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水底フェスタ の商品レビュー

3.2

287件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    69

  3. 3つ

    128

  4. 2つ

    36

  5. 1つ

    7

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2021/09/28

苦しい話だけど、もしかしたら田舎の村、閉塞的な世界ってこういうことに似たようなこと、あるのかも。渦中人たちには当たり前で何一つおかしいと思わないことが、外の世界から見ると間違っていたり奇妙に見えたり…。自分が信じていることが間違いであることに気づいていないことが一番怖いと思った。...

苦しい話だけど、もしかしたら田舎の村、閉塞的な世界ってこういうことに似たようなこと、あるのかも。渦中人たちには当たり前で何一つおかしいと思わないことが、外の世界から見ると間違っていたり奇妙に見えたり…。自分が信じていることが間違いであることに気づいていないことが一番怖いと思った。日常に隠れたホラー、ミステリー。まさしくそんな感じ。

Posted byブクログ

2021/07/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

イニシエーションといえばひとつのイニシエーションなのだろうなと思う。 少年はこうして狭い世界を出て、大人になっていく。 読んでいて、ずいぶん昔に読んだ『暗鬼』(乃南アサ)を思い出した。 閉鎖的な環境、親族間の関係性、狭い村社会での監視と包囲。 息の詰まるような環境で、主人公は生きていく。 読者である自分自身も田舎の生まれなので、その閉鎖的な環境と「●●の家の子」と呼ばれることに親和性があるので、その分、主人公に対して同情を深くしてしまう。 いまでこそこんな村はないだろうが(そうであってほしい)、おそらく昭和のはじめなんかは実際にこういう自治体は日本にゴマンとあったのだろうと勝手に推測する。 そうまでして村の大人たちが守りたかったのはなんだったんだろう。 人として大事な何かを無自覚に失いながら生きていくことを選択するともなく選択して生きていく彼ら村の大人たちは、けれども、実際にはなにを守っているのだろう。 p320 「ここにいいたら、そのうちに自分もあの人たちみたいになるんじゃないかって、思わない?」 (中略) 「年を取って、たとえ、お前があの人たちみたいな大人になったところで、その時のお前に、多分躊躇いはないよ」 「どういうこと?」 「今のお前の目から見たら軽蔑の対象かもしれない。だけど、何十年かしてお前があの人たちのようになるというのなら、その時お前は今の考え方を自然と放棄しているはずだ。自分を軽蔑する子供を未熟だと馬鹿にして、今感じているような躊躇いはきれいさっぱりなくなってる。価値観なんてそんなもんだ」

Posted byブクログ

2021/07/03

見えるものと見たいものと見なければならないとの 信じるものと信じたいもの信じなければならなかったもの 形作られた真実は危うく朧気そんな物語に感じた

Posted byブクログ

2021/02/18

2021/02/18 #このミス作品64冊目 強烈な狂気。 ブラックな辻村作品の中でもピカイチ。 排他的な村社会に母を殺され 復讐を企てる由貴美とそれを愛した広海。 救いようがなさすぎるストーリーだが、 それがそれでイイ。

Posted byブクログ

2020/10/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

リトルマーメイドではない。とは思ってたけどフェスタは「フェス」ね。有名なロックフェスに友達に一度誘われ断った経験しかない。友達の熱心なプレゼンよりずっとフェスで過ごす時間に魅力を感じた。ダムのある山間の村での物語はほの暗く、なんか火サスみたいだよ怖いの苦手だよでも面白いよ、で一気読み。 ↓ネタバレ↓ 最後の広海の言葉。読後すぐは、行ってしまうのかって少年の正義感を理解出来なかったので★4。「行ってきます」は帰って来ます。ここで生きる決意、だったんだと後で(寝て起きて)気付いた、ここからなんだ。そして辻村深月作品にまたハマる。★5に修正。

Posted byブクログ

2020/04/21

辻村作品をこよなく愛するあたしでもこのお話はいただけなかった。 閉鎖された村で様々な隠蔽される出来事は子どもたちのためといいつつも解せない。こんなことがまかり通ってよいものかと終始疑問をもちつつラストまでぬぐわれることなく登場人物たちにも傾倒することもできずただただ活字を追うこと...

