「通貨」を知れば世界が読める の商品レビュー
私は近代経済史をよく知らないので、戦争や恐慌と通貨の関係は読み物としては面白かったと思います。 ただ、1ドル50円の根拠がまったくないことと、自分で定義した考えを自分で無視する点(基軸通貨を「自国の幸せが世界の幸せになる国の通貨」と定義したものの、影響力が大きいというだけで日本...
私は近代経済史をよく知らないので、戦争や恐慌と通貨の関係は読み物としては面白かったと思います。 ただ、1ドル50円の根拠がまったくないことと、自分で定義した考えを自分で無視する点(基軸通貨を「自国の幸せが世界の幸せになる国の通貨」と定義したものの、影響力が大きいというだけで日本円を影の基軸通貨と呼ぶ)が非常にお粗末でした。 新書のボリュームでは説明に限界があるのでしょうね。
Posted by
日常で身近なものである通貨とは何かを考えさせられる本です。通貨が誕生した頃から現代に至るまでの通貨の歴史を紐解きながら、通貨の将来を予測しています。 以前からかなり話題になっている本で、新聞広告や書店でも代替的に宣伝されていて気にはなっていました。他の方々のレビューを見ると...
日常で身近なものである通貨とは何かを考えさせられる本です。通貨が誕生した頃から現代に至るまでの通貨の歴史を紐解きながら、通貨の将来を予測しています。 以前からかなり話題になっている本で、新聞広告や書店でも代替的に宣伝されていて気にはなっていました。他の方々のレビューを見ると、賛否両論のようですね。個人的には、通貨の歴史を俯瞰できるだけでも著書を一読する価値はあると思います。 著者の持論としては、アメリカはドル安を容認しており、その流れが続くと円に対するドルの価値が下がり、結果的に1ドル=50円の超円高になるとの考えです。1ドル=50円というフレーズは、物凄いインパクトで、著書のサブタイトルにもなっているため、良い意味でも悪い意味でも目に止まりやすいです。 ただ、アメリカもオバマ政権が変われば政策も変わってしまう可能性はあります。アメリカの雇用、輸出を増やすためにドル安を容認している状況がいつまでも続くとも限りません。今やアメリカ企業は、アメリカ国外に進出して、中国を始めとする諸外国に工場を建設して事業展開している時代です。 日本人は、通常日本円だけを所有して生活しています。日本円は海外からも安全とされて、世界のリスク逃避マネーとして最近では円が買われやすい傾向が続いています。ただ、これも日本円が「安全」という確証は100%ではなく、大部分の日本国債を保有している 日本企業や日本国民が、将来日本国債を手放して、ギリシャのような財政危機を引き起こす可能性もあると思います。 将来、1ドル=50円になってもならなくても、通貨に振り回されずに対処するスキルを養っておくことは必要と思います。通貨の歩んだ道を振り返りながら、将来どうなるか自分で考えておく価値はあるかと思います。 目次 はじめに―通貨を知ることは、世界経済を知るということ 第1章 我々はなぜ、通貨の動きに一喜一憂するのか?―「一ドル五〇円」に向かいつつある世界にて 第2章 基軸通貨を巡る国家の興亡―世界経済を支配するのもラクではない 第3章 通貨の「神々の黄昏」―「まさか」の連続が世界を震撼させた 第4章 これからのドル、ユーロ、そして円と日本―基軸通貨なき時代はどのように進んでいくのか? 終章 来るべき「二十一世紀的通貨」のあり方とは?
Posted by
『”1ドル50円時代”は何をもたらすのか?』というあまりにも過激な副題につられ、『誰が「地球経済」を殺すのか』に引き続き、浜矩子著書を連続で読んだ。本書を読んでも、私個人としては”1ドル50円時代”が来て欲しいとは思えないし、来ることから逃げないで最善のシナリオを選ぶべきというこ...
