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とうに夜半を過ぎて の商品レビュー

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22件のお客様レビュー

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2023/12/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どれも面白かった! 特に好きだったのは以下7つ。 『青い壜』:火星で青い壜を探し続ける男の話 『灼ける男』:湖へ行く途中で出会う奇妙な男の話 『第五号ロボットGBS』:宇宙船の中での老人ロボットとの話 『非の打ち所ない殺人』:学生時代に嫌っていた相手を殺しに行こうとふと思いつく話 『ある恋の物語』:13歳の少年と24歳の先生の恋の話 『語られぬ部分にこそ』:祖父が孫と同居人男性(おそらく恋人)の家に急にやってくる話 『十月のゲーム』:理不尽に妻と娘を疎んでいる夫がハロウィンに地下室でゲームをする話 一番好きなのは、『語られぬ部分にこそ』かな。 祖父の苦悩と青春の甘さと永遠には続かないかもしれない関係をどうか永遠であれと願う切なさがよかった。

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2019/06/25

幻想的なSFあり、ホラーあり、胸を掻き毟られるようなノスタルジーありと、ブラッドベリの全引き出しを開けた様な贅沢な短編集。ブラッドベリってどんな作家なの?という人は早い段階で読んでおくと良いかも。 「日の打ち所ない殺人」「ある恋の物語」は作者の最高傑作に入ると思う。表題の「とう...

幻想的なSFあり、ホラーあり、胸を掻き毟られるようなノスタルジーありと、ブラッドベリの全引き出しを開けた様な贅沢な短編集。ブラッドベリってどんな作家なの?という人は早い段階で読んでおくと良いかも。 「日の打ち所ない殺人」「ある恋の物語」は作者の最高傑作に入ると思う。表題の「とうに夜半を過ぎて」は人間のエゴや正義感、愚かさを予想もしなかった視点から描いた傑作だと思う。

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2019/05/28

SF界の巨匠が綴った幻想と怪奇の短篇集。SFかと思いきや、収録されているのは幻想・怪奇短篇が多く、やや肩透かしを喰らったものの作者の知見と発想力の豊かさに脱帽するばかりである。文章が素晴らしく、翻訳が上手いというのもあるが、表現はいずれも詩的で美しい。ポスト・アポカリプスものであ...

SF界の巨匠が綴った幻想と怪奇の短篇集。SFかと思いきや、収録されているのは幻想・怪奇短篇が多く、やや肩透かしを喰らったものの作者の知見と発想力の豊かさに脱帽するばかりである。文章が素晴らしく、翻訳が上手いというのもあるが、表現はいずれも詩的で美しい。ポスト・アポカリプスものである短篇「青い壜」の書き出しは個人的にかなりお気に入りで、描写の見事さもさることながら、物語性の高い出だしとなっている。 話として気に入ったのは少年期の思い出の美しさとその忘却をパンというモチーフに込めた「黒パン」で、時に生々しく蘇ろうとも、過去は過去でしか無く、思い出は思い出でしかないということが、黒パンを通してとても残酷に描かれている。オチが秀逸。舞台設定、シチュエーションが光ったのは「板チョコ一枚おみやげです!」だろう。必要とされていない教会の懺悔室にいる初老の神父の元に、突如チョコの香りを漂わせた巨デブがやってくるというまことにシュールな短篇である。まるでコントのような会話劇には何度もクスリとさせられたし、最後のささやかな贈り物には謎の感動があった。チョコを通じた小さな奇跡の短篇である。上記のように、青い壜や黒パン、板チョコなど、一つのモチーフを使った短篇がブラッドベリは非常に上手い。好みからはやや外れるものの、短編の物語性の高さは随一であろう。

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2017/06/08

 短編集。  まず、廃墟の火星で青い瓶をさがす「青い瓶」にガツンとやられる。    ブラッドベリらしい、幻想と美しさと切なさとがてんこもりなのだ。  とはいえ、全体的に<地に足がついた>感じがするのはなぜだろう。  書き手も、読み手も、年齢があがって、人生の哀惜を知った...

