嘘 の商品レビュー
どれも児童文学の範疇であろうか。陽気な嘘、どこか憎めない嘘。与謝野晶子の嘘はやはり作家として欠くことのできない素養としての「嘘)だろうか。 読後感は悪くない。68/100
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「革トランク」 見栄の象徴。 中身には役に立たないクズが詰まっている。 繰り返される(こんなことは実に稀です。)が、もったいなくも、言い訳がましくも、わびしくも感じられる。 「ガドルフの百合」 いかにも宮沢賢治らしい話。 言葉の使い方に戸惑う。 二回読んで、やっと頭の中に絵を描く...
「革トランク」 見栄の象徴。 中身には役に立たないクズが詰まっている。 繰り返される(こんなことは実に稀です。)が、もったいなくも、言い訳がましくも、わびしくも感じられる。 「ガドルフの百合」 いかにも宮沢賢治らしい話。 言葉の使い方に戸惑う。 二回読んで、やっと頭の中に絵を描くことができた。 読み込むと、その美しさがわかる。 「嘘」 こんな嘘で涙をするあたりが、随分幼い。 すぐに嘘だとばれるだろうに。 子供の頃は、こういう話に興味があるのだな。 「狐の子供」 昔のカツアゲ。 いつの時代も、強い者が弱い者を脅し、つけこむんだ。 とっとと、大人に告げ口して、助けてもらえばいい。 子供なんだから。 「ある孤独な魂」 真っ直ぐな魂は、盲目であっても真実を射抜く。 自分の頭で考えるということ。 正しく生きるということは、受難の人生だ、ということか。 盲目的に何かに従うということの愚かさが、端的に描かれている。 それでも、周りに流されて生きる人たちの方が、社会的には成功するという理不尽さも。 昔からずっと変わらないのか。 人間は、社会は進歩しないのか。 切なくなる。 「せまい檻」 すごくよくわかる。 言いたいことが、すごくよくわかる。 でも、羊たちには、いらぬおせっかいなんだなぁ。 檻に甘んじる人たちも沢山いる。 檻を幸せだと感じる人たちも、いっぱい。 そして、「檻」というものは、人によって見え方が違う。 結婚制度を「檻」だと思う人もいれば、それをやすらぎだと感じる人もいる。 だから、虎のしたことは、ある意味では偽善なのだろうと思う。 偽善だから、石の神様に罰せられてしまうのだ。 社会とは、理不尽で、窮屈で、本来の姿を欠いたものであるかもしれない。 それでも、そこになじんでいってしまえる人も沢山いる。 「真」が必ずしも「幸せ」でないかもしれない、というもどかしさ、苛立ちを感じた。 「沼のほとり」 蝶を全面的に肯定しているわけではない。 そこには皮肉も含まれているように感じる。 それでも、後に地位を得た人物たちよりは、マシだと感じさせている。 本当の賢さって、難しい。 社会は正しく美しいものではないから。 それでも私たちは、この世界で生きていくしかないのだ。 「魚の悲しみ」 人間の傲慢さが描かれている。 他の命に対して、あまりに無頓着で、自己中心的な考え方をしている人間。 このエロシェンコという人は、本当に偏見のない眼差しを持った人なのだな、と強く感じた。
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宮沢賢治『革トランク』『ガドルフの百合』 与謝野晶子『嘘』『狐の子供』 エロシェンコ『ある孤独な魂』『せまい檻』『沼のほとり』『魚の悲しみ』
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収録作: 「革トランク」「ガドルフの百合」宮沢賢治 「嘘」「狐の子供」与謝野晶子 「ある孤独な魂」「せまい檻」「沼のほとり」「魚の悲しみ」エロシェンコ 全体的に、「嘘」というよりは「真実を透かして見ること」あるいは「真実は嘘によってあぶりだされるということ」という印象。 私は...
