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レヴィナスと愛の現象学 の商品レビュー

3.8

23件のお客様レビュー

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2023/07/07

内田樹さんのレヴィナスとの出会いの語りがおもしろい。 本当に、レヴィナスをきっかけに、その人の表情や語り口を感覚でとらえようとするようになった、みたい。そうなったのが実際に会って話したときだというのだから、本当にそう!!!!!そういうのだよね!!!!!と勝手に思った。  私にとっ...

内田樹さんのレヴィナスとの出会いの語りがおもしろい。 本当に、レヴィナスをきっかけに、その人の表情や語り口を感覚でとらえようとするようになった、みたい。そうなったのが実際に会って話したときだというのだから、本当にそう!!!!!そういうのだよね!!!!!と勝手に思った。  私にとってその他者性の感覚は、レヴィナスによってもたらされるものではなかった。ある人からの徹底的な拒絶と訴えの表情、そして私に真正面から向かってくれた別の人のことを、心から尊敬して「今の私にはない、そして知りえない壮大な何かを持っている」「この人になら、命がけの跳躍をしてもいい」とおもったときだった。レヴィナスについて知った時、まさにその感覚のことが書いてあって「やっぱ先に言ってる人いたわ」と思った。(本当にレヴィナスについてはじめに知ったのは、拒絶の人のあとで、私には絶対に納まることのない「絶対的な他」がある、と思ったタイミングだったけど)。 ただし、レヴィナスについて調べていくと、この人は私には知りえない切実さで「他者の顔」について語っているのだと思った。密度がすごい。考えに考え抜いて、なんとか相手の内側に訴えかけようと、血を滲ませた、どこまでもやさしい言葉だ。念を送ってるよ。念力。

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2022/06/27

師レヴィナスに捧げられた本。 内田樹の地肉となった数々の文章たち。噛み砕くように、我がものを披歴するように、具に開示してくれている。 書かれていることは一読しただけでは腑に落ちない。 原著を相当程度平易に届けてくれているのだろうけど、それをきちんと受け止められる器がまだ自分にはな...

師レヴィナスに捧げられた本。 内田樹の地肉となった数々の文章たち。噛み砕くように、我がものを披歴するように、具に開示してくれている。 書かれていることは一読しただけでは腑に落ちない。 原著を相当程度平易に届けてくれているのだろうけど、それをきちんと受け止められる器がまだ自分にはないと感じる。 当書の再読、そしていつか原著にもあたってみたい。

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2022/01/22

ボーボワールとの対比を中心にどちらも批判的に論じてはいるが不全感残る 他者との出会いで私とは男性である 女性は歓待の最たるもの、歓待それ自身  世界を居心地の良い家に帰る女性に出会って住みつきを果たす 性差の差異化と独立した全体性 誰かが他者のために場所を空けて慎み深く姿を隠す ...

ボーボワールとの対比を中心にどちらも批判的に論じてはいるが不全感残る 他者との出会いで私とは男性である 女性は歓待の最たるもの、歓待それ自身  世界を居心地の良い家に帰る女性に出会って住みつきを果たす 性差の差異化と独立した全体性 誰かが他者のために場所を空けて慎み深く姿を隠す 場所を空ける機能は女性 その収縮によってできた空隙を満たす機能を男性 言語の性化 女性が主体として語る言語 戦争 全体性に属しないにもかかわらず関係を結ぶことを求めている二者間の緊張状態 あらゆる支配から逃れる存在者のみを狙う 人間的公正は法理的公正に優先する ユダヤの選民思想

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2021/10/25

すごかった。個人的にはフッサール批判による、フッサールの他者とレヴィナスの他者の違いの表現にしびれた。

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2019/01/11

初・内田樹。 レヴィナスを通して、生の深淵に触れる。倫理を問う。 師弟論、書物、女性論(続く有責性の議論も)が特にいい。 「マルクス主義は十分にマルクス的だろうか?」 釈氏のあとがき、「カノンを持つ人生」もよい。

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2018/08/03

最近よく読む内田樹氏が師と仰ぐレヴィナスの哲学について、内田氏が弟子の立場で語るもの。レヴィナスの主張の内容より、面白い人ってどういう視点で師匠を選ぶのかがわかり興味深い。師の知識は無限であり弟子はその香りをちょっと嗅ぐ程度とか、大洋の一滴を掬うようなものという感覚はなるほどと思...