 短編集。  まず、廃墟の火星で青い瓶をさがす「青い瓶」にガツンとやられる。    ブラッドベリらしい、幻想と美しさと切なさとがてんこもりなのだ。  とはいえ、全体的に<地に足がついた>感じがするのはなぜだろう。  書き手も、読み手も、年齢があがって、人生の哀惜を知ったからか?  うん。  もしかすると「ウは宇宙船のウ」とかも、今読むとまた違ってくるのかもしれない。  味覚みたいに、経験と年齢によって浮かび上がってくるものがある、というのが、実はブラッドベリの最大の魅力だったのかもしれない。と、ようやく気づく。  奥深い。

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2024/01/20

SF作家として有名なレイ・ブラッドベリの短編集。 ☆青い壜 「都市は深い眠りのなかに横たわり、沈黙の穀倉には時が貯えられ、池や泉には静けさと追憶のみがあった。」っていう物語の始まり方が好き。 荒廃した火星の古代都市で青い壜を探す男。 「青い壜」。絶望、責苦、貧困、孤独、恐怖を抱え...

SF作家として有名なレイ・ブラッドベリの短編集。 ☆青い壜 「都市は深い眠りのなかに横たわり、沈黙の穀倉には時が貯えられ、池や泉には静けさと追憶のみがあった。」っていう物語の始まり方が好き。 荒廃した火星の古代都市で青い壜を探す男。 「青い壜」。絶望、責苦、貧困、孤独、恐怖を抱える人々が探し求めるもの、見つかってしまったときには微かな喪失感を感じ、自分の手から再び離れてしまってなぜかほっとする。死。 短編ながら退廃の美を味わえる作品。物語のラストも好き。 ☆いつ果てるとも知れぬ春の日 思春期の、自分の体と心がいままでの子どものままでいられないことへの不安が病的な少年が、成長への一歩を踏み出す瞬間を美しく描く。 ☆親爺さんの知り合いの鸚鵡 ヘミングウェイの幻の作品を暗記しているとする鸚鵡をめぐる物語。 これは、ヘミングウェイの著作を読んでから読んだ方が面白そうだな。 ☆灼ける男 「先天的な悪というやつも、この世の中にないとは言いきれまい?」焼けつく大地に、湖に向けて車を走らせる2人は、途中で乗せたヒッチハイカーの不気味な語りに嫌気を感じ、灼熱の地に男を放り出した。湖でのひと時を終え、帰路につく2人の前には、今度は小さい男の子が現れる。そして彼は2人に問いかけるのだった。「この世の中に先天的な悪というものがあるでしょうか」 先天的な悪とは、ヒッチハイカーか、灼熱の地に男を置き去りにした2人か、この暑さに「17年人間」が頭をもたげたのか。 ふとした瞬間に見え隠れする、人間の悪魔的側面を不気味に描く。 ☆木製の道具 部屋を訪れた若い軍曹に、もし明日の朝、目が覚めたら銃砲類が残らず錆び付いていたら世界はどうなるかと尋ねられたある士官は、武器類がすべからく消失しても、人間は不信と憎しみで争いをやめず、文明は崩壊するだろうと予想する。軍曹は、兵器を錆に変える機械を開発したという。軍曹が退室したあと、ふと、自分の胸ポケットにあるはずの、薬莢を加工したボールペンが、ホルスターの中の拳銃が、錆と化していることに気付いた士官は、木製の椅子を破壊し、その残骸から得た木製の道具を持って、軍曹を追いかけて部屋を飛び出した。 結末を、その行為の行きつく先を知っていても、暴力を止められない人間の姿。 ☆救世主 火星の教会で、キリストに会うことを夢見た神父が、見た人の願望どおりの姿になる火星人と出会う。 望むものは存在せず、それを相手に望むことは相手を苦しめ、自らをも苦しめる。 ☆第五号ロボットGBS

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2015/03/15

レイ・ブラッドベリの魅力的な21の短篇を収録した本書は、素敵な装丁と表題にふさわしく、読み応えばっちりの一冊。 読み終えた後、ヒヤッと寒気が走る作品もあれば、ブラックユーモアに溢れ、ふふっと笑ってしまう作品もありまして、そんな多彩な21篇すべてを楽しむことができました。従って、作...

