アシンメトリー の商品レビュー
それぞれの視点でストーリーが進んでいくからこそ、どちらの気持ちも分かって、人間関係ですれ違ってしまう瞬間が垣間見える。 藤田香織さんの解説も、思うことを見事に言い当てていて、非常に印象深かった。
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ざらっとした感情。ままならない感情。 それぞれの『普通』『基準』が邪魔をして、会話に行動に心の裡にざらっとした感情が、入り乱れる。 生まれながらにもっているもの、知ってほしいもの、触れられたくないもの、習慣、癖、病気など、育った環境、考え方などみんな違うのに、それぞれの『普通』が、邪魔をして、苦しくなる。 『普通』が幅をきかせて、いつまでも『オンリーワン』は、ほど遠い。 人は比べるし、縛るし、苦しめる。 物語に出てくる人物皆、理解してほしいと思いながらも、相手を貶したり、傷つけたり、受け止めてほしいと思っても、諦めてしまいそうになったり。 勝つ、負ける、あの人よりはやく結婚する、しない、できない。 自分が好きなものをただ好きだといいたいだけなのに、うまくいかない。 自分の人生なのに、比べてしまう、諦めてしまう、外野がうるさかったり。 読むのが大変だった。
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昔読んで面白かった記憶があったので再読。 女同士の嫉妬具合がリアルすぎます。 ちょっと棘のある言い方をわざとしちゃったり......。 治樹以外の登場人物全員にイライラしてしまう、なのに別視点で見ると、憎めない存在になってくる 特に朋美は紗雪視点で見てると本当になんやこいつ!って思うのに、だんだんこいつ嫌いじゃないと思ってくる 最後の女同士の本音のぶつけ合いは二つとも吹っ切れてて素敵でした。
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最後の評論家の方の言葉に凄く共感した。 違いを受け止めて前に進む終わり方に人間らしさを感じた。とても厚みのある内容に思えた。いい意味で期待を裏切られた。
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・『はるがいったら』が面白かったので、同じ作家の本ということで読んでみた。 ・本書も面白く、読みだしたら止まらなくなり2日くらいで一気に読んでしまった。 ・今回は男女2人ずつ、4人のキャラクターでどれも非常に魅力的で、全員に入り込めた。 ・特に女性2人については対照的で、お互いの視点で話が語りがなされるときも、自分が「当たり前」に思っていることと、相手が「当たり前」に思っていることのすれ違いの会話が非常に面白かった。 ・自分的には完全に考えて気には「紗雪」派なので、何にせよ「それが普通でしょ」で行動する朋美はただのアホな女(言葉悪、1)としか思えなかったが、最後の方で覚醒していくのはかっこよかった。 ・だが、やはり普段の会話や行動は紗雪が断然にかっこいい。これほど芯があり、言いたいことをすぱっという人には憧れる。 ・また、今回話のエピソードの1つとして差し込まれていた貴人の仕事(先輩の八木の成果で仕事を取れる話)も非常に心温まる話で良かった。あまりこういった仕事に焦点を当てたエピソードは小説として扱われることは少ないような気がして、大変面白く読めた。普通に仕事をこなしている社会人であれば、身につまされることがあり、自分のことに引き寄せて感動できるのでは無いかと思う(2)。 ・作者の得意技なのか、最後に近い箇所で、自らの嫌らしさに自覚する山場のくだりが今回もあり、非常にドキっとさせられる(4)。 *** 1. > こだわってるわけじゃ……。だって、普通じゃない?クリスマスにデートは」 あの後輩たちみたいに、彼氏じゃない人におごってもらったりプレゼントをもらったりなんて図々しいことは思っていない。でも、彼氏とだったらデートやディナーぐらいは普通するはずだ。こだわっているわけでも、贅沢をいっているわけでもないと思う。 > 私には「彼氏」がいる。この子たちより、勝っている。 2. > いいの、いいの。元々、換えるときは八木君にお願いするつもりだったから。こんなこと言うの何だけどさぁ。こういう商品って、正直、会社によって品質に大きな違いがあるわけじゃないでしょ?」「まぁ、それは」「だったら、感じのいい営業さんが来てくれるところと契約したいからさ。あちらさんとは、それなりに長い付き合いだったけど、しょっちゅうご機嫌伺いに来てくれてたのに、僕が辞めるって知った途端に、顔見にも来ないもんね。会社には来てるのにさ。