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仏果を得ず の商品レビュー

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371件のお客様レビュー

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2019/07/01

 「仮名手本忠臣蔵」が好きだと言う健に兎一郎は「長生きすればできる」と言う。何とも無責任な!と思ったけど、兎一郎という相三味線と生涯をかけて芸を極めることになる健は、「大丈夫です。長生きしますから」と答えるんだよな。カッコいいと思う。長生きはカッコ悪いみたいに言う人もいる。かつて...

 「仮名手本忠臣蔵」が好きだと言う健に兎一郎は「長生きすればできる」と言う。何とも無責任な!と思ったけど、兎一郎という相三味線と生涯をかけて芸を極めることになる健は、「大丈夫です。長生きしますから」と答えるんだよな。カッコいいと思う。長生きはカッコ悪いみたいに言う人もいる。かつてのオイラもそうだった。きっと自分になにができて、なにがしたいのかがわからなかったんだと思う。いまは若い頃よりやりたいことがたくさんある。若い頃みたいにはできないことも増えてきたけど、それでもやりたい。そんなふうに暮らすことが素敵だと素直に思えるようになった。健の長生きは加齢によってさらに芸が昇華されるということだけど、オイラが長生きしたいのはこんな楽しいこと止められない!っていう理由だ。楽しいことばかりじゃないし嫌なこともたくさんあるんだけど、それを味わえるのも生きているからだ。 ”金色に輝く仏果などいるものか。成仏なんか絶対にしない。生きて生きて生きて生き抜く。俺が求めるものはあの世にはない。俺の欲するものを仏が与えてくれるはずがない” まったく同感である。でも、誠二は健にとってある意味、生き仏かもしれないな。 健が真智さんとミラちゃんと幸せに暮らせることを切に願う!

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2019/05/13

軽め小説 かかった時間150分弱? 正統派青春文楽小説。 「ピアノの森」によく似た読後感。義太夫の道を歩む、時に不器用だが真摯で才能ある若者の話。 「ガラスの仮面」のように、文楽の演目ごとに、人物を主人公がいかに演じるかの悟りと、悩んだり恋をしたりする生身の主人公が重なり、熱く...

軽め小説 かかった時間150分弱? 正統派青春文楽小説。 「ピアノの森」によく似た読後感。義太夫の道を歩む、時に不器用だが真摯で才能ある若者の話。 「ガラスの仮面」のように、文楽の演目ごとに、人物を主人公がいかに演じるかの悟りと、悩んだり恋をしたりする生身の主人公が重なり、熱くなるし爽快である。 三浦しをんの作品は、「まほろ駅前〜」しか読んだことがなかったのだが、そのときも、とても楽しんで読めた。ひとのまっとうな、まっすぐないとなみを、美しい言葉でつづったものがたりは、なんだか人生を豊かにする。 じぶんも、仕事について、ちょっと高みを目指してみようかとか思ったり思わなかったり、思ったりする。

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2019/04/21

さすが三浦しをん。 文楽を観に行きたくなる。 特に女殺油地獄。 江戸時代のエンターテイメントだって、今と同じで、単純じゃなくて、風刺してたり、社会に疑問を呈したり、反発したりしてるもんなんだな、これは、観てみたい!と思わさせられた。 さすが三浦しをん。 20190421

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2019/04/03

タイトルから中身が想像できなかったが最後まで読んで納得するとともにしみじみ…。内容が素晴らしい。長く芸に悩み人を深く理解せねば到達できぬ処があり、また、それを目指す人がいる。こういう物語はとても好きです。

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2019/03/29

日本(人)をよく知ろうシリーズ。歌舞伎、相撲、雲水、明治時代、マタギ、帝國陸海軍に続き、文楽に関する本。義太夫を語る「大夫」を目指し奮闘する若者を主人公に、人間国宝の師匠と訳ありの弟子たちが、文楽に真剣に向き合い、成長していく姿。芸を極める厳しい世界を舞台にしつつ、何も決められな...

日本(人)をよく知ろうシリーズ。歌舞伎、相撲、雲水、明治時代、マタギ、帝國陸海軍に続き、文楽に関する本。義太夫を語る「大夫」を目指し奮闘する若者を主人公に、人間国宝の師匠と訳ありの弟子たちが、文楽に真剣に向き合い、成長していく姿。芸を極める厳しい世界を舞台にしつつ、何も決められない、そんな自分をうじうじ責める若者を主人公に据えることで、連続ドラマのような読みやすい構成になっている。章ごとに、文楽の題目にあったストーリーが展開されるのも、文楽への興味をそそる。

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2019/01/31

文楽に魅せられ単身大阪に出てきた健 伝統芸能世界の芸に悩み、突然の恋に悩む姿を描いた 青春もの 三浦しおんさんの描く健の文楽の解釈がすごくイイ! 文楽の演目って も~ホントに登場人物の男の人が ど~しようもないヤツが多すぎて いつも感情移入できんな~と思ってたのよね そこの...