最近よく読む内田樹氏が師と仰ぐレヴィナスの哲学について、内田氏が弟子の立場で語るもの。レヴィナスの主張の内容より、面白い人ってどういう視点で師匠を選ぶのかがわかり興味深い。師の知識は無限であり弟子はその香りをちょっと嗅ぐ程度とか、大洋の一滴を掬うようなものという感覚はなるほどと思う。レヴィナスの主張を理解(と言ってもかなり難解だが)しつつ、自由や男女平等についても学べる良書。

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2016/08/16

解説書? としては十分に難解だった。 でと、なんとなくつかめてきた気もする。 弟子と自称する内田樹さんの始まり方も良かった。 安息日には文字を書かない敬虔なレヴィナスのこぼれ話も可愛かった。 内田さんの本はもう少し読んでみようと思う。 まぁ、まずは、レヴィナスの『実存から実存...

解説書? としては十分に難解だった。 でと、なんとなくつかめてきた気もする。 弟子と自称する内田樹さんの始まり方も良かった。 安息日には文字を書かない敬虔なレヴィナスのこぼれ話も可愛かった。 内田さんの本はもう少し読んでみようと思う。 まぁ、まずは、レヴィナスの『実存から実存者へ』を読もうと思う。 2016.8.16.

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2015/08/05

第1章。自己の不能は、世界を俯瞰する視座を持たなければ自覚できない、それが「師」を持つことの意味。タルムード解釈では、見解の一致よりも、それぞれの章句からどれほど多様な意味を引き出しうるかが重視される。自己の不能を自覚する時、「他者」が私の前に現れる。「全体性を志向する主体のモデ...

第1章。自己の不能は、世界を俯瞰する視座を持たなければ自覚できない、それが「師」を持つことの意味。タルムード解釈では、見解の一致よりも、それぞれの章句からどれほど多様な意味を引き出しうるかが重視される。自己の不能を自覚する時、「他者」が私の前に現れる。「全体性を志向する主体のモデルがオデュッセウスであるとすれば、無限を志向する主体のモデルはアブラハムに求められる(87頁)」。 第2章。フッサールの現象学は、対象よりも意味という観念に優位性を与えたことにより、意味を持つが対象として十全には把持できないないもの、すなわち「他者」についての厳密な学となり得る可能性があった。フッサールは「見る」という事例(リンゴの木、さいころ)に即して対象認識を論じるが、レヴィナスは、「見る」という動作によってはほとんどその関係を記述したことにならないような対象(愛される人、書物)を、現象学的考察の主題にすえる(155頁)。「神を表象してはならない。「自分のために」偶像を作るとは、視覚を中心として、世界を整序することである(162頁)。フッサールの「他我」とレヴィナスの「他者」の違い。 第3章。「「あなたは私以上に倫理的であるべきだ」という言葉ほど非倫理的な言葉はこの世に存在しない。倫理性と主体性は「私はあなたより先に、あなた以上に有責である」という宣言によってはじめて基礎づけられる(303頁)」。「倫理を基礎づけるのはこの「選び」の直観である。「私は特別の地位にあるという意識、選びの意識を抜きにしては、道徳的意識はありえない(315頁)」。 などなど、今まであまり触れたことのない、ユダヤ教的な発想をベースにした思想が新鮮だった。これらを念頭におくと、ユダヤ教の選民思想や偶像崇拝の否定に対する見方もかわってくる。

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2014/03/18

内田樹による内田樹を読んで、興味持った一冊です。果たして読破できるのでしょうか・・。 ここで短歌を一句 行間に 今日を支える 力持ち 見つけ出したら 足取り軽く

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2014/02/09

愛について真正面から考えるには歳をとりすぎたのかもしれないが、ここに書かれているアクロバティックな論理だけで充分に官能的だ。 たった1冊の紹介本を読んだだけではとても充分に理解できたとは思えないが、ここに書かれているレヴィナスの「顔」に関する文章を読んだとき、以前映画館で見たキシ...

愛について真正面から考えるには歳をとりすぎたのかもしれないが、ここに書かれているアクロバティックな論理だけで充分に官能的だ。 たった1冊の紹介本を読んだだけではとても充分に理解できたとは思えないが、ここに書かれているレヴィナスの「顔」に関する文章を読んだとき、以前映画館で見たキシロフフキーの「ある殺人に関する物語」「ある愛に関する物語」を思い出した。映画というものがスクリーンの向こう側のまなざしとの対面なのであればそれは顕現された「他者」そのものなのだと思う。

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