世界史をつくった海賊 の商品レビュー
イギリスの急成長には海賊の役割が重要だったんですね。 映画「パイレーツオブカリビアン」や「エリザベス」など、16世紀のイギリスの事を知っていると、もっと楽しめる!海を制するものは世界を制する。 同著書「世界を動かす海賊」も読んでみます。
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ヴァイキングとか世界史に登場する海賊全般を扱うのかと思ったら違った。タイトルは作中でも何度も出てくる「女王陛下の海賊」でよかったのに。 サー・フランシス・ドレーク…マゼランに次いで「世界周航」という偉業を成し遂げた。しかもマゼランと違って生還したので指揮官としては史上初。この結...
ヴァイキングとか世界史に登場する海賊全般を扱うのかと思ったら違った。タイトルは作中でも何度も出てくる「女王陛下の海賊」でよかったのに。 サー・フランシス・ドレーク…マゼランに次いで「世界周航」という偉業を成し遂げた。しかもマゼランと違って生還したので指揮官としては史上初。この結果女王に多額の配当金をもたらした功績でナイトの称号を授与された。幼少期をホーキンズ家で過ごす。 ジョン・ホーキンズ…"女王の金庫番"。王室御用達のエリート海賊。 フランシス・ウォールシンガム…女王の秘書長官(国務卿)。イギリスのスパイ組織の原型を作った。 エリザベス女王下の資金源: ①海賊に盗ませた略奪品の転売 ②大物海賊とタイアップした黒人奴隷の密輸 ③貿易会社の設立と海外貿易 スパイスが高値で求められた理由について、食肉保存のためというのはあまり根拠がなく、病気や治療のためであったというのが有力。
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イギリスの急成長の裏には海賊が大活躍していた。エリザベス女王お抱えの海賊たちは略奪を繰り返し、それを国家の財産として持ち帰っていてのちの東インド会社も海賊から構成されているという事実には驚いた。ドレークがいかにして無敵艦隊を撃ったか、国力が明らかに劣っていても地道な作業が今のイギ...
イギリスの急成長の裏には海賊が大活躍していた。エリザベス女王お抱えの海賊たちは略奪を繰り返し、それを国家の財産として持ち帰っていてのちの東インド会社も海賊から構成されているという事実には驚いた。ドレークがいかにして無敵艦隊を撃ったか、国力が明らかに劣っていても地道な作業が今のイギリスを作り上げたことをわかりやすく説明している。 文体もあまり堅くなくてスラスラを読めたのでとても楽しかった。これを機に17世紀のイギリス史学びたいと思ってみたり・・・
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大航海時代の大英帝国、特にエリザベス女王期の王室と、海賊との共存関係 を深く描いている。無敵艦隊の撃破、植民地拡大など、暗躍し成り上がった海賊と、帝国の繁栄に利用した王室。『海軍』が実は『海賊』で、『英雄』が『海賊船長』である事のグレーゾーン。 公私を使い分けた王室の“したたかさ...
大航海時代の大英帝国、特にエリザベス女王期の王室と、海賊との共存関係 を深く描いている。無敵艦隊の撃破、植民地拡大など、暗躍し成り上がった海賊と、帝国の繁栄に利用した王室。『海軍』が実は『海賊』で、『英雄』が『海賊船長』である事のグレーゾーン。 公私を使い分けた王室の“したたかさ”が結果残った。 腐敗しない飲料として、当時の航海に重用されたと言うワイン。なるほど、海賊が大体酔いどれて描かれるのはそう言う事だったのかと。
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英国繁栄の一端を海賊が担っていた、という興味深い話。 世界史の授業で、イギリスが海賊を使って無敵艦隊を破ったと習ったけれど、何故海賊なのか?と素朴に疑問に思っていた。金儲け、仮想敵国の弱体化を狙って国策的に海賊行為をしていたということならば、海戦に参加していてもおかしくない。 ...
英国繁栄の一端を海賊が担っていた、という興味深い話。 世界史の授業で、イギリスが海賊を使って無敵艦隊を破ったと習ったけれど、何故海賊なのか?と素朴に疑問に思っていた。金儲け、仮想敵国の弱体化を狙って国策的に海賊行為をしていたということならば、海戦に参加していてもおかしくない。 スパイスや茶、奴隷についての話も簡単に触れていて勉強になった。
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16世紀のヨーロッパを支配していたのはスペインとポルトガルというカトリックの2大国であり、当時のイギリスは貧しい二流国だった。しかもプロテスタント国家であるイギリスは周囲のカトリック国家からの武力侵攻に怯えなければならない状況で、このまま戦争になればイギリスに勝ち目がないのは明ら...