『”1ドル50円時代”は何をもたらすのか?』というあまりにも過激な副題につられ、『誰が「地球経済」を殺すのか』に引き続き、浜矩子著書を連続で読んだ。本書を読んでも、私個人としては”1ドル50円時代”が来て欲しいとは思えないし、来ることから逃げないで最善のシナリオを選ぶべきということを理解はできるが、そもそも、その様になる今の世界経済の仕組みが納得できない。 科学や技術は、暮らしが豊かになり人々が幸せになることを目指し進化しようとしているのに、物の価値から遊離して独り歩きし、暴走と言いたくなる様な動きをする金融・通貨システムの進化は、技術やモノづくりに携わる我々からすると怒りを感じる。 基軸通貨を巡る各国の争い、ポンド、ドル、ユーロ、そして円の基軸通貨としての位置づけの歴史を学ぶことはできた。しかし、基準通貨の歴史や現状を知れば知るほど、円という通貨を発行する日本に暮らし、日本企業で働く自分自身の運命がどうなり、かつ、どうすべきかが益々判らなくなった。
Posted by
ポンド、ドル、ユーロ、円から現在状況を解説している。 イギリス帝国の時代からリーマンショックまでの経済がざっと見通せることろがよかった。 先日読んだ、「砂糖の世界史」の大航海時代からイギリス帝国までの流れとつながった偶然に驚いた。
Posted by
筆者の言う「1ドル=50円」はただの脅しじゃなく、金融政策に絡む重要な主張を含んでいる。しかし、こんな薄い本では語りきれない。実際、最後の方の「全く新しい円の時代」のところなんて、さらっと触れられているだけだ。本書は「基軸通貨史」を振り返りアタマを整理する本として読むのが良いだろ...
筆者の言う「1ドル=50円」はただの脅しじゃなく、金融政策に絡む重要な主張を含んでいる。しかし、こんな薄い本では語りきれない。実際、最後の方の「全く新しい円の時代」のところなんて、さらっと触れられているだけだ。本書は「基軸通貨史」を振り返りアタマを整理する本として読むのが良いだろう。 政策主張の部分を膨らまして考えるに、筆者の対局に高橋洋一のような金融緩和論者をもってくるとわかりやすい。 高橋洋一はドルとユーロが黄昏(タソガレ)る現状を一種の近隣窮乏化政策と捉え、金融緩和に踏み出さない日本は「自国窮乏化政策」を採っていると批判している。だから円高で一人負けするのだ、ということだろう。 筆者は違う。基軸通貨の黄昏によりウラ基軸通貨たる円に期待が集まっているのだから、そんな時に日本までもが金融緩和に踏み出せば、円キャリートレードを通じて世界に収拾のつかないほどのマネーがばら撒かれる、という主張だ。日本は成熟国になったのだから、いつまでも安い通貨で輸出立国という成功体験に拘ってはいけない、という主張も説得力がある。 日本は世界の一端を支える債権大国、これは事実だ。そして「有事の円」が期待されているのも事実だろう。残念ながら、本書ではだったらどうする、の部分は薄く、地域通貨の話もソリューションじゃないと思う。ソリューションを知るには、筆者のほかのどの本を読めばよいのだろう?
Posted by
著者ご本人を知る方が「優秀なひとだけど、通貨は苦手な人」と仰っていたので、どういうことかとは思うんですが。。。通貨のこれまでをきちんと説明されるので、近代史&現社が苦手だった私は、是非歴史の教科書の年表を開いて、書き込みながらもう一度読みたいところです。。。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日本円は影の基軸通貨であるらしく、将来的に50円/ドルまで進むと主張。基軸通貨なのは日本が債権大国であるかららしい。 ポンドもドルもユーロも財政などの問題を抱えており、本当の基軸通貨は無い状態。正直あまり分からなかった。 サブプライムローン問題⇒サブプライムローン証券化問題 基軸通貨⇒世界経済と最もリンクしている通貨 という言い方は分かりやすい表現だと思った。 時間のある時にまた読んでみよう。
Posted by
社会人になりたての20年以上前から、為替相場には興味があったので、それを開設してある本を読んできました。最初にアメリカに海外旅行に行った時が、1ドル=200円でしたから、その時と比較して「円」が3倍以上に強くなったことになります。 ほんの数年前までは、副島氏が「将来円は1ドル=...
