黄金の服 の商品レビュー
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オーバー・フェンス 80 過去に傷を負い、故郷に帰り職業訓練校に通ってはいるものの、未来に進めずにいる主人公白岩の苛立ちや不安、人付き合いなどの熱量が絶妙だと思いました。 苛立ちを爆発させる森がこの小説の隠れ主人公かな。 その他訓練生、教官などがおりなす群像劇も面白いです。 撃つ夏 50 入院生活を余儀なくされた淳一。入れ替わる患者達や、訪れる友人、隣室の患者たちを通して不快感をなんとなく消化していく。ちょっと物足りなかった。 黄金の服 75 〜10代憎しみと愛入り混じった目で世間を罵り〜 〜20代悲しみを知って、目を背けたくって町を彷徨い歩き〜 エレファントカシマシの「俺たちの明日」に出てくる歌詞です。 10代の青春と20代の青春の違いは、社会(他人)との関わり方にどう向き合うかが、より具体的に求められることだと思います。 主人公の周りに出てくる他人には、アキ、道雄、慎、文子、大家と姉妹、静岡の友人、友人の妻、アキのフィアンセと出てきますが、その距離感がどれも異なり、その成果か「個」が浮かびあがりそれと同時に「孤独」も浮かびあがってきます。 その「孤独」とどう折り合うか?が20代の青春なのかもしれません。
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映画「オーバーフェンス」を観てからの読書。 焦燥感は懐かしいが、私はこういう学生時代を過ごさなかった(夜学)ので、うらやましくもある。 函館3部作はお薦めです。
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読んでいるときの感覚は「黄金の服」がいちばん好きなのだけれど、たぶん「オーバー・フェンス」のほうが書こうとしていることの確固さはあるのだろうなと思う。佐藤泰志の描く北方の街はそれだけ人物の思いが反映されやすい場所のようだ。 「黄金の服」の舞台は東京で、そこにいる若者たちはふわふわとどこか浮ついている。 「泳いで、酔っ払って、泳いで、酔っ払って、そして、と僕は思っていた。木曜日にはサーカスへ行く。日曜日までには本を一冊読み終る。」 主人公はこう語る。24歳の時間の流れ方としてはあまりにも緩やかで、こんな生活をしていいのかと彼はすこし思っている。彼と関わる幾人かの若者のその後はというと、道雄は大学をやめるというし、アキはフィアンセと結婚するから仕事を辞めるという。プールで泳いで、そのあと酒を飲むという瞬間が終わることが暗示されながら物語は終わる。最後には僕と文子だけが残っている。 とこんなふうに書いてはみるものの、やはり何か大切なものが欠落しているようなそんな印象をどこか持っているのかもしれない。 けれども読めてほんとうによかった。佐藤泰志はとりあえず片っ端から読んでいく。
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2021/6/28 佐藤泰志作品集より、主人公の線は太い。 2021/7/11 単行本にはその他2編収録、オーバーフェンスは秀逸。
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この人の作品読むの初めて 映画のオーバーフェンスが良かったので読んでみたけど、よくもまあこんなクソつまんない話を面白くブラッシュアップできたもんだと思った 映画の製作者たちの力量に驚かされた作品 つまんなくて全部読みきれなかった
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輝いて乾いていた夏の思い出。 夏の輝いて乾いた季節に友達と彼女で泳ぐ、酔っ払う、音楽を聴く、本を読む、手紙を書く。誰もが気にも留めない小さい自分の世界を綴る静かでゆっくりと時が過ぎる世界を堪能して下さい。
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その他に「オーバーフェンス」「撃つ夏」「オーバーフェンス」はオダギリジョー蒼井優松田翔太キャストでの映画化。 付箋 ・その時、僕が欲しかったのは職業でも女でもなかった。車だった。←他の小説でも主人公は車を欲しがっていた。 ・デ・ニーロの新作←何だろう?日曜日には溌剌と ・スーパー...
その他に「オーバーフェンス」「撃つ夏」「オーバーフェンス」はオダギリジョー蒼井優松田翔太キャストでの映画化。 付箋 ・その時、僕が欲しかったのは職業でも女でもなかった。車だった。←他の小説でも主人公は車を欲しがっていた。 ・デ・ニーロの新作←何だろう?日曜日には溌剌と ・スーパーマンの新作かシルビアクリステルの婆さんになった裸 ・僕はちょっと咽を潤す程度にしたかったのでラムハイを頼んだ ・「ブルックリン最終出口」を読もうかと思ったが、とてもついて行けそうになかった。 ・読みさしのセルビーの本 ・何よりも僕のアキに対する嫉妬深い感情から、自分を遠ざけたかった。 ・彼女への連絡手段が手紙 ・三冊の本の装丁をしてくれた友人の高専寺赫
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収録作「オーバー・フェンス」「撃つ夏」「黄金の服」いずれも魅力的な作品であるが、特に「黄金の服」が好きだ。 葛藤と衝動の10代の余韻を残しつつ人生の方向性めいたものが見えながら必死で抵抗を試みる20代前半。それぞれの人生の澱と日々の刹那の間のある若者の姿を描く。佐藤氏はそうした...
収録作「オーバー・フェンス」「撃つ夏」「黄金の服」いずれも魅力的な作品であるが、特に「黄金の服」が好きだ。 葛藤と衝動の10代の余韻を残しつつ人生の方向性めいたものが見えながら必死で抵抗を試みる20代前半。それぞれの人生の澱と日々の刹那の間のある若者の姿を描く。佐藤氏はそうした若者の姿が秋の夕暮れ時の稲穂と同じように黄金色に映ったのかもしれない。 佐藤氏の描く世界は閉塞感漂い決して明るいものではないが不思議と前向きさを感じさせてくれる。
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自ら命を絶って20年近く経過してから評価されるようになった不遇の作家・佐藤泰志。映画化された函館3部作というべき『海炭市叙景』(2010)、『そこのみにて光輝く』(2013)、そして今年公開されたのが『オーバー・フェンス』。本作は『オーバー・フェンス』の原作を含む作品集。 収録...
自ら命を絶って20年近く経過してから評価されるようになった不遇の作家・佐藤泰志。映画化された函館3部作というべき『海炭市叙景』(2010)、『そこのみにて光輝く』(2013)、そして今年公開されたのが『オーバー・フェンス』。本作は『オーバー・フェンス』の原作を含む作品集。 収録されている『オーバー・フェンス』、『撃つ夏』、『黄金の服』はいずれも昭和の空気を色濃く感じる青春劇。映画『オーバー・フェンス』で蒼井優が演じた聡(♀だけど名前はサトシ)はもっとエキセントリックでしたから、山下敦弘監督の脚色だったのかと思いきや、原作の聡と『黄金の服』のヒロイン・アキを混ぜ合わせたのが映画版の聡でした。映画に比べると原作はいささか退屈だっただけに、上手い映画化。退屈だったと言いつつも、3編とも妙に心に残り、どの話も目の前に情景が浮かぶようです。もっともっとこの作家の小説を読んでみたかった。早逝が残念でなりません。 映画『オーバー・フェンス』の感想はこちら→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/67d162d45ec3a1dcf751cac804913d31。
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この人の作品は主人公の性格を読み手が「この人はどんな人なんだろう」と必死で読み解こう読み解こうとさせる。 現実社会のように、少しずつしか主人公たちの性格を知ることができない。最後にやっと、あぁこんな人だったのかとわかる。 せりふ回しが独特(昭和?)。 言い方に変な遠慮などがないからすがすがしい、けど実際こういう言われ方したら現代っ子は傷つくかもな~なんて。
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