聖書男 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
母上が以前読んでいて面白いわよ~と言っていたのを思い出して読んだ(母上は原書だったけど)。「未成年」の次にこれかよ、というのはあるけれど。 アメリカンなノリのネタ本かと思いきや、かなり勉強して真面目に真剣に聖書と向き合っているので非常に勉強にもなったし楽しめた。ベストセラー作家の牧師が自分の言葉を商標登録するのにむかついて「イエスやモーセがそんなことしただろうか。『もう一方のほおをも向けなさい』®とか、『わたしの民を去らせよ』™とか」と言うのは笑った。 月日が過ぎるにつれて精神的にも影響を受けているのがはっきりしてきてますます引き込まれる。引用されている書籍も面白そうなのが多くて、読みたい本が増えてしまって困るな。 いろんな信仰・信条を持つ団体に実際会った上に議論してくるのがすごい。ゲイの福音派とか、サマリア人とか、混紡を見分けるサービスとかそんな人たちもいるのか!という驚き。 「殴り合いの最中、相手の妻に大事なところをつかまれたら、その手を切り落とさなきゃいけない」あったな、そんな律法……などと懐かしくなる。今回の実験にはあまり関わりない内容だけど、雅歌が好きなので言及されてて嬉しかった。乳房は小鹿とかぶどうの房とか塔のようだとか言ったり、訳分からないけどおっぱい星人で素敵なのよね。 頭の中に「世俗的ジャーナリストのぼく」と「聖書的分身ヤコブ」がいるというの、なんかわかるな~と思ってしまう。きっとこの本に出てくる信仰者の人たちだってそのはずだ。主導権争いをする二つの頭、二組の目、二つの倫理基準。 創造論の受け取り方とか、「神を信じる」スタンスの話とか、同性愛への姿勢とか、 この本の中でもいろいろな考え方があって、いろんな人たちがいろんな聖書の読み方をしていろんなことを言うしやってる。ゲイのラビ(!)、グリーンバーグの話がとてもいいなと思った。聖書全体が神と人との関係を築くもの。当事者二人がつねに、相互に働きかけるもの。自分の行動を絶対、聖書のせいにしてはいけない。 それを受けて著者も「信仰心を理由に、選ぶ責任を放棄していいわけじゃない。聖書とがっぷり四つに組まなくちゃならない」と言うわけだけど、聖書を自分がどう受け取るか、どう現実に処理するか、それを神との相互コミュニケーションと位置付けるのは非常に面白い。確かに、そうなんだよな。私はこう読んで、こうします、という意思表示。 素直にもっと勉強しなくちゃと思った一冊。
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十戒に従う 産んで増え 隣人を愛す 収入の十分の一の捧げ物をする 嘘をつかない 悪口・噂話をしない 混紡の服を着ない 姦淫の罪を犯したものを石打ちにする 毎月初めに角笛を吹く 生理中の女性に触れてはいけない 植えてから5年経っていない木の実は食べてはいけない などなど 現代N...
十戒に従う 産んで増え 隣人を愛す 収入の十分の一の捧げ物をする 嘘をつかない 悪口・噂話をしない 混紡の服を着ない 姦淫の罪を犯したものを石打ちにする 毎月初めに角笛を吹く 生理中の女性に触れてはいけない 植えてから5年経っていない木の実は食べてはいけない などなど 現代NYで、聖書の教えに忠実に暮らそうと思ったらどんなことになるか…。 “ユダヤ人とは名ばかりの”“信仰心のかけらもない”著者が、それを実行した1年間の記録である。 私自身は、カトリックのミサに通って、神の存在を実感できるようになったか?というと、NO。 逆に、キリスト教に否定的な印象を持つようになってしまった。それでも、当時の神父様のことは大好きで、それはこの本にもあった“道徳的指導者”という見方をしているからなのだろう。 聖書や教会や宗教との関わり方として、それもありなのだなぁと、この本を読んで思えた
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【由来】 ・最初はLifeHacking.jpでの紹介。 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】
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特に信仰に熱心でない、ニューヨーカー(ユダヤ系)が一年間、聖書の教えに従う生活を実行した内容をまとめたノンフィクション。 600ページ以上あって分量は多いけど、ユーモアたっぷりで読みやすい。 旧約聖書には、ちょっと意味が分からない戒律が多くて、作者がそれをどうこなしていくか...
特に信仰に熱心でない、ニューヨーカー(ユダヤ系)が一年間、聖書の教えに従う生活を実行した内容をまとめたノンフィクション。 600ページ以上あって分量は多いけど、ユーモアたっぷりで読みやすい。 旧約聖書には、ちょっと意味が分からない戒律が多くて、作者がそれをどうこなしていくかが見どころ。 例えば、日曜日に働いてる人には罰を与えなければならないし、生理中の女性には触れてはいけないのだ。 聖書になじみのない僕には、聖書の内容だったり、現代のアメリカ人がどのようにキリスト教に向き合っているかの勉強になった。
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作者が不可知論者であるということが大切。そして、次回作でもあるように彼のプライベートがかなり、プロジェクトに入り込んでくるところが、また感慨深い。 読む価値ありと思ったのは、同性愛に関するキリスト教の考えの講釈。 男尊女卑や敗戦者に対する扱いという現代と相容れない価値観がベースに...
