文化と外交 の商品レビュー
日本のパブリックディプロマシーに投ずる予算は先進国の中で圧倒的に低い(国際交流基金の展開力も含め)。にも関わらず、日本への関心を高めるなど漠然とした目標がずっと掲げられている。もっとターゲットを絞り、具体的な目標にフォーカスしたアプローチこそ必要。また、メタ的な要素としては自国に...
日本のパブリックディプロマシーに投ずる予算は先進国の中で圧倒的に低い(国際交流基金の展開力も含め)。にも関わらず、日本への関心を高めるなど漠然とした目標がずっと掲げられている。もっとターゲットを絞り、具体的な目標にフォーカスしたアプローチこそ必要。また、メタ的な要素としては自国に都合の良いところのみ移さず、自分の国のオープンさ・器の大きさを示す方がよっぽど効果がある。結局、相手の心と精神を掴むことが重要で、伝統的外交とは異なり、相手国国民に直接アプローチできるこの分野の可能性は日に日に高い。日本文化論の焼き直し(自然との共生・伝統と最新の融合など)の点に対する批判はとても納得しました(笑)
Posted by
政府要人同士の伝統的外交と異なり、相手国世論に直接働きかけ、相手国国民の「心と精神を勝ち取る」ためのパブリック・ディプロマシーについて、その中国や欧米による最前線から始まり、その起源と今日に至るまでの概念的変遷、代表的な手法と事例、注目すべき近年の動向、それに対する懐疑や批判、そ...
政府要人同士の伝統的外交と異なり、相手国世論に直接働きかけ、相手国国民の「心と精神を勝ち取る」ためのパブリック・ディプロマシーについて、その中国や欧米による最前線から始まり、その起源と今日に至るまでの概念的変遷、代表的な手法と事例、注目すべき近年の動向、それに対する懐疑や批判、そして、日本におけるパブリック・ディプロマシーの歴史と課題まで、幅広く論じている。パブリック・ディプロマシーについて考えるには最も適した一冊だと思われる。 ただ、いろいろな要素が詰め込まれているので、通読した後、「で、パブリック・ディプロマシーとは何だったか」と思い返そうとしても、あまり浮かんでこなかった。パブリック・ディプロマシーというのは、一言ではなかなか語り難い概念であることを感じた。他方、パブリック・ディプロマシーに対する著者のスタンスがいまいちよく掴めなかったことも、理解が十分に進まなかった一因であるように思う。 パブリック・ディプロマシーへの批判として、その「政治性」や「戦略性」への批判が取り上げられていたが、個人的には、プラグマティックに考えて、文化が政策遂行の手段となることにあまり抵抗はない。むしろ、現在の日本のパブリック・ディプロマシーには、明確な政策目的や戦略性が足りないことが問題だと思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ソフトパワーを活用した外交、パブリック・ディプロマシー(PD)について書いてある本。2011年発行なので最近の情勢が反映されている。特に東日本大震災と中国との関係の変化は大きい。 大まかな流れはPDの今、歴史、具体例、批判、日本のPD、となっている。ソフト・パワーはジョセフ・ナイが提唱したものとして知っていたがこの本はアメリカだけでなく世界各国でソフト・パワーがどのように機能しているのかが解説されている。 重要なことは、外交という点からすれば効果が無ければ打ち切られてしまうのもやむを得ないが、PDは確かに効果が目に見えにくいが効果は確かにあるということだ。狭い国益に縛られればかえって国益を損ねかねない。日本は特に中国との関係改善のためにPDを活用したい。しかし現状はPDの規模は驚くほど小さく、まずはPDの重要性を認識することが必要である。
Posted by
パブリックディプロマシーの意義について、他国の例も挙げながら非常にわかり易く説明。ナイのソフトパワーを如何に実務的に国策として展開していくか、まさに今の日本に必要とされている。 縦割り的(国内、国外)に取り組むことで、その効果は望まずにどんどん他国に流されるのでなく、マンガやAK...
