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カルトローレ の商品レビュー

4.2

41件のお客様レビュー

  1. 5つ

    18

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    2

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2013/06/19

読みすすめていくうちに だんだん謎が明かされていくおはなしは わくわくする。 でも、そうやって 手の内を明かすと見せかけて さらに重ねて、惑わせてくるようなおはなしは もっと、わくわくする。 解説者のことばを借りるなら、 「言外にほのめかすことはあっても、 明言はされず、読...

読みすすめていくうちに だんだん謎が明かされていくおはなしは わくわくする。 でも、そうやって 手の内を明かすと見せかけて さらに重ねて、惑わせてくるようなおはなしは もっと、わくわくする。 解説者のことばを借りるなら、 「言外にほのめかすことはあっても、 明言はされず、読者には想像をめぐらす余地が残される。」 「はじめとおわり、端から端までが、 ぴったりと閉じたかたちで提示されるのではなく、 まだその先のどこかへつながる可能性をもってひらかれた箇所が、 いくつも潜んでいるようでもある。」 物語の世界やストーリーは全然ちがいますが、 『テレヴィジョン・シティ』とすこし近いものを感じました。 こういうおはなしは、 残された空白が気になって気になって しかたなくて、 読み終わったらすぐはじめに戻って、 もう一度、読み返したくなります。 読み返しながら、随所にある空白をひろって、 あてはまるものや、何かそれに近いものがないか、 ページを戻ったり進んだりして、探す。 完全に埋めることはできなくても、 ヒントはたくさんある。 それをもとに いろいろ考えて 自分なりに構築しなおしていくうちに ぼんやり全体像がみえてくる。 すると、腑に落ちるというか、 「あ、そういうことか」と思える部分がいくつもあって それが、本当に たまりません。笑 解明されない謎をたくさん残しておきながら、 こんなにもすっきりした読後感を味わえる本は、 久々か、もしかしたら、はじめてかも。 そして、読むとおなかがすく本。笑

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2013/06/04

先が気になって一気に読んでしまった。 面白かった!図案室に行くシーンやワタが水を使うシーンをぜひ映像で観てみたいo(^▽^)o

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2013/04/05

主人公タフィの出自の秘密、がテーマみたいだが、彼の印象は正直薄め。でも、彼の視線を通し、エキゾチックで魅力的な世界観を純粋に楽しめた。

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2013/03/17

就活中に、図書館で借りた単行本を読んでいたけれど、序盤で挫折した長編です。文庫の装丁が単行本とほぼ同じだったので、すぐに見つけてぐんぐん読めました。 舞台はまったくの異世界で、しかし現実世界と文化の行き来を思わせる、知っているようで知らないところでした。砂漠の中で、少ない登場人物...

就活中に、図書館で借りた単行本を読んでいたけれど、序盤で挫折した長編です。文庫の装丁が単行本とほぼ同じだったので、すぐに見つけてぐんぐん読めました。 舞台はまったくの異世界で、しかし現実世界と文化の行き来を思わせる、知っているようで知らないところでした。砂漠の中で、少ない登場人物と一緒に、時はゆったり過ぎていきます。 《船》から降りて適用化プログラムを受けている主人公タフィが、あやふやな記憶をぼんやりと蘇らせる時、さらに不思議な秘密が少しずつこぼれてきます。全貌は最後まで明らかになりませんが、物語の全体を楽しませます。 不思議な少年ワタ、頼れる管理人のコリドーなど、魅力的な男性を描くのは長野まゆみの素敵なところ。 さらに、今回は随所に出てくる食べ物がとても美味しそうなのと、編み物縫い物の模様が、手先をうずうずさせます。 今まで河出書房で出ていた作品とは違い、しっかり安定感がある作品でした。こんな傑作もまだ出てくるのかという感嘆があります。

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2013/03/10

本屋で何となく気になって手に取った本。個人的に大当たりでした。 主人公のタフィは《船》から降りてきた移住者で、《船》の航海日誌を読みとくため、沙地にやってきた。沙地では同じく移住者のコリドーや現地にはるか昔から住み着いているワタと呼ばれる部族の少年と出会い……というお話。 最...

本屋で何となく気になって手に取った本。個人的に大当たりでした。 主人公のタフィは《船》から降りてきた移住者で、《船》の航海日誌を読みとくため、沙地にやってきた。沙地では同じく移住者のコリドーや現地にはるか昔から住み着いているワタと呼ばれる部族の少年と出会い……というお話。 最初から最後まで淡々とお話は進み、なのに最初からあっという間に世界に引き込まれてしまう。 作中に何度も出てくる複雑な編み目のクロシェのように細かく幾重にも編み重ねられたような、とても綺麗な丁寧なお話でした。読んでいる間、タフィの見ているものをこちらも見ているような、情景が目の前に浮かぶようなお話。 また食べ物の描写がすごくて、おいしそうでおいしそうで。 最後まで相当数の謎が解かれないまま残るんだけど、それが不思議と気にならない。まだまだ、タフィやコリドーや年少のワタやエルジンやハイムーン卿の話は、淡々と、ゆるゆると続いていくんだな、それをまだずっと見ていたいな、と思いました。

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2012/11/29

すっきりしないのに許せる。 美しい文章。美しい描写。 完全に頭に浮かんでくる。人も食べ物も服も図面室も。

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2013/01/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み始めたときから、かつて大好きだった映画たちと一緒だ、って感覚を抱いてた そしてその感覚は読み終わるまでずっと続いた きび色の沙地、 流砂に埋もれ時おり僅かに姿を垣間見せるかのような記憶=謎、 その言葉を聴くことができる者だけに静かに語りかける紋様 コトバ=織物=記号、耳=指先 指は織物を紡ぎ、指は織物を聴き取る 始まりは寺山修司の実験映画だった 映画に明確なストーリーなど自分には必ずしも必要ではないことがわかった最初の体験 海外旅行に全く興味がない俺にとって、映画は”此処ではない何処か”へ連れていってくれる装置だった 謎を謎のまま愛でることができるのは、自分自身がその世界に存在していないが故なのかもしれない ”わからないこと”と自分が共にいることは、不安とそれは近い位置にあることを知り続けることでもあるのだし カルトローレが映画を思わせたのはきっと文章が描く映像が美しいからなんだろう 個人的にはゆったりと流れる時間の心地良さも付け加えたいとこだけれど、これは人によって同意できたり出来なかったりしそう 表紙も綺麗だし。少しだけジョゼフ・コーネルを連想したりもして。

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2012/09/19

静謐な物語。 航海日誌「カルトローレ」を解読するのが主人公タフィの仕事である。 呪術、刺繍などのキーワードが絡みあい、浮かんでは消えるがごとく流れる印象を受ける。

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2012/06/28

食べ物の表現が豊かで、日常にあたたかな印象を与えている。この不思議で綺麗な世界にずっと浸っていたくなる。

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2012/06/23

食事の場面の表現がとても上手いので、読んでいるととてもお腹がへる本でした(/ω\)イヤン。深夜に読む場合は注意!登場人物達は深い問題を抱えているんだろうけど、それを全面にださない硬質な文章表現がとても気に入りますた。何か深いものを背負っているんだけど、表にでるのは淡々ともいえる日...

食事の場面の表現がとても上手いので、読んでいるととてもお腹がへる本でした(/ω\)イヤン。深夜に読む場合は注意!登場人物達は深い問題を抱えているんだろうけど、それを全面にださない硬質な文章表現がとても気に入りますた。何か深いものを背負っているんだけど、表にでるのは淡々ともいえる日常。そのギャップがとても好きだなと思いました。おすすめ~

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