収録作: 「革トランク」「ガドルフの百合」宮沢賢治 「嘘」「狐の子供」与謝野晶子 「ある孤独な魂」「せまい檻」「沼のほとり」「魚の悲しみ」エロシェンコ 全体的に、「嘘」というよりは「真実を透かして見ること」あるいは「真実は嘘によってあぶりだされるということ」という印象。 私は宮沢賢治はあまり好きではないのだけど、読むたびに唸ってしまう。彼のすごさは、誰も「真似できない」ところだと思う。というか、真似をしたら圧倒的に陳腐になってしまうだろう。 与謝野晶子の「狐の子供」が一番好きだった。彼女の生真面目さ、潔癖さ、そして少女らしい尊大な自負心に共感する。 エロシェンコは童話風のものよりも、実録エッセイ風の「ある孤独な魂」が私は圧倒的に好きだった。 疑り深い、いや真実を求めるが故に疑り深くならざるをえなかったエロシェンコの魂は、孤独であっただろう。その孤独のしみじみとした静かさに、胸が詰まる。
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宮沢賢治「革トランク」「ガドルフの百合」、与謝野晶子「嘘」「狐の子供」、エロシェンコ「ある孤独な魂」「せまい檻」「沼のほとり」「魚の悲しみ」を収録。エロシェンコの著作、4作はすべて示唆に富んでいて、童話としても通用しそう。とてもいい話でした。
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※このレビューにはネタバレを含みます
エロシェンコが良かった。 「せまい檻」の、人間が石の神様に祈る場面はとても美しい情景が目に浮かぶ文章でした。とても作者が盲目だったとは思えない。 ・宮沢賢治「革トランク」「ガドルフの百合」 ・与謝野晶子「嘘」「狐の子供」 ・エロシェンコ(高杉一郎訳) 「ある孤独な魂」「せまい檻」 「沼のほとり」「魚の悲しみ」
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「嘘」というくくりにすると、ちょっとピンとこない。でも、作品それぞれに、読後の虚しさというのはあった。 宮沢賢治の「革トランク」や、与謝野晶子の「嘘」は、比較的さくさく読めると思う。見栄というか、虚構というか、そういったものが分かりやすく描かれているので、「あーあるある」と共感...
「嘘」というくくりにすると、ちょっとピンとこない。でも、作品それぞれに、読後の虚しさというのはあった。 宮沢賢治の「革トランク」や、与謝野晶子の「嘘」は、比較的さくさく読めると思う。見栄というか、虚構というか、そういったものが分かりやすく描かれているので、「あーあるある」と共感できるところもあるし、それを面白がることもできる。 与謝野晶子は「教科書で習う人」程度の印象だったのだけど、女の子がリアルに書ける人なんだなあと思った。素敵。 エロシェンコの2作品は、読みやすいけれど、「純粋であるがゆえの危うさ」のようなものが感じられる。好きだなあ。 全体的に仄暗い。
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エロシェンコは初めて読みました。 虎の話が印象に残っています。 なんだろう、綺麗だけど荒々しい、血生臭い生きざまと言いましょうか? 他の作品も読みたいです。
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これとは全く別の魯迅の本にエロシェンコのことが書いてあり、エロシェンコに少し興味を持った。 そんな頃、「ある孤独な魂」に出会った。いやはや面白い。子供たちの素朴な疑問が痛快だった。まともに太刀打ちできず「愚問だから」と体罰を与えることしかできない教師が、むしろ滑稽である。偏見のバ...
これとは全く別の魯迅の本にエロシェンコのことが書いてあり、エロシェンコに少し興味を持った。 そんな頃、「ある孤独な魂」に出会った。いやはや面白い。子供たちの素朴な疑問が痛快だった。まともに太刀打ちできず「愚問だから」と体罰を与えることしかできない教師が、むしろ滑稽である。偏見のバカバカしさがよく伝わった。
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作者それぞれ、三者三様に、興味深く読めた。 なかでもエロシェンコの作品は文章に初めて触れるせいもあったが、独特な小説世界が印象的だった。
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