ベニスに死す の商品レビュー
著者、トーマス・マン、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 ---引用開始 パウル・トーマス・マン(Paul Thomas Mann、1875年6月6日 - 1955年8月12日)は、ドイツ出身の小説家、評論家。 ---引用終了 で、本作...
著者、トーマス・マン、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 ---引用開始 パウル・トーマス・マン(Paul Thomas Mann、1875年6月6日 - 1955年8月12日)は、ドイツ出身の小説家、評論家。 ---引用終了 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 高名な初老の作家アシェンバハは、ある日旅の誘惑に駆られ、ヴェネツィアへと旅立つ。そこで彼が出会ったのは、神のごとき美少年タジオだった。その完璧な美しさに魅了された作家は、疫病が広がり始めた水の都の中、夜となく昼となく少年のあとをつけるようになる…。官能の焔に灼かれて朽ちていく作家の悲劇を、美しい筆致で描いた文豪マンの代表的傑作。巨匠ヴィスコンティの名作映画原作。 ---引用終了 そして、ウィキペディアに、著者の影響を受けた作家が列挙されていたので、生年没年を見ておきます。 トーマス・マン(1875~1955) 三島由紀夫(1925~1970) 吉行淳之介(1924~1994) 北杜夫(1927~2011) 大江健三郎(1935~2023) 辻邦生(1925~1999)
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アシェンバハはタジオを「ギリシャ彫刻のよう」とたとえていたが、アシェンバハのタジオに対する眼差しにはプラトンのいうエロースを感じた。そう考えると、タジオを愛でながらの死はアンシェンバハの魂がイデアの世界へと帰っていったとも考えられるのかななんて思った。 トマス・マンは初めて読ん...
アシェンバハはタジオを「ギリシャ彫刻のよう」とたとえていたが、アシェンバハのタジオに対する眼差しにはプラトンのいうエロースを感じた。そう考えると、タジオを愛でながらの死はアンシェンバハの魂がイデアの世界へと帰っていったとも考えられるのかななんて思った。 トマス・マンは初めて読んだが、耽美と理論が同居しているような文章だなという印象。日本でいうと、三島由紀夫、平野啓一郎を彷彿とさせられた。
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ヴィスコンティ監督の映画版が好きです。オープニングの夕暮れんなかに船が消えていく姿が印象的で、あの音楽と相まって、始まりにして「ああもう終わりなのかぁこの人ぉ」と予感させるんです。 御多分にもれずマーラー好きになったわけですが、原作のモデルはマーラーじゃないんですね! むしろトマス・マン自身の日記とすらいえるくらい私的なお話。しかもベニスに行くまでに3分の1ページも使っちゃってるし、どうにも小難しいお話ばっかりだし。 でも映画だけだと、同性愛だとか小児性愛を描いたお話かと思っちゃいますが、「美とはなんぞや?」を追求した芸術論だってことがわかりました、だって主人公の作家先生、ご自分の著作が教科書に載ったことである意味「到達」しちゃったわけですが、実はその裏には今でも背徳への憧れがあるんでしょ? ゆえに死出の旅にて美の化身であるタジオくん(表紙の彼ね)に出会えたと。 ダメかね? ダメだね。ぶっちゃけますが、これほとんど実話らしいじゃないですか。そうなってくると、マンさんはタジオくんに幼き日の自分を見たんじゃないですか? つまりは鏡に写った自分の美しさにうっとりしちゃったんでは? マンさんはナルキッソスだったということですよこれは。違うかなぁ。岩波版実吉訳も読んでみます! 《芸術は、たとえ外的生活が僧院的静寂のうちに送られたとしても、ながいあいだには、もっとも放埒な熱情と快楽に満ちた生活すら生み出しえないような、神経の我儘、過度の洗練、疲労、そして好奇心を生み出すのである》
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タイトルだけは知っていましたが 映画も見ていないし 正直、どんな系統の話かも知らずに この美しい表紙と 「トーマス・マンだったの?原作!(いや、トーマス・マンだって名前しか知らんけど!!)」 という驚きとで 思わず手にしてしまいました。 「推しが尊い」 の一言を小説家が書くとこ...
