新訳 フランス革命の省察 の商品レビュー
フランス革命をやっている最中にボロクソに批判した本。 理念先行で革新的なことをするのではなく、これまでの経緯もしっかり踏まえた上で進めていくべき(という意味での「保守」)というのは共感する。 しかし、この後、散々紆余曲折を経るとはいえ、この革命による恩恵を大いに受けている現代...
フランス革命をやっている最中にボロクソに批判した本。 理念先行で革新的なことをするのではなく、これまでの経緯もしっかり踏まえた上で進めていくべき(という意味での「保守」)というのは共感する。 しかし、この後、散々紆余曲折を経るとはいえ、この革命による恩恵を大いに受けている現代に生きている身としては、いたずらに批判もできない。 加えて、翻訳の問題なのかもだが、関わっている人を完全にバカにしているのはいかがなものか… #コテンラジオ さんの以前のフランス革命の放送も聞いていて、確かに経験の浅い若者たちが主導したものではあるらしいけど…(^_^;)
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洞察が的確で、現代にも通ずる名著って話で読んだけど、難しすぎてちんぷんかんぷんだった。歴史の知識をある程度入れてからなら、かなり面白いと思う。 将来読み直そう
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おそらくもう一度読むべきだけど、現在の感想。 イギリスがしょっちゅう言及されるので、イギリスのことも知りたくなって途中で検索したりして、なかなか読み終わらなかった。 革命の最後を見届けずして、書かれた文章なのがすごい。 フランス革命について、平民が立ち上がり自由を勝ち取った、...
おそらくもう一度読むべきだけど、現在の感想。 イギリスがしょっちゅう言及されるので、イギリスのことも知りたくなって途中で検索したりして、なかなか読み終わらなかった。 革命の最後を見届けずして、書かれた文章なのがすごい。 フランス革命について、平民が立ち上がり自由を勝ち取った、と認識していたけど見方が変わった。ただ、政治は従来どおり上流階級がおさめるのがいいに決まってる、という著者の考えも、いまいち説得力にかける感じもして、よく理解できなかった。 議員はよい生まれであるべきと著者は言うけど、二世議員ってすべての人が優れているか疑わしいよね、と思ってしまう
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保守の前提と革新の前提 自由・平等・博愛といったおめでたい夢幻を掲げ、過去の権威や伝統を根絶やしにして達成されたフランス革命を「保守の父」エドマンド・バーグが痛烈にコキ貶したのがこの「フランス革命の省察」。 新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき その貶しよう...
保守の前提と革新の前提 自由・平等・博愛といったおめでたい夢幻を掲げ、過去の権威や伝統を根絶やしにして達成されたフランス革命を「保守の父」エドマンド・バーグが痛烈にコキ貶したのがこの「フランス革命の省察」。 新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき その貶しようは、イギリスの首相ピットに「この罵倒は芸術的だ」と言わしめるほどの内容。 この本は、まだ保守という言葉すらないフランス革命当時に書かれたものですが、人名や党名、地名を現代風にアレンジすれば、現代十分通用する普遍性を備えています。 保守も革新もその目的や手段は時代や洋の東西によって変化していますが、それぞれの前提となる思想はバーグの時代からずっと変わっていません。 この前提を知ると、ウィンストン・チャーチルが「20歳の時にリベラルでないなら、情熱が足りない。四〇歳のときに保守主義でないなら、思慮がたりない。」と言ったのか?また、保守はどうしてこうも魅力がない年寄りじみたものなのか?そしてリベラルはどうして人を魅了するが、こうも「無能」なのか?その理由をよく理解できるようになるだろう。 バーグはこの本の中で保守とリベラルの前提を次のように述べている。 保守の前提。 フランスの革命派諸氏は、自分たちが叡智の光に満ちていると風潮する。わが国の父祖たちは、そんなうぬぼれとは無縁だった。