16世紀のヨーロッパを支配していたのはスペインとポルトガルというカトリックの2大国であり、当時のイギリスは貧しい二流国だった。しかもプロテスタント国家であるイギリスは周囲のカトリック国家からの武力侵攻に怯えなければならない状況で、このまま戦争になればイギリスに勝ち目がないのは明らかだ。どうすれば手っ取り早く強い軍事力を持つ豊かな国になれるだろう。 富国強兵の方法を模索し続けたエリザベス一世が興味を持ったのが「海賊マネー」だ。早速有力な海賊を集めて海賊船団を編成させ、スペインやポルトガルの船を襲撃させた。襲撃した船から高価な商品を略奪して売却すれば現金が手に入るのだ。事実上女王主導の海賊行為だが、さすがに女王が表立つことはできない。そこで民間主導で海賊行為ごとに出資者を募り、秘密裏に女王も大口の出資者として参加するシンジケート方式がとられた。女王が海賊シンジケートの黒幕なのだ。利益が上がれば出資額に応じて分配される。女王の集金マシーンとして大活躍したフランシス・ドレークは世界各地で略奪の限りを尽くし、女王やイギリス国家に巨額な海賊マネーをもたらした。その額は国家予算の3倍にあたるという。 やがてスペインとの戦争が避けられないとなると、海賊たちは集金マシーンにとどまらず、戦闘マシーンとしての使命も背負う事になった。軍事力に劣るイギリスは優れたスパイ組織を作り情報戦を展開し、その情報をもとに海賊がゲリラ的に敵国の船を襲撃して勝利をおさめていった。スペインの無敵艦隊をも破った海賊たちは、イギリスの繁栄に莫大な貢献をしたのだ。エリザベス女王は他国の富を奪うため、そして大国スペインとの戦争に勝利するために海賊たちを大量に動員して活用した。更に海賊を国家の英雄に仕立て上げて人心を掌握したのだ。海賊ドレークは女王からナイトの称号を授かり、特権階級の一員となった。 17世紀に創設され大きな力を持つことになる東インド会社も、設立したのは海賊だった。もちろん主力は海賊船で、当初は略奪とスパイス貿易で富を得た。海賊でもあり貿易商人でもあるホーキンズによる奴隷の略奪と密売から始まった奴隷貿易も莫大な利益をあげた。 16世紀から18世紀にかけてのイギリスはまさに海賊国家であり、その後の繁栄の基を築いたのは海賊たちの略奪行為とそれを国家戦略としたエリザベス一世なのだ。 海賊は間違いなく犯罪者であり略奪は犯罪行為であるにもかかわらず、海賊には英雄とか冒険者などのポジティブなイメージがある。「パイレーツ・オブ・カリビアン」は大人気だが、それも当時のエリザベス一世の海賊ポジティブキャンペーンの影響なのかもしれない。国際政治学者の目から見た「海賊」という切り口で捉えたイギリス史は驚きがたくさんでとても興味深い。「イギリスは紳士の国」なんて誰が言ったのだろう?
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] スパイス、コーヒー、紅茶、砂糖、奴隷…これら世界史キーワードの陰には、常に暴力装置としての海賊がいた。 彼らは私的な略奪にとどまらず、国家へ利益を還流し、スパイとして各国情報を収集・報告し、海軍の中心となって戦争に参加するなど、覇権国家誕生の原動力になった。 さらに、国際貿易・金融、多国籍企業といった現代に通じるシステムの成り立ちに深く関与していた。 厄介な、ならず者集団であるいっぽう、冒険に漕ぎ出す英雄だった海賊たちの真実から、世界の歴史をとらえ直す。 [ 目次 ] 第1章 英雄としての海賊―ドレークの世界周航(貧しい二流国からの脱却;“海賊マネー”で国家予算を捻出 ほか) 第2章 海洋覇権のゆくえ―イギリス、スペイン、オランダ、フランスの戦い(勝利の立役者としての海賊;無敵艦隊との戦い―スパイ戦 ほか) 第3章 スパイス争奪戦―世界貿易と商社の誕生(貿易の管理と独占の仕組み;魅惑のスパイス貿易 ほか) 第4章 コーヒーから紅茶へ―資本の発想と近代社会の成熟(コーヒー貿易と海賊ビジネス;覚醒と鎮痛のドリンク ほか) 第5章 強奪される奴隷―カリブ海の砂糖貿易(甘いクスリ―砂糖の登場;イギリスと奴隷貿易 ほか) [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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先日読み終えたのは「世界史に消えた海賊」でした。 今回は「世界史をつくった海賊」。 結論から言えば、世界史、特にエリザベス女王治世下のイギリスにおいて海賊がとっても重要な役割を果たし、それがのちの大英帝国、産業革命、を作り上げたのだということを言っているのは同じ。 「消えた」...