社会人になりたての20年以上前から、為替相場には興味があったので、それを開設してある本を読んできました。最初にアメリカに海外旅行に行った時が、1ドル=200円でしたから、その時と比較して「円」が3倍以上に強くなったことになります。 ほんの数年前までは、副島氏が「将来円は1ドル=30円」となると彼の著作の中で述べていても信じられませんでしたが、今年の相場を見ていて、やっとイメージできるようになりました。 この本の著者である、浜女史は、おなじく円高になることを予想しているようですが、彼女のポイントは、ドルが基軸通貨でなくなる日が近い、ということのようです。 確かに、最近ではドル以外で決済することも起き始めているようです、私が社会人を卒業する10年後には、ドルにかわる通貨が主流を占めているかも知れません。その変化の兆しが数年以内に起こりそうなので、それらに注意しながら過ごしていきたいと思いました。 以下は気になったポイントです。 ・金本位制は、通貨節度を守るという意味では優れていたが、経済成長に対して抑圧的に働くので、それらの制度は放棄されることになった(p7) ・アジア通貨危機の原因は、むしろ「日本」にあった、ヘッジファンドはあくまで大きな流れに乗っただけ(p50) ・1ドル50円が受け入れられない理由として、輸出大国として円安として栄えた記憶、ドルは基軸通貨であるということ(p55) ・基軸通貨とは、「その国にとっていいことが、世界中にとってもいいことであるという関係が成り立っている国の通貨」である(p56) ・イングランド銀行が誕生した1694年は、後に王位につくオレンジ公ウィリアムに120万ポンドの融資を持ちかけた見返りとして、独自紙幣発行権を政府に公認してもらった(p66) ・シティがイギリスの軍事資金調達(第一次世界大戦)に応えられないことがわかったイギリス政府は、アメリカの資金調達に走った(p75) ・1931年9月にイギリスが金本位制をやめた後、1932年の「為替平衡勘定」は、金本位制を維持していたフランスやアメリカの外貨を買う、あるいは、ポンドを売って金を買うことであった(p81) ・1936年9月にフランスも金本位制を放棄して、「三国通貨協定=為替戦争の停戦協定」が結ばれた、相手国が自国通貨の対ドル為替相場を可能な限り安定的に維持する場合には固定価格で金を無制限に売却すると、アメリカは宣言した(p81) ・イギリスが形成したブロック経済圏では、ポンドが国際決済に使用された、その経済圏では、各国通貨はポンドと固定的にリンクされた、ロンドンに蓄積したポンド預金を国際決済に用いた(p83) ・1949年に最初のポンド切り下げ(1ポンド4.03→2.80ドル、30%)、1967年に二回目の切り下げ(→2.40、14%)の時にはスターリング諸国(ブロック経済国)は追随しなかったので、ポンドの基軸通貨の役割も終えた(p88) ・リーマンショックで危機に陥った投資銀行(ゴールドマン、モルガン)は銀行持ち株会社への衣替えで、乗り越えた、つまり投資銀行と商業銀行の二足のわらじを履いて、FRBの監視を受ける代わりに公的資金注入を得ることができるようになった(p134) ・1ドル50円に接近するにつれて、日本の貿易取引はかなりの部分が円建てになっていく、ドルに対する需要が低下する(ドルが減価)ということ(p195) 2011年12月30日作成
Posted by
【レビュー】 1ドル=50円が相当、という著者の立場に賛成するものではないが、そのような激烈な主張を丁寧に展開する点で好感を覚えた。本書はその論理を、データというよりも通貨の歴史を説明することでなしており、本書は通貨の歴史書といってもいいだろう。だから星を一つ減らした。 【特記事...
【レビュー】 1ドル=50円が相当、という著者の立場に賛成するものではないが、そのような激烈な主張を丁寧に展開する点で好感を覚えた。本書はその論理を、データというよりも通貨の歴史を説明することでなしており、本書は通貨の歴史書といってもいいだろう。だから星を一つ減らした。 【特記事項】 ・通用力のある貨幣が通貨。 ・もはや基軸通貨といえるものはない。 ・プラザ合意は、基軸通貨としてのドルを見放すものだった、というのが著者の主張。 ・サブプライムローン問題は、より正確に言えばサブプライムローンを証券化したことが問題である。
Posted by
予想していた内容とは違った。 でもタイトルにあるように「通貨」を知るためには「通貨」を視点に歴史を書かざるを得なかったんだろうな。 それはそれで面白かった。 しかし、歴史。もっと真面目に勉強しとけばよかったとつくづく感じる。 ただの暗記科目としかとらえてなかったから・・・ ...
予想していた内容とは違った。 でもタイトルにあるように「通貨」を知るためには「通貨」を視点に歴史を書かざるを得なかったんだろうな。 それはそれで面白かった。 しかし、歴史。もっと真面目に勉強しとけばよかったとつくづく感じる。 ただの暗記科目としかとらえてなかったから・・・ 話がそれました。 私も1ドル=50円あると思います。 「まさか」が次々起こる世の中ですから。
Posted by