ペインティッド・バード の商品レビュー
アメリカで、初めて英語で発行されたホロコースト文学。とはいえ、読んでみるとやはり「少年に対する加虐」に対して自分がどんな反応をするのか試されている気がした。解説によればやはり、この本は加虐的な性質を持つ人たちにとっては一種のポルノ的な側面もあるという。 ラストはなかなか皮肉だなと...
アメリカで、初めて英語で発行されたホロコースト文学。とはいえ、読んでみるとやはり「少年に対する加虐」に対して自分がどんな反応をするのか試されている気がした。解説によればやはり、この本は加虐的な性質を持つ人たちにとっては一種のポルノ的な側面もあるという。 ラストはなかなか皮肉だなと思いながら、結構ストンと落ちました。
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ホロコーストから逃れるために、東欧のとある寒村に預けられた少年。だが、金髪碧眼の周囲の人間からは浮いたその風貌から、迫害を受け、村から村へと追放される。時には危険を冒し庇護下に置いてくれる人物もいたが、安寧は長くは続かず…。食糧も、家族も、居場所もない中、唯一想像力を糧として生き...
ホロコーストから逃れるために、東欧のとある寒村に預けられた少年。だが、金髪碧眼の周囲の人間からは浮いたその風貌から、迫害を受け、村から村へと追放される。時には危険を冒し庇護下に置いてくれる人物もいたが、安寧は長くは続かず…。食糧も、家族も、居場所もない中、唯一想像力を糧として生き抜かんとした少年のサバイバル小説。 とにかく残虐で凄惨という前評判だけは知っていたので覚悟していたが、冒頭の子供がリスを無邪気に生きたまま火だるまにするシーンを読んで納得。この描写がアウトなら読まない方が良い。しかも終始容赦がないのであれば、構えて、ひたすら打たれ続けるのに耐えれば良いだけなのだけど、誰かの不意打ちのような優しさで無防備にされたその直後に、ボディブローをかまされたりする。このアップダウンが一番残酷かもしれない(実際はダウンダウンダウンアップくらいのものだけど)。 しかし本作、「ホロコースト文学」と謳われているが、素直にそう捉えて良いのだろうか。少年は本当に、ジプシーやユダヤ人と勘違いされ、銃後という余裕のない環境で、ナチスの処罰を恐れた住民に迫害されたのだろうか?平時であれば、違ったのだろうか?鮮やかなペンキで塗られた鳥、「ペインティッド・バード」が、群れの仲間の元に戻された後にどうなるかを考えると、疑念を抱かずにはいられない。最も強い暴力である戦争と、最も無力である子供という対置で際立つが、そのような過酷な環境下で唯一武器となるのは、呪い・信仰・思想といった想像の力であるということを著者はただ示したかったのでは、と思った。
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映画を観た後に読んだ影響で景色がしっかりと目に浮かぶ。映像の中でヒキで撮影されたカットが本の中でも体内の状況や気持ちまでクローズアップされる事がよく分かった。これがフィクションであろうとこんな状況になっていただろうし、現在でタブーである動物や親子間での関係性(当時もタブー視されて...
映画を観た後に読んだ影響で景色がしっかりと目に浮かぶ。映像の中でヒキで撮影されたカットが本の中でも体内の状況や気持ちまでクローズアップされる事がよく分かった。これがフィクションであろうとこんな状況になっていただろうし、現在でタブーである動物や親子間での関係性(当時もタブー視されて村八分か)も当時の残虐な時代背景を上手く写り出しているように感じた。
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第2次世界大戦下の東欧で1人の少年が都市から田舎に疎開させられた。村人は少年をジプシー、ユダヤ人と見なし、迫害する。命の危険を感じた少年は多くの村を転々とし、なんとか戦争を生きながらえようとする。 戦争中の虐待や暴力が子供の精神に大きな負の影響を及ぼす事は想像に難くない。本書が...