人間は愚かであり、とかく過ちを犯しやすいーこれこそ彼らの行動の前提となった発想である。 自分たちの掲げたお題目に酔い、権威も伝統もぶち壊してどんちゃん騒ぎをしている様を聞いてバーグが抱いた感情は、おそらく「蒼天航路」という漫画の中で慢心極まった袁紹を見て曹操孟徳が言ったセリフと同じだったのではないかと思う。 “生来の己を忘れきった破廉恥な威厳。 天の寛容を真似る陶然とした笑み 醜悪だ! 心に闇をもたぬ者が慢心極めればいいここまで醜くなるものか!” 人間は間違いを犯し、愚かである。そのような闇を持っていると自覚するからこそ謙虚に振る舞い、過去の伝統を重んじ、変えるべきものと捨て去るものの選別を慎重に行う。 特に国家の根幹に関わることは石橋を叩きすぎるほど慎重に行うべきである。十分熟慮を重ね、決して勢いだけで変えるべきではない。 それは端から見ればノロく、臆病にしか見えないし、場合によったらただの「尻拭い」に徹することになるから当然、魅力がない。 しかし、政治の最大の成果は魅力的であることよりも、安定し確実であることである。 リベラルの四つの前提。 人間は、社会のあり方を望ましくする方法を適切に考案する理性、およびこれを確実に実現して行く能力を持っている。 社会を望ましくする方法論が二つ以上存在する場合、人間は個人的な利害関係や感情にとらわれることなく、どちらが良いかを冷静に判断できる。 右の二つの前提は社会全体で成立している。言い換えれば、自らのあり方を望ましくしようとすることにかけて、社会は首尾一貫した単一の意思を持っているとみなして構わない。 社会のあり方を変えることに伴うコストや副作用は、変化のスピードを上げたからといって顕著に増大することはない。 この四つの前提を読んでも分かる通り、実に聞こえはいいが、中身は空疎でただの絵空事だということがわかる。 人間の行動のほとんどが場当たり的で感情的であって、理性など全く当てにならない代物だ。それはトランプの当選をみても明らか。 理想へ至る道のスタート地点は常に現在地である現実からスタートすべきであり、おめでたい美辞麗句が並んだ夢物語から始めるべきではない。 夢物語からスタートすれば必然的にスタートよりも悲惨な現実という名のゴールに至る。 だからリベラルは余程の幸運に恵まれないかぎり、失敗が決定づけられてしまう。たとえ上手くいったとしても、時間が経ち運の効果が切れれば、いずれ瓦解するのは必定。 しかし、失敗が決定づけられた絵空事から破滅へ至る過程は逆に魅力的でもある。 今年は、世界情勢が劇的に変化する年になると言われています。 行き詰まりの資本主義やグローバリゼーションと原理主義のイデオロギー対立、衰退の一途を辿る世界経済などなど、このようなあらゆる前提が崩れ混迷を極めた現代だからこそ、目新しい思想にしがみつくのではなく、人間の暗部をしっかり見据えて政治のあり方を解く「フランス革命の省察」を熟読することをお勧めします。 ぜひ、バーグの慧眼と芸術的な罵詈雑言を味わって頂きたい。
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1790年11月刊行。フランス革命が終焉したのは、1799年11月である。1789年秋バークは知り合いの青年シャルル・ジャン・フランソワ・ドボンよりフランス革命に対する見解を聞かせて欲しい手紙を受け取る。その返事がこの著書のもと。革命の過激化を恐れえんえんと批判を連ねている。8章...
1790年11月刊行。フランス革命が終焉したのは、1799年11月である。1789年秋バークは知り合いの青年シャルル・ジャン・フランソワ・ドボンよりフランス革命に対する見解を聞かせて欲しい手紙を受け取る。その返事がこの著書のもと。革命の過激化を恐れえんえんと批判を連ねている。8章にお気に入りの箇所がある。「困難にぶつかることで人間の精神は鍛えられ、技能も研ぎすさまされる。それは敵であるかに見えて、実は真の意味における味方だと言えよう。」
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イギリス人は自由や権利を相続財産のように見なせば「前の世代から受け継いだ自由や権利を大事にしなければならない」という保守の発想と「われわれの自由や権利を後の世代にちゃんと受け継がなければならない」という継承の発想が生まれる。そしてこれらは「自由や権利を一層望ましい形にした上で受け...
