖がったりする人も減ったような気がする。 もし。 もしも、『精神病患者は怖い』と思っている人がいたら推奨する。 小林氏は未だ病気と闘っている。 頭の中はパラレルワールドで、誰も見れないし感じられない。 それを小林氏は『文章』で挑んでいる。 病気を理解出来ない と、ハナから決めつけている人には解りづらいだろう。 けれど。 誰でもなる可能性があるんだよ。 罹ってしまったら、理解してもらうのも、治すのも今は難しいんだよ。 皆が理解することは非常に難しいだろうケド、ある一定の理解は欲しい。 私が一人の 鬱病と睡眠障害 を患っている者として。
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大学図書館から読み始め、帰りのバスでも読んでいて、著者が初めて妄想に取りつかれ発狂(覚醒?)する部分を、駅前のマクドナルドで読んだ時には、もう恐ろしくてたまらなかった。 正気と狂気の境目が、広い帯になっていて、気づいたら文章のなかで著者は統合失調症の症状に陥っている。そのふくらん...
大学図書館から読み始め、帰りのバスでも読んでいて、著者が初めて妄想に取りつかれ発狂(覚醒?)する部分を、駅前のマクドナルドで読んだ時には、もう恐ろしくてたまらなかった。 正気と狂気の境目が、広い帯になっていて、気づいたら文章のなかで著者は統合失調症の症状に陥っている。そのふくらんで暴走し始めた妄想が、それを読んでいる僕にも浸食していくのを感じ、車酔いのような錯覚に陥った。まさに「世界がこう見えていた」というのを追体験してるような感じ。そのせいで家までの帰り道は、なんだかいつもと違う道のようだった。 現実と妄想の境目が自分の中でかなり揺らぐ。 外出中に出くわす、思わず目をそむけてしまうような人たちと、自分たちは、案外そう離れてはいないのだ、と気づかされた。
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統合失調症の人が書いた本。発狂体験を冷静に振り返る貴重な記述に、未だ抜け切らない妄想が絡まってて圧倒されますね。・・・あと、発狂前の思考が、自分が普段よく考えることにあれこれ似ていて、大変な興味と不安を抱きながら読ませて頂きました(`・ω・´)
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「精神疾患に罹患した人が見ている世界」というものを、まさにその精神疾患に罹患した筆者が、自分自身の体験談として綴ったもの。 あらゆる出来事が筆者の視点で記録されているから、どう考えても筆者の妄想であるようなことも「現実」として書かれている。それがまさに「世界がこう見えていた」の...
「精神疾患に罹患した人が見ている世界」というものを、まさにその精神疾患に罹患した筆者が、自分自身の体験談として綴ったもの。 あらゆる出来事が筆者の視点で記録されているから、どう考えても筆者の妄想であるようなことも「現実」として書かれている。それがまさに「世界がこう見えていた」の部分であって、もちろんそれに興味があったから買ったんだけれど、読み進めていくうちにこっちまで混乱してきそうになるほど、ぐにゃぐにゃとした世界がそこにあった。 そんな世界に入っては、かろうじて踏みとどまって本来の世界に戻ってくる…ということを繰り返している筆者の記録。適切な表現ではないと思うけれど、すごく面白く読むことができた作品だった。
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正常と異常の境目ってどこだ? 統合失調症でありながら、ここまで冷静に自分のことを文章にできるなんて。まるで自分がこれから狂っていくようで、読み進むのが怖かった。 この人の言ってることは、宗教家の発言ではないか。宗教にはしらなかったのはなぜだろう。理性が強すぎるのだろうか。生まれた...
正常と異常の境目ってどこだ? 統合失調症でありながら、ここまで冷静に自分のことを文章にできるなんて。まるで自分がこれから狂っていくようで、読み進むのが怖かった。 この人の言ってることは、宗教家の発言ではないか。宗教にはしらなかったのはなぜだろう。理性が強すぎるのだろうか。生まれた時代が違えばすごくえらい人になれたかもしれない。 脳は自分を守るために、意識を解放しないように制限している、という話はなかなか興味深い。 ふつうの人は、理想と現実を適当に折り合いを付けて暮らしてる。折り合いの付け方によって、凡人、変人、狂人となるのだろう。スティーブジョブズはなんとか変人レベルで折り合いを付けられたのだろう。狂っていようが仕事がちゃんとできれば良い、という話があったが、そういうことなんだろうか。 自分も状況次第では十分に精神病になり得ることが分かった。
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小林和彦さんの「ボクには世界がこう見えていた 統合失調症闘病記」(新潮文庫)は、 早稲田大学を卒業して、アニメのお仕事をされていた小林さんが、精神に障がいをきたしたときの体験、入院生活や治療のこと、お仕事のことなどについて記録した本です。 発症したとき、小林さん自身の目に、何が、どのように見えたのか。 どんなことを考えたのか。 どんな行動をしたのか。 統合失調症と診断されて、病について考えたことなどが盛り込まれています。 とても辛く、苦しい体験が書かれている箇所は、読んでいるほうも苦しい感じがしてきます。しかし、辛い経験をされた後、現在も治療を続けながら生活されている著者が、最終章に書かれていることは、とても素敵です。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 『一番わからないのは、みんな“この一線を越えてしまったら帰ってこれなくなる”という、正気と狂気の境で踏みとどまった経験があるのかないのか、ということだ。そこから一歩踏み込んだらどうなるのか、ということを知っているのだろうか。(中略)』 『でも、本当に越えてはいけない一線を越えて、何とか人格までは破壊されずに生還できた人間として、その先に見えた世界を克明に書き記すことは、僕の責務であるような気がする。精神科医や専門家でも、病気のリアルな体験はしていないだろうし、一般の人たちにとっても参考になるはずだ』 『統合失調症は、どんなに辛い幻覚妄想に襲われても、死に至る病ではない。全ての統合失調症患者にとっての一番大きな使命は「生きていく」ことであると思う』 『“普通に生きる”ことが健常者でも難しいご時世ならば、必ずしもノーマルな生き方をしなくったっていいのだ。病気とうまくつきあいながら、飼いながらしながら、個性的に生きていけばいいと思う』 (最終章 「障害があっても」より引用) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 幻覚や妄想の状態は、障がいのない人には、なかなか分からない部分が多く、家族にとっても同様かもしれません。 障がいを抱えたご本人は、たった一人でその状態を向き合わなくてならず、深い孤独を想像します。 それでも「生きていく」。 力強い言葉です。 障がいのある・なしに関わらず、どんなに辛く、たいへんなことがあっても、 とにかく「生きていく」こと。 最近、本当にそう思うことが多くなりました。
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