第2次世界大戦下の東欧で1人の少年が都市から田舎に疎開させられた。村人は少年をジプシー、ユダヤ人と見なし、迫害する。命の危険を感じた少年は多くの村を転々とし、なんとか戦争を生きながらえようとする。 戦争中の虐待や暴力が子供の精神に大きな負の影響を及ぼす事は想像に難くない。本書が描くのはそうした「崩壊」のプロセスである。 本書の後半で、主人公の少年は赤軍のソ連兵士と出会うのだが、そこで彼は神が存在しないことを知る。そして、スターリンの共産主義が「善を推し進めるための現実的な方法」であることを学ぶ。 カバーの折り返しに印刷された著者の略歴によれば、本書は出版当初から大きな非難にさらされたという。私は、本書に描かれた神の否定と共産主義が非難の理由なのだろうと思った。果たして後記には反ソからの非難について言及があったが、それよりも著者の出身国ポーランドの人たちによる、「祖国を侮辱した」という非難の方が質量ともに大きなもののようだ。確かに、本書の中で少年を虐待している人々の多くは同胞である。 現代に生きる日本人の私としては、これらの批判は(頭では理解できても)感覚的にすっと入ってはこない。けれども、個人的に、やはり私は本書が好きになれなかった。本書にリアリティが感じられなかったからだ。本書の描写があまりにも残虐で、およそあり得そうもない、と思ったわけではない。そうではなく、一人称で書かれた物語の主人公が6歳の少年(最後は12歳になっている)である点に、私の想像力が追い付かなかった。あまりに思索的にすぎるのではないか。 個人的には、本書の最後に付された後記の方が興味深く読めた。
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ナチスドイツの侵攻を背景に、東欧の田舎の村に疎開に出された男児。預け先の老婆が死んでから、黒い目・オリーブ色の肌の見た目から、壮絶に過酷なめに遭うという話。なんというか、人間の嫌な部分、汚い部分を、子どもの目からこれでもかと突きつけられる、非常に後味の悪い話ではあるのだが、これも...
ナチスドイツの侵攻を背景に、東欧の田舎の村に疎開に出された男児。預け先の老婆が死んでから、黒い目・オリーブ色の肌の見た目から、壮絶に過酷なめに遭うという話。なんというか、人間の嫌な部分、汚い部分を、子どもの目からこれでもかと突きつけられる、非常に後味の悪い話ではあるのだが、これもまた真実。
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10歳の子供には過酷すぎる仕打ちが次々と出てきて読み進めるのが嫌になるほど。作者の経験に基づいていないと言われているようだが、それにしては描写が細かい。翻訳はとてもいい。翻訳者による解題も参考になった。ただ、そう言われるとそうかとも思うけど、ポルノグラフィの面は読んでいる間はそれ...
10歳の子供には過酷すぎる仕打ちが次々と出てきて読み進めるのが嫌になるほど。作者の経験に基づいていないと言われているようだが、それにしては描写が細かい。翻訳はとてもいい。翻訳者による解題も参考になった。ただ、そう言われるとそうかとも思うけど、ポルノグラフィの面は読んでいる間はそれほど気にならなかった。それよりも、普通の村人たちから受ける殴るけるその他の尋常でない暴力の方がインパクトが大きかった。ポルノ的な部分もむしろ暴力の一部として描写されていたように感じる。ともかく実際にこれを生き延びられる人はいないのではないか。でもこの少年は、ある迷信はたまた別の迷信をたたきこまれ、それについて考え、その後共産主義の洗礼を受け、読書ができるようになり、自分の頭で考えているところが立派だと思う。生死がかかっていると真剣になるものだ。家族の暖かさを求めたりする感情はすべて抑圧されてしまったかもしれないが。
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冷戦の時代、ポーランドからアメリカに亡命した作家コジンスキーの作品です。ぼくは映画「異端の鳥」の原作という興味で読みました。 映画も心に残りましたが、原作であるこの小説も心に残る作品でした。コジンスキー自身の少年時代の経験に基づいて書かれた作品なのかもしれませんが、映画にすれ...