後任の奴にだけ挨拶して、それで帰っちゃうの」 越川さんは笑っていたが、俺は反応に困ってしまった。「だから、まだ僕に権限があるうちに、お宅と契約させてもらおうと思ってね。八木君は、本当に何度も足運んでくれて、忙しくて僕があんまり相手できなくても、嫌な顔もしなかった。本当に感じのいい人だよね。夏川君だっけ? 君もこんな遅い時間に、自分から来るって言ってくれて、ありがとうね。ああ、でも八木君、年内はもうう出勤しないんだね。最後に挨拶もできなかったなぁ 3. >はそもそも、人と人との関係なんて、そういうものだと思っている。「付き合いましょう」なんて宣言し合ってから関係を築きはじめるなんて妙だ。関係性なんてものは、気が付いたらできあがっているものなんじゃないだろうか。 4. >確かに、ある。治樹と結婚することを伝えたときだ。治樹のことが好きだから、驚いて動揺して、でも必死に取り繕って「結婚パーティーが楽しみ」と言った朋美に向かって、私は朋美の心の動きを全部悟った上で、「ありがとう。朋美が私たちの結婚を祝福してくれて、嬉しい」と言って笑った。思いきりきり意地悪な顔で。確かに私はあのとき、はっきりと朋美に対して悪意があった。
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4人が語り手なので、それぞれ鬱屈していて、他者に対して好意だけじゃない本音が語られる。朋美が最初嫌いだったけど、最後の彼女は好きだな。紗雪にちゃんと本音ぶつけて向き合って、本当の友人になれたのね。貴人て周りにいたら一番めんどくさそう。朋美との関係も変化して、なにかにすがるのもやめられたのかな。紗雪の「アセクシャル」、そういう人がいるのは知っていましたが、言葉は初めて知りました。治樹の元カレとの浮気はげんなりした。
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普通の幸せを切望する朋美 ちょっと変わった個性的な紗雪 スポーツマンさわやか貴人 やさしく穏やかな治樹 女性二人が仲良くなるところから始まり ちょっとめんどくさい女たちの話かと思いきや 絡んでくる男性陣もそれぞれ問題を抱えていた… それぞれの視点からのストーリー展開で アシン...
普通の幸せを切望する朋美 ちょっと変わった個性的な紗雪 スポーツマンさわやか貴人 やさしく穏やかな治樹 女性二人が仲良くなるところから始まり ちょっとめんどくさい女たちの話かと思いきや 絡んでくる男性陣もそれぞれ問題を抱えていた… それぞれの視点からのストーリー展開で アシンメトリーな関係が見えてくる どんなに好きでもどうにもならないこともあるし 受け入れたくても受け入れられない事情もある 普通ってなんだろう 好きってなんだろう
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長らく積んでいた本。 セクシャルマジョリティ、マイノリティについて。 普通とは、普通でないとは何なのか。 いや、本当に何なんでしょうね。 私は恋愛対象も性対象も男性(異性)ですが、 そうではない人たちがいても何ら不自然ではないと思います。 聖書でも同性愛について書かれています...
長らく積んでいた本。 セクシャルマジョリティ、マイノリティについて。 普通とは、普通でないとは何なのか。 いや、本当に何なんでしょうね。 私は恋愛対象も性対象も男性(異性)ですが、 そうではない人たちがいても何ら不自然ではないと思います。 聖書でも同性愛について書かれていますが、 神様がそう創られたんですもの。不自然ではない。 登場人物の朋美が『同性愛者って本当にいるのね。信じられない』と発言したシーンではかなり怒りを覚えました。 自分の世界だけが全てだと思っていて、知ろうとする気がないのなら否定なんてするもんじゃない。 と、かなりムカムカときていました。 最終的に彼女は“知った”事によって変わっていくのだけれど。 やはり“知らない”事を頭から否定してしまうのは罪だと私は思う。 理解する、しないは取りあえず置いておいて、 まずは知らなければね。 もちろん自分自身にも言える事だけれど。
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マイノリティ、マジョリティ。マジョリティにカテゴライズされていたとしても、”普通”という人間はいないということを強く感じさせられた一冊でした。ただ、誰一人として登場人物に共感を抱けなかったのが残念なところ。
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