茗荷谷の猫 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ちょっと甘めにつけて✩4。 高校生の頃、現代文の模試か何かで取り上げられたことから気になっていた一冊。 短編の中でも短めな小説が9本収録されている。どれも名もなき庶民が何かに熱中し、悩み、もがきながら一生懸命生きているストーリーで、話自体は面白かったが、毎回ここで終わり?という終わり方で少し未練がある状態で次に進む。 そして次の章に進めば進むほど前の章で出てきた人たちが次々に匂わせ程度で登場する(話題に上がる)ので、なんとなく彼らのその後が分かるような仕組みになっている。どことなく『世にも奇妙な物語』的な感じもあり。 当たり前の事だが、掘り起こそうとしない限り見えてこない、偉人でもなんでもない庶民一人一人の歴史が地層のように積み重なって、今の私たちに繋がっているということに、一種の感動のようなものを感じた。
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木内昇さんの作品を読んだのは、2作目です。少しづつ読み進めました。時代背景の異なる9篇ですが、それぞれの小説の中に、前の物語に関係する言葉(名前や家屋など)が出てきて、本をひっくり返して「もしや?」と思いつつ、読みました。読後に、しんみりと感じたり、涙を流すほど笑ってしまったり(...
木内昇さんの作品を読んだのは、2作目です。少しづつ読み進めました。時代背景の異なる9篇ですが、それぞれの小説の中に、前の物語に関係する言葉(名前や家屋など)が出てきて、本をひっくり返して「もしや?」と思いつつ、読みました。読後に、しんみりと感じたり、涙を流すほど笑ってしまったり(「隠れる」)色々な顔を持つ市井の人々が登場して、物語を紡いていました。また、もう一度、読み返してみたいと思う本です。
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好きだなぁこの本。 都内の場所と時代を変えながら、9編の話が綴られている。ところどころで繋がっている短編集。 「あ!あの人!」って思う瞬間が楽しい。1番好きなのは…選べないけれど、表題の「茗荷谷の猫」かな。それから、それと対になっているかのような「庄助さん」。「巣鴨染井」も良か...
好きだなぁこの本。 都内の場所と時代を変えながら、9編の話が綴られている。ところどころで繋がっている短編集。 「あ!あの人!」って思う瞬間が楽しい。1番好きなのは…選べないけれど、表題の「茗荷谷の猫」かな。それから、それと対になっているかのような「庄助さん」。「巣鴨染井」も良かったかな。 阿呆な登場人物が頑なに生きていたり(「黒焼道話」)、嫌われようと頑張るのに自分の考えとは真逆の結果になってしまう「隠れる」、どれもシュールで洒落の利いた話で、ちょっとゾクッとしてしまいそうな雰囲気を持ちながらも面白おかしかったり…。不思議なんだけど不思議じゃなくて、ドライな空気なのに温かくて、頭がこんがらがりそうだけど最後にはホッとしたりジーンとしたり、読んでいて飽きない、というよりも著者の手のひらで転がされてそうな、なんとも言えない物語。 読後感は悪くない。 なんとも形容しがたい1冊だった。
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徳造はお見事名花染井吉野をめっけた(造った)が、名は残さず。妻のお慶はそんな夫を無視し、「しくじった」と呟いてのち病死する。が、俊男の章で夫の功を認めていたとわかりほっこり。表題作は文枝を取り巻く事情が摩訶不思議。彼女が画風を変えんとする要因は緒方の誘導か、夫の死か。そもそも夫は...
徳造はお見事名花染井吉野をめっけた(造った)が、名は残さず。妻のお慶はそんな夫を無視し、「しくじった」と呟いてのち病死する。が、俊男の章で夫の功を認めていたとわかりほっこり。表題作は文枝を取り巻く事情が摩訶不思議。彼女が画風を変えんとする要因は緒方の誘導か、夫の死か。そもそも夫は本当に長久亭で見た男であり、浪曲師を志していたのか。最後、床下から舞い上がるあの黒い塊はなにを暗示しているるのか。戦前から戦後にかけて名声を求めずとも信念を抱き、かといってあっけなく消えていった者たち。ノスタルジックな文体が魅力。
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「てのひら」は、田舎から上京してきた母親がかつてのしっかり者から老いて弱々しくなった現実とのギャップに困惑し、辛く当たってしまった事を悔やむ様子に共感した。強くて大きな存在であった親が、支え無しでは危ういくらいに衰えているということは、子供とって簡単には受け入れられるものではない...
「てのひら」は、田舎から上京してきた母親がかつてのしっかり者から老いて弱々しくなった現実とのギャップに困惑し、辛く当たってしまった事を悔やむ様子に共感した。強くて大きな存在であった親が、支え無しでは危ういくらいに衰えているということは、子供とって簡単には受け入れられるものではない。つい苛立って強い言葉を投げてしまうが、相手はその強さに簡単に負けてしまう。そして自らの乱暴で心無い振る舞いを悔いて自己嫌悪を味わうことになる。改めて、悔いを残さない時間を積み重ねたいものだ。
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20250821 短編集のようだけどそれぞれのお話に少しずつ繋がりがあって、東京という場所の定点カメラでずーっと世の中を覗いているようなおもしろさでした。 特に後半からがわたしは好きでした。 「隠れる」は世にも奇妙な物語のようでした。隠れたい主人公の行動が裏目裏目にでてその様が...
