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時が滲む朝 の商品レビュー

3.5

43件のお客様レビュー

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2012/07/24

中国人の視点による天安門事件。 若い時しか出来ないことがあるんだなぁ・・・ジーっとそれだけを見つめることが出来る年齢というのは、愛おしい。

Posted byブクログ

2012/01/31

2008年の芥川賞受賞作。 ありがちな文をこねくり回して書かれていない、わかりやすい文体に好感が持てた。 中国の留学生にぜひ読んでもらって感想を聞きたい。 学生だからこそ夢中になって何かに打ち込める懐かしさ切なさが少し蘇る感覚を味わった。

Posted byブクログ

2011/11/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

芥川賞作品。 日本語を母語としない作家として初の受賞として話題になった。 彼女の講演を聴いたことがあるけど、とてもユーモラスでソフトな人だった。 そんなわけで、読む前からすごく興味はあった。 89年の天安門事件から北京五輪まで。 民主化への夢・希望とその挫折を地方出身の2人の青年を軸に描いた作品。 文章自体は特に好みではないけど、特にひどいわけでもない。 私はこれまで恥ずかしいくらい中国について無知だったので、そんな私がこの作品を評価するのはちょっと難しい。 芥川賞に値したかどうかはどうあれ、テーマとしてはとても興味深かった。 大学というものがもつ社会的意味や学生たちの気風、 さらには実際の言動、その末路、 どこか日本の60年代の学生運動にも似た当時の中国の動き。 もう少し知りたいと思った。 この作品自体は民主化云々描かれているけど、政治的な色よりも青春小説っていうテイスト。 でも個人的には「祖国」とは人にとってどういうものか?というところをテーマに読んだ。 天安門事件後に退学になり、残留孤児二世と結婚し、妻と共に日本に渡る主人公。 日本から祖国を見ていく後半は特に良かった。 ラストはずしーんときた。 作者自身、日本で結婚・子育てをする中で突き当たったことだったらしいけど、先にそんな作者の講演を聴いていただけに思わず泣けてしまった。

Posted byブクログ

2011/09/17

日本語を母語としない作家で初めての芥川賞受賞作。89年天安門事件前夜から2008年北京五輪前夜まで。大志を抱いて大学に進学した「二狼」の物語。 作者はまだ文化大革命の残滓に成長した青年だった。「あとがき」では「革命しないとは、すなわち反革命である。反革命は死刑になるほどの罪だ...

日本語を母語としない作家で初めての芥川賞受賞作。89年天安門事件前夜から2008年北京五輪前夜まで。大志を抱いて大学に進学した「二狼」の物語。 作者はまだ文化大革命の残滓に成長した青年だった。「あとがき」では「革命しないとは、すなわち反革命である。反革命は死刑になるほどの罪だ。そんなロジックを元に、与えられた選択肢は常に「赤」か「黒」かの両極端のものだった」という田舎で育った人だった。だからこそ、「民主」(選挙による政府)は、総てをばら色に変える合言葉だったのだろう。 「大学の寮の中でこっそりテレサ・テンの歌を聴いた経験や、尾崎豊の名曲「I love you」から受けた衝撃などは、むしろ私自身の体験に基づいたものだといえよう。」 アメリカをバラ色の国ととらえ、日本を自由な国だという中国青年たちの「普通さ」を20年たってやっと私たちは文学として読むことが出来る。 矛盾の中で世界史は動いている。もちろん、俯瞰の目で見ることは必要だ。けれども、それだけでは世界は見えない。 日本はこれから曲がり角を曲がる。曲がらなければならない。 「赤」も「黒」も選ぶことの出来ない「普通」の庶民にとって、中国の経験は他山の石ではないだろう。

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2011/08/30

  生活、運命、人が生きること、相対的な考え方、 いろいろ悩みもがき自分の運命?とかに翻弄され 進んでいくのが人生。 そう思う本でした。

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2011/07/19

「中国人の目線で見た天安門事件」という小説の題材は、ただ日本文学を読んでいるだけでは出会わなかっただろう。楊逸氏が日本語で書いてくれたから、この視点に出会えた。だから、斬新に思えた。 日本語も丁寧で、文体に強い癖もなく、読みやすかった。 しかし結局、日本文学として、純文学として面...

「中国人の目線で見た天安門事件」という小説の題材は、ただ日本文学を読んでいるだけでは出会わなかっただろう。楊逸氏が日本語で書いてくれたから、この視点に出会えた。だから、斬新に思えた。 日本語も丁寧で、文体に強い癖もなく、読みやすかった。 しかし結局、日本文学として、純文学として面白いのかの判断がつかなかった。

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2011/06/24

天安門事件から現代まで。 時代の変化と、それを拒み続ける中国政府との間で翻弄される 特別何者でもない在日中国人の、今をそのまま描いたような作品。 芥川賞受賞作。 前半、学生時代の光に満ちた鮮烈な時間が、 後半思い出のように蘇って切なくなる。 学生寮で眠る前の30分だけ、 布...

天安門事件から現代まで。 時代の変化と、それを拒み続ける中国政府との間で翻弄される 特別何者でもない在日中国人の、今をそのまま描いたような作品。 芥川賞受賞作。 前半、学生時代の光に満ちた鮮烈な時間が、 後半思い出のように蘇って切なくなる。 学生寮で眠る前の30分だけ、 布団の中で身をよじりながらテレサ・テンを聴く感じとか。 ぐぐっと来ます。 中国の民主化運動、というアングルもあるけど、 若い頃の夢をくすぶらせながらも日々の生活の確かさに安堵する、 ごく普通の男性像でもあるので、共感できます。

Posted byブクログ

2018/10/14

同世代の中国人が、意のままにならない挫折に翻弄されつつ、日本と中国の間に心を漂わせながら暮らしていく日常。 視点の不安定さが少し気になるが、昨今の日本人の芥川賞候補者には決して書けないような、写し出される風景の大きさが選考委員の感性に訴え、受賞したものであろう。

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2011/03/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中国の天安門事件から北京オリンピックにかけての激動の時代に、荒れ狂う濁流のなか生きた無名の男の話だ。 これは2008年の芥川賞受賞した作品 前から読んでみようと思っていたところ、図書館で思わず見つけて手にとりました。 話のところところに出てくる詩が染み入る 元活動家だった父親との電話に涙する主人公が父に諭され、翌日の朝日を見るシーンはまさに今までの月日を一瞬に凝縮したような重みがある。

Posted byブクログ

2011/03/05

中国人が芥川賞を受賞したというので興味があり読んでみた。思っていた以上によかった。89年の天安門かぁ。90年に大学に入ったのだが、その時まだ中国への留学禁止の貼り紙がついこの前のようだ。

Posted byブクログ