黄金の服 の商品レビュー
9月に公開される映画『オーバーフェンス』の原作。 函館が舞台。 主演がオダギリジョーだから、観に行くけど、 原作は、うーん。文学❗️という感じ?で したな。
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このなかの「オーバー・フェンス」が来年2016年の夏に、映画になって公開されるそうです。 そう、それは『海炭市叙景』そして『そこのみにて光輝く』に続いて、佐藤泰志の小説の映画化3作目になるのです。 佐藤泰志は、中学生の頃から小説家を目指して高校時代は青少年文芸賞ほかに入賞して...
このなかの「オーバー・フェンス」が来年2016年の夏に、映画になって公開されるそうです。 そう、それは『海炭市叙景』そして『そこのみにて光輝く』に続いて、佐藤泰志の小説の映画化3作目になるのです。 佐藤泰志は、中学生の頃から小説家を目指して高校時代は青少年文芸賞ほかに入賞して、村上春樹とも同時代作家と評価されながら、でも知名度の高い文学賞には候補どまり続きで、そのためついには精神に異常をきたし失意のうちに自死した不幸な小説家でした。 この、彼が三十六歳のとき書いた作品「オーバー・フェンス」も、都合5回目の芥川賞候補となりましたが、残念ながら受賞しませんでした。 ・・・白岩という主人公は、妻と生後間もない赤ちゃんと別離後に東京をあとにして故郷・函館に帰って、職業訓練校に行きながら失業保険暮らしでした。 最小限の人づきあい・物のない部屋・ビールを二缶 毎日買って帰っての読書三昧生活。訓練校での実習にも、もうすぐ始まる学科対抗ソフトボール大会の練習にも、いっこうに身が入らない。 そんなとき仲間の代島から聡(さとし)という名の女性を紹介されたりする。 年も前職も様々に違う訓練校の仲間たちは、大半が一年先の卒業後も建築の仕事をするつもりがない。 全員が流れ流れてなんとか失業保険でやっとの暮らし。 欠損した左手小指を軍手で隠す者・海底トンネル掘りだった男・たった8ヶ月しか自衛隊勤務できなかった者・・・皆がみな、思い描いていた生活やずっと続くと思っていた暮しに、挫折し逃げるようにして、今このときにおなじ場所にいる。・・・ この「オーバー・フェンス」は、あきらかに彼自身が夢を諦めかけて生まれ故郷の函館に戻らざるを得なくなって、いっとき職業訓練学校に通っていた実体験が下敷きにされた作品です。 佐藤泰志が描いてきたものはいったい何だったのか。そう、それは、歴史の濁流にのみ込まれ個を失いかけ、自分はいったいどうなるんだろう、どこへ行くんだろうという喪失感と不安感、でも微かなその先にある希望の光・・・。 登場人物はみな一様に何かに挫折し、こころの底にあきらめに似た気持ちを持っている。けれども、そのどうしようもなくぱっとしない冴えない日常の内にも、一瞬どきどきするようなきらめきの瞬間がいつもある。暗く広い大海に漂流するようなときには、海面のキラッと光るその瞬間はとてつもなくせつなくまぶしく感じられるもの・・・。 主人公の白岩は、いつか忘れていくだろうと願いながらも、何をしてもどこにいても・・・かの日に妻と産院で浮き浮きしながら子どもの名前を考えたこと、迷路になった彼女の心を解きほぐすのなら何でもするつもりだったこと、他人の目なんかどうでもいいから早く妻が自分を取り戻して、二人は実際若いが堅実で明るい家族になることができると信じていたことを・・・思い出してしまうのでした。
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若者の閉塞感やもどかしさ、息苦しさを描く場合において、他人の目を意識しすぎると村上春樹になり、自分に正直であろうとし過ぎると佐藤泰志になる、という極論。 外部を意識しすぎた若者の年輪の行く末は、1Q84に表わされるようなファンタジーとなるが、佐藤さんが描く未来はどうだったんだろう...
若者の閉塞感やもどかしさ、息苦しさを描く場合において、他人の目を意識しすぎると村上春樹になり、自分に正直であろうとし過ぎると佐藤泰志になる、という極論。 外部を意識しすぎた若者の年輪の行く末は、1Q84に表わされるようなファンタジーとなるが、佐藤さんが描く未来はどうだったんだろうと思わされる。ただ、あんまドラマにはならんだろうなー。良くも悪くも。
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読んでるときは異常なくらい集中してて、読み終わるとどっと疲れてるのに、すごく重くて痛くて、焦燥感やとまどい、いらだちがヒリヒリと伝わってくるのに、読後感がどうしてこんなに良いのだろう。どうにもならない思いとひとすじの光が、沁みる。ほんとつくづく、佐藤泰志が生きていたら、いま、どん...
読んでるときは異常なくらい集中してて、読み終わるとどっと疲れてるのに、すごく重くて痛くて、焦燥感やとまどい、いらだちがヒリヒリと伝わってくるのに、読後感がどうしてこんなに良いのだろう。どうにもならない思いとひとすじの光が、沁みる。ほんとつくづく、佐藤泰志が生きていたら、いま、どんな小説を書いてくれただろう、と、つい、おもってしまう。
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初めて佐藤泰志の作品を読んだが、久々に良い読書だった。その上、夏の終わりに読むには。 村上春樹だ、大江だ、中上だ、と言われているみたいだけれど(まぁ、確かに雰囲気は似ているところもあるけどさ)、彼の作品はそれ自身でググッとくる。全部好きだったが、表題作が一番好き。 今とってもビー...
初めて佐藤泰志の作品を読んだが、久々に良い読書だった。その上、夏の終わりに読むには。 村上春樹だ、大江だ、中上だ、と言われているみたいだけれど(まぁ、確かに雰囲気は似ているところもあるけどさ)、彼の作品はそれ自身でググッとくる。全部好きだったが、表題作が一番好き。 今とってもビールが飲みたい。
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今までに読んだ佐藤泰志の著作の中で、頁をめくる手の動きを最も忘れ去って読むことができた。 特に表題作。 正直、著者の他の作品では、仕事の描写、作業の描写が淡々と連なるあたり、読みが失速してしまうことがよくあった。 たぶん、これは私自身、作中の仕事に対して特にこれといって予備...
今までに読んだ佐藤泰志の著作の中で、頁をめくる手の動きを最も忘れ去って読むことができた。 特に表題作。 正直、著者の他の作品では、仕事の描写、作業の描写が淡々と連なるあたり、読みが失速してしまうことがよくあった。 たぶん、これは私自身、作中の仕事に対して特にこれといって予備知識も思い入れも持てていないことと、そもそも書かれた当時の時代の空気が全くわからないことに原因があると思う。 一方、表題作は、汗水流して体を動かすといういつもの佐藤泰志らしさの一つが影を潜めているぶん、わたしにとってこれまでとは喉越しの違う一作だった。 僕と修治、アキと文子、プールと海、海水浴場のブイ。 対比と越境というモチーフがふんだんに盛り込まれていた。 解説もじっくり読めたので、解説者のことも知りたくなった。
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