人質の朗読会 の商品レビュー
人質に取れれた八人の朗読会。極限の状態から発せられる半生は作中の中にもあるようにある種の和みになっていた。結末は悲しいものにはなった。一人一人の短編集として捉えることも出来ると思った。星三つです。
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朗読、とタイトルにつくので、興味を持って買った本。 冒頭で、 外国で反政府ゲリラの人質となった日本人たち。対策班が突入するも人質全員はその過程で命を落とした。 という事件の概要が語られる。 立てこもりの最中に人質たちは、「心に残っている出来事」を書き起こし、その朗読会をしていた...
朗読、とタイトルにつくので、興味を持って買った本。 冒頭で、 外国で反政府ゲリラの人質となった日本人たち。対策班が突入するも人質全員はその過程で命を落とした。 という事件の概要が語られる。 立てこもりの最中に人質たちは、「心に残っている出来事」を書き起こし、その朗読会をしていた事が明らかになる。 その朗読会の内容が9章に渡って繰り広げられる小説だ。 朗読される内容は、何気ない日常からちょっと不思議な事まで様々。 ただ、冒頭で示されたように、全員死亡という結果に辿り着いている事実が、物語にとてつもない命の輝きを与える。 誰もが迎える「死」という終着点。その「死」を理不尽に目の当たりにした人質たちが語る人生の一瞬間。その輝き。 失ったものの大切さは失ってから気付く、なんてことはよく言われますが、日常の平穏さ、温かさ、命の輝かしさをまぶしい程感じさせてくれる構成が深く印象に残る一冊でした。 「今自分たちに必要なのはじっと考えることと、耳を澄ませることだ。しかも考えるのは、いつになったら解放されるのかという未来じゃない。自分の中にしまわれている過去、未来がどうあろうと決して損なわれない過去だ。」 確かにその瞬間を生きていく、その命が生きた事実は、過去としてしっかりと存在する。引用した文章からは高村光太郎の「道程」 僕の前に道はない 僕の後ろに道は出來る のような力強さも感じた。
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脈絡のない言葉からランダムに選んで繋げたのかと思った「人質」の「朗読会」が、実はそのものであったことと、その秀逸な構成に驚いた。どの話も普段脚光を浴びることのない市井の人が主人公で、淡々とした丁寧な筆致で描かれている。どの話も、今は亡き人が語ったものだということに胸が詰まる。
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死んでしまった人が語っているとわかっているせいなのか、ひとつひとつの物語の主人公(朗読者)がどんな人物なのか普通に読むよりも深く知りたいと思った。物語の最後にある年齢と職業とそこにたびしていた理由もまた簡潔にかかれているだけではあるが、その人の人生を想像するのに役立った。もういな...
死んでしまった人が語っているとわかっているせいなのか、ひとつひとつの物語の主人公(朗読者)がどんな人物なのか普通に読むよりも深く知りたいと思った。物語の最後にある年齢と職業とそこにたびしていた理由もまた簡潔にかかれているだけではあるが、その人の人生を想像するのに役立った。もういない(死んでしまった)人の歩いてきた道を知りたいと思うのはなぜなのか不思議。
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タイトルからこれは暗い話なのかと思ったら大間違い とても心が温まる短編集でした お話のタイプはバラバラだけれど、どれも悲しい結末にはなりません。 特に好きなのは『B談話室』『冬眠中のヤマネ』『槍投げの青年』です。
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細かい表現が丁寧で、その体験がすごく大切なものとして語られていることがよく伝わる。緊迫した設定のはずが、穏やかな時が流れる。もし私だったら、何を話すだろうか。
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発想が豊か。どうしてこんな物語を書こうと、思いつくのだろう?作家って、小川洋子って、本当にすごいなと思わされる作品。 あるツアー客7名がゲリラに拉致され命を落とす。 不安を紛らわすためか、有り余る時間潰しか、監禁場所でそれぞれが自分の忘れられない体験を朗読した音声と、文字の一部が...
発想が豊か。どうしてこんな物語を書こうと、思いつくのだろう?作家って、小川洋子って、本当にすごいなと思わされる作品。 あるツアー客7名がゲリラに拉致され命を落とす。 不安を紛らわすためか、有り余る時間潰しか、監禁場所でそれぞれが自分の忘れられない体験を朗読した音声と、文字の一部が残されていた。その声たちを録音をした兵士のお話も含め、8つのお話が収められた短編集だ。 それぞれのお話は、ささやかだけど奥深い体験談で、読んでいると独特の静けさが文章に漂って、それがヒタヒタと胸に迫ってくる感じ。どこか切なく、少し怖くもある、という印象。とても繊細で味わい深い本です。
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人質の朗読会 小川さんの新作はゲリラに人質になった人たちが毎夜行った自分の体験を語る朗読会の趣向を借りた短編集です。いつもの彼女の小説のように静かな中にきりっとしたイメージがちりばめられています。 最初にこの物語を語った人たちが政府軍の強行突入により全員亡くなられたことが語られるため、一つ一つの話や話し手の年齢、職業、そして物語が深く心に響きます。 竹蔵は最初の物語である、不思議な女性に誘われて公民館の談話室にまぎれこんで様々な主旨の様々な会合に出席することを楽しみとした青年の話が好きです。 どんな平凡な人生にも物語があり、それに心を留める人、心を動かさせる人がいるということを改めて教えてくれます。 竹蔵
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この著者の本を読むのは初。短編集だと思う。 それぞれの短編は、遠い国でゲリラに人質として監禁されていた7人の日本人によるモノローグという形式をとっている。しかし、この7人は救出活動の失敗により全員亡くなっている。この枠組みの設定が短編小説集のアイデアとして秀逸。 文体はクセが...
この著者の本を読むのは初。短編集だと思う。 それぞれの短編は、遠い国でゲリラに人質として監禁されていた7人の日本人によるモノローグという形式をとっている。しかし、この7人は救出活動の失敗により全員亡くなっている。この枠組みの設定が短編小説集のアイデアとして秀逸。 文体はクセがなくて読みやすい。それぞれが語る内容は、人生の一場面を切り取ったもの。ちょっと不思議要素があったりして、文体も含めて村上春樹を連想した。しかし春樹のような理不尽、喪失、空虚さ、皮肉といったような毒はない。自分は春樹のそういう毒が好きだったのかもしれない。
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話の終わりに肩書き年齢性別ツアーに参加した経緯が書いてあってこの人達は亡くなったんだと改めて思った。色んな人が同時に亡くなることは現実でも多いから最悪だ。 槍投げの描写さすがプロだと思った。
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