タイトルだけは知っていましたが 映画も見ていないし 正直、どんな系統の話かも知らずに この美しい表紙と 「トーマス・マンだったの?原作!(いや、トーマス・マンだって名前しか知らんけど!!)」 という驚きとで 思わず手にしてしまいました。 「推しが尊い」 の一言を小説家が書くとこんなに格調高い感じになってしまうのネ…。 この小説の「美や芸術に対する盲目的な情熱」とかなんとかいうようなテーマ(おそらく)を全部台無しにするようで申し訳ないけど 「推しが尊い」 この一言に尽きます…私の中では…。 色んなジャンルに推しがいる私には かなり…わかりみ… 私…アシェンバハになれる…。
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学生時代ぶりの再読。 抗いがたい、熱に浮かされる、恐ろしく怖いけれどいつか自分にも訪れるかもしれない嵐。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
美少年に恋する老人、という簡素なあらすじに少し嫌悪感を感じたのですが、読んでみるとあまり違和感なくすんなり読めました。 肉体的な欲求があまりなく、精神的な官能。美しいものを見るとき感じる高揚感という感じだったのがよかったのでしょう。 解説を読んでこれがマンの自伝的小説だと聞いて驚きました。 一番違和感を感じたのが美容室に行って髪を染めるシーン。あの場面は、あの自意識の高いアシェンバハが、そんな目に見えた変化をするとは思えません。タジオの為に、と思われるのではないかとびくびくすると思うので。 タジオがアシェンバハに向ける視線は、私は大した意味はないと思ってます。同じ場所にいつもいて会話もない相手。 きっかけがあれば話すべき相手程度にしか思っていないと思いますが、実際はどうなんでしょうか。 変に生々しい表現はないのですが、全体の物語で最終的にアシェンバハがタジオと会話をしたのがほぼ一回だけというのが凄くリアル。一度も話すことなく死ぬ。 全て読み終えて、タイトルがものすごいネタバレだったんだなと改めて思いました。
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文章は私には少し難しく感じられましたが、作品の、頽廃的かつ官能的な部分に惹かれました。後期ロマン派って感じですね。
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作品名は知っていたものの、読みたいなと思うこともなくずっと過ごしてきた。 しかし最近になってイタリアに関係する文学や映画に触れる機会に恵まれ、ただなんとなく食指を伸ばしてみただけのこと。 老齢の作家の執着なのかな? 少年にたいするどこか屈折した感情が非常に痛々しいです。 アシェン...
作品名は知っていたものの、読みたいなと思うこともなくずっと過ごしてきた。 しかし最近になってイタリアに関係する文学や映画に触れる機会に恵まれ、ただなんとなく食指を伸ばしてみただけのこと。 老齢の作家の執着なのかな? 少年にたいするどこか屈折した感情が非常に痛々しいです。 アシェンバハは人の短所ばかりに目を向けていて、描写ではタジオ以外が非常に醜く読むにたえない。鬱屈しているといえば単純なのだが、最初の方に描かれている生い立ちを読む限りしかたないとしか、取れないのが残念な人。 短所はもっとも目に付きやすいとはいえ、意図して良いところを探したり、悪いところも良いところとして捉えれば人生も明るくなるはずなのにとヤキモキさせられました。そしてマン流の読者への教訓なのかもしれませんね。 これは古典文学といえるほど昔の作品ではありませんが、そう表現しても遜色ない偉大な作品には間違いないのですが、私が無知なのかところどころ理解できない表現もありすべてを理解できない。 同名映画は評判がいいようなので、見てみたいです。私が見逃してしまった作品の新たな魅力を発見したいので。
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どうだろう? そんな好きって感じでもない。自意識の話。変態度が足りないのかもしれない。あくまでも自意識のなかでの話だから。
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新潮文庫版の文庫本で読んだので今度この表紙をちゃんと見てみたい。美少年タッジオの描写が繊細で想像を駆り立てる。アシェンバハが肉体的にも精神的にも病んでいく姿が痛々しい。マーラーがどのようにかかるのか気になるので今度映画を借りてこようと思う。
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