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背後の足音(下) の商品レビュー

4.4

25件のお客様レビュー

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2011/10/31

何ともやるせない気持ちにさせる結末。 でも、文句なしのベストワン。 ヴァランダー刑事と私は、この物語の段階で同い年であることが分かった。糖尿病の心配はないが、血圧は高いし、運動不足だし、そういう意味でも親近感を覚えた一冊であった。

Posted byブクログ

2011/09/20

殺された同僚は3人の若者の失踪事件を単独で調べていたらしい。 ヴァランダー警部はじめイースタ警察の面々は捜査に奔走するが、新たな犠牲者が…。 ヴァランダー警部もアラフィフになり、スウェーデンの国民病とも描写されている糖尿病を発症する。 周囲に素直に打明けることができないなか、こ...

殺された同僚は3人の若者の失踪事件を単独で調べていたらしい。 ヴァランダー警部はじめイースタ警察の面々は捜査に奔走するが、新たな犠牲者が…。 ヴァランダー警部もアラフィフになり、スウェーデンの国民病とも描写されている糖尿病を発症する。 周囲に素直に打明けることができないなか、この大変な病と共に事件捜査に立ち向かう。 当然病状は悪化し、周りからの信頼もぐらついてしまう。 別れた妻からの再婚の報告に、その相手を貶めてみたりもしてしまう。 これぞ、まさしくしょぼくれ親父ヴァランダー! 身近な人が糖尿で倒れて救急車で搬送と言うことがあったばかりなので、飲酒や乱暴な食事のとり方にやきもきしながら、先へ先へと頁をめくる。 事件は地味に展開し、僅かずつその形が見えてくる。 その合間にもこの親父のしょぼくれっぷりはいかんなく発揮され、今回の犯人の性格もあって捜査は後手後手に回ってしまう。 それでも一歩一歩犯人に近づき、最後に半歩だけ先んじるあたり、読ませる。むふー。 犯人の動機が弱く感じられる面もあるけれど、ラストのもっていき方がそれを十分補って、スウェーデンにおける社会の病巣を描いている。 やっぱりヴァランダー警部シリーズはいいなあ。

Posted byブクログ

2011/08/31

本作のタイトルである「背後の足音」という表現だが…直接的には、ヴァランダーの背後に蠢く謎の犯人―これがこのシリーズの“犯人”の中では「最も不気味で不可解」な人物かもしれない…―の足音であり、“足音”が示すその人物の気配のことを示すと理解出来る…が、同時にこれは「知らぬ間に社会が抱...

本作のタイトルである「背後の足音」という表現だが…直接的には、ヴァランダーの背後に蠢く謎の犯人―これがこのシリーズの“犯人”の中では「最も不気味で不可解」な人物かもしれない…―の足音であり、“足音”が示すその人物の気配のことを示すと理解出来る…が、同時にこれは「知らぬ間に社会が抱えている、名状し難い不気味なもの」とでも言うようなもの、「気配はしてもハッキリ姿が見えない“悪意”」とでも言うようなものを暗示している…という気がした…

Posted byブクログ

2011/08/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

基本的な感想は上巻で書いたとおり。 最後の解決段階でやたらと主人公がスーパーヒーローじみるのが、マイナス点。

Posted byブクログ

2011/08/27

50歳目前にして糖尿病になったりと、老いを感じさせる描写がちらほら。本シリーズは単独として読んでももちろん面白いが、登場人物たちの成長や変化は、シリーズを通してじっくりゆっくり描かれる。そんな捜査チームのひとりが悲劇に見舞われるというのが事件の発端。 寝る間なし手掛かりなしとい...

50歳目前にして糖尿病になったりと、老いを感じさせる描写がちらほら。本シリーズは単独として読んでももちろん面白いが、登場人物たちの成長や変化は、シリーズを通してじっくりゆっくり描かれる。そんな捜査チームのひとりが悲劇に見舞われるというのが事件の発端。 寝る間なし手掛かりなしというスタイルは今回も同じだが、被害者とヴァランダーとの距離感が根底にあるため、心理的な苦しさや葛藤がやや前面に出ている気がする。仲間を失った自分、老いていく自分、事件を解決できない自分──内面にくすぶる苦悩と対峙できないまま、混乱の中で必死に手掛かりを追うヴァランダーに、不思議なくらい感情移入してしまう。 国内情勢を反映させた事件の本質や、被害者となってしまった複雑な要因など、これまでは多角的な面から事件を捉える印象が強かったのだが、今回は捜査チームを軸に据え、犯人へと近づく過程が丁寧に描かれている。そういう意味では謎解きの要素が強い作品と言えるだろう。 ひとつ残念だったのは、犯人の造形が少し薄味だったこと。今までとは毛色の違う事件であり、なおかつ犯罪そのもの様相が変わってきたという警告でもあるのだが、肝心の犯人にそこまでの濃さがない。事件の全貌に対してはきちっとまとめるシリーズなのに、今回は若干曖昧さが残った。 上下巻で相当な長さだが、そこを一切感じさせない手腕はさすがの一言。筆致はゆっくりしてるのに、ページを繰る手は常に止まらず。少し長めのプロローグが心地よいストレッチとなって、じんわり癒してくれる。

Posted byブクログ