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ザ・ラストバンカー の商品レビュー

3.9

102件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2022/10/02

面はゆいとか忸怩たると言いながらも、ラストバンカーというタイトルを自らの手向けとして許す、そこには謙遜を必要としない自信があるのだろう。自らより前の頭取を品の良いお公家様と言いながら、後継にバンカー無しという意味にも取れる「ラスト」の称号。この傲慢さが語りを象徴する。 安宅産業...

面はゆいとか忸怩たると言いながらも、ラストバンカーというタイトルを自らの手向けとして許す、そこには謙遜を必要としない自信があるのだろう。自らより前の頭取を品の良いお公家様と言いながら、後継にバンカー無しという意味にも取れる「ラスト」の称号。この傲慢さが語りを象徴する。 安宅産業の破綻処理やイトマン事件、さくら銀行との合併から三井住友銀行の頭取を務めるまでの歴史を綴りながら、やはり気になるのは、郵政民営化から日本郵政社長に就任した後、かんぽの宿の問題だ。本著で語るのは払い下げ金額の適正さ、議事録を残さなかった反省程度。民営化に関わったオリックスが払い下げの対象になった事の危うさには触れず。李下に冠を正さず、という態度は見えず。 行内から政治抗争にも巻き込まれながら、相当タフな人生を送り、そこには本著に書けない闇の部分も多々あったろう。銀行マンの守秘義務は厳しい。事実ベース、言い訳混じり。本として、面白いかは微妙である。

Posted byブクログ

2020/10/11

著者が亡くなったことをきっかけに知った。一金融マンとして、これを機に読んでおこうと思って購読。 頭取になるような人物が手掛けたオイルショックやバブル崩壊に起因する不良債権処理というものが如何に銀行にとって大事かつ大変か、現場感を持って知ることができる。さらには銀行同士の合併や、郵...

著者が亡くなったことをきっかけに知った。一金融マンとして、これを機に読んでおこうと思って購読。 頭取になるような人物が手掛けたオイルショックやバブル崩壊に起因する不良債権処理というものが如何に銀行にとって大事かつ大変か、現場感を持って知ることができる。さらには銀行同士の合併や、郵政民営化の話もこれまで知らなかったことばかりで、生き字引と言っても良い存在だったのだろう。もう一度読み返す価値のある本だと感じました。 加えて、どのような立場になっても、顧客目線がぶれていないことが本当に凄い。実際に仕えた人の言葉を聞かないと何とも言えないが、こういう人がトップになればうちの会社はもっと良くなるのに、と思わずにはいられなかった。

Posted byブクログ

2019/07/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

住友銀行の頭取を務めた西川善文氏の回顧録。 都市銀行の中でも収益率ナンバーワン、富士銀行に次ぐ業界二位という地位から、安宅産業破綻を収束させ、次第に暴走していく住友銀行の天皇こと、磯田一郎氏の行動や、無駄だった平和相互銀行の合併、そして住友銀行の最大の汚点であり、日本最大の不正融資事件であったイトマン事件の解説など、非常に勉強になった。

Posted byブクログ

2018/10/20

三井住友銀行頭取で日本郵政社長だった西川氏の回顧録である。日本郵政時代より銀行時代の話が面白かった。銀行は危ない取引先に行員を立て直しのために派遣するが、支店長経験者とはそれほど経営にもスキルがあって優秀なのかと思った。

Posted byブクログ

2021/08/08

名立たる経営者の回顧録はどれを読んでも外れがない。本書もその例外ではない。著者は、住友銀行・三井住友銀行の頭取、日本郵政の社長を歴任しているが、こなしてきた仕事の大きさにまず衝撃を受けた。付け加えると、通常有名な経営者の業績をたどると派手なものが多いが、著者は不良債権処理という地...

名立たる経営者の回顧録はどれを読んでも外れがない。本書もその例外ではない。著者は、住友銀行・三井住友銀行の頭取、日本郵政の社長を歴任しているが、こなしてきた仕事の大きさにまず衝撃を受けた。付け加えると、通常有名な経営者の業績をたどると派手なものが多いが、著者は不良債権処理という地味だが責任の重い業務に長年携わっていたことも個人的には共感できた。 当事者の弁に直接目を触れると、三流マスコミで報道されている内容と大きく食い違うことに閉口してしまうことが多い。著者の日本郵政時代のかんぽの宿問題と東京中央郵便局再開発問題も同様であった。こういうのを目にするたび、TVのニュースは全くもって見る気を失くす。 そのほか、感じるところの多い著書であったが、最後に、あまり本筋ではないのだが、記憶に残った1節を書き留めておきたい。安宅産業の問題処理で、伊藤忠との合併交渉で登場したのが瀬島龍三だったらしい。当時副社長。 「私が瀬島さんと直接話す機会はなかったが、先方から返ってくる回答がいつも非常にシンプルだった印象が強い。…大体三本柱のようにまとめてあって、五つも六つも書かない。 …たとえば合併条件として伊藤忠が最初に出したのも、一つ、新日鐵の商権は間違いなく伊藤忠が継承できる。一つ、一切の負担を持ちこまない。一つ、銀行取引は合併後も第一勧業銀行をメインとする。こんなふうにズバッと明快だった。…たった三つしかないのに細大漏らさず書いてあるのだ。」 「漏れなく簡潔」とは仕事におけるコミュニケーションで個人的には目指す極みなのだが、こういう人物と交渉にあたっていたのだから、さぞかし腕は磨かれたことだろう。

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2015/06/22

元住友銀行頭取で日本郵政が民営化したときの社長。激変する時代の中で破綻処理と再建の役割を担われてきた西川さんの実務者としての矜持が感じられる本。もちろん本の後半は経営者なんですが、常に自身の中の定規に置き換えて判断し物事を進めていく姿勢はまさに当事者としての強い責任感だと感じまし...