文楽に魅せられ単身大阪に出てきた健 伝統芸能世界の芸に悩み、突然の恋に悩む姿を描いた 青春もの 三浦しおんさんの描く健の文楽の解釈がすごくイイ! 文楽の演目って も~ホントに登場人物の男の人が ど~しようもないヤツが多すぎて いつも感情移入できんな~と思ってたのよね そこのところをズバッと切り込んでくれているのがめちゃくちゃよかった~ 昔も今も人間ってしょ~もないことを考え しょ~もないことをして 仁義や忠義や愛や恋や人間関係に悩む でもそれが人間だからね~ 生きてるってそんなこともひっくるめて生きるってことだからね~ なんて… すごく単純だけどこれってすごいこと。 健太夫の悩みや生き方を通して人生の意味を知る~って感じです 仏果なんていらね~ぜ! それより生きるってことの方がすごいじゃん! と…パンクな解釈がイイ~ 読み終わったらめちゃめちゃ文楽が見たくなりました たぶん、前に見た演目でも全然違う目線で見ることができるんだろな~

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2019/01/20

文楽を知らない私でも、魅力を知ることが出来て楽しめた。 文楽をご存知の方は更に楽しめると思います。 印象に残ったのは、文楽作品は登場人物の心情をより深く理解することにより、更に楽しめる奥の深い芸術だということ。 この事を知ってから文楽を見ると、更に楽しめそう。 恋愛のドキドキ感も...

文楽を知らない私でも、魅力を知ることが出来て楽しめた。 文楽をご存知の方は更に楽しめると思います。 印象に残ったのは、文楽作品は登場人物の心情をより深く理解することにより、更に楽しめる奥の深い芸術だということ。 この事を知ってから文楽を見ると、更に楽しめそう。 恋愛のドキドキ感も味わえます。

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2019/01/10

今年1冊目。 浄瑠璃の世界に浸っている男の、青春小説というんだろうか。 各章ごとに物語の起伏がついていて、芸に対しての熱量を強く感じるところもあれば、恋愛での甘酸っぱい想いを感じられたりと、健を通じて様々な気持ちが飛び出してくる一冊。 また健が丁度よく情けなく、肝心なところで頼...

今年1冊目。 浄瑠璃の世界に浸っている男の、青春小説というんだろうか。 各章ごとに物語の起伏がついていて、芸に対しての熱量を強く感じるところもあれば、恋愛での甘酸っぱい想いを感じられたりと、健を通じて様々な気持ちが飛び出してくる一冊。 また健が丁度よく情けなく、肝心なところで頼り甲斐があり、最後まで投げ出さない奴だからこそ、応援したくなってしまった。 そういう意味では、三十代にして今を駆け抜けるように生きている健を通じて描かれる、正に青春小説なのかもしれない。 また、その他の登場人物も大好きになること請け合い。 三浦さんが描く人間は普通じゃないようでいて、リアルで、なんというか友達になりたい人が多いなと思う。 三浦さんは浄瑠璃が好きなんだろうか。

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2019/01/09

しをん嬢の小説を立て続けに読了。落語で、大店の主人が道楽で始めた聞くに堪えない義太夫語りをネタにした「寝床」がすぐに思い浮かんだ。が、本作では主人公・健が人形浄瑠璃文楽の世界の中で成長していく物語だ。義太夫を語りながらも、好きになった女性のことを妄想するという小説ならではのお茶目...

しをん嬢の小説を立て続けに読了。落語で、大店の主人が道楽で始めた聞くに堪えない義太夫語りをネタにした「寝床」がすぐに思い浮かんだ。が、本作では主人公・健が人形浄瑠璃文楽の世界の中で成長していく物語だ。義太夫を語りながらも、好きになった女性のことを妄想するという小説ならではのお茶目な部分があるが、さすが若かりし頃から渋好みのしをん嬢は、好きな文楽とそれに携わる人々の生き様を読者に分かりやすく伝えると同時に、エンタメな物語に仕上げている。

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2018/12/14

文楽で大夫を担当する建 若手 身の回りのできごとから文楽の登場人物の想い、作者の想いを理解し、腕を上げる。 自らの恋愛から複雑な人間関係を理解し腕を上げる。 物語に厚みを感じない。文章に書かれている以上のことを感じられないともいえる。 小説は、話を作って語るだけだはだめで、登場...

文楽で大夫を担当する建 若手 身の回りのできごとから文楽の登場人物の想い、作者の想いを理解し、腕を上げる。 自らの恋愛から複雑な人間関係を理解し腕を上げる。 物語に厚みを感じない。文章に書かれている以上のことを感じられないともいえる。 小説は、話を作って語るだけだはだめで、登場人物たちが実際に存在するように生きる世界を作り上げなければならないのだろう。 まほろ駅前もいまいちだったし、三浦しをんはもう読むのやめるか。 舟を編むだけ読んでからにするか。 話は難しくはないが、読みにくかった。 理由は、文楽関係者や登場人物の名前が読みにくくてつっかかったことと、文楽のあらすじを簡単に説明されるが、どうも頭に入ってこなかったこと。

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