遥かなる未踏峰(下) の商品レビュー
イギリスの政治家・作家「ジェフリー・アーチャー」の長篇山岳作品『遥かなる未踏峰(原題:Paths of Glory)』を読みました。 ここのところ、山岳関係の作品が続いていますね。 -----story------------- 〈上〉 エヴェレストに眠る遺体の謎。 悲劇の登...
イギリスの政治家・作家「ジェフリー・アーチャー」の長篇山岳作品『遥かなる未踏峰(原題:Paths of Glory)』を読みました。 ここのところ、山岳関係の作品が続いていますね。 -----story------------- 〈上〉 エヴェレストに眠る遺体の謎。 悲劇の登山家「マロリー」の挫折と栄光。 世界最高峰への初登頂はいったい誰が、いつ成し遂げたのか? エヴェレストに挑み「なぜ登るのか?」と訊ねられ「そこに山があるからだ」と答えた悲劇の登山家「ジョージ・マロリー」。 彼は頂上にたどり着くことができたのか? いまでも多くの謎に包まれている彼の最期──愛妻家としても知られる山男が残した手がかりとは……。 稀代の英雄の挫折と栄光に巨匠が迫る、山岳小説の白眉。 〈下〉 鍵を握るのは――愛妻の写真。 史実を元に巨匠が描いた山岳小説巨編。 想像を絶する過酷な条件でのエヴェレスト行。 防寒具は妻に編んでもらった毛糸の手袋程度、酸素ボンベは卑怯──。 だが、一方のベース・キャンプではバスタブが用意され、何ケースものワインにシャンパン、葉巻が運ばれる。 歓喜の絶頂と絶望の奈落を味わってきた「マロリー」、山頂に愛妻の写真を置いてくると誓った彼の最後の挑戦とは。 壮大な夢を追い続けた男を描く、冒険小説の頂点。 ----------------------- 2009年(平成21年)に発表された作品で、エヴェレストに消えた伝説の登山家「ジョージ・マロリー」の半生を追った青春冒険小説です。 19世紀の末にイングランド北部にあるチェシア州の司祭の息子として生まれた「ジョージ」は、幼い頃から恐怖という感覚が極めて薄く、冒険心に満ちた行動的な性格で、プレパラトリー・スクール(私立の初等学校)に進学してからは並外れた山登りの才能を発揮し始める… 山で様々な経験を積み重ねつつ、その成功と失敗の両方を糧にしながらアルピニストとして着々と成長、、、 青年になってからはパリのエッフェル塔に登って逮捕されたり、ヴェネチアのサンマルコ広場の鐘楼に登って警察に追われ、後に妻となる「ルース」とともに逃げ切ったり、汽船の煙突によじのぼったりという、やんちゃな一面を発揮する一方で、兵役が免除されていた教師の職をなげうって、第一次大戦に志願して出兵するという仲間や同志を思う心(倫理観・正義感)を持つ、変わり者ながら、周囲から愛される魅力ある人物に成長します。 「ルース」との結婚後は、夫から妻への手紙という手法で、夫婦愛・家族愛が描かれ、どんどん「ジョージ」という人物の魅力に引き込まれていきました、、、 そして、2度のチョモランマ登頂チャレンジ… このチョモランマ遠征中に書かれる手紙は、本作品のストーリー展開に核心的な役割を担っており、「ルース」との心のつながり・絆が強く感じられましたね。 遭難した「ジョージ」がその前にチョモランマの頂上を制覇していたのか!? 山頂に残すために持っていた「ルース」の写真、1999年(平成11年)の遺体発見時に、その写真を所持していなかったことは、きっと登頂したのでは… という展開、実際には、登れていないんだろうと思うんですけどねぇ、それが、どっちとも証明できないところが、神秘的であり、魅力でもあるんですよね。 なかなか巧くまとめてあったし、「ジョージ・マロリー」の人間的魅力を知ることができた良書でしたね、、、 「なぜ登るのか?」と訊ねられ「そこに山があるからだ」という名言… 「ジョージ」がじっさいに言ったのかどうか、諸説がありますが、これは、きっと言ったんだと思います、そんな気持ちにさせられた作品でした。 以下、主な登場人物です。 「ジョージ・リー・マロリー」 英チェシア州モーバリーの司祭の息子。チャーター・ハウススクールの教師 「トラフォード」 ジョージの弟。英国空軍の軍人 「ガイ・ブーロック」 ジョージの親友 「ルース・ターナー」 チャーターハウス理事の次女。ジョージの妻 「ジェフリー・ヤング」 CUMC(ケンブリッジ大学山岳クラブ)名誉会長。エヴェレスト委員会副委員長 「ハワード・ソマーヴィル」 医師 「ノエル・オデール」 地質学者 「ジョージ・フィンチ」 化学者、オーストラリア人 「コティ・サンダース」 ジョージの友人 「フランシス・ヤングハズバンド」 エヴェレスト委員会委員長 「アーサー・ヒンクス」 エヴェレスト委員会事務局長 「チャールズ・ブルース」 英国陸軍の軍人 「エドワード・ノートン」 英国陸軍の兵士 「ジョン・ノエル」 カメラマン 「ヘンリー・モーズヘッド」 地図学者 「サンディ・アーヴィン」 登山家
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山岳小説ではあるが、マロリーやその周辺の個性ある人物との交流、家族、国家を描いた人間模様に溢れた小説。マロリー達が最終的にどうなるか知っていて読んだが、それでも上下巻併せて楽しめた。「because it's there」(それがそこにあるから)、人生を賭けて挑むことに...
