悼む人(下) の商品レビュー
大団円。 全ての人の生を慈しみ、汲み取る手のひらのよう。 綺麗すぎるかもしれないけれど、 この本に出てくる人たちのように生きることの大切さを感じた。
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坂築静人 悼む人。三十二歳。無職。元医療機器メーカーの営業職。退職し、死を悼む旅に出る。新聞、ラジオや雑誌から、事故や事件の情報を得て、人が死んだ場所を訪ね歩き犠牲者を悼む。 蒔野抗太郎 北海道の新聞記者を始まりに、都内の夕刊紙、スポーツ新聞と渡り歩き、七年前からいまの週刊誌に契約制の特派記者として籍を置いている。残忍な殺人や男女の愛憎がらみの事件を得意とするから、エログロの蒔野、「エグノ」と呼ばれている。四年前に浮気がばれて離婚し、息子とは一度も会ってない。北海道で発見された白骨遺体の事件をきっかけに静人と知り合う。 成岡 蒔野が所属する出版社にこの春入社した新人。 海老原 蒔野の班デスク。六歳年上。 蒔野の父 悪性リンパ腫で入院中。余命僅か。声を失っている。 北海道警察本部の警部補 二十年前に失踪した女子銀行員の白骨死体が出たと蒔野に連絡をする。 坂築巡子 静人の母。五十八歳。末期癌患者。病院を出て在宅ホスピスケアを選んだ。兄の継郎は十六歳のときに病死。 坂築美汐 静人の五つ年下の妹。二十七歳。都内の旅行代理店勤務。一人暮らししていたが、母の在宅ケアに合わせ実家に戻る。高久保英剛の子を妊娠。 坂築鷹彦 巡子の六歳年上の夫。 浦川はるみ 訪問看護師。 福埜怜司 静人の従弟。鷹彦の妹みのりの息子。美汐と同じ年。都内の通信事業会社に就職し、インターネットでの様々な情報を管理運営している。 高久保英剛 怜司の大学時代の友人で、都内の銀行に勤めている。美汐の元交際相手。 奈儀倖世 最初の結婚相手から暴力を受け、家庭内暴力の被害者を支える寺にかくまってもらう。その寺の長男の甲水朔也の尽力で離婚することができた。その後、求婚を受けて再婚しで一年後に彼を殺した。事件現場で悼む行為をしていた静人と出会い、行動を共にする。 甲水朔也 奈儀倖世の夫。寺の長男。東大出身。幼い頃に実母が死に、義母が産んだ腹違いの弟がいる。寺の敷地に家庭内暴力の被害者女性のシェルターや高齢者施設などを設立。仏様の生まれ変わりと慕われる。 野平清実 出版社編集部の社員。蒔野の後輩。新人記者。入社二年目。 矢須亮士 蒔野と北海道の新聞社に同期入社の元同僚。 尾国理々子 蒔野の父の愛人。元銀座のバーのホステス。 高久保英剛の兄 県会議員の叔父の秘書。 埼玉県警捜査一係の強行犯係長 山隅泰介 巡子の主治医。 姜久美子 助産師。 福埜みのり 巡子の大学時代の親友。鷹彦の妹。怜司の母。家業の運送会社を切り盛りしている。 比田雅恵 女性医師。 栄哉師 菩提寺の住職。
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10年くらい前に読んだときは主人公の行動と家族との関係に違和感を感じてモヤモヤが残ってしまった。 あと、いとこ同士の結婚に親族がなんの躊躇も感じないどころか勧めているのが引っかかってしまった。 また読み直したら違ってくるかな。
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亡くなった人を「悼む」旅を続けている青年に関わった人達の視点の物語 以下、公式のあらすじ -------------------- 不慮の死を遂げた人々を“悼む"ため、全国を放浪する坂築静人。静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。末期がんに冒され...
亡くなった人を「悼む」旅を続けている青年に関わった人達の視点の物語 以下、公式のあらすじ -------------------- 不慮の死を遂げた人々を“悼む"ため、全国を放浪する坂築静人。静人の行為に疑問を抱き、彼の身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。末期がんに冒された静人の母・巡子。そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・倖世。静人と彼を巡る人々が織りなす生と死、愛と僧しみ、罪と許しのドラマ。第140回直木賞受賞作。 "「この方は生前、誰を愛し、誰に愛されたでしょうか?どんなことで感謝されたことがあったでしょうか?」ーー事件や事故で命を落とした人々のためを「悼む」放浪の旅を続ける静人。 彼の問いかけはそのまわりの人々を変えていく。 家族との確執、死別の葛藤、自らを縛り付ける""亡霊""との対決、思いがけぬ愛。 そして死の枕辺で、新たな命が生まれ……。 静かな感動が心に満ちるラスト! " 映画化、舞台化された話題作。 -------------------- 名前を覚えられる死と数でしか知らされない死にどんな違いがあるのか? 悲惨な事件・事故で亡くなった人、大勢が一度に大量に死ぬ他国の戦争や紛争、病気で亡くなるにしても孤独の中で亡くなる人もいれば、家族に看取られて逝く人もいる そして、人は「あなたのことは絶対に忘れない」と言たとしても大切な人の死を忘れる 友人の死をきっかけに「悼む」ことに囚われたし静人 そして、関わりの持った人達 父母の離婚をきっかけに心がすさみ、自身も結婚したが妻子と別れ、下衆な記事を書き連ねる新聞記者の蒔野 末期の胃癌になり、死を迎えようとしている、静人の母 巡子 被虐体質でDV夫と別れ、聖人君子のような僧侶に請われて再婚したが、自殺願望を持つその夫に請われて殺してしまい、夫の亡霊が取り憑いたと思っている倖世 静人の父、静人のせいで結婚が破談になった妹、兄妹の従兄弟 「悼む」という行為の本質は何かを考えた際に、「故人を想う」かなと思った 故人が「誰を愛し、誰に愛され、どんな感謝をされたか」を記憶に留める静人の行為 でも、偽善とか、良い面しか見ていないとか、勘違いの情報だという人もいる 