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レヴィナスと愛の現象学 の商品レビュー

3.8

23件のお客様レビュー

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2013/12/04

やっぱり難しい…でも分からないものほど面白い。 ーー知性とは「私は…を知っている」という知的達成の累積ではなく、「私は…について、不十分にしか知らない」という不能の語法を通じて錬磨される、そうレヴィナスは考えるのである。ーー

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2013/10/08

レヴィナスにそれほど興味があった訳ではないが、著者の教育論を読んだらめちゃめちゃ面白かったので、これも読んでみた。固いといえば固いが、それ以上に面白かった。 「人間の世界が成立するには——正義が, 裁きの場が成り立つためには——他の人々に対する有責性をおのれ一人の身に引き受ける...

レヴィナスにそれほど興味があった訳ではないが、著者の教育論を読んだらめちゃめちゃ面白かったので、これも読んでみた。固いといえば固いが、それ以上に面白かった。 「人間の世界が成立するには——正義が, 裁きの場が成り立つためには——他の人々に対する有責性をおのれ一人の身に引き受けることのできる誰かがいなければならない」 「自分のなしたこと以上の責任を負うという, この有責性の過剰が生起する場所が宇宙のどこかにあり得るということ, それがおそらく畢竟するところ, 『私』の定義なのである。」 この2行は私が最も好きな文である。直接の関わりのない他者に対する自身の有責性という概念は現代的な文脈では理解されがたいところだろう。しかし、特に近しい他者の死に直面した際に、自分自身が生かされていることに無条件に罪悪感を感じるという経験をした人は少なくないのではないだろうか。そういった状況から自身を救い出すためには、自分が何かを背負って生きているという思想を持つことが唯一の手段となるのかもしれない。ホロコーストでのユダヤ人達の死が、レヴィナスのこういった思想の背景にあるらしく、それを考えれば、とてもしっくり来る。

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2013/03/26

内田先生なので手に取りました。レヴィナスの著作は未読です。 先に謝っておかなければならないのですが、私にはこの本の内容を紹介できるだけの技量がないようです。付箋を貼ったページやメモを見返してみたのですが、この本がどんなことを言っていたか、うまく説明することができません。もう一度...

内田先生なので手に取りました。レヴィナスの著作は未読です。 先に謝っておかなければならないのですが、私にはこの本の内容を紹介できるだけの技量がないようです。付箋を貼ったページやメモを見返してみたのですが、この本がどんなことを言っていたか、うまく説明することができません。もう一度通読しなきゃいけないみたいです。 それでも、この本を読んで以来、私の中に残っている感想があります。それは、生きるということは、自分の周りのありとあらゆるものと「対話」することなのだ、という考えです。相手(それは人でも物でも世界でも何でもいいのですが)が理解の範疇を越えているとしても、なお「対話」をする。「対話」するということは、相手を否定することがなく、相手から何も奪うことがない。「対話」をすると、今までの自分とも相手とも違う、何か新しいものが弁証法的に生まれる。その繰りかえしが、生きるということである。 少々難解ですが、他者と相対するとは、また世界と相対するとはどういうことなのか、レヴィナスおよび内田哲学のエッセンスが詰まっている本のように感じました。

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2013/03/24

書物の表象不能性。受動性により基礎付けられる主体。陽の当たる場所から身を引くこと。代替不能の有責性。相互性の否定。

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2012/09/05

内田樹さんの師匠レヴィナスさんについての内田さんの本。主体は創発すすものだという主張だと思って読んだ。最近の私の流行における右脳と左脳の話は、男性と女性というメタファーで愛の現象学という部分で取り扱われていると思って読んだ。なんで思って読んだかって書くかっていうと、テキストは開か...

