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宗教を生みだす本能 の商品レビュー

4.2

20件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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2024/05/17

メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1791343881281515623?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

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2023/07/29

タイトルの通り、宗教を生みだす本能が人間には備わっていること、その性質は遺伝によって受け継がれてきたことを主張している本。宗教の起源、音楽・舞踊とのつながり、共同体の道徳・経済・生殖行為に与える影響などがわかりやすく説明されている。著者はニコラス・ウェイド。進化心理学に精通し、『...

タイトルの通り、宗教を生みだす本能が人間には備わっていること、その性質は遺伝によって受け継がれてきたことを主張している本。宗教の起源、音楽・舞踊とのつながり、共同体の道徳・経済・生殖行為に与える影響などがわかりやすく説明されている。著者はニコラス・ウェイド。進化心理学に精通し、『Nature』『サイエンス』などでサイエンスライターとして活躍した。 印象に残ったのは、宗教は性習慣に介入し、出生率をコントロールする機能があるという点だ。中絶や避妊、同性愛の禁止を命じる宗教は多いが、それらはすべて出生率の増加につながる。集団の規模か大きくなることは、周辺の共同体に対する優位性に繋がる。 もうひとつ印象に残ったのはは、著者が進化論における集団選択の立場をとっている点だ。『利己的な遺伝子』のリチャード・ドーキンス、『暴力の人類史』のスティーブン・ピンカーに対立する主張がたくさん書かれていた。たしかに、生物の世界では淘汰は遺伝子のスケールで起こっているが、人間に関しては集団での淘汰も含めて考える必要性を感じた。 宗教が世界に存在し続けてきた理由がわかるようになる本。 印象に残ったところメモ。 ・奇食者と戦闘、この2つの大きな脅威に対する対応策が徐々に明らかになった、宗教である。 ・食事の喜びは人を食べることに向かわせるが、食べることの進化論的意味は別にある。信仰の満足は人を宗教の実践に向かわせるが、宗教の進化論的機能はまったく別のところにある。それはすなわち、人を結束させ、集団の利益を個人の利益に優先させることだ。 ・宗教行動もシグナルとして機能する。厳しい儀礼を通してのみ学ぶことができ、膨大な時間を要求するからだ。 ・シグナルは象徴であり、言葉よりはるかに効果的にメッセージを伝えられる。 ・出生率は、とりわけ原始宗教においては存続を左右する重要な要素であり、宗教は出生率を調整する有力な手段となる。宗教的慣習は通常、出生率を上げるために設けられる。 ・多数の社会に性交のタイミングを定めた宗教規定がある。 ・結婚には明らかに存続上有利な点がある。ひとつには、自分や家族を守ってくれる男性を女性が得ることで、幼児を成人まで育てられる可能性が格段に高まる。また、社会という観点から極めて重要なのは、結婚生活が少なくとも原則上、男性間の争いの主な原因、すなわち女性の奪い合いという問題を解決する点にある。

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2017/08/05

前半は進化論からみた宗教の起源と役割。 後半はユダヤ、キリスト、イスラムの創立の歴史とアメリカをメインとした宗教の今と未来。 この本で初めて知った事実も多く、宗教学の新たな地平を垣間見た。 ・集団内では利己主義が利他主義を打ち負かす。集団間では利他的集団が利己的集団を打ち負かす...

