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日本の大転換 の商品レビュー

3.6

38件のお客様レビュー

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2012/01/21

中沢新一の原子力論。ポランニーやラカンを引用しながらの独特の議論だが、ぼくは原子力を特殊、特異に見ることには違和感を感じるので、うーん、と思いながら読んだ。

Posted byブクログ

2011/12/20

原子力とコンピュータによるエネルギー革命を経た資本主義は、かつてないほど大きな規模に成長を遂げたが、ますます性体験との連絡を絶たれた自閉系へと変貌を遂げていった。 福島の原発事故で、露呈した原子力システムの脆弱性。 資本主義と原子力発電は、それぞれが反対の方向から性体験にとっての...

原子力とコンピュータによるエネルギー革命を経た資本主義は、かつてないほど大きな規模に成長を遂げたが、ますます性体験との連絡を絶たれた自閉系へと変貌を遂げていった。 福島の原発事故で、露呈した原子力システムの脆弱性。 資本主義と原子力発電は、それぞれが反対の方向から性体験にとっての遺物となっている。資本主義は性体験の内部に人間の知性によって出現したにも関わらず、商品経済のもつ抽象性や経済計算の過剰な合理性によって、性体験を成立させているのとは異質の、ときには破壊的な影響力を及ぼす。

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2011/12/18

新書3連発。これは出色。原発事故に対する言い様のない異常性や違和感を見事に言い当てた。まさに慧眼。反論もあろうが、わたしにとっては年末に今年一番の読書となりました。

Posted byブクログ

2011/12/13

原子力というエネルギー問題を、思想論的にとらえ、その本質的な問題と打開策を提示しようというもの。しかし、こうした思想だけで経済の発展段階を示そうという試みは、弁証法哲学っぽくないだろうか。いずれにしても、ぼくはその深みにまで入り込んで理解することはできなかった。

Posted byブクログ

2011/12/04

経済学やらエネルギー学やらで最初はとっつきにくかったが、エネルゴロジーが目指すところも第八次エネルギー革命も贈与とキアスムの概念も理解できた。 筆者の言を借りるならば、今こそ日本の大転換が必要なのは間違いないと思う。

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2011/11/23

人類のエネルギー利用を地球の生態圏との関係から論じる「エネルゴロジー」という概念を提唱し、その視点から「自然」でも「人工」でもない太陽エネルギーの直接的な利用を「第8のエネルギー革命」として大きなパラダイム転換とみなす。中沢氏が突然「緑の党」設立なんて報道されたときは何かと思った...

人類のエネルギー利用を地球の生態圏との関係から論じる「エネルゴロジー」という概念を提唱し、その視点から「自然」でも「人工」でもない太陽エネルギーの直接的な利用を「第8のエネルギー革命」として大きなパラダイム転換とみなす。中沢氏が突然「緑の党」設立なんて報道されたときは何かと思ったが、ここにはその意図が明確に書かれている。表現は抽象的だけど考え方そのものには賛成。

Posted byブクログ

2015/07/25

中沢新一の新著である「日本の大転換」では、この大きな転換期に基づく新しいライフスタイルがなんなのか、そしてどのうような未来図を見出さなくてはいけないのかが短めではあるが解説されている。 ところで、ぼくはこれまでブログなどで何度も主張してきたが、この原発事故はもともと人間には手...

中沢新一の新著である「日本の大転換」では、この大きな転換期に基づく新しいライフスタイルがなんなのか、そしてどのうような未来図を見出さなくてはいけないのかが短めではあるが解説されている。 ところで、ぼくはこれまでブログなどで何度も主張してきたが、この原発事故はもともと人間には手に負えないモノをさも知ったふうにして取り扱った結果であり、そして取り返しのつかない状況もまた結果である。ぼくらはこの結果を踏まえ、脱原発の方向で新しい生き方を模索してくしかない。 そのことを中沢新一は肯定的にさらに具体的な可能性を導きだしてくれていることに、すこし気が楽になった。未来は明るいわけではないが、そんなに暗くもない。それはぼくらの意識次第なのだ、ということをあいかわらずの語り口でさらっと言い切る中沢新一にまたしても聞き耳をたててしまうのだ。 中沢新一は、原発というシロモノを「生態系の外部にある核の物質現象を無媒介で生態系の内部に持ち込みエネルギーを得ようとするシステム」と定義した。つまりこれは原発が太陽を創りだす装置と位置づけてもいいだろう。沢田研二が演じた「太陽を盗んだ男」はまさにこのことを伝えたかったのではないか、と勝手に解釈してみる。 第6次エネルギーまでは、太陽のエネルギーを少なくとも間接的にエネルギーとして手に入れたが、第7次エネルギーである原発は太陽のエネルギーを自ら産み出して直接利用したのである。まさに神の領域に人間は野蛮に踏み込んでしまったのである。そしてそのツケが回ってきたことに、もしくは犯すべからずの領域であったことにいまさら気づきはじめたのである。 こうなってしまっては、この第7次エネルギーを求めることはできないわけで、中沢新一は第7次エネルギーに変わる第8次エネルギーを導き出すために、エネルゴロジー(エネルギーの存在論)という知の形態を提言する。これにより原発は完全に否定される。 中沢新一は、原発や資本主義を一神教的だとし宗教的な展開で批判する。それは、アメリカの経済破綻と原発事故によるエネルギーの破綻が同一の構造を持っていると容易に想像できる。 原発は太陽から降り注ぐ光量子エネルギーの贈与を無視し、自ら太陽を作りそこからエネルギーを得ることに成功した。資本主義も貨幣の一人歩きにより、贈与という概念を捨てもっぱら交換原理だけで発達することになった。それこそが一神教的なるものの欠陥であったのだろう。 中沢新一がこれから進めようとする未来図は、太陽光発電など太陽から降り注ぐ光量子エネルギーを活用した第8次エネルギーの活用ではあるが、そこに日本人がこれまで切り捨ててきた第一次産業である農林水産業を基軸に据えた経済をいま一度取り戻す必要がある。太陽の贈与を経済活動に直接結びつける農業、漁業こそが基幹となり、贈与と交換の市場経済を作り上げる(作りなおす)ことが必要なのである。これを中沢新一は「太陽と緑の経済」という素敵なネーミングで語っている。太陽は自ら生み出すものではなく贈与されるべき関係でしかない。それが人間と太陽とのもっとも適した関わり方なのだ。 中沢新一は「黄色い資本論」という論文でこれらの具体的な道筋をぼくらに示してくれるはずである。そして、あわよくば日本版「緑の党」を主宰しているかもしれない。どちらにせよ、原発の破綻で生き方を大きく転換しないといけないぼくらにとっては、画期的な道標になってくれることを願うばかりである。

