とある飛空士への夜想曲(下) の商品レビュー
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犬村小六著『とある飛空士への夜想曲 下』を読み終えたとき、胸の奥に深い余韻が静かに広がった。物語が描き出すのは、ただの空戦記ではない。そこにあるのは、空を駆ける若者たちの理想と誇り、そして戦火に呑まれながらもなお人としての矜持を保とうとする魂の軌跡である。 上巻で培われた人間関係や理想が、下巻では容赦のない現実の中に晒される。しかしその中でこそ、彼らの「信念」がより鋭く、より美しく輝きを放つ。著者の筆致は、一陣の風のように軽やかでありながら、戦場の悲哀や生の重みを確かに伝えてくる。空戦の描写は息を呑むほど緻密で、同時に登場人物たちの感情の機微が織り込まれ、ページをめくるたびに胸が締めつけられた。 終章に向けて物語は静かに収束していくが、その静けさの中に込められた祈りのような余韻が忘れがたい。希望と喪失、栄光と絶望がないまぜになった世界の中で、人はなお空を目指す――その姿こそが「飛空士」たる所以なのだと、深く納得させられる。 『夜想曲』という題のとおり、この作品は夜の静寂に響く旋律のように、心の奥底で長く鳴り続ける。読後、ただ切ないだけでは終わらない。痛みを抱えた先にこそ見える希望の光を、確かに感じさせてくれる。著者の描く空は、戦いの舞台でありながら、同時に人の尊厳と夢を託す象徴でもあった。重厚でありながら美しい――まさにその一言に尽きる読書体験であった。
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期待満点、Fカップの状態で下巻に突入し、読了した今、満足した。 期待通りのエンディング。良かった。 随所にラノベ感があるものの、満足した。
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作者の趣味思考をフル稼働させた作品。 それだけに主人公・千々石への愛が半端ない。 戦場を駆けるために生まれたこの男、生き様がアツい。 宿敵・海猫こと狩野シャルルとの前時代的な対決模様もこれまたアツい。 中央海戦争という荒波に立ち向かった、天ツ上という船は沈むことなくそ...
作者の趣味思考をフル稼働させた作品。 それだけに主人公・千々石への愛が半端ない。 戦場を駆けるために生まれたこの男、生き様がアツい。 宿敵・海猫こと狩野シャルルとの前時代的な対決模様もこれまたアツい。 中央海戦争という荒波に立ち向かった、天ツ上という船は沈むことなくその航海を終えることができたのか、それは読んで確かめてほしい。
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天ツ国人を見下し圧倒的な物量で攻勢をしかけるレヴァーム海軍司令長官のヴィルヘルム・バルドーに対して、千々石たち「音無航空隊」はすくない人員で善戦をつづけます。その後、千々石と会えないことを悲しむ美空から波佐見真一(はさみ・しんいち)に面会の申し出があり、波佐見は彼女のために二人の...
天ツ国人を見下し圧倒的な物量で攻勢をしかけるレヴァーム海軍司令長官のヴィルヘルム・バルドーに対して、千々石たち「音無航空隊」はすくない人員で善戦をつづけます。その後、千々石と会えないことを悲しむ美空から波佐見真一(はさみ・しんいち)に面会の申し出があり、波佐見は彼女のために二人の仲をとりもつことになります。 一方で、海猫によって千々石の同僚たちは戦死し、バルドーが千々石の希望にこたえて海猫との決戦の舞台が用意されたことで、戦いの舞台にみずからの身をささげるという千々石の決意はかたまります。 戦闘シーンにかんしてはわたくしには批評する能力はありませんが、千々石と美空の恋愛描写については、ライトノベルらしく仕上げられているように感じました。ただ、個人的な意見をつけ加えるならば、最後のシーンで新しい命に特定の意味づけをあたえることにはすこし戸惑いをおぼえてしまうところもあります。
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殺し過ぎ、殺され過ぎで、戦時中の話だから仕方ないのかもしれないけれど、戦闘のロマンも含め、これを楽しんだり格好良いとして読むことに違和感があった。最後のまとめ方にも肯定しているみたいでモヤッとしてしまうのは、でも、史実を元にしていると思われる辺り、わたしの受け取り方が間違っている...
殺し過ぎ、殺され過ぎで、戦時中の話だから仕方ないのかもしれないけれど、戦闘のロマンも含め、これを楽しんだり格好良いとして読むことに違和感があった。最後のまとめ方にも肯定しているみたいでモヤッとしてしまうのは、でも、史実を元にしていると思われる辺り、わたしの受け取り方が間違っているのかなと更にモヤッとする。魔犬vs海猫の部分だけは生死を懸けているのを少し忘れられて、一対一の誇りの勝負として抵抗も薄くて、読み易く、森博嗣さんのスカイクロラシリーズを連想したりした。
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本作を創作と呼ぶのは躊躇。 また、シャルルって本作のような性格だったかという違和感、ストーリー展開とそれに付随する登場人物の性格描写が型どおり。 余りに唐突かつ?だらけの戦争終結展開に加え、そもそも、戦争期の、ある個人の体験と心裡を描写展開していく作品に、敵国家の意思決定如何は必要とは思えない等々…。 男しか出ない物語は全然問題ないんだけどなぁ…。とまぁ、その点はおいても、ベタベタな戦記モノ(というより特攻ベースのお涙頂戴モノ)は、子供の頃と違い、個人的にはもう全く楽しめないんだなぁということを思い知らされた。
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空にしか生きられない男たちの物語。 今私たちが平和に暮らしていけるのは昔の人たちが戦争で辛い思いをしたから。 私たちに同じ思いをさせまいと世界を変えてくれたから。 この物語はフィクションだけど、そんなことを思い出させてくれた。
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一人の飛空士が戦況を一変させる…というのはファンタジーに近い話なんだろうけど、良かったです。 戦争は二度と起こってほしくないし、あって良かったとはちっとも思えないけど、戦争を戦っていた人たちの思いは、もっと知っていなければならなかったのかな、と思いました。 大体聞くのは、こんな被...
一人の飛空士が戦況を一変させる…というのはファンタジーに近い話なんだろうけど、良かったです。 戦争は二度と起こってほしくないし、あって良かったとはちっとも思えないけど、戦争を戦っていた人たちの思いは、もっと知っていなければならなかったのかな、と思いました。 大体聞くのは、こんな被害にあった、こんなひどい目にあった…という話ばかりなので、戦争を戦った人がどんな思いでいたのかということを考えたことがなかったです。 普段ならば目を背けたくなるような話なのですが、その人たちの努力の上に今の生活があるのだと思うと、感謝していかなければならないことですよね。 …って、完全に過去の戦争のことを考えていますが、このお話自体は架空の世界の架空のお話です。 一人の飛空士の生き様…という言い方が本当に似合う。 何度も泣きそうになりました。 ホント、このシリーズにはうかうか通勤中には読めませんね(苦笑)。 「左捻り込み」の飛び方の軌道がイマイチわからない自分は、読解力がないなぁ…と思います…。
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大空で戦う勇者の物語。ひたすらストイックで格好いい男たちの物語です。ゆるいラノベに飽きた人に是非読んで欲しい。
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歴史に刻まれる礎とはこういうことだ。これを決して忘れてはならない。 歴史に偉大な名を残した千々石武夫。見事な生き様だった。かっこよかった。空の王だった。 この物語を、決して忘れてはならない。
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