第二の銃声 の商品レビュー
推理劇で被害者を演じた者が本物の死体となって発見された。 殺人の容疑をかけられたピンカートンは、素人探偵シェリンガムに助けを求める…。 突然犯人に疑われてしまったピンカートンの心理状態と、それを囲む人達の心理、真犯人の心理、全てが詳細に描かれている。 私は物理トリックとか密室...
推理劇で被害者を演じた者が本物の死体となって発見された。 殺人の容疑をかけられたピンカートンは、素人探偵シェリンガムに助けを求める…。 突然犯人に疑われてしまったピンカートンの心理状態と、それを囲む人達の心理、真犯人の心理、全てが詳細に描かれている。 私は物理トリックとか密室トリックなどには全く興味がなくて、犯人の心理が読みたくてミステリーを読んでるので、この本はまさに私の好きなタイプだった。 主役のピンカートンのキャラクターの描き方が抜群に上手い。 やっぱりこの作品も真面目そうに見えて、所々にユーモアがあって飽きない。 バークリーの描く探偵シェリンガムは、他の探偵小説にはない愛すべきキャラクターで癖になる。 探偵小説への間接的な皮肉が入っていて、ひねくれた感じが面白い。 好き嫌いが分かれそうだけど、私自身もひねくれてるのでこういう作品は好き。
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迷探偵ロジャー・シェリンガム長編6作目▲推理劇の被害者役は「二発の銃声」ののち本物の死体に…二転三転する証言、最後に見出された驚愕の真相とは…▼冒頭の献辞で「雰囲気を深化させる」と実験宣言⁉見取り図でワクワク♪プロローグは記事と報告書!ようやく本編開始で1930年以前の探偵小説に...
迷探偵ロジャー・シェリンガム長編6作目▲推理劇の被害者役は「二発の銃声」ののち本物の死体に…二転三転する証言、最後に見出された驚愕の真相とは…▼冒頭の献辞で「雰囲気を深化させる」と実験宣言⁉見取り図でワクワク♪プロローグは記事と報告書!ようやく本編開始で1930年以前の探偵小説に苦言を呈す?なんと書簡体形式ですよ…殺人ゲーム、多重解決、ユーモア小説…迷探偵を混ぜたことで「ああ、イギリス人というのは!」感が満載で…人も描けて、プロットが素晴らしい、アンチミステリーの萌芽も感じられる…これは傑作(1930年)
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昔読んだ「毒入りチョコレート事件」は素晴らしかった。久しぶりにアントニー バークリーを読みたくなり、「最上階の殺人」「ピカデリーの殺人」を読むと面白くて、「第二の銃声」も読むこととなった。これも途中までは面白かったが、オチが気に入らない。いくら被害者が女たらしだとしても、その殺人を肯定するような内容はいかがなものか。本当の悪人は誰かと考えると後味が悪い。
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ええええーっ! てなります(笑) あと、語り手のピンカートンが、なかなか自分のことがわかっていない風で、それを理屈っぽく分析してみせるあたりが笑いをさそうというか、ふしぎなユーモアをたたえている。 その、自分がわかってるのかわかってないのかようわからんあたりが、なんともunre...
ええええーっ! てなります(笑) あと、語り手のピンカートンが、なかなか自分のことがわかっていない風で、それを理屈っぽく分析してみせるあたりが笑いをさそうというか、ふしぎなユーモアをたたえている。 その、自分がわかってるのかわかってないのかようわからんあたりが、なんともunreliable narrator な雰囲気をたたえてはいるのですが。 『毒入りチョコレート事件』のシェリンガムが登場するあたりはなかなかじゃジャジャーンというかんじでかっこいいのですけどね。
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面白くて一気読みしてしまった。倒叙モノならではの犯人の恐れと応戦、探偵役の捜査と追求、ロジカルに徹したストーリーの運び方、どれをとっても質が高い。 唯一ケチをつけるなら碓氷優佳と伏見以外の人物が少々間抜けで、優佳の指摘の幾つかは誰かが気づいてもよさそうなモノだ。だが本当にそれくら...