前半は進化論からみた宗教の起源と役割。 後半はユダヤ、キリスト、イスラムの創立の歴史とアメリカをメインとした宗教の今と未来。 この本で初めて知った事実も多く、宗教学の新たな地平を垣間見た。 ・集団内では利己主義が利他主義を打ち負かす。集団間では利他的集団が利己的集団を打ち負かす。 ・利他主義と戦闘は共進化した ・人はある意味で子供を持つために恋をする。が、それは恋をするという主観的な体験の説明からはほど遠い。同じように神意と交信する体験は宗教にある多くの特典の一つである。 ・音楽の進化論的起源。性選択と集団の結束。 ・現代の宗教は儀礼や感情的つながりより、教義や知的な信仰を重視する。 ・ダーウィンの考えを裏付けるように、人間の音楽の能力は様々だが、しゃべる能力に大差はない。これは言語が厳しい淘汰を経たことを示している。 ・狩猟採集民の宗教の特徴。1.聖職者がいない、教会もない。2.リズミカルな身体運動。3.聖なる物語は共同体の存続に関わる道徳や実用的な教えを説く。4.神学の問題にほとんど関心を示さず、実用的な問題を重視する。 ・宗教儀礼による規制の利点は、統治機関がなく、思慮のある統治者さえいない状況で、神聖な習慣に従って多くの人々を統治できる。 ・聖職者の宗教と恍惚の宗教の緊張関係は歴史を通して続き、いまも宗教の変容の主要な原動力となっている。 ・座席の第一の目的は、司祭の説教の間に座る場所を提供することでなく、人々を踊らせないためにヨーロッパの教会で16世紀に設けられた。 ・人類の祖先の人口はある時期、天災によってわずか5000人にまで減った。 ・全く新しい宗教が成功する見込みはほとんどない。新しい宗教を始めるのであれば、どこか既存の宗教のセクトとしてスタートするのが最も簡単な方法。 ・聖書は人々に生来備わる宗教行動の性質をきわめて効果的に刺激した。トランスに代わって、知的に満足できる方法、すなわち神と交流する預言者を提供することによって、超自然に接触したいという人々の望みを満たしたのだ。 ・布教活動は既存の社会ネットワーク内で行うと一番成果が出やすい。 ・コーランはムハンマドの死から150年以上すぎた800年頃までには最終的な形にまとまらなかった。 ・宗教の結束を支えに武力に訴えることもあれば、和平を追求することもある。 ・暴力は宗教より社会に起因すると考えるべき。社会は宗教を用いて、暴力を正当化することもあれば、あおることもある。 ・宗教は戦闘の目的と言うより手段。また、戦闘の原因になりやすい点は武器と似ている。 ・どんな国にもある種の信仰、国を重んじる気持ち、市民宗教は存在する。特にアメリカは。 ・現代の信仰を脅かしてきたのは、科学知識の発展と高等批評(聖典の科学的研究)。 ・北欧では人々は宗教に関わる必要性を感じない。重大なストレスを受けるアメリカでは、頻繁に宗教行動が見られる。 ・家畜を飼い、生乳を飲むという文化が、遺伝子の変異につながり、北ヨーロッパでは大人になっても牛乳を消化できる能力を得た。 ・世俗化が進んでいるのは、宗教が聖典という枠の中にとどまり、人々の信頼を失いつつあるからだ。宗教が廃れずにいるのは、人々が何かを信じたいと思っているからで、歴史に関する宗教側の主張に合理性があるからではない。

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2018/10/31

読み終えるのに時間はかかったが、内容は意外と単純。宗教は社会をルールに従わせるためと、戦争のために結束させるために発達したと説明する。 ドゥ・ヴァールは道徳について、共通の価値に基づいて争いを処理する集団全体のシステムから生まれる善悪についての感覚と定義する。道徳はサルや類人猿...

