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静かな爆弾 の商品レビュー

3.4

40件のお客様レビュー

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2011/06/19

2011年06月 05/036 何気に、大半の作品をチェックしている吉田修一氏の新作。何が特別に好きということもないのですが、恋愛小説や人間関係の湿度の低さや沸点の高さみたいな感覚が合うようで、ついつい手に取ってしまいます。作品の長さも気軽に読むのにちょうどよいものが多いですし。...

2011年06月 05/036 何気に、大半の作品をチェックしている吉田修一氏の新作。何が特別に好きということもないのですが、恋愛小説や人間関係の湿度の低さや沸点の高さみたいな感覚が合うようで、ついつい手に取ってしまいます。作品の長さも気軽に読むのにちょうどよいものが多いですし。 この作品はテレビ局に勤め、ドキュメンタリー(タリバンによる大仏爆破の)作成を行う早川俊平と耳の不自由な女性、響子の恋愛小説。 二人の恋愛と、俊平の仕事を軸に進んでいくのですが、途中のちょっとしたエピソードが印象的でした。それぞれが何を意味していたのかを理解できていないので、もう一度読み返そうと思います。 耳が不自由な響子との物語のせいか、読みながら音楽がなれる印象がなく、特に響子が出ているシーンはとても静かな印象を受けました。響子という名前、途中の振る舞いなどから耳が不自由であることについても考えさせられました。 男性の立場からのみ描かれた恋愛小説は少し新鮮。 なんとなく終わり方にノルウェイの森的な香りがしました。 久しぶりに「パークライフ」でも読み返そうかな。 スキな表現があったのでいくつかメモ。 「当たり前と言えば当たり前なのだが、言葉でできていない質問というものが、この世にはないのだと、このとき初めて気がついた。」(P.13) 「もしかすると、こいつは神様かもしれないぞ、用心、用心」 「野良猫にハムをやる。同じ行為のはずなのに、考え方次第でまったく別ものに思える。 施してやる。 施させてもらう。 施してやる。 施させてもらう。」P.51 「響子に首を傾げられて、正直、眠るという行為を見直した。というと少し大げだが、とくかく最近自分が、眠りたいから眠るのではなく、眠らなくてはならないという気持ちから睡眠をとっていたように感じた。」P.54 「本当にちょっとした情報操作で、人間というものは、加害者にも被害者にも見え、密告者にも被密告者にも見えるのだと、心底うす気味悪くなっていた。」P.85 「単なる順序の違いなのだが、耳の聞こえない恋人として響子を紹介するのではなく、響子という恋人の耳が不自由なのだと伝えたかった。」P.130 「子供って、誰かに伝えたいと思って、木に登るわけじゃないんだよ。木に登ったらどんな景色が見えるのか、ただ、それが知りたくて登るだけなんだよ。でもさ、年取ってくると、木に登らなくなる。万が一登ったとしても、それを誰かに伝えたいって気持ちが先に立つ。」P.169 「何がどうなろうとしているのか分かっていたのに、楽観的な気持ちのほうを信じて、声を上げなかったのは誰か。 大丈夫だと思う気持ちはどこからくるのか。 大丈夫だと思いたい気持ちはどこからくるのか。 大丈夫だと思えない気持ちは、いったいどこへ行ってしまったのか。」P.172 「何も知らないわけではなかった。 なんとなく知っていることを、なんとなく知ったままにしていた。 大変なんだろうなとは思っていた。ただ、思うだけで、その大変さを想像しなかった。 苦しいんだろうなとは思っていた。ただ、思うだけで、その苦しみを想像しなかった。」P.185 「知っている道だと思っていた。 一度くらい通ったことのある道だと思い込んでいた。 なのに、一度も足を踏み入れたことのない道だけが右に左に伸びていた。」P.199 「どこで神様に会うか分かったもんじゃない。」P.214 「途中から自分が何を見つけようとしているのか分からなくなった」P.227

Posted byブクログ

2011/05/15

以前この著者の「ランドマーク」を読んで頭を抱えて以来、この人の作品には警戒心を抱くようになっていたんだけど、今回はそんなこともなく。 耳の聞こえない女性と、TV局に勤め報道に血道を開ける男性との交流を中心として物語は進んでいくのだけれども、読み終わって「あれ?」って思うのが、意...