山岳小説ではあるが、マロリーやその周辺の個性ある人物との交流、家族、国家を描いた人間模様に溢れた小説。マロリー達が最終的にどうなるか知っていて読んだが、それでも上下巻併せて楽しめた。「because it's there」(それがそこにあるから)、人生を賭けて挑むことに意義があってその目的に意味は必要がないのかもしれない。最期まで8,000m峰の未踏の地に挑み続けたマロリーら登山隊と彼を支えた家族に敬意を評したい。
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エベレスト2回目の登頂記。 ドロドロとした件があまりなく、あっさりと挑戦して あっさりと.....という展開になっている。 読み物としては面白いが、登山記としては チョット物足りないかな。 併せて読む本として夢枕獏の「神々の山嶺」をオススメする。
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マロリーとアーヴィン、彼等が登頂に成功したと信じる。 作品を読み終わって強く思うのは、その事ですね。 元はといえば「そして謎は残ったー伝説の登山家マロリー発見記」を読む前に、と思って読んだのだけど、そちらの結論にガッカリするんだったら、アーチャーの作品でお終いにしちゃってもいいか...
マロリーとアーヴィン、彼等が登頂に成功したと信じる。 作品を読み終わって強く思うのは、その事ですね。 元はといえば「そして謎は残ったー伝説の登山家マロリー発見記」を読む前に、と思って読んだのだけど、そちらの結論にガッカリするんだったら、アーチャーの作品でお終いにしちゃってもいいかなと。 ま、それは無いけど。
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ジョージマロリーの生涯を描く評伝小説であり、彼と切っても切れない謎を主題に据えた年代記劇なのである たとえその道は死へもつながるものだとしても、人として生まれたからには、自ら信ずるところのものを、特には命をかけてでも成し遂げるねばならない。この物語は家族の愛に支えられながら、その思いを不屈の精神で貫き通した男の物語である
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何のために登るのか?そこに山があるからと答えたジョージ・マロリーの話。 マロリーといえば、人類初のエベレスト登頂わ成功させたのかどうかが話題になるが不明のままの伝説の人。 マロリーの話として興味深く楽しく読めた。
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頂上まで辿り着いていたのか。 真相はマロニーとアーヴィンにしか分からないけれど、そうであってほしいと願わずにはいられない。
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エベレスト 登頂を試み ついに帰らぬひととなったマロリーの伝記。 南極点 到達をノルウェー人に奪われた イギリス人は なんとしてでも エベレストにいきたかった。 それが イギリス人の 国民性を示すものだからだ。 酸素ボンベを使うべきか なども 当時の風潮もよくわかる。 運命に翻弄される人を描く筆力は 衰えない。 さすがはアーチャー。
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ジェフリー・アーチャーが、伝説の登山家ジョージ・リー・マロリーの生涯を描いた小説。マロリー自身のことや、当時のエベレスト登頂に対する時代背景などがよくわかる作品となっている。
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あまり歴史的な史実を知らずに読んだのだけれど、他の人のレビューを見ていると、多分にフィクションの要素が多いと知り、却ってお話として純粋に読めて良かったと感じた。 なぜ山に登るのか?という問いかけに対し、「そこに山があるから」と答えた(といわれている)人物のお話。 ジェフリー・...
あまり歴史的な史実を知らずに読んだのだけれど、他の人のレビューを見ていると、多分にフィクションの要素が多いと知り、却ってお話として純粋に読めて良かったと感じた。 なぜ山に登るのか?という問いかけに対し、「そこに山があるから」と答えた(といわれている)人物のお話。 ジェフリー・アーチャーが取材して初めて分かったこともあるらしく、昔の時代(今もかな?)の物の考え方に、読みながら「違うでしょ!」と叫びたくなります(笑) 主にジョージ・フィンチが登山隊に選ばれなかった部分です。 物語に散りばめられている、愛する妻への手紙が好きでした。
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