作者が不可知論者であるということが大切。そして、次回作でもあるように彼のプライベートがかなり、プロジェクトに入り込んでくるところが、また感慨深い。 読む価値ありと思ったのは、同性愛に関するキリスト教の考えの講釈。 男尊女卑や敗戦者に対する扱いという現代と相容れない価値観がベースになっているため。 カフェテリア宗教でもかまわない。聖書を字義解釈するって想像以上に大変です。
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[爾、この試み笑うべからず]仕事好きで潔癖性、さらには信仰心のかけらも持たない著者が、聖書に書かれた記述に即してニューヨークで生活をしたらどうなるか......そんなとんでもない不謹慎(?)な挑戦の経過とその結果 について 記録した作品です。著者は、『驚異の百科事典男』など、実験...
[爾、この試み笑うべからず]仕事好きで潔癖性、さらには信仰心のかけらも持たない著者が、聖書に書かれた記述に即してニューヨークで生活をしたらどうなるか......そんなとんでもない不謹慎(?)な挑戦の経過とその結果 について 記録した作品です。著者は、『驚異の百科事典男』など、実験型ジャーナリズムとも呼べる作品を世に送り出しているA.J.ジェイコブス。訳者は、本書で聖書について知らなかったことが非常に多かったと振り返る阪田由美子。原題は、『The Year of Living Biblically -One Man's Humble Quest to Follow the Bible as Literally as Possible-』。 とんでもない条件を 提示している時点で興味深く、そして面白くなるのは保証済みなんですが、その条件をとんでもない人物(=著者(失礼?))に当てはめているんですから、輪をかけてズバ抜けた作品に仕上がっています。下記に抜粋した思わず笑ってしまうトラブルを始めとして、魅力的なエピソードが散りばめられており、分厚い一冊ですがあっという間に読み終えてしまいました。 ただ、いわゆるアイデア勝負の「ネタ本 」に終わっていないところも、『驚異の百科事典男』と同様に高く評価できると思います。著者なりに試行錯誤を続けた末に導きだした聖書や宗教をめぐる結論には「なるほど」と思わせる説得力がありましたし、聖書に慣れ親しんでいない私にとっては、一風変わったアメリカにおけるそれや宗教の紹介書にもなってくれました。 〜「聖書のきまりを守って生きようとしてるんです。十戒とか、姦淫する者を石打ちにするとか……」 「浮気してるやつに石をぶつけようってのか」 「ええ、そうです」 「おれは浮気してるぞ」〜 この生活を体験したいかは別の話ですが......☆5つ
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聖書の知識があった方が楽しめるかなぁ。 日記形式なせいもあり、ちょっと冗長化もしれないが。実体験ベースだという感じはこちらの形式のほうがしっかり出るかな。
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ユダヤ教、キリスト教を始め様々な信条の人々が登場し、アメリカの宗教模様が垣間見れる本。500以上もある注釈が面白く、現地の文化や生活感が伝わってくる。 制約があればこそ、感謝の気持ちが生まれるものか。
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面白いだけじゃなくて、ためになる。宗教(キリスト教とユダヤ教)を通してアメリカという国を垣間見ることが出来る。
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実際の聖書並みの分厚さを誇る『聖書男』。あまり信心深くないことを自認する筆者がなんと、現代のNYで1年間、出来るだけ新旧約聖書の教えを実践していくというなんともハチャメチャな企画を記録したものです。 筆者は雑誌『エスクァイア』の編集者兼ライターです。前作でブリタニカの百科事典を...
実際の聖書並みの分厚さを誇る『聖書男』。あまり信心深くないことを自認する筆者がなんと、現代のNYで1年間、出来るだけ新旧約聖書の教えを実践していくというなんともハチャメチャな企画を記録したものです。 筆者は雑誌『エスクァイア』の編集者兼ライターです。前作でブリタニカの百科事典を全巻読破したあとの次の挑戦はなんと、現代のニュー・ヨークで新旧約聖書の教えを出来るだけ『文字通りに』1年間実践してみるというなんともブッ飛びの企画でした。 しかし、筆者自身はあまり信心深い人間ではなく、そういったところが、読者の共感を呼んだのかもしれません。僕はちなみのこの本を入手したとき本物の聖書並みの分厚さに『マジかよ…』と思ってしまったことをここに記しておきます。まずは聖書の中から700あまりを書き出してリストアップし、守るべきことを列挙していきます。 はじめの8ヶ月は旧約聖書の戒律にのっとって暮らし、あとの4ヶ月は新約聖書のそれでくらすという設定で行ったのだそうです。僕はこれを見るまで知りませんが、聖書が現在に至るまで多種多様な解釈があり、筆者が様々な方に教えを乞い、生活をする中で軌道修正をしていく過程が筆者独自のユーモア溢れる筆致で綴られており、『長い旅路』も面白く歩んでいくことが出来ました。 『二種類以上の糸で編まれた服を着ない』 『生理中の妻との接触を避ける』 『神を知らぬものと対峙する』 等のことを1日ごとにクロニクルとして記され、その章ごとには詳細な注釈が添付されており、その辺もとても参考になりました。彼自身が聖書の教えを実行に移すのは彼の妻をはじめとする様々な『隣人』にも少なからず影響を与えるわけで…。宗教生活を実践していない彼の妻や、彼の住んでいるアパートの住人との関係性も非常に面白く、見所のひとつになっていると思います。 最後の日に、筆者は伸びに伸びた自らのひげをそり、昔の恋人から借りっぱなしにしていた聖書を郵便局を経由して帰すところで終わっているのですが、これがなんとも鮮やかなラストでした。彼の挑戦をバカバカしいと捉えるのか?それとも別な捉え方をするかで、本書の価値はくっきりと分かれてしまいますが、少なくとも僕は本書を通して聖書というものの新しい『見方』を教わったような気がしてならないので、読んでよかったと心から言えるのでございます。
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