どこ行くの、パパ? の商品レビュー
出版社からのコメント 《笑いと涙の自伝的小説》 「僕はあまりいい父親じゃなかった。きみたちによく我慢できなくなったし、愛そうと思ってもなかなかうまくいかなかった。きみたちといるには、天使のような忍耐力が必要だった。でも僕は天使じゃない」(本文より) 著者は、ユーモラスなキャラクタ...
出版社からのコメント 《笑いと涙の自伝的小説》 「僕はあまりいい父親じゃなかった。きみたちによく我慢できなくなったし、愛そうと思ってもなかなかうまくいかなかった。きみたちといるには、天使のような忍耐力が必要だった。でも僕は天使じゃない」(本文より) 著者は、ユーモラスなキャラクターが登場する子ども向け人気アニメの原作者であり、また200本近いドキュメンタリーの制作を手がけるなど長年にわたりテレビ業界で活躍した。その後、奇天烈な例文ばかりを集めた異色の文法書『不適切フランス文法』を発表。以来、ブラックユーモアにあふれた独特のタッチの著作を20冊以上刊行している。 そんな彼が、70歳を目前にして明かした私生活にフランス中が驚いた。常に世間に笑いを提供してきた男の、隠された苦悩の日々。実は、家に帰れば重度の身体的・知的障害を抱えた二人の息子が待っていたのだ。長男のマチューは目もほとんど見えず、耳も聞こえない。時々くちびるを「ブルンブルン」とならす程度。次男のトマは飽きずにいつも同じセリフを繰りかえす--「どこ行くの、パパ?」 息子たちとの日々をいまようやく素直な思いで綴った本書は、2008年度フェミナ賞を受賞。フランス国内で47万部の売り上げを記録し、30ヶ国に翻訳権が売れている。
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この父子についての気持ちを表せる言葉がわたしの中にはない。だから何も書かない。ただ障害と笑いについては思うところがある。可笑しいものは可笑しい。笑いを躊躇う心理のなんと傲慢で残酷なことよ。
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こんなにブラックユーモアを効かせて、障害児のことを書く本を初めて読んだ。 だけど、決して嫌な気分にはならない。 こんな愛情の込め方もあるんだね。
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- ネタバレ
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こういう視点で書けるのはやっぱりフランス的思考というか。 フランス的思考って何よ、と言われると答えられないんだけれども。 なかなか書けないよ、こういう風には。凄いと思う。 きれいごとなんかじゃなく、これが現実。だけど、葛藤しながらも、そこには確かな家族愛がある。
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(No.11-35) これはエッセイ? 作者は、テレビのコント作家、アニメ作家、ユーモア小説家、ドキュメンタリー製作のテレビディレクター、画家、としてフランスでは有名人。 しかし2008年に本書を刊行し始めて私生活を明かしたとき、人々は驚いたそうです。華やかで笑いに満ちたイメー...
(No.11-35) これはエッセイ? 作者は、テレビのコント作家、アニメ作家、ユーモア小説家、ドキュメンタリー製作のテレビディレクター、画家、としてフランスでは有名人。 しかし2008年に本書を刊行し始めて私生活を明かしたとき、人々は驚いたそうです。華やかで笑いに満ちたイメージと違って、深刻なものだったからです。 でも彼らしいエスプリやユーモアが散りばめられたこの本は読んだ人を感動させ、日本でも翻訳出版! 彼の二人の息子、マチューとトマは心身障害者。そのことについて、また時には息子に語りかけるように綴った文章で構成されているのが本書です。彼が書いた文章をけして理解することがない息子たち。 奇麗ごとではすまない子供たちとの生活を、またその時つい思ってしまったことまで書いています。 フレンチジョークは日本人の私には理解するのが難しく、この本でも、これは笑うところなんだろうか?と戸惑うところも多かったです。 そしてあちこちにトラップが・・・・。何のトラップかというと、涙腺をいきなり開けちゃうトラップ。普通泣けてしまう文章は、じわじわ感情が高まって我慢できずについ涙・・・という感じなのですが、この本はちょっと違いました。笑っていいのかな?とくすくすしていたら、ほんの2~3行で突然涙があふれちゃう。なぜなんだか自分でも分かりません。 読みながら思いだしたのは、「潜水服は蝶の夢を見る」の本と映画。ロックトイン・シンドロームの人の自伝です。あれもフランスの方でした。広い意味で似ていました。 また、高校生の時にたった一日だけ行ったボランティアのことも・・・・。 友達が福祉活動をしていて、私も興味があったので付いて行ったのです。初めてなのに、いきなり最重度の肢体不自由児の施設へ。半日はひたすら洗濯物をたたむ作業。まるでクリーニング屋さんのような設備で洗濯、乾燥をしてもたたむのは手でやらないといけないので、ボランティアの助けがいるとのことでした。何を着せてもらっても本人には分からないので、種類と大きさ別に分けるだけ。 その後、「一番軽い状況の子供たちにご飯を食べさせてあげる」ことをさせてもらえました。これはいわばボランティアに来た人へのご褒美で、軽い子達は普通に口に入れてあげれば自分で飲み込めるからと。素人にさせることが出来るのはせいぜいそのくらいなのだそうで。それでも、自分では動き回れないのに身体は勝手にあちこち動いてしまう子に、タイミングを計って口にスプーンを入れるのはすごく大変で緊張しました。この子達が一番軽いの?じゃあ私たちが会わせてもらえない子達はどういう子? それまで私は障害者を見た事がないわけではありませんでしたが、「この施設に入ってきた子には年齢の上限がありません。大抵の子は成人になる前に亡くなるので。」と言われショックでした。人生観が90度くらい変わったような気がします。 この本と直接関係のないことばかり書きましたが、あとがきにも「この本について、語ってはいけない。一読にまさるものはないからだ。」とあります。やはりこの本はそれぞれの人が味わうのが一番。読むときっといろいろな思いが広がることでしょう。 地味だし、すぐに読めてしまう本ですが、私の心にずっしりしたものが残りました。
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感想を書くのが難しいが、読んではつまずき自問自答を繰り返す本だった。ひっかかって何度も読んだり、首をかしげたり、逆にひっかかることにひっかかったり。 ひとつ思ったのは、トマはたくさんキスされたんだってこと。たくさん愛されて、キスを人にしまくっちゃうほどキスが好きになったんだね。文...
感想を書くのが難しいが、読んではつまずき自問自答を繰り返す本だった。ひっかかって何度も読んだり、首をかしげたり、逆にひっかかることにひっかかったり。 ひとつ思ったのは、トマはたくさんキスされたんだってこと。たくさん愛されて、キスを人にしまくっちゃうほどキスが好きになったんだね。文章の裏の愛情を少ししか私には汲み取れなかったのだけれど、キス魔のトマのくだりから、ああそうなんだって思った。
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