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2011/11/17

中沢新一の文章は、いつもこちらをハッと気づかせてくれるものがある。 哲学や宗教からから物理、エネルギー論、経済学まで非常に切れ味が鋭い。 大震災後3ヶ月間、思索を重ねた彼の著作がこれ。 内容を要約すると、脱原発によるエネルギー転換から、現在の閉塞した資本主義経済の在り方その...

中沢新一の文章は、いつもこちらをハッと気づかせてくれるものがある。 哲学や宗教からから物理、エネルギー論、経済学まで非常に切れ味が鋭い。 大震災後3ヶ月間、思索を重ねた彼の著作がこれ。 内容を要約すると、脱原発によるエネルギー転換から、現在の閉塞した資本主義経済の在り方そのものの転換につながり、今こそ日本からその変化を起こしていくべきだという至極真っ当なものなのだが、そこに至る過程がすごい。 エネルギーの存在論=エネルゴロジー という概念を定義する。エネルゴロジーの原則として、太陽のエネルギーが生態圏の内部に取り込まれるためには、石油や石炭のような化石燃料にしても、光合成にしても、生態圏のなかで何段階にも媒介されることが必要である。ところが、原子炉は、媒介を経る事なく生態圏外の現象を圏内に持ち込んだ点で異質である。そのような無媒介の状態には、「安全」などの神話的思考は意味をなさない。  さらに、このような原子力技術に対応する宗教的思想こそ「一神教」であると筆者はいう。もともとは、自然や動物や植物にも宿っていた神が、モーゼの思想革命により、絶対的な超越神への信仰が生まれた。そのような超生態圏的思考が、その後の人の思想や経済にも決定的な影響を及ぼしているという。  そして、そのような状況で成長した資本主義も、社会というサブ生態圏の内部に、異質な原理で作動する市場メカニズムをもちこんで、社会そのものを変質させたというのだ。  社会は本質的に、人間同士を結びつけるキアスム(交差)の構造を内在していて、与え、与えられる「贈与」の関係が組み込まれている。市場経済は、このような関係性がリセットされて、商品交換の価値として「お金」がでてくる。市場は自分の原理だけで作動する自己調節能を獲得してしまうのであり、これが、表向きは、エコでクリーンエネルギーといわれた「原子炉」と同じ構造であるというのだ。その「原子力」の行き着いた先は、もはや言わずもがなのカタストロフィーである。  エネルギー理論を変えるという事は、もはや、その価値を市場原理の「お金=ビジネス」で語らない(語れない)ということである。TPPの問題もしかり、日本人は価値観の根本を問い直す時期に来ており、おそらく潜在的には多くの人が感じ取っているのだと思う。放射能に汚染された肉、野菜、魚を前に、我が身の安全に躍起になるだけではなく、脱原発を声高に叫ぶだけではなく、自分の価値判断の基準、優先順位を一人一人が問い直すべきだと思う。筆者のいう「太陽と緑の経済」を目指して。

Posted byブクログ

2011/11/10

震災後、原発を機に、日本は変化しなければならないと。今までのエネルギーは太陽のエネルギーが地球にもたらされ、それが、時間を経て石油になり何になりしているが、原子力は、太陽自身の中で起きていることを直接地球に持ち込んでしまった。「エネルゴロジー」という観点からとらえて、これからの日...

震災後、原発を機に、日本は変化しなければならないと。今までのエネルギーは太陽のエネルギーが地球にもたらされ、それが、時間を経て石油になり何になりしているが、原子力は、太陽自身の中で起きていることを直接地球に持ち込んでしまった。「エネルゴロジー」という観点からとらえて、これからの日本を説く。

Posted byブクログ

2011/11/06

第八次エネルギーは太陽エネルギーの贈与を受けてまるで光合成のようにエネルギー変換を行うこと。太陽さえも作り出してしまおうとする贈与抜きの原子力エネルギーからの脱却。

Posted byブクログ