時が滲む朝 の商品レビュー
日中国交正常化を経て、徐々に言論の自由が容認されるやに思われた中国で起こった天安門事件。それを当時の学生の視点で描く小説とあって期待したが、あまりに時の経過が駆け足過ぎる。むやみに成功譚としない主義なのかもしれないけれど、これじゃあ物足りない。
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衝動買いの150円です 古書店で芥川賞受賞作という帯に惹かれてのいわば衝動買いの150円です。芥川賞の理由があまりわかりません。 ちょっと前に読んだ「道化師の蝶」といいこの作品といい、芥川賞っていうのはいったいワタシにはピンとこない部類なのかもしれません。芥川賞作品を読むときには...
衝動買いの150円です 古書店で芥川賞受賞作という帯に惹かれてのいわば衝動買いの150円です。芥川賞の理由があまりわかりません。 ちょっと前に読んだ「道化師の蝶」といいこの作品といい、芥川賞っていうのはいったいワタシにはピンとこない部類なのかもしれません。芥川賞作品を読むときには、そんなことを考えながら読んでみようと思います。 中国の作品は登場人物の発音がまったくわからず、とてもイメージしにくかったです。天安門事件前後の人生いろいろのお話でしたが、なんといっても中国が今このとおりの様子ですのでオチがありません。 まあワタシにとっては150円くらいの作品でした。
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登場人物の描写が淡白な感じはしたものの、かつて中国の民主化に燃えた人たちが、経済発展の流れに押されて、政治への情熱を失っていってしまうあたりは、実際そうなんだろうなと思わせるリアリティがあった。カタコトの日本語を操る、来日した中国の人々の息遣いが聞こえてくるような気がした。
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2008年上半期芥川賞受賞作。著者の楊逸は中国ハルピン生まれ。初めて日本に来たのは23歳の時。芥川賞75年の歴史の中で、日本語を母語としない作家の初受賞だろう。小説は主人公の浩遠と親友の志強が、受験勉強の末に秦漢大学に合格し、星雲の志を持って秦都に向かうところに始まる。漱石の『三...
2008年上半期芥川賞受賞作。著者の楊逸は中国ハルピン生まれ。初めて日本に来たのは23歳の時。芥川賞75年の歴史の中で、日本語を母語としない作家の初受賞だろう。小説は主人公の浩遠と親友の志強が、受験勉強の末に秦漢大学に合格し、星雲の志を持って秦都に向かうところに始まる。漱石の『三四郎』を思わせる。間もなく彼らは中国の民主化闘争に参加し、やがて天安門事件を迎える。物語の後半は日本が舞台となるが、そこでの若い在日中国人たちの持つ希望や挫折が実によく描かれている。闘争から10年後のエンディングはなんとも悲しい。
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楊逸さんの作品の中でなぜこの作品が芥川賞を獲ったのか 私にはちょっと不思議だった。 あくまでも私見だけど、他の、女性が主人公の小説はイキイキ しているように感じられるのに、この小説ではおとなしい気がした。 浩遠と志強の大学生活、民主化運動など、なじみがなく、「そんな 世界もあるの...
楊逸さんの作品の中でなぜこの作品が芥川賞を獲ったのか 私にはちょっと不思議だった。 あくまでも私見だけど、他の、女性が主人公の小説はイキイキ しているように感じられるのに、この小説ではおとなしい気がした。 浩遠と志強の大学生活、民主化運動など、なじみがなく、「そんな 世界もあるのだなぁ」という意識で読んだ。面白いとは思わずに。 それが浩遠が日本に来てからのくだりから面白くなり、最後、かつて の同志たちが再会する場面がよかった。 特に英露が魅力的。息子の名前の中国名の「淡雪」っていいな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
天安門事件については、かつて中国語を教えてくれていた先生からチラッと聞いていましたが、こんな感じで動き始めたんですね。 たまたま先日のTVタックルで中国のことを取り上げていましたが、民主化の道は遠いのかなあ。 人口が多いから共産党って、なんかヘン。
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美しい日本語で描写したいのだろなあという意図はとてもよく伝わって来た。これを書いた人が日本人だったらきっと受賞できないだろう。でも日本人だったらきっとこれは書けないだろうから、それでいいのかなとも思う。
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2012.8.13読了。 ドラマティックな国の歴史と、個人の歴史はどのようにクロスしていくのか。思ったより面白かった。
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一日で読んでしまいました。久しぶりに、心に感じ入るものがある小説でした。作者の気持ちが籠もった渾身の一作です。
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いかにも中国人の手によるものといった感じが芬々と漂う。本にはいつも日本語の美しさを求めている。最後まで馴染むことはできなかった。
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