レイ・ブラッドベリの魅力的な21の短篇を収録した本書は、素敵な装丁と表題にふさわしく、読み応えばっちりの一冊。 読み終えた後、ヒヤッと寒気が走る作品もあれば、ブラックユーモアに溢れ、ふふっと笑ってしまう作品もありまして、そんな多彩な21篇すべてを楽しむことができました。従って、作品に甲乙つけ難いところですが、一番印象に残った作品は「ある恋の物語」。読み終えた直後は後味の良い作品だと感動したのですが、よくよく考えてみると、あれっ本当にそうなのかなと…笑

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2014/08/03

もうわざわざ言う必要もないけれど、ブラッドベリは素晴らしい。 なんてことのない風景をここまで美しく胸に迫らせる人はなかなかいない。 文章を読む喜びを思い出す作家さん。 酔いしれるとともに、打ちのめされたような気持にもなる。

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2014/04/12

河出書房新社から復刊。20年振りに再読した。「読む官能」ともいうべき刺激に溢れている。やはり小説は年をとらないと読めないものだ。そこそこ面白かったと記憶していたが、そんなレベルではなかった。ダフネ・デュ・モーリア著『鳥 デュ・モーリア傑作集』、福永武彦著『廃市・飛ぶ男』、山本周五...

河出書房新社から復刊。20年振りに再読した。「読む官能」ともいうべき刺激に溢れている。やはり小説は年をとらないと読めないものだ。そこそこ面白かったと記憶していたが、そんなレベルではなかった。ダフネ・デュ・モーリア著『鳥 デュ・モーリア傑作集』、福永武彦著『廃市・飛ぶ男』、山本周五郎著『日日平安』、ちくま日本文学の『中島敦』、それに本書を加えて短篇集ベスト5としたい。467ページのどこにも隙(すき)がない。本が涎(よだれ)だらけになってしまった(ウソ)。 http://sessendo.blogspot.jp/2014/04/blog-post_7958.html

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2013/06/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

物凄く久し振りのブラッドベリ。今まで読んだものに比べ、翻訳が抜群に読みやすく、ブラッドベリって面白いんだと気付いた。ファンタジーかと思えば実は結構アイロニカルだったり、ホラーものだとばっかり思っていたのが今時ならありそうな話だったりと、イメージも随分変わった。理不尽な出来事や暴力はなく、どちらかと言えば淡々とものごとは描かれるが、絶対的な恐怖や絶望はちゃんと感じ取れる。それも強烈なという訳ではなく、じわりと迫ってきて気付いたときには遅い、みたいな匙加減は絶妙。夜は怖い時間だったんだと思い出したような読後感。

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2013/05/12

ブラッドベリ、やっぱり良い!! 以前読んだ「10月はたそがれの国」ほどのインパクトはないものの、 どれも美しい情景描写の中に、ヒヤリとするような怖さがあり。 文章に酔いしれる事の楽しさを思い出させてくれます。 最初の「青い壜」から引き込まれました。 死に絶えた廃墟の町を進む二...

ブラッドベリ、やっぱり良い!! 以前読んだ「10月はたそがれの国」ほどのインパクトはないものの、 どれも美しい情景描写の中に、ヒヤリとするような怖さがあり。 文章に酔いしれる事の楽しさを思い出させてくれます。 最初の「青い壜」から引き込まれました。 死に絶えた廃墟の町を進む二人の男。彼らは<青い壜>を探している。 その中には一体何が入っているのか??オチも秀逸です。 冷たい月に照らされた骨と砂塵だらけの都市の描写が素晴らしかった。 「十月のゲーム」の恐ろしさ!!思わず2度読み返してしまった(笑) ハロウィーンに、地下室の闇の中で行われるゲーム… 過去から既に死んだ作家を連れてくる「永遠と地球の中を」も好き。 これは長編で読んでみたいなぁ。

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