冷戦の時代、ポーランドからアメリカに亡命した作家コジンスキーの作品です。ぼくは映画「異端の鳥」の原作という興味で読みました。 映画も心に残りましたが、原作であるこの小説も心に残る作品でした。コジンスキー自身の少年時代の経験に基づいて書かれた作品なのかもしれませんが、映画にすればおもしろいだろうというヨーロッパの田舎社会の1940年代の様相が、子どもの目を通して描かれているところが俊逸なのだと思いました。 中世的、あるいは呪術的、カトリック的農村世界、ナチス、赤軍、三つ巴なのですが、どこにいてもペインティングバードでしかありえないアイデンティティを、唯一救うかもしれない「共産主義」さえも偽物であったところからこの作品が生まれたことを痛感しました。 ブログに感想を書きました。覗いてみてください。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202012260000/
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「異端の鳥」が地元では上映されないのでせめて原作をと思い読んでみました。文章自体はとても読みやすいものだったけれど物語を読んでも読んでも目を背けたくなるような場面ばかりで辛くなる。だけど、今でも民族や肌の色などで差別の対象になるという現実を忘れては行けないな、と思いました。いつか...
「異端の鳥」が地元では上映されないのでせめて原作をと思い読んでみました。文章自体はとても読みやすいものだったけれど物語を読んでも読んでも目を背けたくなるような場面ばかりで辛くなる。だけど、今でも民族や肌の色などで差別の対象になるという現実を忘れては行けないな、と思いました。いつか映画も観てみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
映画の方が面白かった? ちょっと最近まともに長い文章読めなくなってるのに、いきなりこれは無理があった…。 解説等から、作者の実体験ではなくフィクションだと分かってるから、面白い面白くないって話になるけど、しかし、現実に同じような、もっと残酷な目に遭った子供は存在しただろうし、そうなると、面白いとか面白くないとかはなんか違うじゃないかという…ううう。 まあ、いいや。 (私の知識不足かもしれないが)「ちゃっかり」と「てっきり」の使い方があんまり見たことない感じのところがあって、なんか微妙と思ってたら「かけがえのある」という表現が出てきて、ああ、否定を伴わない「かけがえ」初めて見た!辞書には載ってるね、そうかー。 …訳者の人と趣味が合わないのかもしれない…。 いや、私の語彙が貧弱だからかー。読書量も年々減ってるしな…。 少年が縋る(?)ものが魔術→キリスト教→ソ連と変わって行ったのが面白かった。 自分を庇護してくれるオルガの教え→苦痛から解放してくれるはずの贖宥→ガヴリーラかっけー! って言う感じか…。 魔術は長い間信じてるっぽいのが…。都会で、村の大人よりもまともな教育を受けていたんじゃないのか??って思ったけど、6歳か。6歳からずっと魔術とか妖術とか信じてる大人たちと共に暮らせば、そういうものだと思うよなあ…。 ガヴリーラは、何しろ初めてじゃないか? 保護してくれた大人って?そんなの大好きになるし、何教えられても信じるわ。 あ、マルタも一応そうか? 私はミートカの方が好きですが、これはたぶん、映画の印象で…。
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「気持ちがふっきれず、目的意識も定かでないまま、呪いと祈り、居酒屋と教会のあいだで道に迷った人間は、神からも悪魔からも助けを得られず、たったひとりで、一生涯、もがき苦しまなければならない。」p.181 東欧の物語。第二次世界大戦の影響により、少年は8歳で両親と離れ1人で様々な...
「気持ちがふっきれず、目的意識も定かでないまま、呪いと祈り、居酒屋と教会のあいだで道に迷った人間は、神からも悪魔からも助けを得られず、たったひとりで、一生涯、もがき苦しまなければならない。」p.181 東欧の物語。第二次世界大戦の影響により、少年は8歳で両親と離れ1人で様々な場所を流浪する。黒い髪と瞳を持つ彼は、当時迫害の対象であったジプシーと見なされ、行く先々で異端の者として酷く扱われる。彼は様々な人々と関わることで、愛や憎悪、また宗教や共産主義といった概念に擦り寄り、生き続けようとする。
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