面白くて一気読みしてしまった。倒叙モノならではの犯人の恐れと応戦、探偵役の捜査と追求、ロジカルに徹したストーリーの運び方、どれをとっても質が高い。 唯一ケチをつけるなら碓氷優佳と伏見以外の人物が少々間抜けで、優佳の指摘の幾つかは誰かが気づいてもよさそうなモノだ。だが本当にそれくらいしか欠点がない。 伏見には共感するところが多く自分もきっと同じような思考で行動するなと思う反面、優佳の気付くポイントにも察しが付くので「気づけ!怪しまれるぞ!」とつい応援をしてしまう。感情面でも、優佳に対する心情は痛いほど解る。
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探偵小説のその先へ 探偵小説であり犯罪小説でありアンチ探偵小説であり童貞小説であり恋愛小説でありツンデレ小説であり本格ミステリである。バークリーらしいとはこのことなのか… 殺人劇の最中に起きる殺人なのだが、殺人劇を企てるあの邪悪な会合。完璧ではないか! 登場人物も読者も手に汗...
探偵小説のその先へ 探偵小説であり犯罪小説でありアンチ探偵小説であり童貞小説であり恋愛小説でありツンデレ小説であり本格ミステリである。バークリーらしいとはこのことなのか… 殺人劇の最中に起きる殺人なのだが、殺人劇を企てるあの邪悪な会合。完璧ではないか! 登場人物も読者も手に汗握る暴露。一瞬のうちに殺意が巻き起こる。 なんといってもピンカートン氏。彼の魅力にとことんハマってしまった。童貞中年可愛くて仕方がなくなる。ツンデレに振り回される様が可笑しくて可笑しくて… シェリンガム氏が仕掛ける◯◯による証明。「ジェゼベルの死」を読んだ後だと、また新鮮。 そして…冒頭から、この作品が指し示してきた道標は、推理小説のマンネリや、読者への挑戦を跳ね除ける。本ミスファンは必読の大傑作。
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頭の切れる探偵が最後にすべての謎を解き明かす...という探偵小説の伝統的な構成を取りつつ、その裏にもうひとつ仕掛けがあるところが巧み。というか、作者の意図的なアンチ。 殺害に至る様々な動機が錯綜してカオスな現場になるところがユーモラスで楽しい。
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「毒入りチョコレート」の時も思ったけれど、まどろっこしい表現と言い回しで読みにくい。時間かかってしまった。 一字一句読み逃さず目で字を追って繰り返しページをさかのぼって読み返し地図や登場人物の確認やら。疲れる読書体験。ストーリーは単純なのに登場人物の思惑や関連性や二面性が入り組んでいて、するする読めなかった。それにこの筆者、基本的に人間嫌いで可愛げがないし好感も持てない。 後半、二転三転であらら~という感じ。 やっぱり思った通りの犯人。そうだと思ってたんですよ!って感じのエピローグ。
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裕福な人たちが大農場の館に集まって休暇を楽しむ中、その余興として殺人事件をテーマにした推理劇が催されます。しかし、被害者役の男性が本当に殺されてしまい、さらには参加者全員に動機があるという、ミステリーとしては古典の典型といえる舞台設定です。でも、1930年に書かれこの小説の内容は...
裕福な人たちが大農場の館に集まって休暇を楽しむ中、その余興として殺人事件をテーマにした推理劇が催されます。しかし、被害者役の男性が本当に殺されてしまい、さらには参加者全員に動機があるという、ミステリーとしては古典の典型といえる舞台設定です。でも、1930年に書かれこの小説の内容は、当時としてはかなり実験的な試みがなされているのではないでしょうか。 ストーリーは、犯人ではないかと疑いをもたれた、主人公の手記という形で綴られています。平静を装いながらも、精神的に追い詰められていく主人公の様子が巧みに描かれています。また、物語に登場するひとりひとりの人物描写もしっかりしていて、つい惹きこまれてしまいました。後半部でお話は二転三転・・・そして、最後には意外な結末が待ち受けています。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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じっくり読まないといけないけど推理小説の名作。草稿という形で物語が書かれる面白いパターン。最後は「…えっ!?Σ(・□・;)」ってなる。
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