エージェント6(上) の商品レビュー
チャイルド44、グラール57に続くシリーズ。今回もロシアの秘密警察で活躍してたレオが主人公。 今回はロシアだけでなく、アメリカも舞台に、冷戦期のヒリつく雰囲気が感じられて良い。 上巻は実は半分位まで物語が進まなくて結構面白くないけれども、途中から盛り上がって良い感じ。
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その標榜するところが、 自由と平和にしろ、社会主義にしろ、 一旦、国家がその思惑を強行しようとする時、 個人の命や尊厳は一顧だにされない。 前半のロシアとアメリカの、 そのめくるめく偽りと裏切りの攻防は、 犠牲者を締めあげながら、牙をむく二匹の蛇がからみあっているようだった。 ...
その標榜するところが、 自由と平和にしろ、社会主義にしろ、 一旦、国家がその思惑を強行しようとする時、 個人の命や尊厳は一顧だにされない。 前半のロシアとアメリカの、 そのめくるめく偽りと裏切りの攻防は、 犠牲者を締めあげながら、牙をむく二匹の蛇がからみあっているようだった。 しかも二匹に見えて、 実のところ胴体は一つと言っても良いほど、 その本質的な暴力性は同じだ、というメッセージを受け取ったのは私だけだろうか。 この前半の展開は、めまいがするほど面白かったのだが、 その結末は受け入れがたいほど、悲劇的だった。 非常に残念。 (下巻に続く)
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レオ・デミドフ捜査官シリーズ最終章。 kのT.Rスミスさんの著書はぶっ飛んでて、いつ死んでもおかしくない状況が次から次へと舞い込んでくるのが常ですが、この上巻はそんなことなく。ちょっと拍子抜け。 内容はグラーグ57から何年か後の話。 レオの妻ライーサは教育界で地位を得て、アメリ...
レオ・デミドフ捜査官シリーズ最終章。 kのT.Rスミスさんの著書はぶっ飛んでて、いつ死んでもおかしくない状況が次から次へと舞い込んでくるのが常ですが、この上巻はそんなことなく。ちょっと拍子抜け。 内容はグラーグ57から何年か後の話。 レオの妻ライーサは教育界で地位を得て、アメリカとの親善事業のため娘二人とニューヨークへ渡る。 一方レオは同行を許されず、不安を抱えたままモスクワに残る。 親善事業自体は大成功に終わるが、そこで悲惨な事件が。 章の最後は国境を越えようとしたレオが逮捕されるとこで終わります。
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※このレビューにはネタバレを含みます
『チャイルド44』『グラーグ57』に続くシリーズ三作目にして完結編。 秘密警察を辞め、工場長に転職したレオ。妻のライーサは教師として評価を受けており、ニューヨークで行なわれる親善の為のコンサートを引率することになる。コンサートに不穏なものを感じたレオは、ライーサにニューヨークには行かないように、行くなら自分も同行すると言うが、前職の事情もあり叶わない。ニューヨークに旅立ったライーサ達のコンサートは成功するが、国連本部前でのデモに巻き込まれた形でライーサは命を落とす。娘のエレナはそのデモに関わっていたが、彼女も真実を知らぬまま帰国、その後家族は離れ離れになり、レオはライーサの死の真実を突き止めるため亡命を企てるも失敗。アフガニスタンで秘密警察顧問として無為な毎日を送る。やがてレオの前に訪れる最後のチャンス。CIAとの取引を経てアメリカに亡命したレオが見た真実とは? 上・下巻読了。 大きな喪失と救済、ラストに至るまでの派手な筋立ては、三部作の最後を飾るに相応しい。だが、なんか面白くなかった。冗長というか、こんな長くなくてももっとすっきり面白く出来るんじゃないか。確かにどれも欠くべからざるエピソードなのかもしれないが、登場人物がまとまらずぶつ切りの印象が強い。伏線と言うよりは、起こった問題を放り出して次に行ってしまうような感じ。翻訳も何だか読みづらかった。そしてタイトルの『エージェント6』に至っては、タイトルに持って来るほどの重要性が感じられなかった。ちらちらと見え隠れしていた影に、終盤でやっと辿り着くとかって展開なら分かるのだが。せめてエレナが日記に登場する人物を数字で表記するというのだけでも、もっと前に出すべきだった。Amazonのレビューではかなり評価が高いのだが、何か読み方間違えたかと思うほどに、私には合わなかった。と言うか誰もナラについて触れてないのはあまり好かれるタイプのキャラじゃないからか。 そういやレオって前作でパン屋になろうかなとか言ってなかったっけ。
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トム・ロブ・スミスは、すごい。『チャイルド44』『グラーグ57』に続いて本書『エージェント6』の三作だけで世界を席巻した作家である。冷戦下のソヴィエト、主人公は秘密警察捜査官レオ・デミトフ。一作、一作を完結して読むことができる。全部接続して読めば、冒険小説界において他の追随を許...
