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天の鹿 の商品レビュー

4.1

8件のお客様レビュー

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2025/12/23

最初は、こぶとり爺さんのように人間の欲を 描いたお話かと思ったら全然違った。 段々と鹿の世界に惹き込まれる不思議なお話で、 命ある生き物を頂くことは、ここでは悪く 描いていない。自然の摂理とし、鹿自身も 人間を責めていない。だからこそ、 肝で繋がっていた末娘が、人の世を離れ 鹿...

最初は、こぶとり爺さんのように人間の欲を 描いたお話かと思ったら全然違った。 段々と鹿の世界に惹き込まれる不思議なお話で、 命ある生き物を頂くことは、ここでは悪く 描いていない。自然の摂理とし、鹿自身も 人間を責めていない。だからこそ、 肝で繋がっていた末娘が、人の世を離れ 鹿のお嫁さんになり、鹿と一緒に天に駆け上 がる姿は何ともさみしくせつないお話だった。

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2024/03/18

行って、帰ってこない物語の、さみしさ。きれいだけれど、俗世の者の手には残らないようなしんとした光が遠くに見える、そんなイメージ。 3姉妹がいたら心の優しいのは末娘、というのは定石だけれども、姉二人も悪意を持っているわけではない。鹿のほうも、試練を与えているわけではない。ただ、探...

行って、帰ってこない物語の、さみしさ。きれいだけれど、俗世の者の手には残らないようなしんとした光が遠くに見える、そんなイメージ。 3姉妹がいたら心の優しいのは末娘、というのは定石だけれども、姉二人も悪意を持っているわけではない。鹿のほうも、試練を与えているわけではない。ただ、探しているのだ。じぶんを在るべき場所へ連れて行ってくれる、導きの光を。 山ぶどうのお酒を分かち合った末娘と鹿は出会うべき相手に出会えたと喜ぶが、それは同時にこの世界から離れることでもあった。 父親の「おう、おう」という声だけがひびく山の彼方、空の向こうで、ふたりはどんな気持ちでいるのだろうか・・・と思う。

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2015/07/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

安房さんは大っすきなので、 結構読んでると思ってたんだが、 これは読んだことなかったなー。 鹿さん。 おつかれさまでした。 ちょっと恒川さんの夜市っぽい感じもあり。 ラストに結構びっくり。 そっかー。そのまま一緒に行って、帰ってこないんだな、彼女は。

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2014/11/06

後書きで解説されていたことひとつひとつに、ああ、そうなのか、と考えてもう一度読んだ。丁寧に、慎重に書かれた本。

Posted byブクログ

2014/01/12

ベースの物語は昔話。猿婿や蛇婿の話と同じく、鹿の妻になるかどうか(とはっきりと書かれてはいないが)の試練に、三人姉妹の末娘が選ばれる。 そこに意外性は全くないが、鹿があの世とこの世の間をさまよっている鹿であり、三姉妹の父親が鹿を殺した猟師であること、三姉妹の誰か一人がその鹿の肝を...

ベースの物語は昔話。猿婿や蛇婿の話と同じく、鹿の妻になるかどうか(とはっきりと書かれてはいないが)の試練に、三人姉妹の末娘が選ばれる。 そこに意外性は全くないが、鹿があの世とこの世の間をさまよっている鹿であり、三姉妹の父親が鹿を殺した猟師であること、三姉妹の誰か一人がその鹿の肝を食べたことなど、独特の設定が、安房直子ならでは。 あとがき(堀江敏幸)でも宮澤賢治との共通点が語られていたが、私も読みながら「なめとこ山の熊」を思い出した。 物語は読みやすく、小学校中学年でも十分わかるが、この精神性の深さは賢治と同じく、簡単に語れるものではない。 安房直子は児童文学の中でも特異な存在だなと改めて思う。

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2013/10/17

力強いのに物悲しさを感じる独特の文体に、呑み込まれるように読みました。 鹿撃ちの名人が牡鹿に連れて行かれた鹿の市、そこで宝石を手に入れる。そして彼の娘たちも牡鹿に連れられて鹿の市へと行く。昔話の定番通り三度繰り返し末娘が真の宝に辿り着く、と思ったらそんなに単純では済まない展開が待...

力強いのに物悲しさを感じる独特の文体に、呑み込まれるように読みました。 鹿撃ちの名人が牡鹿に連れて行かれた鹿の市、そこで宝石を手に入れる。そして彼の娘たちも牡鹿に連れられて鹿の市へと行く。昔話の定番通り三度繰り返し末娘が真の宝に辿り着く、と思ったらそんなに単純では済まない展開が待っていました。自分のキモを食べた娘を捜していた牡鹿と、運命の人を感じ取っていた末娘。キモを食べるということは一体化すること、つまり牡鹿も娘も自らの半身を求めていたのかも。ラスト牡鹿と娘は天に昇っていきます。それは求め合うもの同士が昇華したということなのか。美しいだけに悲しさも際立つものでした。

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2012/03/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

鹿撃ち(鹿笛ふき)の名人・清十は、ある日、森ですばらしい牡鹿と出会う。人の心に語りかける牡鹿は、清十を鹿の市に連れて行く。そこには、あらゆる物があり、清十はその中から一つ、買い物を許された。三人の娘がいる清十だが、もうすぐ嫁にゆく長女のために首飾りを買い求める。また別の日、鹿は娘達の前にも現れ、それぞれを鹿の市に連れて行く。どうやら鹿は、むかし病気になって鹿の肝を食べた娘をさがしているらしい。末娘みゆきと牡鹿の「運命のひと」との出会い。 どこか もの悲しい、山奥にいるかのように静かな、そして伝承文学的な奇妙さが心に残る。

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2013/07/21

物悲しい物語。 父も、二人の姉も、特別に強欲というわけではない。 けれど末の娘の心優しさが胸に沁みる。 鹿の物言いが胸を打つ。 読み終えたあとも、物語の断片がのちのちまでぼんやりと頭の中に残る。

Posted byブクログ