パブリックディプロマシーの意義について、他国の例も挙げながら非常にわかり易く説明。ナイのソフトパワーを如何に実務的に国策として展開していくか、まさに今の日本に必要とされている。 縦割り的(国内、国外)に取り組むことで、その効果は望まずにどんどん他国に流されるのでなく、マンガやAKB、相撲などフルに活用して、親日の波が市民レベルで拡がるきっかけ作りを国としても取り組むことを期待したい。 ODAなども、貧困削減なども大事であるが、ある程度の新興国に対しては、パブリックディプロマシーを事業計画に取り入れながら進めることも必要ではないかと思う。
Posted by
パブリック・ディプロマシー(文化・広報外交)について書かれた本で、経済・軍事力といったハードパワーと対比される文化・国際交流のソフトパワーについて、各国の事例・日本と外国との対比を交えながら解説した良書。 そもそも文化・広報外交やパブリック・ディプロマシーという言葉自体に一般の...
パブリック・ディプロマシー(文化・広報外交)について書かれた本で、経済・軍事力といったハードパワーと対比される文化・国際交流のソフトパワーについて、各国の事例・日本と外国との対比を交えながら解説した良書。 そもそも文化・広報外交やパブリック・ディプロマシーという言葉自体に一般のなじみは薄く、British Councilを知っている人も日本に国際交流基金という日本の文化・国際交流を担う組織が存在していることはあまり認知されいないように思う。 中国が孔子学院という名で日本の大学の中に中国語教育センターを増やしていることへの言及もあったが、私自身中国語を勉強しようと思ったときに検討していた学校でもあり、かなり身近なところにもこういった各国の活動は浸透しているんだな、と思いました。 短期的な成果をもとめるのではなく、文化の交流とともに長期的な実を結ぶことを目標に活動していくには、やはり営利目的や短期的な成果を必要とする民間企業でカバーしきれない部分を補う役割があるのではないだろうか。民間にできることは民間にというのが昨今の時勢ではあるが、各国も国をあげてのパブリック・ディプロマシーへの注力と公的組織のネットワークの広がりを見ると、日本も再びこの分野についてどうあるべきか、と考えざるをえない。 クールジャパンに代表されるような民が主導になるべきところや、一方で公が広げていくべき分野はどうかといったような様々な文化・広報外交の議論の前提となる背景・基礎知識を勉強するには最適の書です。
Posted by
「クールジャパン」を活用することで達成しようとしている政策目標は極めて曖昧で、働きかける対象も不明瞭。省エネ・リサイクルの取組み、環境や公衆衛生への取組み、復興・平和への取組みなどは、「もう一つのクールジャパン」を十分形成しうる。
Posted by
本書はソフトパワー(文化、サブカルチャー)の発信が外交や国家のイメージに与える影響力について、日本、欧米、中国等の成功例、失敗例から、その価値について考察したもの。 パブリック・ディプロマシー(文化外交)、プロパガンダの歴史や概念の説明もあり、文化発信の基本を理解できる良書。国際...
本書はソフトパワー(文化、サブカルチャー)の発信が外交や国家のイメージに与える影響力について、日本、欧米、中国等の成功例、失敗例から、その価値について考察したもの。 パブリック・ディプロマシー(文化外交)、プロパガンダの歴史や概念の説明もあり、文化発信の基本を理解できる良書。国際マーケティング等、海外展開において文化の役割や利用方法を学ぶ入口としても有用だろう。
Posted by
国益の最大化を図るための政治家や官僚による外交、さらには武力行使というハードな手段に対し、様々なソフトを通じた国際交流や文化の流布による対外戦略についてコンパクトに解説されてます。TwitterやSNSなどで個人による広範囲な情報発信が容易になった現在、もっと強く意識すべき観点を...
国益の最大化を図るための政治家や官僚による外交、さらには武力行使というハードな手段に対し、様々なソフトを通じた国際交流や文化の流布による対外戦略についてコンパクトに解説されてます。TwitterやSNSなどで個人による広範囲な情報発信が容易になった現在、もっと強く意識すべき観点を説いてくれる良書です。
Posted by
帯の軽い印象(カワイイ大使の女の子たち)に反して堅実な良書だった。各国の文化・広報外交の歴史的変遷と現況に関する話だけでなく、パブリックディプロマシーと文化人類学との接点についても勉強になった。
Posted by
文化・外交ということを考えた時の、いかに自国の道義性や存在感を示し、国際世論の「心と精神を勝ち取る」ことの重要性を認識した。 日本はここが圧倒的に弱いことも痛感。
Posted by
- 1
- 2