水底フェスタ の商品レビュー
年に一度ロックフェスを行う閉塞的な田舎に、村出身で東京に上京したモデルが戻ってきた―――彼女の目的とは…? 辻村さんって、芸能人とか作家とか写真家みたいなクリエイティブな世界の人の話を書くのが好きなんだなぁ。それと、主人公はクールで世間を見下ろしている感じっていうのも定番みたい...
年に一度ロックフェスを行う閉塞的な田舎に、村出身で東京に上京したモデルが戻ってきた―――彼女の目的とは…? 辻村さんって、芸能人とか作家とか写真家みたいなクリエイティブな世界の人の話を書くのが好きなんだなぁ。それと、主人公はクールで世間を見下ろしている感じっていうのも定番みたい。私はそれは嫌いじゃないけれど、物語に距離を感じてしまう。 終盤にたたみかけるように明かされていく真実の展開の仕方は流石。最後は吸い込まれるように読んだ。 表面上はみんな何事もないように平和に過ごしているようだけど、みんなドロドロしたものを持っている。 昼ドラみたいに暗くてドロドロしているお話で読後感はすっきりしないけど、ぞわっと鳥肌がたつ感じは悪くないと思う。 ブクログの評価が低めだからあまり期待してなかったけれど、私は嫌いじゃないな。昼ドラ系が苦手な人はダメなんだと思う。
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年に1度そこそこ規模の大きな音楽フェスをする閉塞的な田舎の村での話。 閉塞的な空間だからこそ、許される、隠すことが出来る大きな犯罪。それはきっと、昔からある風習で、その村に住んでいればそれが当たり前になってしまう。 広海はまだ現実を知るには若すぎたのか。それとも知った方法が悪か...
年に1度そこそこ規模の大きな音楽フェスをする閉塞的な田舎の村での話。 閉塞的な空間だからこそ、許される、隠すことが出来る大きな犯罪。それはきっと、昔からある風習で、その村に住んでいればそれが当たり前になってしまう。 広海はまだ現実を知るには若すぎたのか。それとも知った方法が悪かったのか。 友人と好きな人をほぼ同時に無くしてしまった広海が可哀そうでしかたがない。 それは東京から逃げるように帰ってきた由貴美があまり魅力的に思えなかったからか。 【村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため協力する。だが、由貴美が本当に欲しいものは別にあった―。】
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他の作品でも感じたのですが、作者の田舎コンプレックスには中々根深いものがあるのかな?と思わず(笑) 村の隠蔽体質、閉塞感も勿論ですが、主人公の周りを馬鹿にした、自分に酔った感じにも嫌悪感を抱かずにはいられませんでした。 久々に後味の悪い作品でした。 珍しく図書館本にしといて良かったです。笑
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+++ 村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため協力する。だが、由貴美が本当に欲しいものは別にあった―。辻村深月が描く一生に一度の恋。 +++ プライバシーなどあってないような狭い村の暮らしの閉...
+++ 村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため協力する。だが、由貴美が本当に欲しいものは別にあった―。辻村深月が描く一生に一度の恋。 +++ プライバシーなどあってないような狭い村の暮らしの閉塞感に倦んでいた湧谷広海と、村を捨てて東京でモデルになり映画にも出たのに、どういうわけか帰ってきている織場由貴美は、村を会場とするロックフェス「ムツシロック」の夜に出会う。その日から少しずつ何かが変わっていったのだった。広海の想いと真実を胸に秘めた由貴美の想いは重なることがあるのか。真実に近づくにつれ、やり場のない憤りを覚え、村の代々続く隠蔽体質に虫唾が走る。信じられるのは一体誰なのか。出口のない物語のように思える一冊である。
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一見平和で、恵まれた世界にいる主人公が、あっという間に恐ろしい物に絡み取られていくのが、怖すぎる。お父さん怖い…。
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本を買いたくなって、珍しく単行本で辻村さんを購入。 帯の「フェスの夜には誰も死んではならない」っていう言葉は、てっきりサスペンス的な意味合いかと思ったのに、まさかこんな実利的な意味合いだったとは!ある意味、そこが一番衝撃的だったかもしれない。 えげつないまでに閉鎖的な村がぞっとするくらい怖くて、だから本当にこの人は恐怖を描くことが巧すぎる。リアルすぎるんだって。えげつなさを書くのは、湊かなえの領分かな。 最後の展開はその後を想像するに、恐怖というか身を引き締める感じがするのだけど、由貴美との最後のシーンは、純粋に胸が震える感じがした。帯の「辻村深月が描く一生に一度の恋」の文句の意味が分かった。それまではあんまり共感できなかったのに、あれだけ純粋に言われると逆にすとんと胸に落ちてきた。 あまりに怖さが立ったので星4つだけど、読みがいのある作品でした!
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村社会の不気味さがじわじわと這い上ってくる感じ。ロックフェスティバルで幕開けた物語はページが進めば進むほど光を失う。光広さんだけが救いだったが、力及ばないのが残念。
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睦ツ代村という田舎で暮らす主人公広海。狭い村だが、招致したロックフェスームツシロックーは、いたく気に入っている。その年のフェスの日、広海は東京で芸能界入りしたはずの由貴美と出会う。由貴美に急速に惹かれていく広海。だが、由貴美は村に復讐をしたいのだと打ち明ける。 由貴美の話に半信半疑だった広海にも、犯罪をねじ伏せワイロが横行する睦ツ代の姿が徐々に見えてくる。広海は由貴美に裏切られながらも、最後彼女を信じる道を選ぶ。村独特の閉塞感、ゆがみを描きたかったのだろうと思う。残念ながら「ひぐらしの鳴く頃~」シリーズのほうが、ゾッとする感じがうまく出ている。
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