読み終えるのに時間はかかったが、内容は意外と単純。宗教は社会をルールに従わせるためと、戦争のために結束させるために発達したと説明する。 ドゥ・ヴァールは道徳について、共通の価値に基づいて争いを処理する集団全体のシステムから生まれる善悪についての感覚と定義する。道徳はサルや類人猿にも見られる(対立後の和解、共感、社会ルールの学習、互恵の観念)。 人間が言語を獲得すると、他人が何を知り、何をしたいかを推測する心を発達させた。自分の行動を集団に示して評判を高めることによって、道徳的推論が進化した。心を発達させた集団は、生き残りをかけて争う中で、個人に社会の利益を重視させるようになった。 著者は宗教を、感情に働きかけて人々を結束させる信念と実践のシステムと定義し、超自然的存在の懲罰を怖れる人々は自己の利益より全体の利益を重んじる役割を果たすものであると説明する。狩猟採集社会では、通過儀礼と集団での舞踏を通して、すべての人が神のルールに従うことを誓うことにより、集団として存続するための知恵を得て、警察などの統治機関なしに社会を結束させた。超自然的な懲罰を怖れた者たちが、最強で永続力を持つ社会を築いた。現在の狩猟採集民の宗教は、日常生活の大部分を占め、精力的に歌い、踊り、強い感情を引き起こす夜通しの儀礼をおこない、信仰より儀礼を重んじる共通点がある。サミュエル・ボウルズは、ジョージ・プライスが開発した方程式を用いて、集団の協力関係を生み出す利他主義と集団間の戦闘が共進化したことを示している。著者は、舞踏、音楽、儀礼に基づく原宗教、言語、超自然的存在への共通の信仰に基づく宗教の順で発生したと推論する。 定住社会では、聖職者階級が人々と神の間に立つようになり、祭司の王が支配する古代国家が生まれた。統治機関があったとしても強制力を持たなかった時期に、宗教儀礼は人口調整や資源管理などの社会的、生態学的な規制面で重要な役割を果たしただろう。宗教が聖職者のものとなり、超自然界のメッセージを自由に解釈できるようになると、極端な解釈も横行した。 BC722年にイスラエル王国がアッシリアに滅ぼされた後、BC640〜BC630年の間にアッシリアが撤退すると、ユダ王国はイスラエル王国を取り戻して併合するために、イスラエル人がエジプトを脱出してカナンに王国を築いた物語を提示し、ヤハウェをエルサレムの信仰の中心にした聖書を用いて共同体の結束を図った。ヨシュアはBC610年に戦死し、エルサレムはBC597年にバビロニアに占領され、多くの住民がバビロンに連行されたが、信者を共通の目的に向けて束ねる聖典を生み出した点では成功した。 キリスト教は、ローマ帝国内の都市に住みつき、ギリシャ語を話すヘレニズム化したユダヤ人の間で普及した。公共福祉が全くなく、大災害が頻発したローマ帝国の中では、進んで助け合うキリスト教徒の姿は際立ち、女の子を殺すことや堕胎、同性愛は禁じられたため、教徒の数は増えていった。 戦争で宗教が大きな役割を果たしたものは、73の大きな戦争のうち3つしかない(7〜8世紀のアラブの大征服、11〜13世紀の十字軍、16世紀のプロテスタントの宗教改革)。宗教は戦争の目的ではなく、国民の支持を得るためにスローガンとして用いられているに過ぎない。戦争に脅かされることがなく、北欧のような充実した福祉制度のある国で育つと、宗教活動に関わる必要性を感じなくなる。 宗教の存在理由は社会へのルールの導入と結束であるとする説明は、理解はできる一方で、それだけなのかと頭が整理できないのも正直なところ。アメリカ人向けなのか、三大一神教に関する記述がメインなのも物足りない。ドーキンスの「神は妄想である」にも、宗教の起源や道徳の根源に触れているようなので、確認してみよう。

