ためらいのリアル医療倫理 の商品レビュー
「リアル」であることに重きを置くと、ある種の人からは嫌われることがあると思う。それはたとえば原理主義的な人。言うまでもないことだと個人的には思うのだけれど、現実は一つの原理で割り切れるほど単純なものではない(その原理がいかに論理的に正しいものであるにしても)。特に「倫理」において...
「リアル」であることに重きを置くと、ある種の人からは嫌われることがあると思う。それはたとえば原理主義的な人。言うまでもないことだと個人的には思うのだけれど、現実は一つの原理で割り切れるほど単純なものではない(その原理がいかに論理的に正しいものであるにしても)。特に「倫理」においてはこれが正解という統一見解など得られないと思う。「倫」の旁である「侖」は❝輪❞を表すから、「倫」とは「人と人との輪(つながり)」のことを言う。そのつながりにおける理屈が「倫理」なわけだから、「倫理」は人と人との具体的なつながりの状況=コンテクストにおいてその都度その理=意味を変えて当然のはず。 筆者もこうした文脈主義(なんて言葉があるかは知らないけれど)に立ちながら(たぶん)、医療現場における「倫理」を考察していく。その結果得られる結論が「ためらい」であるという、タイトル通りの本である。「倫理」に絶対的な正しい原理が存在しえないのだとしたら、その場その場の「つながり」の中で「本当に私は正しいのか」という「ためらい」は必ず生じざるを得ないから。 余談だけれど、医師志望や教員志望の人ってだいたい「患者さん/生徒に寄り添える医師/教師になりたい」って言うんだけれど、現実のリアルなところは〈寄り添えない〉って苦悩をベースに面接で喋ることができたら評価高いと思うんだどなあ。
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語り口が内田先生に似過ぎていて少し苦手でした。内容は平易で、家庭医療学んでいる人なら当たり前なことですが、自力でこういう考えにたどり着くためにはよっぽど試行錯誤されたんだろうなと思いました。
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通常の医療場面で考えさせられる倫理について書いています。 医療者にとってあまりにも近すぎて素通りしていた視点です。 http://ameblo.jp/nancli/entry-11624663558.html
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命を考える、生活を考える、価値を考える。一概に言えないですよね。 程度として捉える、ためらいつつ捉える。 別著の人が『マニュアルは、現場の個々の問題を無視してる』を具体的に表した本だと思います。
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タイトル通りの話。理想論を持つ事は重要だけど、実際の医療現場でそれを振りかざすのは逆に悪になりかねない。白黒で決着つけられない世界だからこその難しさがある。正解がないって怖い。患者さんとためらいながら真摯に向き合って、その都度ベストな選択をしていける様努力しなきゃなぁ。
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今週は、養護教諭のみなさんにこのテーマで講演します。それにしてもブクログとアマゾンではどうしてこんなに書評が割れるのでしょうね。面白いです。
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理想論を語るのではなく、どれだけ現実にフィットした倫理として考えることができるかを考察した本 白か黒かのように絶対的にならず、相対的に個々の価値を考えること。そして「程度」を吟味する、「どのくらいグレーか」を吟味することが大事、ということ。 患者の気持ちなど分かりようがないと...
理想論を語るのではなく、どれだけ現実にフィットした倫理として考えることができるかを考察した本 白か黒かのように絶対的にならず、相対的に個々の価値を考えること。そして「程度」を吟味する、「どのくらいグレーか」を吟味することが大事、ということ。 患者の気持ちなど分かりようがないという認識を持ったうえで、想像力を強く働かせ、相手の価値観を考慮することで必然的に「ためらいの」姿勢で真摯に向き合うことになる。 著者の本は知識として知ることよりも、「考え方」を得ることができます。その要素に強い魅力を感じます。
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3.11被災地における体験を縦糸に、命の価値をめぐる考察を横井とに、人工妊娠中絶、集末期医療からクジラ問題まで、医療倫理をめぐるリアルで真摯な議論。(著書紹介文より) 著者は神戸大学の感染症の教授ですが、物事への切り口は感染症だけにとどまらず、医療全般、社会問題、この本では3....
3.11被災地における体験を縦糸に、命の価値をめぐる考察を横井とに、人工妊娠中絶、集末期医療からクジラ問題まで、医療倫理をめぐるリアルで真摯な議論。(著書紹介文より) 著者は神戸大学の感染症の教授ですが、物事への切り口は感染症だけにとどまらず、医療全般、社会問題、この本では3.11と原発についても触れられている。 帯を書いているのは、内田樹氏。 「知性によっては正否の判断が下せないときに、なお決断を下しうる知性とはどのようなものか?ー内田樹」(帯より抜粋) 医療従事者には一読してほしい本。 医療従事者じゃなくても、社会情勢の考え方に対して納得できるのではと思う一冊。
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ためらいつつ対峙する、わかっていても臨床現場ではむつかしいことが多い。しかし、一歩止まって、ためらうことが、色々な可能性を見つけることにつながるのだろう。著者の人間に対する優しさがあふれた一冊。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・二項対立的思考…医療の世界にフィットしない 医療者の勧められる語り口は「ためらい」ながら 「ためらい」…自分の不完全さや正解の無いことに意識的であること ・医療の世界に必要 ①想像力②多様性③寛容 ・患者の気持ちは「分からない」 →想像力(しかし入り込みすぎるとこちらの精神がもたない) ・クリシェに連用されるエピソード→私たちの心の底にある共通項示すか… ①自分の命よりも大切な何かを持っている ②その何かは固有のもので他者には了解不可 ・命の価値 ①距離②時間③情 が遠ければ遠い程薄れる ・ヒポクラテスの誓いにそう書いてあるから、医療倫理の教科書にそう書いてあるから、法律でそうなっているから…etc 他者の言葉を”免罪符”にして「思考停止」 せずに医療倫理を考えよう (そして様々な指針をベースとしてしなやかに運用しよう) ・プロフェッショナリズム…自己との規定性・他者の視線によらない ・リスクとリターンのトレードオフ関係(リスクマネジメント)
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