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第二の銃声 の商品レビュー

3.9

24件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2023/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

昔読んだ「毒入りチョコレート事件」は素晴らしかった。久しぶりにアントニー バークリーを読みたくなり、「最上階の殺人」「ピカデリーの殺人」を読むと面白くて、「第二の銃声」も読むこととなった。これも途中までは面白かったが、オチが気に入らない。いくら被害者が女たらしだとしても、その殺人を肯定するような内容はいかがなものか。本当の悪人は誰かと考えると後味が悪い。

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2017/10/02

ええええーっ! てなります(笑) あと、語り手のピンカートンが、なかなか自分のことがわかっていない風で、それを理屈っぽく分析してみせるあたりが笑いをさそうというか、ふしぎなユーモアをたたえている。 その、自分がわかってるのかわかってないのかようわからんあたりが、なんともunre...

ええええーっ! てなります(笑) あと、語り手のピンカートンが、なかなか自分のことがわかっていない風で、それを理屈っぽく分析してみせるあたりが笑いをさそうというか、ふしぎなユーモアをたたえている。 その、自分がわかってるのかわかってないのかようわからんあたりが、なんともunreliable narrator な雰囲気をたたえてはいるのですが。 『毒入りチョコレート事件』のシェリンガムが登場するあたりはなかなかじゃジャジャーンというかんじでかっこいいのですけどね。

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2017/08/01

面白くて一気読みしてしまった。倒叙モノならではの犯人の恐れと応戦、探偵役の捜査と追求、ロジカルに徹したストーリーの運び方、どれをとっても質が高い。 唯一ケチをつけるなら碓氷優佳と伏見以外の人物が少々間抜けで、優佳の指摘の幾つかは誰かが気づいてもよさそうなモノだ。だが本当にそれくら...

面白くて一気読みしてしまった。倒叙モノならではの犯人の恐れと応戦、探偵役の捜査と追求、ロジカルに徹したストーリーの運び方、どれをとっても質が高い。 唯一ケチをつけるなら碓氷優佳と伏見以外の人物が少々間抜けで、優佳の指摘の幾つかは誰かが気づいてもよさそうなモノだ。だが本当にそれくらいしか欠点がない。 伏見には共感するところが多く自分もきっと同じような思考で行動するなと思う反面、優佳の気付くポイントにも察しが付くので「気づけ!怪しまれるぞ!」とつい応援をしてしまう。感情面でも、優佳に対する心情は痛いほど解る。

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2017/03/06

探偵小説のその先へ 探偵小説であり犯罪小説でありアンチ探偵小説であり童貞小説であり恋愛小説でありツンデレ小説であり本格ミステリである。バークリーらしいとはこのことなのか… 殺人劇の最中に起きる殺人なのだが、殺人劇を企てるあの邪悪な会合。完璧ではないか! 登場人物も読者も手に汗...

探偵小説のその先へ 探偵小説であり犯罪小説でありアンチ探偵小説であり童貞小説であり恋愛小説でありツンデレ小説であり本格ミステリである。バークリーらしいとはこのことなのか… 殺人劇の最中に起きる殺人なのだが、殺人劇を企てるあの邪悪な会合。完璧ではないか! 登場人物も読者も手に汗握る暴露。一瞬のうちに殺意が巻き起こる。 なんといってもピンカートン氏。彼の魅力にとことんハマってしまった。童貞中年可愛くて仕方がなくなる。ツンデレに振り回される様が可笑しくて可笑しくて… シェリンガム氏が仕掛ける◯◯による証明。「ジェゼベルの死」を読んだ後だと、また新鮮。 そして…冒頭から、この作品が指し示してきた道標は、推理小説のマンネリや、読者への挑戦を跳ね除ける。本ミスファンは必読の大傑作。

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2016/11/10

頭の切れる探偵が最後にすべての謎を解き明かす...という探偵小説の伝統的な構成を取りつつ、その裏にもうひとつ仕掛けがあるところが巧み。というか、作者の意図的なアンチ。 殺害に至る様々な動機が錯綜してカオスな現場になるところがユーモラスで楽しい。

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2015/11/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「毒入りチョコレート」の時も思ったけれど、まどろっこしい表現と言い回しで読みにくい。時間かかってしまった。 一字一句読み逃さず目で字を追って繰り返しページをさかのぼって読み返し地図や登場人物の確認やら。疲れる読書体験。ストーリーは単純なのに登場人物の思惑や関連性や二面性が入り組んでいて、するする読めなかった。それにこの筆者、基本的に人間嫌いで可愛げがないし好感も持てない。 後半、二転三転であらら~という感じ。 やっぱり思った通りの犯人。そうだと思ってたんですよ!って感じのエピローグ。

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2015/03/08

裕福な人たちが大農場の館に集まって休暇を楽しむ中、その余興として殺人事件をテーマにした推理劇が催されます。しかし、被害者役の男性が本当に殺されてしまい、さらには参加者全員に動機があるという、ミステリーとしては古典の典型といえる舞台設定です。でも、1930年に書かれこの小説の内容は...