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2016/11/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・生贄の動物は、この世の人間と超自然的世界の神との仲介役である。いくつかの宗教では、供犠者がみずからの命を捧げる。が、ユベールとモースによれば、これはその者がまさに神である場合だけだ。キリスト教では、供犠はイエスの死であり、聖餐式で司祭が比喩的にとりおこなう。イエスは誤った意思を持つ者たちによって殺された。 ・チンパンジーは、たまに動物園の飼育区画の周囲にめぐらされている堀に仲間が落ちると、飛び込んで助け出そうとする。彼らは泳げないから、これはじつに危険な行為なのだが。 ・共同体のルールを破る事に対する恐れは、やがて命令に近いものに変質したのだろう。霊長類学者による霊長類の「社会貢献行動」の記述に対し、哲学者はよく、「である」から「べきである」は導けないというデイビッド・ヒュームのことばを引き合いに出す。しかし、何か失敗をすれば共同体から非難される怖れがあるとき、「である」は「べきである」にかぎりなく近づく。 ・オーストラリアのアボリジニの儀礼からも明らかなように、その実践には膨大な時間を必要とする。もし宗教になんの利点もなかったら、それに多くの時間を費やした部族は、軍備にすべての時間をつぎこんだ部族に対して非常に不利になっただろう。 ・マクニールに直感が閃いたのは、1941年9月にアメリカ陸軍に徴兵され、テキサスの平原を何時間も行軍演習していたときだった。その日は暑くて埃っぽく、行軍はまったく無意味に思われた。現代の戦場の機関銃の射程内を密集体系で行軍するとしたら、それは自殺と変わらない。しかしそれを別にすれば、みんなで足並みをそろえて行進するのはなぜか心地よいとマクニールは感じた。 “訓練中、全員一体となって何時間も体を動かすうちに湧いてきた感情を、ことばでは充分言い表せない。全身に幸福感が広がったのは覚えている。もっと具体的に言うと、自分が広がったような奇妙な感覚、膨張したような、現実の自分より大きくなったような感覚だった。共同訓練のおかげである” マクニールが語っているのは、集団でおこなうリズミカルな運動は感情に力強く奇妙な影響を及ぼし、高揚感とほかの参加者たちとの一体感を生み出すということだ。軍人以外にはあまり理解されていないが、集団の結束は軍司令官にとって最大の問題である。訓練不足の部隊は、兵士の10%が死ぬと散り散りになって逃げだす。結束力のある部隊は、最後の10%になるまで崩壊しない。このちがいが戦闘の行方を決める。 ・ダーウィンの考えを裏づけるように、人間の音楽の能力はさまざまだが、しゃべる能力に大差はない。遺伝学の見地からすると、これは言語が厳しい淘汰を経たことを示している。言語の価値を下げたり、言語活動を妨げたりする遺伝子はたちどころに排除されたということだ。対するに音楽は、知覚することや生み出すことに制限がないので、さまざまな遺伝的変異を許容した。

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2016/04/16

進化論の立場から宗教について─その誕生から歴史、そして これからのあり方について書いた本である。「宗教を生み だす本能」に焦点を当てているのではなく、「本能的に生み だされた宗教」に焦点を当てている感じで、タイトルから 受ける印象とは少しずれている内容だし、論と言うよりは 読み物...

進化論の立場から宗教について─その誕生から歴史、そして これからのあり方について書いた本である。「宗教を生み だす本能」に焦点を当てているのではなく、「本能的に生み だされた宗教」に焦点を当てている感じで、タイトルから 受ける印象とは少しずれている内容だし、論と言うよりは 読み物という本なのだが、読み応えは抜群、内容も面白い。 人によって受け入れるかどうかが、何よりもはっきりと 分かれるだろうと思われる「進化論」と「宗教」という二つ の事柄を扱っているだけに、この本についても賛否両論が 並び立つということは予想できること。私はどちらかという と「賛」寄りだろうか。 宗教と戦闘が共に並んで影響し合いながら進化してきたの ではないかということと、イスラム教がキリスト教の一派 から始まったのではないかというあたりが、今までに目に したことの無い論点で面白かった。

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2015/02/02

題名を直訳すれば =信仰の本能〜宗教はどう進化し何故生き続けるのか= 宗教と信仰ではまるで意味が違うと思うのだけれども? 宗教は社会的組織をイメージさせるし 信仰は個人的な依存心による心情を思わせる 更に本能とはそのモノが持つ目的に関することなのか 目的へと向かう手段でありその...