先日読み終えたのは「世界史に消えた海賊」でした。 今回は「世界史をつくった海賊」。 結論から言えば、世界史、特にエリザベス女王治世下のイギリスにおいて海賊がとっても重要な役割を果たし、それがのちの大英帝国、産業革命、を作り上げたのだということを言っているのは同じ。 「消えた」方は海賊として名をはせた各人物を中心に取り上げているのに対して、この「つくった」方は主にホーキンス・ドレークを要素として取り上げて解説はしているものの、全体的には「毛織物に偏っていた英国の貿易がどのような海賊行為にして発展、変化し、さらには諸外国と外交をしていったのか(英国の、女王の政策としてどうであったのか)」という流れに沿って各章がまとめられていて、とても分かりやすく、そして専門的でもある。 コーヒー、スパイス、奴隷について各章でまとめており、世間一般で信じられている「通説」を否定している点について記述があり、刺激的。 とても面白かった。
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後進国だったイギリスは、エリザベス女王の公認の下で海賊を利用した略奪行為を進めて富を蓄えた。後に貿易立国に転換するものの、大英帝国を築くに至った礎は海賊行為だったことがよくわかる。 ・1655年、イギリスがジャマイカを軍事領有してスペインのカリブ海支配が幕を閉じた。1670年の...
後進国だったイギリスは、エリザベス女王の公認の下で海賊を利用した略奪行為を進めて富を蓄えた。後に貿易立国に転換するものの、大英帝国を築くに至った礎は海賊行為だったことがよくわかる。 ・1655年、イギリスがジャマイカを軍事領有してスペインのカリブ海支配が幕を閉じた。1670年のマドリード条約において、スペインはイギリス海賊の対策を条件にジャマイカを英領として認めた。 ・1651年、イギリス本国と植民地の港からオランダを締め出すことを目的に、貿易をイギリス船または原産国の船舶に限定する航海法が成立した。これに反発して1652〜1672年の3回にわたる英蘭戦争が勃発したが、イギリスが勝利して貿易立国として発展することになり、海賊収入に依存する経済から脱却した。 ・スペイン植民地の需要を狙って、イギリス海賊が奴隷の密輸を行ってきたが、イギリスがスペインから奴隷貿易の独占権を獲得したため、海賊に依存する必要はなくなった。1560年代から奴隷制を廃止する1833年までの270年間にわたって奴隷貿易を続けた。 ・15世紀末の中国でスパイスを医薬品として消費されていることに目を付けたポルトガル商人がヨーロッパ大陸への貿易を開始した。「中世ヨーロッパ食の生活史」には、スパイスを食肉の保存用に利用した記述はほとんどなく、スパイスを購入することができた富裕層は、保存した食肉ではなく新鮮な肉を食べていた可能性が高い。 ・コーヒーの原産地はエチオピアの高原地帯とされ、オスマン帝国がアラビア半島のモカ周辺からサヌアの山岳地帯で栽培するようになった。15世紀初頭、イエメンのスーフィー教団で夜間の修行のために飲用されるようになり、16世紀にカイロ、イスタンブールに広まった。
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日本が乱世の戦国時代、いっても島国の中で「われこそは」と名乗り合っていたころのお話し。ヨーロッパでは地中海にインド洋、大西洋に渡る地球規模での、植民地と貿易利権をめぐる壮大な海洋戦が繰り広げていたのだ。学校で歴史を習う前にこの本と出会っていたならなぁ。
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