裕福な人たちが大農場の館に集まって休暇を楽しむ中、その余興として殺人事件をテーマにした推理劇が催されます。しかし、被害者役の男性が本当に殺されてしまい、さらには参加者全員に動機があるという、ミステリーとしては古典の典型といえる舞台設定です。でも、1930年に書かれこの小説の内容は、当時としてはかなり実験的な試みがなされているのではないでしょうか。 ストーリーは、犯人ではないかと疑いをもたれた、主人公の手記という形で綴られています。平静を装いながらも、精神的に追い詰められていく主人公の様子が巧みに描かれています。また、物語に登場するひとりひとりの人物描写もしっかりしていて、つい惹きこまれてしまいました。後半部でお話は二転三転・・・そして、最後には意外な結末が待ち受けています。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

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2014/07/03

じっくり読まないといけないけど推理小説の名作。草稿という形で物語が書かれる面白いパターン。最後は「…えっ!?Σ(・□・;)」ってなる。

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2012/11/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

シェリンガムさんが、とても、とても、がんばるお話。 推理シーンが本当にすばらしい。 冷静沈着で良識ある紳士ぶってる語り手を、いかにもなスポーツ系リア充が幾度もからかったりする二人の場面を筆頭に、心理描写や、やりとりが非常に面白い。 繊細何だか大ざっぱなんだかわからないが、下品だったり上品だったりする皮肉とともに、恐ろしく空気を読んだ会話を繰り出す面々。こうした独特な空間のなか、自分では紳士だと勘違いしながらも、どうにも非リアで、運動苦手で、どうしようもない偏見持っていたりする語り手の独白と、周囲の人間とのやり取りとの齟齬みたいなのが、なんとも言葉にしづらい面白さ。 周りの人間から殺人犯だと決めつけられて、語り手が何言っても通じないあたりもとても楽しかった。 ユーモア、皮肉、喜劇的状況。 この三点が特徴なんだろうけど、すでにここが自分の好みにとても合うので、ミステリじゃなくても楽しめるかもしれない(笑) いや、ミステリとして、もちろん凄いんだけれど。 ただしかしなあ……これ……エピローグがむしろ蛇足なんじゃないか? シェリンガムさんががんばる場面がクライマックスかと。

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2012/04/22

事件について当の本人が語るということ。日常生活では至極当然な営為であるのだが、ミステリーのいう形式の中で表現方法として用いられると、数々の陥穽を容易に文脈へ穿つことになる。ストーリーテラーである「ピンキー」ことシリル・ピンカートンは重要な容疑者という立場でアガサ・クリスティー『オ...

事件について当の本人が語るということ。日常生活では至極当然な営為であるのだが、ミステリーのいう形式の中で表現方法として用いられると、数々の陥穽を容易に文脈へ穿つことになる。ストーリーテラーである「ピンキー」ことシリル・ピンカートンは重要な容疑者という立場でアガサ・クリスティー『オリエント急行殺人事件』のような状況で起きた惨劇について手記をしたためている。面白いのは、この「ピンキー」が冴えないオタク風の中年男というところだ。「ピンキー」の目も覆いたくなるようなダメさ加減が前半で見事に描写されており、そのくせフェミニストが読んだら立腹するような女性蔑視をひけらかしたり、「こいつは妄想豊かな高校生なんか」というくらい女性の一挙手一投足に偏見を押し付けたり、もてない男全開なのだが、探偵役のロジャー・シェリンガムが登場するあたりから展開が加速し、最後はどんでん返しの繰り返しで「やはり母なる女性は偉大だ」というエピローグで幕を閉じる。プロットは単純だが、読み物としては面白い。巻頭でアントニイ・バークリーがいわゆる「本格否定」を掲げているのだが、真逆の「本格復活」を唱えた島田荘司と手法が近接しているのは興味魅かれた。

Posted byブクログ