以前この著者の「ランドマーク」を読んで頭を抱えて以来、この人の作品には警戒心を抱くようになっていたんだけど、今回はそんなこともなく。 耳の聞こえない女性と、TV局に勤め報道に血道を開ける男性との交流を中心として物語は進んでいくのだけれども、読み終わって「あれ?」って思うのが、意外なほどに二人の間のことを描いていないということ。 それっぽいシーンが全くないということでもないのだけれども、印象としては、タリバンによるバーミヤン遺跡爆破の裏側を追う男性の動きの方が強くイメージとして残った。 ただ、最後まで全部を読んでみると、この「描かれない」というポイントがとても重要なことのように思えてくる。描かれない必然というような。。 最後の数ページに効果的につながってくるように感じる。 読み終わって思うのは、十分に読み切れていないという不安。 近づけてないという悔しさみたいなもの。 この物語は油断しがら読んではだめだと思う。

Posted byブクログ

2011/05/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

特に「好きだ」とか「愛してる」といった類な言葉は全く出てこないけれど,主人公 俊平が響子を本当に大切に思ってることが感じられるお話でした. ベタベタしてなくて,うざったくない.笑 でもベタベタなのも嫌いじゃないんですが,私.笑 最後,物語の未来を感じさせる終わり方が私好みです. 最後!最後!! いいなあ,読んでほしいなあ. 私が好きなのは,最後の二行です. 先に読んだらダメですよ.笑

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2011/05/02

11/05/02読了 「途中から自分が何を見つけようとしてるのか分からなくなった」 何か最後の盛り上がり方が圧巻。

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2011/05/01

響子という耳の不自由な女の子はもしかして幽霊? 登場の仕方も姿の消し方も幽霊っぽいんですけど・・・ そして物語初めに出てくる宏美という過去の女との挿話は何の意味があるの?「ほら、早く脱げよ。ヤりに来たんだろ。」と女を乱暴に扱う俊平と響子を大事に扱う俊平は同一人物に思えない。 も...

響子という耳の不自由な女の子はもしかして幽霊? 登場の仕方も姿の消し方も幽霊っぽいんですけど・・・ そして物語初めに出てくる宏美という過去の女との挿話は何の意味があるの?「ほら、早く脱げよ。ヤりに来たんだろ。」と女を乱暴に扱う俊平と響子を大事に扱う俊平は同一人物に思えない。 もしかしたら響子との物語は俊平の夢の中の寓話に過ぎないのではないか。 そしてそして、俊平のドキュメンタリー番組の取材記者としての仕事っぷりを披露するんだけど、内容説明が中途半端すぎていかん。 バーミヤンの歴史的遺産爆発テロ集団を追いかけ、リーダー格との インタビューにまでこぎつけたりするが、そもそもこの事件の重要性が伝わってこない。9.11と結びついてるようなことも書かれてるし、「私たちの大部分は破壊に心から反対だったのです。」と外堀の人たちに言わせたりもしている。 事件を追いかけてイスラマバードへ行く俊平の姿をしつこく追いかけてかっこいい彼を描こうとするんだろうが、まったくいらないエピソードだった。 それより耳の不自由な女の子との心のやり取りをもっと深く掘り下げた方がよかったのでは?

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2011/04/26

謐かな世界。 仕事に没頭する男と音のない世界で暮らす女の恋愛小説。 気持ちを伝える手段は声だけではないということを、 言葉にならない想いは本当に存在するということを、 気が付かせてくれる。 日常の一部を切り取ったような穏やかな作品。

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2011/04/11

2010.4.10 吉田さんの描く、情景描写とか感情描写がキレイで好き。 悪人と打って変わって、性的な描写ほとんど出てこなくて◎

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2011/04/10

耳が聞こえない彼女とテレビの報道に勤め、仕事に没頭するあまり、彼女の存在の大事さを見失うが、最終的には彼女への想いを認識してハッピーエンドを迎える。

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2012/06/26

文庫本と単行本でここまで表紙が違うのも珍しくないですか? 吉田修一の恋愛長編です。帯には売り文句があれこれ書いてありますが、「春、バーニーズで」とかの路線なので、「悪人」的なものを期待されるとがっかりかも。 仕事大好き男の早川俊平が、公園で出会った耳の不自由な女 響子を好きになる...

文庫本と単行本でここまで表紙が違うのも珍しくないですか? 吉田修一の恋愛長編です。帯には売り文句があれこれ書いてありますが、「春、バーニーズで」とかの路線なので、「悪人」的なものを期待されるとがっかりかも。 仕事大好き男の早川俊平が、公園で出会った耳の不自由な女 響子を好きになるが、、と言った感じの話です。耳が不自由なことに起因する弊害、障害に対する周囲の偏見、仕事と私どっちが大事なのよ的な問題など、扱ってるテーマ自体は使い古された感があるのですが、主人公となる男にだけスポットを当て、あくまでも障害を持つ彼女は何も語らず、何を考えているかも言及されていません。彼はテレビ局に勤めていて、ある世界的なテロ事件のスクープを得るのですが、この話の本編とは一切関係ないにも関わらず描写が細かく、いかに彼が仕事を大事にしているか伝わってきます。本編と関係無いから読んでて無駄だと感じるかもしれませんが、実は彼が仕事の中で得た印象が徐々にこの本全体に込められたテーマに繋がります。

Posted byブクログ

2011/03/27

ドキュメント番組に携わる男と耳の不自由な女の恋物語。男性の心理と行動は本当にリアルで共感してしまう。女性は解のないミステリー…何か描写が浅い、設定から仕方ないのかな。月9みたいな恋愛小説。一気読みも何も残らない…

Posted byブクログ