元住友銀行頭取で日本郵政が民営化したときの社長。激変する時代の中で破綻処理と再建の役割を担われてきた西川さんの実務者としての矜持が感じられる本。もちろん本の後半は経営者なんですが、常に自身の中の定規に置き換えて判断し物事を進めていく姿勢はまさに当事者としての強い責任感だと感じました。面白かった。

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2015/01/28

単純によみものとしてもおもしろかった。 色々な課題、問題に対し、どうしたのか、はもちろんだが、背景というか問題の奥底が何なのか、それが大切。 回顧録だし、実際他の人から見たら分からないけど、振り返ってこうだった、と後付けでも言える人生は良かったんだろうな。 そして、家庭は顧みて...

単純によみものとしてもおもしろかった。 色々な課題、問題に対し、どうしたのか、はもちろんだが、背景というか問題の奥底が何なのか、それが大切。 回顧録だし、実際他の人から見たら分からないけど、振り返ってこうだった、と後付けでも言える人生は良かったんだろうな。 そして、家庭は顧みてないようで、時々奥さんに叱られる下りが出てくるところが弱さも武器にしてて、うまいとおもった。

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2014/12/28

三井住友銀行頭取、日本郵政社長を歴任した西川善文氏の回顧録。著者が、直面する難題から逃げずにスピード感をもって決断を下してきた、まさにリーダーシップを持った人物であることがよく伝わってきた。 著者には「不良債権と寝た男」との異名があるとおり、本書も安宅産業処理をはじめとする「破綻...

三井住友銀行頭取、日本郵政社長を歴任した西川善文氏の回顧録。著者が、直面する難題から逃げずにスピード感をもって決断を下してきた、まさにリーダーシップを持った人物であることがよく伝わってきた。 著者には「不良債権と寝た男」との異名があるとおり、本書も安宅産業処理をはじめとする「破綻処理と再建」のエピソードに軸足が置かれている。あえて詳細な内幕は書いていないなという印象のある部分もあったが、不良債権処理の現場の緊迫感はよくわかった。不良債権処理には痛みが必ず伴うが、血を流すことはあっても、何を最後の一線として守るかをしなければならないという著者の指摘が印象に残った。 また、日本郵政社長時代のエピソードも力を入れて書かれていた。郵政の問題点(官業ゆえの特典やガバナンスの弱さなど)、と民営化の狙いが、本書の記述でよくわかった。マスコミを賑わした鳩山総務大臣とのかんぽの宿売却と東京中央郵便局再開発計画をめぐるバトルについても、著者としての弁明がされているが、著者の主張はもっともだと思われた。ただ、郵政はあまりに政治色が強すぎ、理屈だけではどうにもならなかったんだろうなという感想を持った。

Posted byブクログ

2014/03/22

この手の本はあまり読まないのだが、前々から少々気になっていたこともあり、つい手に取ってみた。 意外に面白かったなぁ。まぁこれ以上は書けないのだろう、実際はもっとドロドロしていたのだろうが、ある意味あっさりとした記述に終始。 しかし日本郵政のくだりだけでもこの本を読むべきかも。日本...

この手の本はあまり読まないのだが、前々から少々気になっていたこともあり、つい手に取ってみた。 意外に面白かったなぁ。まぁこれ以上は書けないのだろう、実際はもっとドロドロしていたのだろうが、ある意味あっさりとした記述に終始。 しかし日本郵政のくだりだけでもこの本を読むべきかも。日本の政治の腐り切った実情を垣間見ることができるし、それはひいては当方含めそこに蠢く輩どもを選出した選挙民にも一端の責があることにつき猛省するためにも。

Posted byブクログ

2014/02/10

銀行員にとっては必読だが、社会人としても絶対に読んだ方がいいといえる一冊に出会えた。 仕事内容として、銀行特有でイメージしにくいところもあったが、社会人としての習得すべき心得がたくさんあった。 著者の判断ミスや失敗した部分も率直に包み隠さず書かれている点も好感を持てる。 スピー...

銀行員にとっては必読だが、社会人としても絶対に読んだ方がいいといえる一冊に出会えた。 仕事内容として、銀行特有でイメージしにくいところもあったが、社会人としての習得すべき心得がたくさんあった。 著者の判断ミスや失敗した部分も率直に包み隠さず書かれている点も好感を持てる。 スピードこそが付加価値である。 「決断を下すにあたって80%の検討で踏み出す勇気を持つ」 「青信号、ゆっくり渡れば赤になる」 という言葉は心に刻んでおきたい。

Posted byブクログ