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流転の子 の商品レビュー

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2015/09/17

中国王朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀については、映画などで知ってはいましたが、その弟、溥傑やそのお嬢さんの嫮生さんについてはまったくの無知でありました。 溥傑の妻、嫮生さんのお母さんは日本人(嵯峨家ご出身の浩さん)、最初は政略結婚だったにも関わらず、お互い信頼と深い愛情で結ばれ、二人...

中国王朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀については、映画などで知ってはいましたが、その弟、溥傑やそのお嬢さんの嫮生さんについてはまったくの無知でありました。 溥傑の妻、嫮生さんのお母さんは日本人(嵯峨家ご出身の浩さん)、最初は政略結婚だったにも関わらず、お互い信頼と深い愛情で結ばれ、二人の子どもをもうけられますが、終戦となり溥傑は戦犯として捕らえられ、五歳の嫮生さんは、日本人ではあっても気持ちは中国人という、確固たる信念を持つお母さんとともに、言い尽くせない辛酸の後、日本に引き揚げてこられたのでした。 時代が時代なら皇女として何不自由なくぬくぬくと暮らして行けた立場の方なのに、戦争により満州国の消滅、日中断絶による家族分裂となんと数奇な運命を歩まれてきたことでしょう。 そんな中にあっても、溥傑や母、浩は自身はいつも清貧簡素、自分より他人、そしてなにより日中友好に心を砕いてきました。 そんな両親を見て育ってこられた嫮生さんも日中友好の架け橋となって力を尽くしておられます。 「命さえあればよろしいのでございますよ。生きてこそ、でございます」という言葉、苦労をしてきた人の心に響く重みのある言葉であることでしょう。

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2012/08/06

ラストエンペラー溥儀の弟である溥傑に嫁いだ「日本の華族であった嵯峨浩(ひろ)」と娘「愛新覚羅生嫮生」さんらが主人公。 昭和20年8月ソ連対日参戦により溥儀らと新京から脱出。飛行機で日本亡命予定の溥儀、溥傑と離れた後、皇后婉容と共に浩、嫮生が身柄を拘束さながら満州を点々とする流転の...

ラストエンペラー溥儀の弟である溥傑に嫁いだ「日本の華族であった嵯峨浩(ひろ)」と娘「愛新覚羅生嫮生」さんらが主人公。 昭和20年8月ソ連対日参戦により溥儀らと新京から脱出。飛行機で日本亡命予定の溥儀、溥傑と離れた後、皇后婉容と共に浩、嫮生が身柄を拘束さながら満州を点々とする流転の日々が綴られています。 【通化事件】での描写は、本の文章からも目を逸らしてしまうほどでした。 日本人が沢山殺害されたという理由ではなく、戦争中、色んな国で色んな国の人が、命を命と思わない方法で虐殺されたのだと思うと言葉がありません。 満州から引き揚げた後の生活、溥傑が釈放され浩が中国に帰国した後の文化革命お二人のその後と嫮生さんの「今」(西宮在住)。 戦争、それによって翻弄された人々の話は決して、昔の話ではない。平和ぼけとも思える今の日本。歴史は「今の生活が当たり前でない」ことを知る大切な教訓を教えてくれる。 引っ越し等で本の整理しても必ず残す本と共に、残して置きたい一冊となりました。

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2012/01/31

見事な大作。満州引き揚げ編がメインと思っていたが、読み進めるとその物語が脈々と2011年まで繋がっていくのがわかる。途切れさすまいとする多くの人々の静かな執念の息遣いが聴こえてくる。謙虚でたおやかな嫮生さんの生き様に背筋が伸びた。必読。

Posted byブクログ

2011/11/12

今までは、ラストエンペラーと聞くと映画を思い出し、その方は歴史上実在した人物だけれど、どこか遠い過去の話のように感じていた。しかし、ラストエンペラーの姪にあたる愛新覚羅(福永)嫮生さんが西宮市在住と知り、一気に過去ではなく現在も続く身近な事柄に思えてきた。 天皇家と縁戚にあたる...

今までは、ラストエンペラーと聞くと映画を思い出し、その方は歴史上実在した人物だけれど、どこか遠い過去の話のように感じていた。しかし、ラストエンペラーの姪にあたる愛新覚羅(福永)嫮生さんが西宮市在住と知り、一気に過去ではなく現在も続く身近な事柄に思えてきた。 天皇家と縁戚にあたる嵯峨浩さんが、ラストエンペラー 宣統帝溥儀の弟にあたる愛新覚羅溥傑に嫁がれた。政略結婚ではあったが、二人は深い愛情で結ばれる。現存するお写真を見ても、当時にしてはめずらしく、二人腕を組んでおられるお姿は、とても微笑ましい。 ただ、幸せだった日々もつかの間、戦後、浩さんは幼い娘の嫮生さんをつれて、中国を転々と逃げ回る。命の危険にさらされ、壮絶な逃亡の日々である。命からがら二人日本に帰国できたものの、嫮生さんがお父様と再会できたのは16年後のことである。 激動の人生を歩まれた嫮生さんは、とても穏やかで、かつ芯の強い女性だ。ご両親の後ろ姿から、多くのことを学んだとおっしゃっているが、溥傑さんも浩さんも相当な人格者であり、周りの人から尊敬されていたと知る。戦中戦後の混乱の中で、日中友好に向けて命を捧げたご家族のことをもっともっと世間に知らしめたい気がする。 ラストエンペラー、久しぶりに観てみようかな。

Posted byブクログ