イスラム飲酒紀行 の商品レビュー
酒飲み冒険者が「禁酒」の地、イスラーム諸国で酒を求めて右往左往するルポ。 行き先はパキスタン、アフガニスタン、チュニジア、トルコ、マレーシア、シリア、バングラデシュなどなど。 なんともすごい行動力です。たいてい男2人ってのが機動力の源でしょうか。付いて行ってみたい。 そんなこ...
酒飲み冒険者が「禁酒」の地、イスラーム諸国で酒を求めて右往左往するルポ。 行き先はパキスタン、アフガニスタン、チュニジア、トルコ、マレーシア、シリア、バングラデシュなどなど。 なんともすごい行動力です。たいてい男2人ってのが機動力の源でしょうか。付いて行ってみたい。 そんなこったろうと思ってましたが、やっぱり全く飲めない国というのはないのです。 ただ、酒を飲もうとすればするほど、地元民と隔たってホテルのバーや高級料理店に行かざるを得ない(表面上)という二律背反はおもしろい。 文章はツボを押さえ厚みがありながらも平易で、すぐに読めてしまいます。酒を意味する「アラク」という言葉の伝播と変遷などのちょっとした考察、「イスラーム諸国での飲酒は日本でいう未成年の飲酒のようなもの」「ドラッグみたいな扱い」「公共の場では顰蹙を買う暗黙の了解」みたいな実感のある描写が興味深かったです。 何より、イスラームに無関心な日本で、日本人によってこんな突っ込んだルポが出されているのが何よりすごいし、それだけで読む価値があると思う。 日本で働いていたことのある人々もちょこちょこ出てきます。すごかったんだな、バブル。
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イスラム文化圏でも酒を飲んでいる人間はいるが、それは裏表があるというより、イスラムが伝わる前の土着文化にあった飲酒習慣の上にイスラムが上書きされた結果であることがわかる。言われてみれば、あれだけ広範な地域にまたがった世界宗教なのだから、それ以前の文化があったのは当然なのに今更のよ...
イスラム文化圏でも酒を飲んでいる人間はいるが、それは裏表があるというより、イスラムが伝わる前の土着文化にあった飲酒習慣の上にイスラムが上書きされた結果であることがわかる。言われてみれば、あれだけ広範な地域にまたがった世界宗教なのだから、それ以前の文化があったのは当然なのに今更のように思い当たる。
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そうだよ。 どこにいても酒が呑みたいだけなんだ!(笑 と同感する一方で、イスラムな国でもひたすら酒を求めるその執着に脱帽いたしました(笑
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本当に、誰もやらないようなことをやって 面白可笑しく文章を書くという ご自身で仰っているとおりで、非常に面白い。 この本は、酒が公に認められていないエリアで 普通なら無理だと我慢しそうなところを 様々な苦労もしくは取り越し苦労をして 酒を手に入れたり入れなかったり 兎に角イスラムでの飲酒をテーマにまとめられている。 酒好きの自分ですら、もう今日は諦めればいいのに、と思ってしまうほどの苦難の道のり続き ここまでの酒への情熱に、ついには感動すら覚えるほど。 確かに酒さえ飲めれば良いのならアル中かもしれないが 地元の人と外で和やかに飲むのが楽しいというのは成る程立派な酒飲みである。 そうすることで理解出来ることも勿論ある。 テレビや教科書で語られる民族のイメージや社会事情が全く嘘とは言わないが こうして体当たりで生の等身大の文化に触れ それを本と写真という形で知らせるというのは 本当に凄いことだと思う。 印象的だったのは、不浄の動物である犬を筆者が写真を撮ろうとしていたというので 捕まえてカメラの方を向かせようとしてくれる人がいたというエピソード。 新渡戸稲造氏が武士道を書くにあたり、 日本は宗教なしにどうやって道徳を教えるのか という異国の人からの疑問からはじまったそうだが 日本の宗教というものへの寛容さ 外国の宗教というものの文化への色濃い影響について 色々と考えさせられた。 酒飲みなら、思わず酒が飲みたくなるだろうし お酒に興味のない人でも十分に楽しめる内容だと思う。 イスラムが好きな人は勿論、偏見のある方にも是非ともお勧めしたい。 相変わらずの高野式行動パターン。もはや定番の様なバタバタ。それがたまらなく面白い。 ブログにあった土下座写真もこれか!と思わず。
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イスラム圏での飲酒。 どう考えてもむずかしそうなんですけど 凄いわ。 アンダーグラウンドなとこから 単純にその国の表裏を見せてくれますね。 相変わらず風俗がすごくよくわかるし。 でも正直ここまでアルコール好きな人は引いてしまいます。
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高野秀行「イスラム飲酒紀行」あっという間に読んだ。http://t.co/bhWfTitc 禁酒戒律を持つイスラムの国々10カ国で、製造も販売もしていないお酒を探しひたすら飲み続けているエッセイ。寛容で気さくで親切で柔軟なイスラムの人々の日常の表裏を垣間みれる。
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イスラム教国内で酒を飲もうと言う紀行集。一日たりともアルコールを欠かせないと言う作者の執念が面白い。イスラム教国内では基本的にアルコールはドラッグと同じように禁止されていると思っていたのだが、読んでみると意外と簡単にアルコールを入手しているのに驚かされた。あとがきで指摘されている...