内田樹さんの師匠レヴィナスさんについての内田さんの本。主体は創発すすものだという主張だと思って読んだ。最近の私の流行における右脳と左脳の話は、男性と女性というメタファーで愛の現象学という部分で取り扱われていると思って読んだ。なんで思って読んだかって書くかっていうと、テキストは開かれているので誤読してよいから。(かな)。しかし、ローマ人の物語とかを読むと辺境の地にしか思われなかったフランスが、何故哲学とか文化とかの中心地になっていったのか非常に興味深い。やっぱフランス革命とかが効いているんですかね。世界史とか全然くわしくないのでわからないけど。今でも文科系女子には燦然たる位置を保つパリ。こういった本が、woody allenのパリの映画(名前忘れた)とかにもつながっているかと思うと感慨深い。

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2012/06/18

やっと読了。かなり難しい・・・師、他者については色々な著書を読んでいるためかなんとかついていくことができたけど、愛についてはさっぱりです。また読み返そう。

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2012/05/11
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※このレビューにはネタバレを含みます

ウチダ先生が師と仰ぐエマニュエル・レヴィナス。師の思想を解りやすく説く、というと論語のようなものだろうか。いつも「わかりやすい」のが持ち味のウチダ先生にして、「何を言ってるのかよく分からない」レヴィナスのテクストは、仰せの通り難解だった。自分の哲学的素養ではまだ何か解らないけれど、若き日の著者がそうだったように、「解らないけれど読まなくてはならない」ような気がした。ホロコースト・サヴァイヴァーであるユダヤ人で、タルムート学者でもあるレヴィナス。ユダヤ教について若干の知識はあるが、その深さ、複雑さは理解を遙かに超えていてまるで底が見えない。理解し得ないものは評価もできず。まだ自分がそこまで達していないということで、またひとまわりして戻ってこようと思う。

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2012/04/29

何度でも読んでも得られるものが必ずあるに違いないと確信した本。こんな素敵な人間になりたい。お会いしたいです。

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2012/01/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

先に断わっておくと、レヴィナス哲学については本書を読んでもさっぱりわからなかった。 でも、「文庫版あとがき」や「解説」にもあるとおり、ものごとへの立ち向かい方・姿勢は十二分に教わった気がする。 なんせ、全然わけのわからない350頁超の文庫本を、放り出さずに読み終えたのである。 そういえば、高校生の頃も、英語の師(勝手にあおいでいるだけ)が言っていることは全くわからなかったけれども、「なんだかこの人は英語の神髄を握っているような気がする」と勝手に思い込み師事し、ああでもないこうでもないと、師本人とは話すこともできず(片田舎の塾には映像配信しかない)、その言説・理論の解釈をめぐってひとり悶々と受験勉強をしていた。 おそらくこのレビューで言いたいことは、本書や他のレヴィナス本(樹氏によるものに限る)を読み通した人にしかわからないだろう。 死ぬまでには、そんな師に自分がなってみたいものだ。

Posted byブクログ

2011/11/12

 これだけさっぱりわからない本はひさしぶり。ヘーゲルの精神現象学を読んで以来か?  そもそも内田さんが、レヴィナスというユダヤ人の哲学者の分析を支持しつつ、それを批判する、ハイデッガー、フッサール、ボーボワールなどをまったく読んだことがないので、知らない思想と知らない思想の比...

 これだけさっぱりわからない本はひさしぶり。ヘーゲルの精神現象学を読んで以来か?  そもそも内田さんが、レヴィナスというユダヤ人の哲学者の分析を支持しつつ、それを批判する、ハイデッガー、フッサール、ボーボワールなどをまったく読んだことがないので、知らない思想と知らない思想の比較にはって、まったく歯がたたない。  それでも、内田さんらしくかみ砕いて説明しようとしている雰囲気は伝わった。  なんとなくわかった点。 ①フッサールの現象学は完結しているのに対して、レヴィナスは今後の議論、対話によって発展していく、広がりを持っていること。 ②レヴィナスがフェミニズムに対する批判的意図をもって、わざと刺激的な論点を示していること。 ③レヴィナスの論法は、ユダヤ教のラビが行う、議論に議論を重ねている論法をとっていること。  なんか、ものずごく難しい議論をしている世界があるということを知ったのは収穫か?やせ我慢的にいうと。

Posted byブクログ