トム・ロブ・スミスは、すごい。『チャイルド44』『グラーグ57』に続いて本書『エージェント6』の三作だけで世界を席巻した作家である。冷戦下のソヴィエト、主人公は秘密警察捜査官レオ・デミトフ。一作、一作を完結して読むことができる。全部接続して読めば、冒険小説界において他の追随を許さない波乱万丈な生涯を読み取ることができる。三作を通して通ずるメインテーマは、妻ライーサとの出会い・恋愛・結婚であり、二人の間にできた子供たちとの家族作りである。 家族を営むのに、彼のような職業であれば、それは命懸けということを意味する。裏切りと政変により、命がいくつあっても足りないような粛清の嵐のさなかにありながら、国の運命を決するような最前線で仕事を続けねばならぬ彼の毎日は、自己矛盾に苛まれつつも組織の中で生き残るための死闘と言ってもいい非日常性でしかなかった。すべての作品を通じて通底するテーマは、家族への愛に尽きる物語だった。 本書はその三部作の完結編である。実は上巻だけでも、一冊の大作のようにまたもスケールの大きな物語である。捜査官時代に知人となったジェシー・オースティンという左派であり黒人である歌手の暗殺の気配がする中、友好使節団の団員として参加する妻子たちの身に待ち受ける波乱の運命。背景に見え隠れする国家間の謀略。 上巻で起こった事件の解決をすることだけを望むレオだったが、渡米を禁じられるばかりか、下巻では、アフガニスタン紛争の渦中、アフガン秘密警察教官として、過去の経験を買われ出動。FBIの思惑とソヴィエトの参入により、揺れ動く世界を背景にして、最大のクライマックスに突入する物語のスケールたるや、もはや新人作家とも言えぬ巨匠の顔さえ見せるトム・ロブ・スミスの豪腕と、恵まれた感受性、繊細さが奏でる協奏曲が乾いた台地に響き渡る。 ネタに触れたくないので、その苛烈な下巻の内容を語ることはしたくないが、ラストのラストまで裏切りとどんでん返しに満ちた謀略の深さと、時代の影を暗躍する悪の論理に、愛と生存を賭けたレオという個がどこまで立ち向かえるか、手に汗握る展開はこれまで通り。絶体絶命のピンチをスコールのように浴びながら生き延び、勝ち残ってゆく彼の最後のサバイバル魂にまさに乾杯と言いたい巨篇がここに幕を閉じる。
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1304 レオシリーズ完結編。ソビエトを出て舞台はアメリカへ!お馴染みの暗さでどんどん話は進みます。
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トム・ロブ・スミスの「エージェント6」を一気に読みました。 この一週間、「グラーグ57」から読み続けました。いやー、世界にはすごい作家がいるものだなーとあらためて感動しました。で、気に入ったフレーズを1つ紹介。『ファハドはすぐに厨房に向かった。彼がまるでその食堂の唯一のウェイター...
トム・ロブ・スミスの「エージェント6」を一気に読みました。 この一週間、「グラーグ57」から読み続けました。いやー、世界にはすごい作家がいるものだなーとあらためて感動しました。で、気に入ったフレーズを1つ紹介。『ファハドはすぐに厨房に向かった。彼がまるでその食堂の唯一のウェイターであるかのように、ゴキブリがその足元を走り過ぎた。』
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トム・ロブ スミス「エージェント6」読了。「チャイルド44」「グラーグ57」で、悲惨な体験を科せられたレオ君。三部作の最終巻の本作でも可哀想‥手加減なし‥
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チャイルト44・グラーク57に続くレオ・デミドフ3部作の3作目 秘密警察を辞し、二人の娘と妻と暮らしていたレオだったが ある時妻と娘達は友好使節団としてニューヨークでコンサートをすることになる 不安を抱きつつ見送るレオであったが・・・ 上巻では比較的淡々と起きた出来事が書かれて...
チャイルト44・グラーク57に続くレオ・デミドフ3部作の3作目 秘密警察を辞し、二人の娘と妻と暮らしていたレオだったが ある時妻と娘達は友好使節団としてニューヨークでコンサートをすることになる 不安を抱きつつ見送るレオであったが・・・ 上巻では比較的淡々と起きた出来事が書かれているので 退屈になってしまう人もいるかもしれないが 自分としては世界に引き込まれたので退屈には感じなかった 下巻ではレオの物語の舞台は ロシアから飛びアフガニスタン、そしてニューヨークへと拡がっていく・・・ 読む場合は1作目であるチャイルド44から見ることをお勧めします
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