辻村作品をこよなく愛するあたしでもこのお話はいただけなかった。 閉鎖された村で様々な隠蔽される出来事は子どもたちのためといいつつも解せない。こんなことがまかり通ってよいものかと終始疑問をもちつつラストまでぬぐわれることなく登場人物たちにも傾倒することもできずただただ活字を追うことで終わってしまったような気がする。 フェスタと銘打っているわりには脇に追いやられている感も否めず。

Posted byブクログ

2020/02/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

集落の差別化、村長の持ち回り….旧時代のような制度が、常識になっている村で生きる広海。由貴美の登場により、村の陰謀を明かすかと思いきや、尊敬していた父の不貞や由貴美の芸能界生き残りのための作戦疑惑など、生々しい噂に翻弄される。 高校生という多感な時期に、こんなドロドロした話が身近にあったら、耐えられないだろうな…。 村の平穏を守るために大人たちがしたことは、決して褒められることじゃないけれど、子どもたちを守るためだと考えると、自分ならどうするかなとモヤモヤする。

Posted byブクログ

2019/11/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

辻村深月やはり面白い! 主人公母のウザい描写たるや 胸糞すぎる展開でむしゃくしゃしたけど、リアルに重苦しい気持ちにさせてくれるのはさすがすぎる とはいえ次はハッピーな作品が読みたい笑

Posted byブクログ

2019/06/14

主人公が、相変わらずの世間を知らない優等生のお坊ちゃまで、なのに中身がびっくりするほど子供なのでちょっとイラつきました。完全によそ者をシャットアウトしてしまうような閉鎖的村でのホラーならもっと楽しめたのかもしれないけれど、中途半端に現実的なのが私には逆に入り込みにくかったような気...

主人公が、相変わらずの世間を知らない優等生のお坊ちゃまで、なのに中身がびっくりするほど子供なのでちょっとイラつきました。完全によそ者をシャットアウトしてしまうような閉鎖的村でのホラーならもっと楽しめたのかもしれないけれど、中途半端に現実的なのが私には逆に入り込みにくかったような気がします。読み応えはしっかりあったし、読者に想像させるはっきりさせない部分があるところは嫌いじゃない、と言うかむしろ好みです。辻村さんって元々力のある作家さんなのに作品がさらに次々とパワーアップしていくのがわかるのがすごいですね。

Posted byブクログ

2019/05/25

190525*読了 辻村さんの小説はなかなか多く読んできた方だと思うけれど、初期の作品に近い部分もありながらも、また新しい辻村さんが見られた、というか。 村ならではの閉塞感。今もまだこんな村って現実にもあるのかな…ここまでではなくても村ならではの掟だったり、連帯感というのはあるだ...

190525*読了 辻村さんの小説はなかなか多く読んできた方だと思うけれど、初期の作品に近い部分もありながらも、また新しい辻村さんが見られた、というか。 村ならではの閉塞感。今もまだこんな村って現実にもあるのかな…ここまでではなくても村ならではの掟だったり、連帯感というのはあるだろうな。 村の権力者の家系に生まれ、高校生になるまでずっと村で育ってきて、村を出たいと思いながらも、結局村から逃れられない広海。高校生で村を飛び出して、村から離れたように見えながら、それでも村に縛られ続ける由貴美。しんどいよねぇ…。 都会に住んでいるものには分からない苦しみってあるよなぁ、と思います。逆に村だからこそ恩恵を受けている人もいるんだけど。 それにしても、救われない…。今まで読んだ辻村さんの小説の中で、一番辛くなるというか。救いのない物語だと思いました。 最近、盲目的な恋と友情も読んで、それも救いがなかったけれど、それよりも深い。それこそ水底まで沈んでいくような暗さ…。 辻村さんの新たな一面。こんな小説も書かれるんだなぁ。

Posted byブクログ