個人的には、それでいいのではとも想う どれだけ親しい人でもすべては理解でいないわけだし 勘違いだろうが、悼む行為に違いはない そもそも、悼む行為は人それぞれであって、万人に共通の想いではない 鴻上尚史の人生相談の記事で、震災で亡くなった人への黙祷の時間に席を外す同僚を批判する人に対して、その答えも似たような事を言っていた気がする それこそ、悪いことをした人を悼んではいけない理由はない 静人は、殺人を犯した人の場合は被害者を三回悼んだら当人も悼むという基準を設けているけれども、今までその条件を満たした人がいない 殺人犯にも家族はいるし、悪人と言えど愛した人、愛してくれた人もいるかも知れないし、時には感謝された事もあるかもしれない 殺人や悪事という行為は良くないけれども、その行為がその人のすべてではないんだよな 事件で亡くなった人でも、静人は亡くなった状況や経緯、加害者について調べたり聞いたりしない理由 「加害者を憎むと、憎しみにとらわれて、被害者のことを忘れてしまう」という となると、どうやって死んだか?よりも、その人がどう生きたのか?を重視した方がいいので 「誰を愛したか、誰に愛されたか、どんなことで人に感謝されていたか」を聞くようになったと 被害者の無念さを知っても、それがその人の本質ではないのだろうなぁ 視点人物の三人 母である巡子は静人を愛した人で 奈義倖世は静人が愛した人で 蒔野抗太郎は静人に感謝した人 静人が人を悼むように、静人は人から悼まれるとき、巡子は関係者として思い出されるかもしれない でも、倖世と蒔野は他に悼む人が知り得ない人達 だけど、その悼みでもいいという事も暗に示されているような気がする もしこんな人がいたとしたら 抗太郎が思ったように、死に際して、その死を受け入れられるようになるかもしれない 私自身が亡くなる時にもそう思えたらいいな 人は二度の死を迎えるというけれども 世の中、こんな人がいたらいいのにの本当に想う
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主人公の心の動きよりも、母親の強い気持ち、行動に共感を覚えた。 このように、ひとりの人間として、受け入れながらも、あがきながら最期が迎えられたらと思う。
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上下巻読了。 静人の行為は、蒔野やゆきよの言葉を借りるまでもなく、無意味なものに映る。 そんなことをして何になる。 自己満足じゃないのか。 その死に触れてほしく無い人にとっては迷惑だ。 読者もそう思って読み進める。 けれど、そんな風に悼みを無意味だと切り捨てることができるのは...
上下巻読了。 静人の行為は、蒔野やゆきよの言葉を借りるまでもなく、無意味なものに映る。 そんなことをして何になる。 自己満足じゃないのか。 その死に触れてほしく無い人にとっては迷惑だ。 読者もそう思って読み進める。 けれど、そんな風に悼みを無意味だと切り捨てることができるのは、死のリアリティを受け入れていない人の特権なのだ。 自分の死を、あるいは愛するものの死を、リアルに実感を持って受け入れた者にとっては、静人の悼みは、意味がある。 むしろ、悼みだけが、死を受け入れさせてくれる。 悼む人=静人の物語を、価値観の遠い蒔野とゆきよの目線から描いたことに、驚きと感動を覚える。 そして、読了した今、もうひとつの目線を、静人の帰りを誰よりも待っている、母=巡子の目線で描いたことに、更なる感動を覚えるのである。
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後半は一気読みに近かった。 序盤は静人の悼みに対して、自分の考えに合う死者の断片だけを切り取った解釈を行う事への理解が出来なかった。全ての死に同等の悼みが与えられる訳が無い。と。作中に登場する多くの人々と同じ否定的な考えを持った。が、後半は静人の人物像が深く掘り下げられ、共感とはいかなくとも理解は出来た。 巡子の死に寄り添いながら読み進めていくうちに、自身の生き方を考えるいいきっかけになった。 全てがままなら無いもの、人は不完全な生き物、そして完全に消化されずに逝く生き物、ただその先は決して暗い物ではない。そんな事を教えられた気がした。
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死(自殺)と生き抜く力 末期の癌の母が思う息子の帰宅、娘の出産、更に編集者の出会いなど、最後の最後に意識の中で出会うことの喜びは最高の人生だったと、思いたい。「死に悼む」と「愛と生きる」が生死の人間が思う極まりではないかと感動した作品だった。
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天童荒太の本は、どれも長編で読むのが大変だけど、すごく面白くどんどんページが進む。 しかし、この「悼む人」は、私には面白くなく、なかなか読み進められなかった。 主人公と言っていいかわからないが、静人という成年、マジメすぎます。つまらないんです。 こんなつまらない男の物語、お母さん...
天童荒太の本は、どれも長編で読むのが大変だけど、すごく面白くどんどんページが進む。 しかし、この「悼む人」は、私には面白くなく、なかなか読み進められなかった。 主人公と言っていいかわからないが、静人という成年、マジメすぎます。つまらないんです。 こんなつまらない男の物語、お母さんが可哀想すぎます。 そんな本でした。 天童荒太さんの本は、これよりも断然「永遠の仔」をお勧めします。
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天童さんの著書を初めて読みました。 興味惹かれる題材と丁寧な文章で大変読みやすかったです。物語の最後が想像していたものと違い、あれって感じです。
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