題名を直訳すれば =信仰の本能〜宗教はどう進化し何故生き続けるのか= 宗教と信仰ではまるで意味が違うと思うのだけれども? 宗教は社会的組織をイメージさせるし 信仰は個人的な依存心による心情を思わせる 更に本能とはそのモノが持つ目的に関することなのか 目的へと向かう手段でありその道具なのだろうか もしも本能が人生の目的を示すものであるならば 宗教がその目的へ向かう本能の範疇であり得ないだろう 何故なら宗教とは縄張りをつくる排他的な組織のことであり 相対するあなたと私を対等な関係ととらえられずに 外と内として意識した不安恐怖から逃げ込む依存先であるから 流れ続ける時空間に暮らす私達の目的へのプロセスから 脇道の迷路に外れた澱みといえるだろう もしも本能が手段であるならばその目的がなければならない つまり人生の目的が何かということになるけれども 宗教に依存するということは 本来の目的であろう今と向き合う冒険への不安を感じ そこから逃れることを目的としてすり替えた擬似人生を 目指すことなのだろう 知識という部分に目の眩んだ不安恐怖を生み出す部分性を 逃れるために宗教組織を有効な結束力として 相手と対立し敵として搾取の対象とする手段に活用することになる この本をどう読み解いてみても無理があり 全体観を見失ったものとしか見えてこない 大事なのは組織ではなく集うという手段が目指すべき目的だろう それは個々の意識の成長であり個性という歪みを持ったお互いが 切磋琢磨して分け合う中で出合いの冒険と発見を愉しむことであり 個々としての全体であると同時に大自然の部分でもあるお互いの 全体を見据えた信頼感と調和の関係だろう 生命維持の道具でしかない遺伝子万能論は危険だ 依存心による無い物ねだりの信仰とお互いの対等性からなる 理解と信頼の違いに気付くべきだ

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2019/08/06

ものすごく面白かったです。 それまで不思議だった宗教について、かなり納得できる説でした。 読んで良かったです*\(^o^)/* なお、アブラハムの宗教についてが主で、東洋の仏教などについては書いてなかったと思います。

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2014/03/13

人間と動物を分かつのは宗教行為である。政治や経済は類人猿にも存在する(『あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源』フランス・ドゥ・ヴァール/『共感の時代へ 動物行動学が教えてくれること』フランス・ドゥ・ヴァール)。だが死を悼(いた)み、死者を弔(とむら)い、遺体...

人間と動物を分かつのは宗教行為である。政治や経済は類人猿にも存在する(『あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源』フランス・ドゥ・ヴァール/『共感の時代へ 動物行動学が教えてくれること』フランス・ドゥ・ヴァール)。だが死を悼(いた)み、死者を弔(とむら)い、遺体を埋葬し祈りを捧げるのは人類だけだ。宗教行為は「死の認識」に基づく。 http://sessendo.blogspot.jp/2014/03/blog-post_13.html

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2013/08/16

宗教がどのように発生したと進化論者の立場からは主張するのか、ということは非常に関心があるところです。古い時代の研究、また原住民たちの音楽、舞踏、トランスなどにその原点を見出そうとするところは受け容れ難いですが、ユダヤ教に始まる一神教に焦点を置いた説明は非常に研究されているというこ...

宗教がどのように発生したと進化論者の立場からは主張するのか、ということは非常に関心があるところです。古い時代の研究、また原住民たちの音楽、舞踏、トランスなどにその原点を見出そうとするところは受け容れ難いですが、ユダヤ教に始まる一神教に焦点を置いた説明は非常に研究されているということで、著者は宗教を前向きに捉えているような、不思議な本でした。ヒンズー・仏教などの記載が一切ないのは、宗教と考えていないのでしょうか? 冒頭の言葉が改めて全体を言い表していました。「本書の目的は、進化論の観点から宗教行動を理解することである。このアプローチから生じる結論は信仰者、無神論者双方にとって受容し難いかも知れない。しかし、どちらの主要な考えも脅かすものではない。ダーウィンは生物学的プロセスの目的を説明していない、と考えるのは正しい。また宗教行動が道徳意識を高め、社会の結束を強め、初期の人間社会の存続にとって重要だった。・・・」この本は結論が最初にあると言える。

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