25時のバカンス 市川春子作品集2(2) の商品レビュー
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「月の葬式」は蓮コラを思い出してぞわーってなったけど、3作どれも綺麗だと思った。一つのアイデアでどれだけ魅せるか?というタイプの作品はいろいろあるけど、これは良い方に属すると思う。
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前作は別れのせつなさが色濃く描かれていたが、この作品は再生がキーワードのように思う。人と「なにか」が出会い、共に生き、そして別れという物語に胸を締め付けられた前作を越え、さらにその先にある新たなはじまりが描かれているからだ。
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まだアフターヌーンを買っていた頃、 四季大賞になった「虫と歌」が面白くて覚えていました。 よもやこんなに人気になっているとは露知らず。 表題の短編がべらぼうに面白い。 間のとり方が絶妙です。 コマ割りの時間分節も上手いですが、 特にすごいと思ったのは、 登場人物の...
まだアフターヌーンを買っていた頃、 四季大賞になった「虫と歌」が面白くて覚えていました。 よもやこんなに人気になっているとは露知らず。 表題の短編がべらぼうに面白い。 間のとり方が絶妙です。 コマ割りの時間分節も上手いですが、 特にすごいと思ったのは、 登場人物の気持ちとセリフの間。 前編の最後のコマの 「もっと調べなさい」というセリフは、 繊細なタッチと相俟って、 心情が匂い立つような表現で素晴らしいです。 こういう言葉と心の距離感は、 女性作家のほうが断然上手いんですよね。 あとわたしなりの解釈ですが、 この短編のタイトルの「25時」というのは、 「未来の生命」を表しているのだと思います。 宇宙や地球の歴史を24時間で表すみたいなのありますよね。 人類の誕生は23時59分50何秒とか。 そういう文脈で「25時」に「未来」という意味を乗っけているのかなと。 一冊通しての印象は、 一貫してフラジャイルな(壊れやすい)関係やモノ・人を描いている人だということ。 特に、 壊れていくあるいは溶けていくグロテスクな身体に、 異常なまでのエロティシズムを感じさせる描写は、 手塚治虫的な感性を感じます。 たぶんそういうのにエロスを感じる人なんでしょうね。 本棚から引っ張りだして読んだ、 四季大賞の「虫と歌」も同じテーマでしたから。 気持ち悪いという人が多い気のする作家ですな。 でも、かなりおすすめ。
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もののあはれにきゅんとする。かわいげのない天才科学者が手を繋がれてしゅんと顔を赤らめる、萌える。「あなたのためだったらどうなったっていいの」的な古風な乙女心を極限環境微生物に煽られたら誰だってどうなってもよくなってときめくし、純愛いいね。しかも姉弟、女同士、男同士と許容範囲が広い設定だからRomanticが止まらなくなるよ。だからといって地球を水没させたり月を破壊したりなんて・・・ その大胆さ、もしかしたら著者に占星術の素養があるからかもと思った。 完璧な人間であるというのは不自由で、愛が欠落していて、三つの短編の主人公は美の前提となっていたものを贈与して、肉体が自力で活動できないほど崩壊した瞬間に究極の愛に辿りつく、このフェティズムの儚さの、愛の証拠。それをみつめる愛を託された者の勇気、頗る美しい眼差し。
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絵が綺麗。 白黒で色はなくとも、カラフルな絵が頭の中で鮮明に描かれる。 特異な設定だが、穏やかな輪郭を帯びていく時間の流れに沿って 読み手にゆっくりと染みこんでくる。 それが心地よいと感じた瞬間にふわっと泡が弾けるように 物語が終わる。 結末がどうであれ、極上の瞬間を味わえ...
絵が綺麗。 白黒で色はなくとも、カラフルな絵が頭の中で鮮明に描かれる。 特異な設定だが、穏やかな輪郭を帯びていく時間の流れに沿って 読み手にゆっくりと染みこんでくる。 それが心地よいと感じた瞬間にふわっと泡が弾けるように 物語が終わる。 結末がどうであれ、極上の瞬間を味わえる数少ない作品です。
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初めて市川春子さんのマンガを読みました。マンガ大賞5位だったからという、単純な理由で読んでみました。世界観がすごいです。自分の読解力のなさもあるのですが、難しかった。そして、少しこわかった。なんか、世界の虚無感を知らぬ間に感じさせられてしまう。でも、少し優しさも同時に感じさせる。...
初めて市川春子さんのマンガを読みました。マンガ大賞5位だったからという、単純な理由で読んでみました。世界観がすごいです。自分の読解力のなさもあるのですが、難しかった。そして、少しこわかった。なんか、世界の虚無感を知らぬ間に感じさせられてしまう。でも、少し優しさも同時に感じさせる。とはいえ、虚無感のほうが自分にとっては圧倒的に強い。
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短編3つ。 タイトルになっている言葉がどれもきれいで好き。SF的な要素も多く、説明が多いと感じる場面もあるが、絵柄から出る独特の雰囲気で一気に読ませてしまう力があると思う。 『月の葬式』がこの巻では一番好き。皮膚がはがれ落ちていくという設定にぞっとしながらも、主人公と間の関係の移りが丁寧に書かれていて入り込んで読むことが出来た。
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不思議な読み味の漫画だなあ。SFの風味もあって。市川春子ってそんなに年いっていないようなんだけれど、なんだか萩尾望都や竹宮恵子を読んでいるような懐かしい匂いがする。ちょっと好きだな、この漫画。
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何なんでしょうね、この人の作品は。 読めば読む程に深く、世界が彩づき、引き込まれて止まない。柄トーンなんて使ってないんですよ、普通のパーセンテージのトーンとベタ。なのにそれに気付くのは集中力切れた時か、読んで読んで物語が終わった時なんですよね。色が、世界が見える作品です。難しいと...
何なんでしょうね、この人の作品は。 読めば読む程に深く、世界が彩づき、引き込まれて止まない。柄トーンなんて使ってないんですよ、普通のパーセンテージのトーンとベタ。なのにそれに気付くのは集中力切れた時か、読んで読んで物語が終わった時なんですよね。色が、世界が見える作品です。難しいと思う人もいるかもしれないけど何度でも読み返して欲しい。きっと口では説明出来ないこの世界の中に入り込んでいるハズ… 私的には月の葬式が好き。でも一番は作品集1の方の日下兄妹。愛しい作品。
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表題作は素晴らしかった しかし話の展開が各々似ているところも感じられ、 飽きられないか不安になる 次回作は期待!
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