イギリス人は自由や権利を相続財産のように見なせば「前の世代から受け継いだ自由や権利を大事にしなければならない」という保守の発想と「われわれの自由や権利を後の世代にちゃんと受け継がなければならない」という継承の発想が生まれる。そしてこれらは「自由や権利を一層望ましい形にした上で受け継がせたい」という進歩発想とも完全に共存しうる。 リーダーは往々にして自分が率いる人によって逆に率いられる。指図を受ける側の価値観、能力、あるいは気質といったものが指図の内容そのものに制約を加えるのだ。 文明社会は人間に利益をもたらすために作られる。社会が成立していることによって得られる利益はすなわち人間の権利となる。人間が文明社会を作るに至った動機の一つに「正義とは客観的なものでなければならない」というものがある。 「国はこうあるべし」という自己の理論にようあまり、現実の国家に良い点を見出そうとしないものは本当の意味での社会に関心を持っていない。 既存の秩序の全否定を正当化しうるもの、それは「他のいかなる選択の余地もない」という絶対の必要性のみである。
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2015/5/10読了。保守主義の元祖バークの代表作。学生の頃から読もうと思いつつも、なかなか触手が伸びなかったが、抄訳ながら新訳が出たとのことで読みました。経験主義に基づく伝統を重視し、フランス革命の革命派をトコトン批判しています。事実誤認、言いがかりやエア批判(?)レベルの記...
2015/5/10読了。保守主義の元祖バークの代表作。学生の頃から読もうと思いつつも、なかなか触手が伸びなかったが、抄訳ながら新訳が出たとのことで読みました。経験主義に基づく伝統を重視し、フランス革命の革命派をトコトン批判しています。事実誤認、言いがかりやエア批判(?)レベルの記述もありますが、エセ改革への批判は痛切で当時の革命派の問題点はわりかし的確に捉えている印象です。ただ、なぜ伝統重視が正しいと言えるか根拠がいまいち薄弱で、結局は現状維持バイアスや英国の制度礼賛みたいなものを感じました。訳も分からず保守を自称する人は一読すべきですが、そういう人は妄信しちゃうんだろうな(苦笑)もちろん、それ以外の方が保守思想の源流やポピュリスト批判を知る意味で一読の価値はある一冊です。
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性急な革新に反対し,「伝統」として結実した人間の英知に学ぶ「保守」を提唱する。 平等原則を徹底することに対する懐疑的態度や法の支配を重視する思想など,後の「保守」派に受け継がれた思想の萌芽がちりばめられている。 ただし,結論だけが書かれているという印象で,「保守」思想にシンパ...
性急な革新に反対し,「伝統」として結実した人間の英知に学ぶ「保守」を提唱する。 平等原則を徹底することに対する懐疑的態度や法の支配を重視する思想など,後の「保守」派に受け継がれた思想の萌芽がちりばめられている。 ただし,結論だけが書かれているという印象で,「保守」思想にシンパシーを感じる人でなければ,読んでも不愉快になるだけだと思う。 なお,“prejudice”は,「固定観念」と翻訳されている(「偏見」と翻訳されることが多い。)。 また,砕けた訳文で,よく言えば「親しみやすく,手紙としての本質をよく表現している」が,悪く言えば「品がない」。 抄訳であることを補うための注が丁寧に挿入されている。
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フランス革命は得るものもあったかもしれないけど、失うものも多かった。こういった革命は結果的に混乱を生んだだけだったんだろう。一方、日本の明治維新は奇跡と言っていいだろうな。
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「私の価値観は保守主義だなあ」と最近になって自覚したので、保守主義の父と呼ばれるエドマンド・バークの古典を読んでみました。でも予想と違ってトンデモ本と言えるくらい過激で感情的な本でびっくり。かなり辟易しましたが、それでも、フランス革命が進行している最中に失敗を予言している洞察は見...
「私の価値観は保守主義だなあ」と最近になって自覚したので、保守主義の父と呼ばれるエドマンド・バークの古典を読んでみました。でも予想と違ってトンデモ本と言えるくらい過激で感情的な本でびっくり。かなり辟易しましたが、それでも、フランス革命が進行している最中に失敗を予言している洞察は見事です。伝統の体制を否定する「改革派」は、現実には財政バランスが取れない政府を作ったり、改革派に近い立場の一部の人だけが得する不平等な社会を作ることになりがちです。日本でもそうですね。大変勉強になる一冊でした。やっぱり古典は良いです。
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