イスラム教国内で酒を飲もうと言う紀行集。一日たりともアルコールを欠かせないと言う作者の執念が面白い。イスラム教国内では基本的にアルコールはドラッグと同じように禁止されていると思っていたのだが、読んでみると意外と簡単にアルコールを入手しているのに驚かされた。あとがきで指摘されているようにイスラム国家では他の宗教は全く禁止されているイメージを持っていたが、飲酒が禁止とされていない宗教も国内に存在している。そういう人達の為のアルコールは必要だろう。独裁的なイメージを持ちがちだが、その部分で勉強にもなった。最初面白かったけど、最後のほうは飽きてしまった。ちょっとワンパターンかな。
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酒飲みがイスラムの国々を訪れて酒を探して七転び八起きする話。 と書いてしまうと一言ですが、ソマリランドに行って酒を飲むなど、随分ハードルが高いことをしているのに、行動原理は、およそ子どもじみた感じで、うらやましい限り。 オープンエアで飯を食いながら、あるいは現地の家族とワイワ...
酒飲みがイスラムの国々を訪れて酒を探して七転び八起きする話。 と書いてしまうと一言ですが、ソマリランドに行って酒を飲むなど、随分ハードルが高いことをしているのに、行動原理は、およそ子どもじみた感じで、うらやましい限り。 オープンエアで飯を食いながら、あるいは現地の家族とワイワイやりながら酒を飲む、ということがいかに難しいか、そしてそれをやり遂げる、あるいは失敗に終わるときの感覚。 愉快な本であり、イスラムと酒という視点からも稀有な本なのではないでしょうか。
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高野さんの本は、ムベンベに続き2冊目。早稲田の探検部で、うっかり幻の恐竜の生き残りを探して以来、ずっと冒険生活らしい。。。そして、軽妙で面白い文章がますます冴えわたっている。 酒飲みが、酒に固執する、その執念たるや、酒飲みの私が読んでも本当にバカバカしくて笑ってしまう。 酒飲みの...
高野さんの本は、ムベンベに続き2冊目。早稲田の探検部で、うっかり幻の恐竜の生き残りを探して以来、ずっと冒険生活らしい。。。そして、軽妙で面白い文章がますます冴えわたっている。 酒飲みが、酒に固執する、その執念たるや、酒飲みの私が読んでも本当にバカバカしくて笑ってしまう。 酒飲みの酒飲みの為の酒飲み哲学が、素面の時はオーマイゴット!なのに、酒が入るととたんに素晴らしく見え、人生の真理だ!とまで思えてしまう自分も相当にバカバカしい。この辺りは、のだめの二ノ宮知子先生の、かの名著(!)「平成よっぱらい研究所」にも通じるものがある。 そして、割と謎のベールに包まれている、生きた人間としての市井のムスリムたちの生態にも、結構驚くことがあったし、また若干の親近感も沸いたりした。
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「私は酒飲みである。休肝日はまだない。」をキャッチフレーズに、飲酒が公には認められない(あるいは敬遠される)イスラム各国で酒を求めて奔走する探検家(?)、高野秀行さん。でも全編を通してのメッセージは 、あとがきにもあるとおり「ムスリムの人たちは酒を飲む人も飲まない人も、気さくで、...
「私は酒飲みである。休肝日はまだない。」をキャッチフレーズに、飲酒が公には認められない(あるいは敬遠される)イスラム各国で酒を求めて奔走する探検家(?)、高野秀行さん。でも全編を通してのメッセージは 、あとがきにもあるとおり「ムスリムの人たちは酒を飲む人も飲まない人も、気さくで、融通がきき、冗談が好きで、信義に篤い」。だよね。
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