20250821 短編集のようだけどそれぞれのお話に少しずつ繋がりがあって、東京という場所の定点カメラでずーっと世の中を覗いているようなおもしろさでした。 特に後半からがわたしは好きでした。 「隠れる」は世にも奇妙な物語のようでした。隠れたい主人公の行動が裏目裏目にでてその様がユーモラスでした。 「庄助さん」は、たった一言で現実に引き摺り出されました。切ないというかやるせない気持ちになります。 「スペインタイルの家」終わり方が心地よい。 (いわた書店の一万円選書にて)
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★3の上。 ブグログ界隈で大変評価の高い木内昇さん初読み。 なんだか格調高い。 文芸か? これ文芸なのか? 最初のうちは、えっ、そこで終わりですかという感じだった。 しかし、次第に短編同士がわずかに触れる。 味わい深く、薄味だけど、よく噛むと美味しい。 舞台は東京。時代は幕...
★3の上。 ブグログ界隈で大変評価の高い木内昇さん初読み。 なんだか格調高い。 文芸か? これ文芸なのか? 最初のうちは、えっ、そこで終わりですかという感じだった。 しかし、次第に短編同士がわずかに触れる。 味わい深く、薄味だけど、よく噛むと美味しい。 舞台は東京。時代は幕末から昭和にかけて。 時間軸を加えて表される東京。その一角に住まう名も無い庶民たちで構成される物語は、さながら螺旋階段のよう。 なるほどー。 こういう短編の形式もあるんだなと、感心させられましたとさ。 ・染井の桜(巣鴨染井) 染井吉野の桜を作った男。 ・黒焼道話(品川) 蛙や蛇なんかの黒焼の効能に取り憑かれる。 ・茗荷谷の猫(茗荷谷町) 未亡人画家の家に住みついた猫と何か。 ・中之町の大入道(市谷仲之町) 内田百閒への借金取り。 ・隠れる(本郷菊坂) 放って置かれたい男。 ・庄助さん(浅草) 負けるな庄助さん。必ず。 ・ぽけっとの、深く(池袋) 戦後。闇市の男。 ・てのひら(池之端) 上京する母を迎えるわたし。 ・スペインタイルの家(千駄ヶ谷) スペインタイルの家。 東京に詳しい人ならもっともっと楽しめるかもー。 「弾力のある紅茶の香りが漂っている。」(スペインタイルの家より抜粋) よくこんな表現思いつくよ。さらっと。 地味だけど滋味深い作品……、なんちゃって(笑) \(゜ロ\)(/ロ゜)/ダジャレカイナー!
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ほんの少しずつ、人や町の情景が重なる短編集。 表題作に登場する人と家が中核のようになっていて、ほかの作品を読みながら何度もページを戻ったりした。冬に咲く花の木、妻には何も明かせずいなくなった夫、画家を見守った男・・・違う時期、違う人間関係の中でふと背景に浮かび上がる過去の物語。透...
ほんの少しずつ、人や町の情景が重なる短編集。 表題作に登場する人と家が中核のようになっていて、ほかの作品を読みながら何度もページを戻ったりした。冬に咲く花の木、妻には何も明かせずいなくなった夫、画家を見守った男・・・違う時期、違う人間関係の中でふと背景に浮かび上がる過去の物語。透かしみえるようなその様は映像的。 戦後すぐの時期、ヤミ市で生きのびようとする青年たちを描いた『ぽけっとの、深く』では声の表現が印象に残った。 「考えるな。生きたもん勝ちだ」というなげやりな強さの声は、「傷によって透明度を欠いた厚い氷によく似ていた」。 「いい商売だろう」あくどい知恵をはたらかせ、友人に言い放った言葉は、凄々として棘だらけの声。 たくさんのものが失われた時代を思わせる、かなしい表現だった。
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最初の染井の桜で亡くなった家族のことを思って泣いてしまった どんなに覚えていたくても、あっという間に消えていってしまうんだよ
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一万円選書の1冊。ほっこりした猫にまつわるお話かなと思って読み始めたが、あまり猫と関係ない短編小説だった。 桜の新しい種類を作った人から心が休まる薬を作ろうとする人など江戸時代から戦時中、昭和〜現代までの流れをきれいに繋げている短編集。 最初は江戸時代の設定から現代までなので後半...
一万円選書の1冊。ほっこりした猫にまつわるお話かなと思って読み始めたが、あまり猫と関係ない短編小説だった。 桜の新しい種類を作った人から心が休まる薬を作ろうとする人など江戸時代から戦時中、昭和〜現代までの流れをきれいに繋げている短編集。 最初は江戸時代の設定から現代までなので後半にかけて面白かったが、書き方が独特で森見登美彦の小説を思い出して苦手意識が出てしまった。 それぞれの章には別々の人物が出るが、場所や桜などで実は繋がりがあるはずなのは理解したが、ちゃんとこことここが繋がっている!みたいな発見は全てできていない気がする。 一万円選書だから無駄に期待値が高くなってしまったのか想像以下だったので星は2個。
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